2019年01月23日

ビデオに映っていたモノ

先日来てくれたセイヤ君は、
恋愛について、ちょっと痛い思い出があり、
なかなか先に進めないのだと言う。


3年ほど前、セイヤ君には
初めて付き合った相手がいた。
ほとんど喧嘩をすることもなく、
うまく行っていた、そう思う。
24歳のセイヤ君にとって、
彼と一緒にやることは
何から何まで初めてだった。

その年の暮れ、友人に誘われて
ゲイの人たちが集まる
ホームパーティに招かれた。
4歳年上の彼は、そういう集いは
苦手なので、行っておいで、と言われた。
彼とはゲイバーも
一緒に行ったことがなかった。

パーティには、20代から30過ぎくらいまでの
人たちが8人ほど集まっていた。

それなりに遅い時間となり、
お酒を飲みながら、
パーティを開いている家主が
「僕の秘蔵映像」と言いながら、
彼のPCに入っているエロ動画を
映し出した。

そこには、いわゆるそのへんで売っている
ゲイAVではなく、家主の彼が拾ったり、
人からもらったりした
アマチュアのエロ動画が流れていた。

何人か観ていたら、
なんとその時に付き合っていた自分の彼が
映っていたのだと言う。
それも、3人でかなり派手なことをやりながら、
交代でカメラを撮影しながら約30分。

そこにいるみんなは
「凄い」とか「エロい」とか
言っているけれど、セイヤ君は
脂汗が出るだけではなく、
気持ち悪くなって、
途中トイレに立って、吐いてしまったのだ。

確かに、彼とのエッチは
ビデオこそ撮らなかったけれど、
それなりにマニアックなこともあった。
しかし、ほぼ初めてだった
セイヤ君にとっては、
それが普通なのかと思っていた。

自分とやった行為に近いことが
そのビデオの中で展開されていた。

そこにいる人は、
連れてきてくれた友人も含めて
セイヤ君の付き合っている彼の顔は知らなかった。
その事についてはもちろん誰にも言えず、
一人、帰りのタクシーの中で嗚咽した。
  
結局、ビデオのことは
どうしても、その彼には言えなかった。
そして理由もなく、別れた。

優しくて、そのビデオの中の彼を除けば
とっても良い人だった。

あれは何だったんだろう。
夢を見ていたような気にさえなると言う。
あれから彼とはまったく連絡を
とっていないけれど、彼を超える人は
まだ現れていないらしい。

ちょっと内容は違うけれど、
映画「セックスと嘘とビデオテープ」を
ちょっと思いだした。

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2019年01月22日

会えない時間が育てた愛

昨日少し書いたskypeが取り持つ縁の話。

随分前からうちに来てくれていた
ケイスケが、数年前に
「付き合う人が出来ました」と
報告に来てくれた。
「でも、まだ会ってないんです」と
ちょっとよくわからない物言い。

よくよく聞いてみると、
Facebookで知り合ったアメリカ人と
何日か、チャットをやり取りしている間に、
Skypeの動画チャットで
お互いの姿を見ながら
話すようになったようだ。

お互いの雰囲気を気にいってから、
二人は裸になり、そのうちに
マスターベーションも
見せ合うようになったとのこと。

結局、二人の間で色々なやり取りが
毎日続き、それが半年、
そして1年近く続いた頃に
二人は付き合うことを決め、
ケイスケが僕に報告したのだった。

結局、その後、ケイスケはアメリカへ飛び、
初めて会うことになった。
実際目の前にするのも、
肌を合わせるのも初めてだったが
まったく何の違和感もなかったと言う。

ケイスケが最後に来たのが
2年ほど前。それから二人は
どうなったのかは、わからないけれど、
僕にとっては衝撃的な出来事だった。

会えない時間がどんどん
二人の関係を育む、
そんな映画を思い出すと
後々、ハリウッドでもリメイクされた
韓国映画「イルマーレ」

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2019年01月21日

遠距離での会話

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2019年01月06日

二人の暮らしでわかること

1年ほど前に付き合いだしたノブヤスが
彼と共に住み始めて半年くらいになる。

昨日、店に来ていた
同棲15年、というヒロトに
「一緒に住んで、いちいち
色々と違っていて、
イライラしたりしない?」
と尋ねていた。

「それはたくさんあるよ。
食事の作り方や、洗い物ひとつとっても、
まったくやり方が違う。
でも、それも慣れてくるし、
それに苛立っても仕方がないじゃない。」
そう答える。

ノブヤスは、洗濯から、掃除、
コートのかけかたまで
相手が細かく言うことに
子供でもないのに
なぜここまで言われなきゃならないんだと
腹が立つと言う。

色々なことを細かく言うクセに、
賞味期限が切れたモノなどには
さほど気を配らず、
平気だったりするから
それも不思議でそこを責めると
「賞味期限と消費期限は違う。
お前は自分の味覚を信じないのか」と言われる。
(ここは僕も同感。笑)


こんな話を聞くたびに、
思い出す話がある。

昔、テレビの「徹子の部屋」に
笑福亭鶴瓶氏が出演していた。
学生時代から付き合っていた奥さんと結婚し、
トンカツを作ってくれた日があったのだそうだ。

鶴瓶は、トンカツにソースをかけようと
黄色いキャップの蓋が付いている瓶から
トンカツにかけると、それは醤油だった。

「なんや、これ。普通、ソースは黄色やろ!」
鶴瓶がそう言うと、奥さんは
「うちは、醤油が黄色、ソースは赤です!」
と言い、別れる、別れないという
大喧嘩となったそうだ。


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それから何十年か経ち、
鶴瓶はトンカツ屋に行くと、
ついついトンカツに
醤油をかけてしまうのだそうだ。

要は、もうすっかり鶴瓶は
奥さんのカラーに染まってしまった。
黄色が醤油である、というのが
知らず知らずのうちに
身体に覚えこませてしまっていたのだそうだ。
結婚や、共にいる、ということは
そんなようなモノだ、ということを聞いて
僕はとってもいい話だ、そう思った。

どちらが良い、悪い、
正しい、間違いではなく、
また、妥協、と言うのでもなく、
そうやって他人を受け入れていって
自分が変化することこそ、
恋愛、もしくは関係性の
醍醐味なのかもしれない。


ちょっと余談だが、この話、そもそも
ソースが黄色の蓋が付いている瓶で、
醤油が赤の瓶ということが
今の若い人にはそれほど知られていない、
ということを、この話をするたびに
ちょっと驚いてしまう。

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2018年12月24日

地獄から天国へ その2

昨日のブログの続き。

ホスト勤めをするパートナーから
暴力を受け続けたエイジだったが、
そんな中、仕事関係の書籍を求めて
神保町の本屋街を訪れた時のこと。

そこそこ大きな本屋で
本を買ってレジに行った時に
包んでくれた店員の顔を見て
あれ?と思った。

「あの・・・」とエイジが彼に
声をかけると、相手もじっとエイジを見て
わかったようだ。

エイジが大学に入ったばかりの頃、
ドキドキして行ったゲイバーで会い、
何度か話をした2歳上の人だった。

「久しぶりだね!俺、もう少しで
上がるから、良かったらお茶でもしよう。」
と言われた。

あれから10年近く、その頃は
なんとも思わなかった彼は
とっても落ち着いた大人になっていた。

エイジ2年半同棲している相手がいて、
その彼から理不尽なまでのDV被害に
あっている、ということを初めて人に伝えた。

彼はうん、うんと頷き、
「俺、お前のこと、実は
とっても好きだった。
だから、お前を守ってやる。」
そう言われた。
エイジはキュンと来た。

とは言え、守ってやる、と言われても
エイジはどうして良いか、わからなかった。

とりあえず、相手がいない間に、
すべて自分の荷物を俺の部屋に
移動すると同時に、
何故、別れなければいけないのか、
という手紙を書き置きするべし。
そして当分、俺の部屋にいろ、
というのがその彼の言い分だった。

二人の関係はどうであれ
とにかく、死に物狂いで
自分のことを守ってくれようとしている。

結果的に功を奏して、
エイジは元カレから離れることが出来た。

エイジの携帯には、留守電も
メールも山ほど元カレから連絡は入ったけれど、
取ることはなかった。

それから半年。
エイジは、本屋の彼の元で
カップルとして幸せになった。

「本当に地獄から天国に登った気持ちです。」
エイジはそう言った。


誰かに救われるゲイの映画を
想像してみたし、たぶんあるのだろうけれど、
本屋の出会いと言えば、この映画。
「ノッティング・ヒルの恋人」

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2018年12月23日

地獄から天国へ その1

3年ぶりくらいだろうか
28歳のエイジが土曜日の営業に
久しぶりに来てくれた。

どうしてた?と尋ねると、
本当に色々あって・・・と言う。

良いこと?悪いこと???
そう聞くと、とても悪いことがあったけれど、
それをすべてクリーンにしてくれるような
素敵なこともありました。
そうつぶやいた。


内容を聞いてみると・・・
エイジがうちに来なくなった3年ほど前、
とあるハッテン場で
一人の男性と会った。

エッチな内容はともかく、
二人は個室で、3時間ほど
話をした。

年齢的にはエイジと
それほど変わらない。
でも、話し方や、在りようがゲイっぽくなく、
若いのに、ひょっとして既婚者かと思うほど
ノンケっぽい人だった。

どんな生活をしているのか、と尋ねると
彼はなんと
ホストクラブで働いていると言った。
もちろん女性相手のノンケの社会である。

え?女性といやらしいことを
してしまうんだ、この人は、
そう思った瞬間、
「僕は女性とはエッチはしない、
デートはたくさんするけれど」
彼はそう言ったのだそうだ。

別れ際に、彼から連絡先を聞かれ、
LINEで繋がったら、
翌日、すぐに連絡があった。

エイジの爽やかさを気にいったらしく、
良かったらデートをしよう、そう言われた。

二人は何度となくデートを繰り返し、
それから良い感じで付き合うことにし、
ひと月も経たない間に、
彼の部屋へモノくを移す作業をし始めた。


その後、数ヶ月経った頃から
彼からの激しい暴力が始まったと言う。

最初は、エイジがジョークで、
「今日は仕事で、いい女の人、いたの?」と
聞いたことから、小突いたりされた。
そのうちに、ホストクラブの件だけではなく、
ちょっとした事でも、
本気で殴る、蹴るが始まった。

殴りながら、「俺がお前をどれだけ
愛してるか、わかんねえのか」と怒鳴る。
ある時は、泣きながら蹴り続ける。

友人に相談し、
間に入ってもらおうとすると、
「本当に俺が悪いんです。
でも、心から好きだから」と言って、
また、激しい暴力が続くという日々だったようだ。

その間、2年間、エイジは
別れるにも別れられず、
本当に辛い日々を過ごしてきた。

ただ、その後、驚くような出来事が舞い込んだそうだ。

長くなりそうなので、この続きはまた明日。

この話を聞いて思い出した映画は
DVを描いた秀作「スリング・ブレイド」
まだ有名ではなかったビリー・ボブ・ソーントンが
素晴らしい。
ちと重いけれど、オススメだ。

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2018年12月18日

愛情の確認

月曜日担当のマサヤが急遽
休みになった昨日の深夜、
古い友人カップル、
シンヤとオサムが来てくれた。

彼らは今年で18年という
長く続くカップル。

二人が今月末からアジア各国を
旅行するという話から、
一度くらいはセックスをしなきゃね、
と言っていた。

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え?セックスはまだ続いているの?
と聞くと
「え?だって誰とやるの?」
と応える。

前にもここに書いたけれど、
海外のカップルに比べると
ゲイに限ららないことのようだが、
長く続いていると、
セックスがなくなる人たちは多い。

そんな中で、18年、きちんと
セックスがある、というのは驚きだ。

「え?僕らの知り合いで35年付き合っている
人たちは、いまだにあるようだし。」

やりたい、と言うよりも、
やらなければ、という気持ちも確かにあると言う。
義務かと問われると、
いや、愛情の確認だと。

「僕らにとって、セックスって
プレイじゃない。
そういうのは、ビデオで
観ているだけで十分」だと言い切る。

その二人のしっかりとした応え方を聞いて、
単純に素敵だなあ、そう思った。

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2018年11月22日

恋の先は霧の中

去年の年末、うちの店に何十年ぶりかで
彼氏が出来た!と喜び勇んで来てくれたトシオ。

彼とは本当に古い付き合い。
僕が初めて2丁目に出てきた頃に
彼は10代(!?)で来ていたのだった。

昔、付き合った男がトラウマだったようだし、
50も過ぎて、人と付き合うことなんて、
もう無理、必要ない!
なんてずっと言っていた。

しかし、去年「これが彼氏」と連れてきたのは、
30歳も年が離れたマッチョな
イケメン君タカヒロ。
彼らの二人のラブラブぶりは、
このブログにも書いたし、
多くの中年ゲイのお客さんの
希望の光となった。

そして、この夏、
二人は共に暮らし始めることにした、
と報告に来てくれたのが9月。
部屋を見に行って、
あと数日で入居するのだ、と。

ただ、その数日後、彼のFacebookに
「青天の霹靂とはこのこと。
関係は終わってしまった」と書かれていた。

あまりに驚き、何度か大丈夫かと、
連絡をしたものの、
「ちょっと話せる状態じゃない」との答えで
とりあえず、そっとしておこうと思った。

そして、昨日、あれ以来、トシオが久々に
友人を伴って来てくれたのだった。

終わったことを知っている僕や、
店のお客さんが気を使いながら、
「大丈夫?」と聞いてみる。

大丈夫でもないけれど・・・と
彼の口から出たのは
結局、トシオが浮気をしているのではないか、
と勝手に憶測をしたタカヒロが
ジェラシーが元で
別れを切り出したそうだった。

トシオは強く否定したけれど、
トシオがまだ出会い系アプリを
使ったりしていることが、
タカヒロを不安にさせたようだった。

もちろん、二人で住むはずだった
アパートの契約は無くし、
届くはずの家具も全部、キャンセルをした。

しかし、話を聞くと、その数週後、
タカヒロから連絡があり、
「僕がこんなに苦しんでいるのに、
トシオは苦しくないの?」と。

それから何度か会っており、
タカヒロはもう一度やり直したいと思っているらしく、
トシオが、同じ繰り返しはどうか、と
考えあぐねているとのこと。

いずれにしても、この様子だと
また元に戻りそうだ。
ちょっと安心したけれど、
恋愛なんて、先はいつも霧の中だなあ、
そう思った次第。

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写真は先日、亡くなった江波杏子と野口五郎主演、
斎藤耕一監督の「再会」(なんのこっちゃ。)

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2018年10月07日

おだやかな幸せ

常連だったけれど、
ここ何ヶ月も顔を見なかった
オサム、45歳と、
うちの店の周年でダンスをしてくれたこともあった
サトル 33歳が
昨夜、揃って店に来てくれた。

つい何週間か前に、どうやら二人が
付き合いだしたらしい、
そんな話を耳にしたけれど、
本人たちからきちんと聞くまでは
そっとしておこう、そう思っていた。

彼らに限らず、常連だったり、
僕と近しい人だったりする人同士が
こうして結ばれる、という姿を見るのは
本当に嬉しく、いいなあと思う。

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オサムとは過去、深夜のうちの店で
恋愛について、人生について
ずいぶん色々と語り合ったことがある。

かたやサトルは二人きりで
話したことはなかったけれど、
ずっと前からいい子だなあと思い、
うちのスタッフに誘ったこともあった。
仕事や他の都合で
ダメだったというのは残念だけれど。

そんなこんなで、
二人は前から顔見知りではあったけれど、
今年の春先にきちんと知り合って、
この8月末から付き合う、
ということを決めたようだった。

昨夜は10時過ぎから
来てくれていたのにもかかわらず、
ほぼ朝までの長い時間、
当然のように、友人たちに祝福されながら、
二人はずっと笑顔でいた。

7年くらい一人だったオサムは
「今回は腹をくくれた。
そう思わせてくれたのがサトルだったんだ。」
そう言った。

昨日のブログでも書いたツカサと言い、
とても穏やかで、幸福なカップルが
こうして誕生していくのは
喜ばしく思う。
末長く、幸せでありますように。

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二人で暮らすということ

うちの店にいた旧スタッフのツカサが
11周年のお祝いに来てくれた。

彼は、店オープンした翌日くらいに
仕事帰りに寄ってくれたのが最初。
その頃、24歳くらいだったか。
配送業者の仕事をしていたツカサは
いつも疲れきっていて、1杯か2杯飲んでは
酔いつぶれて、カウンターで眠っていた。

その2年後くらいに、彼は店のスタッフとして
入ってくれ、それから6年ほどよく働いてくれた。

車好きなツカサは、
僕が8年近く乗っていた
オデッセイを買う時に、
ありとあらゆる車のディーラーに
付き合ってもらったりした。

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それから5年。
ツカサは新しい仕事に就き、
それからほどなく、彼氏が出来た、と
店に連れて来てくれた。

ツカサは人とつるむことはなく、
ほぼ一匹オオカミ、という印象が強く、
親父転がしとは言われつつも、
長く人と付き合う、
ということはないんだろうな、
なんて勝手に思い込んでいた。

それが新しい彼。
そして、ほどなく、色々理由があってか、
その彼はツカサと同じ会社に入ったと言う。

ツカサが入っていた会社の寮にも
彼は入り、それまでいつも職場の連中に
誘われていた飲み会にも
ほとんど行かなくなったのだそうだ。

それから2年くらい経ったのだろうか。
今度は二人で一緒に部屋を借りたとのこと。

一匹狼が似合っていたツカサは
「つがい」と言われるようになるんだなあ。

ツカサのあまりの変化、
そして幸せそうな笑顔が
ホッコリとさせてくれた。

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2018年09月12日

ロマンチックが止まらない

たまに来てくれるタカアキは
好きな相手が出来ると、
デートが終わったあとも
すぐにメール(今だとLINE)を
送ってしまうのだそうだ。

「今日は楽しかった。ありがとう。」

それに対して返信が来ると、
またすぐに返してしまう。
辛抱が効かない。
置いておけない。
ちょっと我慢しても、
翌日にはやっぱりLINEを出したくなる。

出さないと、いつ相手から
連絡が来るか、不安になる。
かと言って、出し過ぎると
それで嫌われるのではないか、と
頭を抱えてしまう。

「ロマンチックさが止まらないんですよ」
と笑うけれど、
比較的、こういう話はタカアキに限らず
よく聞く。

タカアキがそういう話をしていたその
同じカウンターで少しだけ離れた場所で
カズヤとその友人はまさに
「デートしたばかりなのに、
すぐにメールが来ると、ちょっと引いてしまう」
という話をしていた。

こういう話になると、タカアキや女性的で、
カズヤたちは男性的、という話にもなるけれど、
どうなんだろうか。

僕の場合は、さほど悩んだり
することはなかったけれど、
デートのあとに、今日はありがとう、と
連絡するのは普通だったし、
仮にそれに返信がなくても
特に頭を抱えることもなかった気がする。

タイミング、というのは
本当に人それぞれなのだ。

いつの頃からか、僕が決めたのは
相手がどのような人間か、わからないまでは
自分がやりたいようにする。
連絡したければするし、
今は特に、と思えばしない。
それでダメならば、結局相性が
悪かったのだ、と諦める。

相手のことをおもんばかる、というのは
大切な事だろうし、自分のことばかり、
というのは確かにいかがなモノか
とも思うけれど、
それでも自分を殺し、
相手の空気ばかりに合わせていくのも
ストレスになってしまう。

いずれにしても、それぞれが
自分らしさを出していきながら、
お互いにそれをいかに
受け入れていけるか、
っていうことが恋愛の醍醐味であり、
命題かなと僕は思うのだけれど。

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2018年09月01日

新たなる出発

僕が20代の時に映画館で知り合った人に
初めて連れて行ってもらった店。
今でもあるけれど、
マスターが代替わりしてもう35年以上
経っている店だ。

その店で35年ほど前に知り合ったエイゴは
当時二十歳になるか、ならないかだった。

彼と20年ぶりに再会したのが、
15年ほど前に共通の友人が催した
バーベキューだった。

さてさて、そんなこんなで
その後、エイゴは
うちの店にもよく来てくれていて、
ここ10年の間、ほぼいつも
「たぶん、一生、恋愛はないと思う。」
そうつぶやいていた。

何しろ、今まで付き合った最長記録が半年、
それももう20年以上前というから、
僕もそんな事を聞きながら、
本人がそんな気持ちだったら、
もうないのかも知れないなあ、
そんな風に思っていた。


しかし。
去年の年末、なんとあるお店で
28歳年下のイケメン君に声をかけられ、
付き合うことになったと報告。

それから9ヶ月。
二人は月に1、2度、店に来てくれるようになった。

ひと月前のエイゴのバースデイは、
彼氏となったゴウ君から
3つもの素晴らしい
誕生日プレゼントを用意してくれたそうだ。

ひとつは、二人でディズニー・シーへ行くチケット。
そしてもうひとつはお揃いのピアス。
最後のひとつは、あまりに素晴らしい
ラブレターだったそうな。

エイゴは何十年ぶりに泣きに泣いた、
そんなことを言っていた。

そんな矢先、二人は同居することを決意。
昨日店に来てくれて、
今日、新居を見て決めるのだと言っていた。

人生、何が起こるか、わからない。
つい数年前までに想像していなかった世界が
今日から始まる。
エイゴは本当に幸せそうだった。
永くこの幸福が続きますように。
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2018年08月31日

無味乾燥なデート

トレーニング好きのニシカワ君 37歳は
自分が相手を選ぶ時も
マッチョじゃないといけない。

とにかく顔よりも身体。
顔がど真ん中で、身体がそこそこよりも、
顔がまったく自分のタイプでなくとも、
マッチョであれば、問題ないと言う
いわゆる「カラダ専」だ。

さて、そんなニシカワ君が
最近、出会い系アプリで
会ったのが、驚くほどのマッチョな同世代。

最初にお茶をした時に、
何だか反応が悪いなあと
思いながらも、うちに来るかと誘うと
応じてくれたので、そのまま夜にベッドイン。

意外にも身体の相性もよく、
(少なくとも、ニシカワ君にとって)
ああ、良かったと胸を撫で下ろした。


それから、何度かデートを繰り返し、
毎度そういう関係にもなったのだが、
一緒に食事をしても、映画を観ても、
とにかく反応が悪い。
と言うか、反応がない。

何かを尋ねても、返ってくる言葉は
ひと言、ふた言。
まったく会話にならない。
加えて、一緒にいて、
まず笑顔を見たことがない。

これだけのマッチョだから、
ジムやトレーニングの話題も
せっせとするのだけれど、
うんとか、いいや、とかで終わってしまう。

自分と一緒にいても、楽しくないんだろうか。
自分のことは好きじゃないんだろうか。
頭の中で色々なことがグルグルと回る。

よくよく考えてみると、連絡をするのも、
常に自分のほうから。
本当に自分をどう思っているんだろうか。
そんな思いで、一度、あちらから
連絡があるまで待ってみよう、
そう考え、連絡をするのを控えてみた。

案の定、まったく連絡が来ない。

肉体関係だけで満足しているかと言うと、
そうではない自分がいる事にも改めて気がつき、
ニシカワ君は久しぶりの出会いに
ピリオドを打ったそうだ。

早く気が付いて良かった、僕もそう思った。
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2018年08月13日

新しい付き合い方の形

夏休み、そしてお盆ということで
多くの地方からの方や、海外からの方が
いらっしゃっているけれど、
昨日は8年前に地方の山の中に
恋人同士で移住したケイジが来てくれた。

僕はケイジの彼は会ったことはないけれど、
ケイジは年に数回、実家に帰る途中で
ふらりと店に寄ってくれる。

二人で共に仕事をしよう、と移住して
その話を聞くたびに、それは素敵だなあ
そう思っていた。

僕個人としては、パートナーと
同じ仕事をする、ということは基本的には
考えられない。
それを実行している二人は凄いなあ、と。

しかしながら、ここ数年、
うちの店に来るたびに
ケイジはついついイライラしてしまって、
関係がうまく行っていない、
そんな事を呟いていた。

仕事で問題があるということではなく、
広いけれど、仕切りがない部屋
(つまり、個々の部屋がない)ということが
とてもストレスなのだと言う。

ケイジは「その多くはわがままな自分のせい」
なのだ、と言っていた。

そして去年の暮れに話し合い、
とりあえず、もう
別れようかという話になった。

一応、仕事のことはあるので、
歩いて15分ほどのところに相手は住まいを借りた。

別居した途端に、色々なイライラから解放され、
驚くほど仕事もうまく行き、
精神的にも落ち着いた。

これであれば、改めてきちんと付き合っていける。
双方がそう思ったのだそうだ。

それは良かった。
人と向き合い、付き合っていく、という中で
それぞれの形がある。
男女の場合は、同居、結婚が当たり前、と
まだまだそう思っている人も多いけれど、
自分たちがこれは、と思う形で
築き上げていけること、それこそ大切だ、
そう思う。

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2018年08月02日

怖い女性社員の話 続き

「んで、なんで、私がオオツキさんとデートしたい
って言ったか、わかります?」

女性社員は、オオツキ君に改めて聞いた。

「え?だから、俺のこと、
ゲイだって多くの人が知っている、
と伝えるため、でしょ?」
と言うと、彼女は否定した。

「実は私の高校の同級生がやっぱりゲイで
彼はそんなに活動していないらしいんです。
もちろん、そういうアプリとかもやっていなくて
2丁目とかに行きたいとか言っていたんですよ。
もし良ければ、誘ってもらえないかな、
と思って。」

多くの社員に広まっているということで
結構ショックだったから、
そんな話にとても乗れる気持ちに
なれないとも思ったけれど、
こうなったら、もうどうとでもなれ、と思い
彼女に「いいよ。まずは3人で。」と返事をした。

そして、その流れで先週、3人で食事を
したのだそうだ。

驚くことに、その彼が
凄いさわやかイケメンで
オオツキ君が想像していた感じとは
まったく違っていた。

食事が終わって、彼女にすぐLINEをし、
とっても気にいった、と伝えると
彼女の同級生もオオツキ君のことを
すごくタイプなのだ、ということ。

と言う訳で、初めてのカミングアウト
(それも半強制的に)の顛末は
こういう出会いに繋がったようだ。

まだ会ったばかりでよくわからないけれど、
最初のデートの帰りに
うちの店に連れてきてくれるとのこと。
楽しみだ。

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2018年07月17日

同性婚カップルの話

先週、HAPPY HOURの看板を見て、
ぶらりと入ってくれた25歳の坊主ガッチリの
ヤスアキ君。

パッと見、ゲイだなあと思うタイプだけれど、
ほとんど2丁目は来たことがない、と言う。
何故来たことがないの?と
聞いてみると理由はふたつ。
ひとつはお酒が飲めないということ。
もうひとつは、恋人がいる、
と言うこと。

ヤスアキ君は、二十歳くらいに
ゲイの世界を覚えた。
それから2年の間に、
スマホの出会い系サイトで何となく
関わった人もいたが、
今、友人としている人はいない。

そんな中で3年前に知り合ったのが、
ひとつ年上のアメリカ人だった。
その彼は仕事で日本に来たばかりで、
日本語はまったく話せない。
ヤスアキ君も英語はほとんど話せなかった。

ただ、カタコトの英語で、
何とか乗り越えながら、
何度か会っているうちに
きちんと付き合おうことになったと言う。

それから2年経った去年、
彼の職場の辞令で、アメリカ本国へ
帰国しなければならなくなった。

色々話し合って、
それでも一緒にいるためには
アメリカで同性婚するしかないのでは、
思ってもみない展開になってしまった。
家族には全員カミングアウトしている彼氏と
家族どころか、友人にも
カミングアウトしたことがないヤスアキ君。

結局、彼の家族が住むシアトルで
ささやかな結婚式をあげたが、
逆に結婚したら、
彼氏の会社の辞令は1年伸び、
あと1年は日本にいる、ということになった。

ヤスアキ君の実家は、非常に堅い家族で
ゲイだなんて、とっても
話せる雰囲気ではないと言う。
増して、結婚したなどと言うと
父は怒り狂い、
たぶん母親は卒倒してしまうのではないか。

それでも、まだ25歳。
仲が良い外国人の友人がいる、と
連れ帰っても、
それほど変に思われないんじゃないか。
僕はそう思う。

そして、ゲイとか言うことではなく、
大事な人である、ということを
アピールしながら、
いつか理解してもらえる日も来るのでは、
そんなアバウトな考え方で
いいんじゃないか。


思えば、うちの店に、
海外で同性婚をしたカップルが
一体今まで何組来てくれたんだろう。

少なくとも、僕が聞いた限りにおいては、
30組に近いと思うので、耳にしていない
お客さんを入れると、
50組くらいいるのかも知れない。

もちろん、その中で外国人カップルが
圧倒的に多いのだけれど、
日本人と外国人、というカップルも多く、
僕の友人も何組かいるし、
常連のお客さんの中にも何組かいる。

そんな日本人の中で、ひょっとすると
両親にカミングアウトしている人のほうが
少ないのかも知れない。

上にも書いたように、
何が何でもカミングアウトする、
というのではなく、
とにかく大切な人間がいる、
ということをきちんと伝える、
ことこそ、大切なような気がする。

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2018年05月16日

既婚者ゲイの恋

前にイベントで会ったことがある
コウジさん 50歳が、
土曜日に来てくれた。
ずっと格闘技をしているということで
ガッシリとした体格と、
しっかりとした顔立ちは、
いかにも多くの男を泣かせてきたんじゃないか、
そう思わせる。

聞いてみると、なんと既婚者。
中学生と小学生の
子供が二人いるとのこと。
息子さんが障害を持っていて、
それから自身、
多くを学んだのだと言う。

もともとバイセクシャルだったということもあり、
奥さんとだけセックスすればいい、
そうは思っていたけれど、
奥さん自身がそう思わない。
それで、たまに男性と
そういう関係になることもあるのだそうだ。

最初のきっかけは、出張先の居酒屋で
知り合った若い青年と
一緒にホテルで飲んで、
何故かそうなってしまったことから、らしい。

結婚して、
唯一決めていたことは、
万が一、男性とそういう関係になっても
あくまでも割り切った
肉体関係だと思うこと。

しかし、一度だけ、男性を
好きになりそうに
なってしまったことがあると言う。
その相手は、娘と同じ障害を持っていた、
というのが不思議だった。
コウジさんは物凄く揺れた。
その彼と会うたびに、
息子の事を思い、
恋愛感情を持った自分を責めた。

しかし、結局、既婚者ということに
相手の気持ちがコウジさんから離れていった。
現在はその彼にもパートナーが出来、
良い友人となれたと言っていた。

今は、格闘技と、障害者に対しての学習、
その他にも趣味が高じてやっていることも
山ほどあるらしい。

生真面目でまっすぐなコウジさんの
心模様を聞いて、ちょっとキュンとなった。

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2018年03月30日

瞳の奥の光

昨日、初めて、と言って来てくれたのが
52歳と32歳という、ガッチリ短髪ヒゲ野郎 
ジョウジさんとさわやか青年 モリト君。

どう見てもカップルかと思いきや、
違ったらしいが、一昨年、スマホの出会い系で
出会ってから親しくなったらしい。
ジョウジさんは以前結婚していたこともあって
地方都市で長く暮らしており、
2年前に人生を変えようと上京。

かたや、モリト君は30歳になるまで
まったくこういう世界とは無縁の場所にいて、
やっと知り合ったのが、
ジョウジさんだったのだそうだ。

ジョウジさんも、若い頃、どうしていいかわからず、
右往左往していた時期があったことがあったので、
出来るだけモリト君に色々経験させてあげたいと、
色々なところに連れていっていると言う。

そんな中、1年前に二人で行ったハッテン場で
モリト君はいい人に巡り会い、
ちょうど1年くらい付き合っているのだそうだ。

ジョウジさんは、いくらでもモテそうなのだが、
なかなか自分の目に見合う人とは出会えないと言う。

どんな人が好きなのか、と聞くと、
顔や身体ではなく、
最初に会った時に、目の奥にある光のようなモノで
この人だ、そう思うのだそうだ。

今まで付き合った人たちは、すべて
それぞれの目の中の光に惹かれたそうで、
自分の選択肢にはかなり自信があると
言い切る。
これには、僕も多くのお客さんもびっくり。

別にプライドが高いワケでも、
好きな範囲が狭い、
ということではないけれど、
とにかく、そういう光を持つ人には
なかなか会えない。

たまに会ったとしても、相手がいたり、
物理的な問題もあって、
無理だったりなのだそうだ。

それにしても、「瞳の奥の光」という言葉に
なんだかずっしり来た一夜だった。

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2018年02月27日

初めての旅、初めての喧嘩

30代のヨウスケとタクオは、
付き合ってまだひと月。
ひと月の記念に、この冬、温泉旅行に、と
東北地方に向かったそうだ。

一歳年上のヨウスケが旅の手配をした。
初めての旅行だから、と
奮発してグリーン車、
そしてかなり良いホテルを
ダブルで予約をした。

前の日は二人で飲みたい、とタクオが
言うので、早くから動きたいヨウスケは
午後の比較的ゆっくりした新幹線だった。

電車の中でタクオが
「男二人でダブルとか大丈夫かなあ」と言うから
「大丈夫だよ。一流ホテルだもん。」
ヨウスケがそう言うと、タクオは
「チェックインする時に、
別々に入ればいいか。」
そんな事言い出す。
「別に悪い事している訳じゃないし、
堂々としていればいいじゃないか」と
タクオが言う。

それなりにオープンでいたいと思うタクオと
結構人目を気にするヨウスケの間で
旅の始まりからちょっとした不均衡が生まれる。

そうこうしているうちに、
どんどん雪が激しくなってきた。
そしてノロノロした運転が続き、
ついには途中駅で止まってしまう。

猛吹雪で線路のポイントが動かなくなったと
アナウンスがあった。
予定では6時には駅に着き、
そこからバスに乗り継ぐのだけれど、
それにはどうしても間に合いそうもない。

途中、ホテルに「遅れる」と電話をするが
どれだけ遅れるか、わからない。

結局、新幹線は1時間近く遅れ、バスには乗れず、
やっと乗ったタクシーも雪で
回り道をすることになったと言う。

結局、7時過ぎに着くはずのホテルには
11時過ぎに。

ひと気もないホテルのフロントで
結局、二人でチェックインすることになり、
タクオは何となく
一人のコンシェルジェが
にやりとした、と思ったようだ。

予約したレストランはクローズ。
雪のせいで、調理人も早く帰り、
ルームサービスもないと言う。

もちろん、近くにコンビニも
あるワケではなく、
ホテルにあった自動販売機で
酒のつまみのようなモノで
夜を過ごすことになる。

タクオさえ、前日に飲みに行こうと
言わなければ、早く出られたのに。
そう思う気持ちと、どうであれ、
無理に叩き起こしてでも、早い新幹線に
乗れば良かったなどと
ヨウスケに言ってしまう。

タクオはタクオで
わざわざダブルベッドを取り、
恥ずかしい思いをさせられたと怒る。

せっかく一緒に過ごしたい一夜が
散々なモノになりそうだった。


そんな中、0時過ぎに
ホテルのコンシェルジュの人から連絡があった。

「この大雪の中、お二人で素敵な時間を
過ごそうと思われたのに、
本当に何も出来なくて申し訳ございません。
フロントの人間で、今、作ったのですが」と
大皿にサンドイッチと、
赤のワインボトル1本を持って来てくれた。

きっと二人はカップルだとわかり、
気を利かせてくれたようだった。

頭を下げたボーイの人にお礼を言い、
彼が部屋を出たあと、タクオは
ヨウスケに抱きつき「ごめんね。
ビクビクした俺が悪かった。」
そう謝った。

ヨウスケも「俺こそ、イライラしてごめん。」
二人はしんしんと降り積もる外の雪を見ながら
ワインをゆっくりとたしなめ、
素敵な夜を迎えたそうだ。

やっとひと月、されどひと月。
きっと、良い始まりになったのだと思う。

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2018年02月10日

愛しの禿げ頭

たまに来てくれるゴウタが
ゲイと噂がある、とある有名人作家の写真を見て
「こういうタイプというのは、ど真ん中」と言っていた。

確かに、誰が見ても良い男だ。
「面食いの人なら、ほとんど
良しとする顔だよな」と僕が言うと
「いや。僕が彼を良いと思うのは、
顔ではなく、この頭なんだよなあ。」そう言う。

まだそれほど年齢がいっていないけれど、
額はうっすらと禿げ上がっており、
全体的に短く刈られている。

こういうタイプの人は、
ほぼ自分の頭の薄さを
恥ずかしいと思い、そこに触れられると
嫌がるけれど、そこが魅力だ。

ゴウタはそう言う。

しかし、一言加えると
「禿げていても、バカは嫌」なのだそうだ。
読書好き、勉強好きのゴウタは、
かなりのインテリ好み。


そんなゴウタが、もう10年ほど前に
ネットで出会った男がまさにそうだった。

彼と会い、二度目に部屋に連れて行かれ、
そういう関係になった時は、
まだ「頭の禿げかたがいいなあ」と
思う程度だった。

相手は自分について、何も言わない。
もちろん、仕事に関してもわからない。
自分も触れないようにはしていたが
そういう意味ではとても謎がある男だったと言う。


しかし、ある時、東
京から電車で1時間ほど離れた
ある都市に、仕事で行った時に、
駅前で彼の姿を見たと言う。

なんと、彼は自費出版の詩集を
売っていたのだそうだ。

もちろん、リッチだとは言えない部屋に住み、
素朴と言えば素朴だったけれど、
それを超えるこんな部分があったとは。

自分のことを語らず、
ただ、ただセックスが楽しい程度の相手だった彼が
急に輝いた瞬間だった。

もちろん、ゴウタはそのことには一切触れず、
彼との逢瀬を楽しんだ。
不思議なモノで、ゴウタの頭の中には
地方の小さな街で刺繍を売っているこの男が
俺と一緒にベッドで抱き合っている、
そう考えただけで、
それまで寝たどんな男よりも
エロく、自分を狂わせてくれた。

きっと、自分の態度が突然変わったことに
彼も驚いたのかも知れない。

残念ながら、その関係は
それほど長くは続かなかったらしいが、
ゴウタにとって、忘れられない思い出だそうだ。

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