2018年09月12日

ロマンチックが止まらない

たまに来てくれるタカアキは
好きな相手が出来ると、
デートが終わったあとも
すぐにメール(今だとLINE)を
送ってしまうのだそうだ。

「今日は楽しかった。ありがとう。」

それに対して返信が来ると、
またすぐに返してしまう。
辛抱が効かない。
置いておけない。
ちょっと我慢しても、
翌日にはやっぱりLINEを出したくなる。

出さないと、いつ相手から
連絡が来るか、不安になる。
かと言って、出し過ぎると
それで嫌われるのではないか、と
頭を抱えてしまう。

「ロマンチックさが止まらないんですよ」
と笑うけれど、
比較的、こういう話はタカアキに限らず
よく聞く。

タカアキがそういう話をしていたその
同じカウンターで少しだけ離れた場所で
カズヤとその友人はまさに
「デートしたばかりなのに、
すぐにメールが来ると、ちょっと引いてしまう」
という話をしていた。

こういう話になると、タカアキや女性的で、
カズヤたちは男性的、という話にもなるけれど、
どうなんだろうか。

僕の場合は、さほど悩んだり
することはなかったけれど、
デートのあとに、今日はありがとう、と
連絡するのは普通だったし、
仮にそれに返信がなくても
特に頭を抱えることもなかった気がする。

タイミング、というのは
本当に人それぞれなのだ。

いつの頃からか、僕が決めたのは
相手がどのような人間か、わからないまでは
自分がやりたいようにする。
連絡したければするし、
今は特に、と思えばしない。
それでダメならば、結局相性が
悪かったのだ、と諦める。

相手のことをおもんばかる、というのは
大切な事だろうし、自分のことばかり、
というのは確かにいかがなモノか
とも思うけれど、
それでも自分を殺し、
相手の空気ばかりに合わせていくのも
ストレスになってしまう。

いずれにしても、それぞれが
自分らしさを出していきながら、
お互いにそれをいかに
受け入れていけるか、
っていうことが恋愛の醍醐味であり、
命題かなと僕は思うのだけれど。

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2018年09月01日

新たなる出発

僕が20代の時に映画館で知り合った人に
初めて連れて行ってもらった店。
今でもあるけれど、
マスターが代替わりしてもう35年以上
経っている店だ。

その店で35年ほど前に知り合ったエイゴは
当時二十歳になるか、ならないかだった。

彼と20年ぶりに再会したのが、
15年ほど前に共通の友人が催した
バーベキューだった。

さてさて、そんなこんなで
その後、エイゴは
うちの店にもよく来てくれていて、
ここ10年の間、ほぼいつも
「たぶん、一生、恋愛はないと思う。」
そうつぶやいていた。

何しろ、今まで付き合った最長記録が半年、
それももう20年以上前というから、
僕もそんな事を聞きながら、
本人がそんな気持ちだったら、
もうないのかも知れないなあ、
そんな風に思っていた。


しかし。
去年の年末、なんとあるお店で
28歳年下のイケメン君に声をかけられ、
付き合うことになったと報告。

それから9ヶ月。
二人は月に1、2度、店に来てくれるようになった。

ひと月前のエイゴのバースデイは、
彼氏となったゴウ君から
3つもの素晴らしい
誕生日プレゼントを用意してくれたそうだ。

ひとつは、二人でディズニー・シーへ行くチケット。
そしてもうひとつはお揃いのピアス。
最後のひとつは、あまりに素晴らしい
ラブレターだったそうな。

エイゴは何十年ぶりに泣きに泣いた、
そんなことを言っていた。

そんな矢先、二人は同居することを決意。
昨日店に来てくれて、
今日、新居を見て決めるのだと言っていた。

人生、何が起こるか、わからない。
つい数年前までに想像していなかった世界が
今日から始まる。
エイゴは本当に幸せそうだった。
永くこの幸福が続きますように。
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2018年08月31日

無味乾燥なデート

トレーニング好きのニシカワ君 37歳は
自分が相手を選ぶ時も
マッチョじゃないといけない。

とにかく顔よりも身体。
顔がど真ん中で、身体がそこそこよりも、
顔がまったく自分のタイプでなくとも、
マッチョであれば、問題ないと言う
いわゆる「カラダ専」だ。

さて、そんなニシカワ君が
最近、出会い系アプリで
会ったのが、驚くほどのマッチョな同世代。

最初にお茶をした時に、
何だか反応が悪いなあと
思いながらも、うちに来るかと誘うと
応じてくれたので、そのまま夜にベッドイン。

意外にも身体の相性もよく、
(少なくとも、ニシカワ君にとって)
ああ、良かったと胸を撫で下ろした。


それから、何度かデートを繰り返し、
毎度そういう関係にもなったのだが、
一緒に食事をしても、映画を観ても、
とにかく反応が悪い。
と言うか、反応がない。

何かを尋ねても、返ってくる言葉は
ひと言、ふた言。
まったく会話にならない。
加えて、一緒にいて、
まず笑顔を見たことがない。

これだけのマッチョだから、
ジムやトレーニングの話題も
せっせとするのだけれど、
うんとか、いいや、とかで終わってしまう。

自分と一緒にいても、楽しくないんだろうか。
自分のことは好きじゃないんだろうか。
頭の中で色々なことがグルグルと回る。

よくよく考えてみると、連絡をするのも、
常に自分のほうから。
本当に自分をどう思っているんだろうか。
そんな思いで、一度、あちらから
連絡があるまで待ってみよう、
そう考え、連絡をするのを控えてみた。

案の定、まったく連絡が来ない。

肉体関係だけで満足しているかと言うと、
そうではない自分がいる事にも改めて気がつき、
ニシカワ君は久しぶりの出会いに
ピリオドを打ったそうだ。

早く気が付いて良かった、僕もそう思った。
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2018年08月13日

新しい付き合い方の形

夏休み、そしてお盆ということで
多くの地方からの方や、海外からの方が
いらっしゃっているけれど、
昨日は8年前に地方の山の中に
恋人同士で移住したケイジが来てくれた。

僕はケイジの彼は会ったことはないけれど、
ケイジは年に数回、実家に帰る途中で
ふらりと店に寄ってくれる。

二人で共に仕事をしよう、と移住して
その話を聞くたびに、それは素敵だなあ
そう思っていた。

僕個人としては、パートナーと
同じ仕事をする、ということは基本的には
考えられない。
それを実行している二人は凄いなあ、と。

しかしながら、ここ数年、
うちの店に来るたびに
ケイジはついついイライラしてしまって、
関係がうまく行っていない、
そんな事を呟いていた。

仕事で問題があるということではなく、
広いけれど、仕切りがない部屋
(つまり、個々の部屋がない)ということが
とてもストレスなのだと言う。

ケイジは「その多くはわがままな自分のせい」
なのだ、と言っていた。

そして去年の暮れに話し合い、
とりあえず、もう
別れようかという話になった。

一応、仕事のことはあるので、
歩いて15分ほどのところに相手は住まいを借りた。

別居した途端に、色々なイライラから解放され、
驚くほど仕事もうまく行き、
精神的にも落ち着いた。

これであれば、改めてきちんと付き合っていける。
双方がそう思ったのだそうだ。

それは良かった。
人と向き合い、付き合っていく、という中で
それぞれの形がある。
男女の場合は、同居、結婚が当たり前、と
まだまだそう思っている人も多いけれど、
自分たちがこれは、と思う形で
築き上げていけること、それこそ大切だ、
そう思う。

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2018年08月02日

怖い女性社員の話 続き

「んで、なんで、私がオオツキさんとデートしたい
って言ったか、わかります?」

女性社員は、オオツキ君に改めて聞いた。

「え?だから、俺のこと、
ゲイだって多くの人が知っている、
と伝えるため、でしょ?」
と言うと、彼女は否定した。

「実は私の高校の同級生がやっぱりゲイで
彼はそんなに活動していないらしいんです。
もちろん、そういうアプリとかもやっていなくて
2丁目とかに行きたいとか言っていたんですよ。
もし良ければ、誘ってもらえないかな、
と思って。」

多くの社員に広まっているということで
結構ショックだったから、
そんな話にとても乗れる気持ちに
なれないとも思ったけれど、
こうなったら、もうどうとでもなれ、と思い
彼女に「いいよ。まずは3人で。」と返事をした。

そして、その流れで先週、3人で食事を
したのだそうだ。

驚くことに、その彼が
凄いさわやかイケメンで
オオツキ君が想像していた感じとは
まったく違っていた。

食事が終わって、彼女にすぐLINEをし、
とっても気にいった、と伝えると
彼女の同級生もオオツキ君のことを
すごくタイプなのだ、ということ。

と言う訳で、初めてのカミングアウト
(それも半強制的に)の顛末は
こういう出会いに繋がったようだ。

まだ会ったばかりでよくわからないけれど、
最初のデートの帰りに
うちの店に連れてきてくれるとのこと。
楽しみだ。

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2018年07月17日

同性婚カップルの話

先週、HAPPY HOURの看板を見て、
ぶらりと入ってくれた25歳の坊主ガッチリの
ヤスアキ君。

パッと見、ゲイだなあと思うタイプだけれど、
ほとんど2丁目は来たことがない、と言う。
何故来たことがないの?と
聞いてみると理由はふたつ。
ひとつはお酒が飲めないということ。
もうひとつは、恋人がいる、
と言うこと。

ヤスアキ君は、二十歳くらいに
ゲイの世界を覚えた。
それから2年の間に、
スマホの出会い系サイトで何となく
関わった人もいたが、
今、友人としている人はいない。

そんな中で3年前に知り合ったのが、
ひとつ年上のアメリカ人だった。
その彼は仕事で日本に来たばかりで、
日本語はまったく話せない。
ヤスアキ君も英語はほとんど話せなかった。

ただ、カタコトの英語で、
何とか乗り越えながら、
何度か会っているうちに
きちんと付き合おうことになったと言う。

それから2年経った去年、
彼の職場の辞令で、アメリカ本国へ
帰国しなければならなくなった。

色々話し合って、
それでも一緒にいるためには
アメリカで同性婚するしかないのでは、
思ってもみない展開になってしまった。
家族には全員カミングアウトしている彼氏と
家族どころか、友人にも
カミングアウトしたことがないヤスアキ君。

結局、彼の家族が住むシアトルで
ささやかな結婚式をあげたが、
逆に結婚したら、
彼氏の会社の辞令は1年伸び、
あと1年は日本にいる、ということになった。

ヤスアキ君の実家は、非常に堅い家族で
ゲイだなんて、とっても
話せる雰囲気ではないと言う。
増して、結婚したなどと言うと
父は怒り狂い、
たぶん母親は卒倒してしまうのではないか。

それでも、まだ25歳。
仲が良い外国人の友人がいる、と
連れ帰っても、
それほど変に思われないんじゃないか。
僕はそう思う。

そして、ゲイとか言うことではなく、
大事な人である、ということを
アピールしながら、
いつか理解してもらえる日も来るのでは、
そんなアバウトな考え方で
いいんじゃないか。


思えば、うちの店に、
海外で同性婚をしたカップルが
一体今まで何組来てくれたんだろう。

少なくとも、僕が聞いた限りにおいては、
30組に近いと思うので、耳にしていない
お客さんを入れると、
50組くらいいるのかも知れない。

もちろん、その中で外国人カップルが
圧倒的に多いのだけれど、
日本人と外国人、というカップルも多く、
僕の友人も何組かいるし、
常連のお客さんの中にも何組かいる。

そんな日本人の中で、ひょっとすると
両親にカミングアウトしている人のほうが
少ないのかも知れない。

上にも書いたように、
何が何でもカミングアウトする、
というのではなく、
とにかく大切な人間がいる、
ということをきちんと伝える、
ことこそ、大切なような気がする。

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2018年05月16日

既婚者ゲイの恋

前にイベントで会ったことがある
コウジさん 50歳が、
土曜日に来てくれた。
ずっと格闘技をしているということで
ガッシリとした体格と、
しっかりとした顔立ちは、
いかにも多くの男を泣かせてきたんじゃないか、
そう思わせる。

聞いてみると、なんと既婚者。
中学生と小学生の
子供が二人いるとのこと。
息子さんが障害を持っていて、
それから自身、
多くを学んだのだと言う。

もともとバイセクシャルだったということもあり、
奥さんとだけセックスすればいい、
そうは思っていたけれど、
奥さん自身がそう思わない。
それで、たまに男性と
そういう関係になることもあるのだそうだ。

最初のきっかけは、出張先の居酒屋で
知り合った若い青年と
一緒にホテルで飲んで、
何故かそうなってしまったことから、らしい。

結婚して、
唯一決めていたことは、
万が一、男性とそういう関係になっても
あくまでも割り切った
肉体関係だと思うこと。

しかし、一度だけ、男性を
好きになりそうに
なってしまったことがあると言う。
その相手は、娘と同じ障害を持っていた、
というのが不思議だった。
コウジさんは物凄く揺れた。
その彼と会うたびに、
息子の事を思い、
恋愛感情を持った自分を責めた。

しかし、結局、既婚者ということに
相手の気持ちがコウジさんから離れていった。
現在はその彼にもパートナーが出来、
良い友人となれたと言っていた。

今は、格闘技と、障害者に対しての学習、
その他にも趣味が高じてやっていることも
山ほどあるらしい。

生真面目でまっすぐなコウジさんの
心模様を聞いて、ちょっとキュンとなった。

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2018年03月30日

瞳の奥の光

昨日、初めて、と言って来てくれたのが
52歳と32歳という、ガッチリ短髪ヒゲ野郎 
ジョウジさんとさわやか青年 モリト君。

どう見てもカップルかと思いきや、
違ったらしいが、一昨年、スマホの出会い系で
出会ってから親しくなったらしい。
ジョウジさんは以前結婚していたこともあって
地方都市で長く暮らしており、
2年前に人生を変えようと上京。

かたや、モリト君は30歳になるまで
まったくこういう世界とは無縁の場所にいて、
やっと知り合ったのが、
ジョウジさんだったのだそうだ。

ジョウジさんも、若い頃、どうしていいかわからず、
右往左往していた時期があったことがあったので、
出来るだけモリト君に色々経験させてあげたいと、
色々なところに連れていっていると言う。

そんな中、1年前に二人で行ったハッテン場で
モリト君はいい人に巡り会い、
ちょうど1年くらい付き合っているのだそうだ。

ジョウジさんは、いくらでもモテそうなのだが、
なかなか自分の目に見合う人とは出会えないと言う。

どんな人が好きなのか、と聞くと、
顔や身体ではなく、
最初に会った時に、目の奥にある光のようなモノで
この人だ、そう思うのだそうだ。

今まで付き合った人たちは、すべて
それぞれの目の中の光に惹かれたそうで、
自分の選択肢にはかなり自信があると
言い切る。
これには、僕も多くのお客さんもびっくり。

別にプライドが高いワケでも、
好きな範囲が狭い、
ということではないけれど、
とにかく、そういう光を持つ人には
なかなか会えない。

たまに会ったとしても、相手がいたり、
物理的な問題もあって、
無理だったりなのだそうだ。

それにしても、「瞳の奥の光」という言葉に
なんだかずっしり来た一夜だった。

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2018年02月27日

初めての旅、初めての喧嘩

30代のヨウスケとタクオは、
付き合ってまだひと月。
ひと月の記念に、この冬、温泉旅行に、と
東北地方に向かったそうだ。

一歳年上のヨウスケが旅の手配をした。
初めての旅行だから、と
奮発してグリーン車、
そしてかなり良いホテルを
ダブルで予約をした。

前の日は二人で飲みたい、とタクオが
言うので、早くから動きたいヨウスケは
午後の比較的ゆっくりした新幹線だった。

電車の中でタクオが
「男二人でダブルとか大丈夫かなあ」と言うから
「大丈夫だよ。一流ホテルだもん。」
ヨウスケがそう言うと、タクオは
「チェックインする時に、
別々に入ればいいか。」
そんな事言い出す。
「別に悪い事している訳じゃないし、
堂々としていればいいじゃないか」と
タクオが言う。

それなりにオープンでいたいと思うタクオと
結構人目を気にするヨウスケの間で
旅の始まりからちょっとした不均衡が生まれる。

そうこうしているうちに、
どんどん雪が激しくなってきた。
そしてノロノロした運転が続き、
ついには途中駅で止まってしまう。

猛吹雪で線路のポイントが動かなくなったと
アナウンスがあった。
予定では6時には駅に着き、
そこからバスに乗り継ぐのだけれど、
それにはどうしても間に合いそうもない。

途中、ホテルに「遅れる」と電話をするが
どれだけ遅れるか、わからない。

結局、新幹線は1時間近く遅れ、バスには乗れず、
やっと乗ったタクシーも雪で
回り道をすることになったと言う。

結局、7時過ぎに着くはずのホテルには
11時過ぎに。

ひと気もないホテルのフロントで
結局、二人でチェックインすることになり、
タクオは何となく
一人のコンシェルジェが
にやりとした、と思ったようだ。

予約したレストランはクローズ。
雪のせいで、調理人も早く帰り、
ルームサービスもないと言う。

もちろん、近くにコンビニも
あるワケではなく、
ホテルにあった自動販売機で
酒のつまみのようなモノで
夜を過ごすことになる。

タクオさえ、前日に飲みに行こうと
言わなければ、早く出られたのに。
そう思う気持ちと、どうであれ、
無理に叩き起こしてでも、早い新幹線に
乗れば良かったなどと
ヨウスケに言ってしまう。

タクオはタクオで
わざわざダブルベッドを取り、
恥ずかしい思いをさせられたと怒る。

せっかく一緒に過ごしたい一夜が
散々なモノになりそうだった。


そんな中、0時過ぎに
ホテルのコンシェルジュの人から連絡があった。

「この大雪の中、お二人で素敵な時間を
過ごそうと思われたのに、
本当に何も出来なくて申し訳ございません。
フロントの人間で、今、作ったのですが」と
大皿にサンドイッチと、
赤のワインボトル1本を持って来てくれた。

きっと二人はカップルだとわかり、
気を利かせてくれたようだった。

頭を下げたボーイの人にお礼を言い、
彼が部屋を出たあと、タクオは
ヨウスケに抱きつき「ごめんね。
ビクビクした俺が悪かった。」
そう謝った。

ヨウスケも「俺こそ、イライラしてごめん。」
二人はしんしんと降り積もる外の雪を見ながら
ワインをゆっくりとたしなめ、
素敵な夜を迎えたそうだ。

やっとひと月、されどひと月。
きっと、良い始まりになったのだと思う。

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2018年02月10日

愛しの禿げ頭

たまに来てくれるゴウタが
ゲイと噂がある、とある有名人作家の写真を見て
「こういうタイプというのは、ど真ん中」と言っていた。

確かに、誰が見ても良い男だ。
「面食いの人なら、ほとんど
良しとする顔だよな」と僕が言うと
「いや。僕が彼を良いと思うのは、
顔ではなく、この頭なんだよなあ。」そう言う。

まだそれほど年齢がいっていないけれど、
額はうっすらと禿げ上がっており、
全体的に短く刈られている。

こういうタイプの人は、
ほぼ自分の頭の薄さを
恥ずかしいと思い、そこに触れられると
嫌がるけれど、そこが魅力だ。

ゴウタはそう言う。

しかし、一言加えると
「禿げていても、バカは嫌」なのだそうだ。
読書好き、勉強好きのゴウタは、
かなりのインテリ好み。


そんなゴウタが、もう10年ほど前に
ネットで出会った男がまさにそうだった。

彼と会い、二度目に部屋に連れて行かれ、
そういう関係になった時は、
まだ「頭の禿げかたがいいなあ」と
思う程度だった。

相手は自分について、何も言わない。
もちろん、仕事に関してもわからない。
自分も触れないようにはしていたが
そういう意味ではとても謎がある男だったと言う。


しかし、ある時、東
京から電車で1時間ほど離れた
ある都市に、仕事で行った時に、
駅前で彼の姿を見たと言う。

なんと、彼は自費出版の詩集を
売っていたのだそうだ。

もちろん、リッチだとは言えない部屋に住み、
素朴と言えば素朴だったけれど、
それを超えるこんな部分があったとは。

自分のことを語らず、
ただ、ただセックスが楽しい程度の相手だった彼が
急に輝いた瞬間だった。

もちろん、ゴウタはそのことには一切触れず、
彼との逢瀬を楽しんだ。
不思議なモノで、ゴウタの頭の中には
地方の小さな街で刺繍を売っているこの男が
俺と一緒にベッドで抱き合っている、
そう考えただけで、
それまで寝たどんな男よりも
エロく、自分を狂わせてくれた。

きっと、自分の態度が突然変わったことに
彼も驚いたのかも知れない。

残念ながら、その関係は
それほど長くは続かなかったらしいが、
ゴウタにとって、忘れられない思い出だそうだ。

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2018年02月04日

幸せのオーラ その2

この前に書いたカップルとは違って、
もうひと組。
40を過ぎたばかりのエイイチと
30になったばかりのショウゾウは
まだ付き合いだしたばかりのカップル。

エイイチは、うちの店に来て10年近くになり、
ショウゾウはここ半年よく来てくれており、
今年の初めに店で遭遇し、
知らない間に急接近。
そして晴れて「付き合いだしました」と
伝えられた。

ここ5、6年の間に恋多きエエイチは、
何人かの人と付き合い、
「やっぱり今回もダメでした」と
落ち込んでいると言うよりは、
常にすっきりと次に進む感じだった。

もちろん、まだ出会って
ひと月経つか経たないかだし、
そういうカップルのことを
このブログに書くことも少ないのだが、
今回は何故か特別。

何故かと言うと、
エイイチがいつになく真剣で
(いや、今までも十分真剣だったのだろうけれど)、
僕に切々と彼に対する思いを伝えてくれたからだった。

直近で二人で来てくれた時には
くだらないことで
言い争いをしていたりもした。

その後、エイイチは自分に問題があるのだ、
こういう部分はきちんと直していかないと、
そう言って反省をしていた。

ある意味、プライドも高く、
なかなか自分を曲げられないエイイチが
こういうことを言うのは、
本当に珍しくて驚いた。

それほど、若くしてショウゾウは優しく寛大で
エイイチの心の扉をひとつ、ひとつ
開けてくれると言うのだ。

この前のブログに書いた二人とは、
付き合った時間も
性格も違い過ぎるけれど、
きっとこの二人は頑張りながら
長く続くのかもしれない。

大きなお世話だけれど、
久しぶりにエイイチの笑顔が
とても嬉しかった。

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2018年02月03日

幸せなオーラ

僕の親しい友人であり、以前はニューヨークや
ロンドンに何度も一緒に行ったタダシが
パートナーのカツ君と知り合ったのは、
もう5年半前になると言う。

タダシが店に来始めた頃は、
今はもう亡くなってしまった元彼と
一緒だったりしていたことを思うと
時の流れの早さにつくづく驚いてしまう。

タダシとカツ君は、
タダシが九州出張の時に、
出会い系サイトで知り合い、
最初はそんな付き合いになるとは
思っていなかった、そう言う。

でも、そのうちにタダシは、
時にはひと月に一度か二度、
せっせとカツ君がいる九州地方へ向かい、
すっかり遠距離恋愛となった。
三ヶ月に一度くらいは、カツ君が上京し、
仲が良いね、とみんなに言われていた。

それから数年後、カツ君は晴れて東京に来て、
タダシと共に住むようになった。
そして、東京で職に就いた。

つい先週、タダシは仕事でコスタリカに行き、
それほど長くカツ君が留守宅を守ったのは
付き合ってから初めてだったようだ。

一週間後、タダシが帰国してから
二人が来てくれた。
空港に着いたあとまだ数時間というタダシだったが、
うちの店で二人は、再会を愛おしんでいるようだった。
その時、一緒にいたのがタダシの友人のシンだ。

シンいわく、僕に「二人はある部分を超えたんだなと思う」
そう言う。
二人はいつも一緒にいると、身体の一部を
触れ合っている。
ただ、シンが言うのは、そういうことではなく、
家族、または夫婦の域に達したんだなあ
この二人は、ということだったらしい。

僕は長らく二人と食事に行ったりしていなくて
店で仲が良いところしか見ていないのだが、
シンに言われると、確かにその通りかもしれない。

5年も超えた二人を見ていて思うのは、
他の長いカップルのように照れ隠しで
相手のことを悪く言ったり、
ぞんざいに扱ったりする、ということがないことだ。

カツ君はいつもタダシを尊敬しているように見えるし、
タダシはそんなカツ君を優しく包み込むように見ている。

30代と40代。
ある意味、理想的なカップルと言える二人には
これからもずっと仲良く、
幸せでいてほしい。

顔を寄せ合って笑う二人を見て、そう思った。

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2018年01月25日

30年ぶりの恋

昨日来てくれていたシュンさんは50歳。
去年から4歳年上の人と付き合いだしたそうだ。
よくよく聞いてみると、
30年ぶりの恋だと言っていた。

30年ぶり???最初に聞いた時には
どういう意味なのか、僕はわからなかった。


30年前、シュンさんがまだ二十歳の学生の時に
プールでイケメンの男の人と目と目があった。
ロッカーで「お茶でもどう?」と誘われて
ドギマギしたことは忘れられないそうだ。

その時に帰り蜜にあった喫茶店で
2時間ほどお茶を飲んだ。
若いシュンさんにとって、
ゲイの人とお茶をしたことは初めてだった。

相手の人は社会人に成り立ての24歳。
つい最近、1年付き合った大好きだった年下の彼に
ふられたばかりだと言った。

ちょっと涙目になりながら、
「誰か、この落ち込んでいる僕を
引っ張り上げてくれないかと思っているんだ」と言った。

4歳違うというのは、今思えば
大したことはないけれど、当時は
とても年上に感じ、その彼が涙ぐんでいる事実に
シュンさんは胸を熱くしたと言う。

若いシュンさんは、彼の澄んだ瞳を見ながら
「僕が引っ張れるかもしれない」そんなことを思った。


翌週、同じ喫茶店で待ち合わせをした。
その一週間の長かったこと。

でも、7時の約束だが、9時まで待っても
彼はまったく現れなかった。

きっと何かがあったに違いない。
あれだけ誠実な人だったんだから。

携帯もネットもない時代。
一応自分の電話番号は伝えたけれど、
彼は自分の部屋には電話がないと言っていた。

シュンさんは、毎日電話を待った。
一週間、10日と過ぎ、
待ちきれず、彼が務めているという職場がある
四ツ谷駅で、学校帰りに7時から8時過ぎくらいまで
待っていたこともあった。

まだ、ストーカーという名称が出来るか出来ないかの頃だったが、
今思うと、まさにストーカーだったと思うと言う。

駅に行った二度目の時、
もう諦めてシュンさんが帰ろうと思って
四ツ谷駅から電車に乗ろうとすると、
明らかに仕事関係の女性と共に
彼が歩いてきた。

目と目が合った。会釈をしたら、
向こうも驚いた顔をしながら、「電話するよ」と
いう仕草をした。


それから数週間経ったある日、
彼から電話があった。

「申し訳なかった。あの待ち合わせをした当日、
ふられた元カレが寄りを戻そうと言って来たんだ」と言う。

結果的に、彼と寄りを戻し、シュンさんに連絡をするのは
失礼だと思ったということだった。

仕方がない、そう思ったと言う。
彼のことは忘れた。
いや、忘れようとしたらしい。

その後、10年ほどの間に一度、
2丁目で彼を見かけたことがあった。
彼氏だか、友達だかわからないけれど、
誰かと一緒で、その時も目が合い、
会釈をしたと言う。

それから20年近く。
シュンさんも2人ほど人と付き合って、
うまく行かず、もう誰とも付き合うことはないかな、
そんなふうに思っていた3年前のある日、
Facebookで友達申請が来た。

なんとプールで30年前に会ったあの彼だった。

お互いに名前は交換していたけれど、
最初は誰かわからなかった。
ダイレクトメッセージで「覚えていますか」とあった。

それから1年。いつか会おうと言いながらも
Facebook上でのメッセージのやりとりだけが続いた。

そして去年、二人は再会した。
相手はあれから色々あったらしいけれど、
今はひとりだった。

プール帰りの一度だけのお茶。
30年前にシュンさんんの妄想だけで
広がっていった部分は大きく、
イメージが違う部分もあったけれど、
それ以上に素敵な部分もあった。

二人は晴れて付き合ったと言う。
奇跡と言うか、赤い糸と言うか、
シュンさんは、あのストーカーのようなことを
してしまった自分を恥じながらも、
よくFacebookで自分を見つけてくれた、と
感謝している、と言う。

出会い系ですぐに探せる時代の中で、
こういう出会いもあるのだなあ、と
幸福な気持ちをいただけた。

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2018年01月13日

シドニーからのカップル

一昨日は日本に初めて来た、という
オーストラリア、シドニーで10年付き合っているという
ゲイのカップルが来てくれた。

シドニーと言えば、僕は15年くらい前に
行ったが、オックスフォード・ストリートという
ゲイ・タウンに多くの人が集まり、
なかなかの賑わいを見せていた。

今はどんな感じかと尋ねると、
シドニーには大きめのクラブが一軒しか
なくなってしまったとのこと。
それには結構、ショックだった。

でも、それはシドニーに限らず、
他の国もそうなようで
ニューヨークやロスなども
かつての活気はなくなっていた。

東京だって、バブルの頃はともかく、
たぶんうちの店が出来た頃からは、
スマホの出会い系が生まれ、
人の流れはずいぶん変わったのだと思う。

それでも、東京だけでゲイバーは
小さい規模ながらも、
700軒とも、800軒とも言われているから
これはもう世界一と言われるのも
おかしくないし、ホントにすごいんだろう。

そのカップルは、本当に東京のその数に驚き、
かつ、このようにのんびりして、落ち着いた
話が出来るようなゲイバーは、
さらに他国にはないのではないかと
言ってもらえて、有り難かった。

もちろん、カラオケも日本の文化のひとつだと
思うけれども、うちのようなまったり
という店があるのも、
日本ならではなんだなあ、
そんな事を思った。

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2017年09月17日

会社の上司からの告白

この前のブログでは、ストレートの上司と
やりたい、やりたいと言っていた
ゲイのお客さんの話を書いたけれど、
まさにその翌日、またまた
会社の上司の話をしてくれるお客さんがいた。


その日、うちによく来てくれるセイヤ君に
初めて連れて来られたというタクミ君、36歳。
ガッチリした体に笑顔が素敵なタクミ君は、
今まで人と付き合ったこともなければ、
ゲイバーも初めてだと言う。

細かくは聞かなかったけれど、
さすがに肉体関係を持ったことだけは
多少はあるらしい。

そんなタクミ君だが、1年ほど前に
会社の飲み会があった際、その帰り道、
2歳上の会社の先輩から、
突然「お前のこと、ずっと前から大好きなんだ。」と言われた。

その先輩は、結婚もしていて、子供も3人いる。
大学時代はラグビーをやっていて
今もジムに通っている、と言っていて
彼みたいな人がゲイならば、と
思ったこともあるけれど、まさかのまさかだった。

そして、過去を思い起こせば、何となく
会社で視線を感じることもあった。
それがまさか、そんな事とは。

ただ、それ以降、何か進展があるかと言うと
特に何もない。
それから誘われることもなければ、
仕事のこと以外で、メールのやり取りもない。

3ヶ月ほど経って、一緒に飲みに行きませんか、と
誘ったら、来てくれたし、仕事の話やら家庭の話やらを
しながら、とても上機嫌だけど、
あの「大好きなんだ」という言葉には触れない。

それから3度ほど、そういう機会があった。
会社の飲み会でも隣の席に座り、
肩と肩が触れ合うこともあり、
決して離そうとしなかったりもするけれど、
だからと言って、それ以上のことはない。

「あれは、どういう意味だったんですか」
何度となく、そう聞こうと思ったけれど、
「え?何?そんなこと、言った?」と
言われたりするのも嫌だし、
万が一、「俺もゲイなんだ」と言われても
結局、結婚していることで苦しむのは自分なんだ、
そう言い聞かせたりする。

一緒に来たセイヤ君は「もう、忘れたほうがいいよ。」
と言う。

でも、あのひと言で、気持ちは募るばかりなのだそうだ。
こういう話、というのは、決して
珍しくないような気がして、
聞きながら、いい歳こいて、
少しばかりドキドキした。

posted by みつあき at 19:44| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月30日

ソフレ・ボーイ・フレンド

先週来てくれた25歳のアキオ君は、
ここのところ、ぞっこんになった
3つ年上の男がいる。

彼とは、とあるクラブパーティで知り合い、
その時に「僕に近づいてくるのは、
みんな、身体目当ての人ばかり。
ちょっと信用できない。」
そう言っていた。


アキオ君自身の性的なことに関しては、
この次のブログで書くけれど、
アキオ君自身も、
セックスだけの関係というのは
もういいかな、そう思っていた。

そんなことを考えるのは、
25という年齢じゃ早いかもしれないけれど、
本当にやるだけ、やった、
と思っているのだそうだ。

その彼が「君のことはとっても信用できるし、
好きになりそうだ。」
クラブパーティの翌日、そう言われた。

彼とは夜通し、お互いの色々な話をした。
楽しかった。ある意味、夢のようだった。

こちらから、手も握らなければ、何もしないと
向こうも何もしない。
ただ、横で眠る、そんなことが数回あった。

アキオ君は、そのことについて、
まったくおかしいだとか、寂しいだとかは
思わない。
むしろ、横で添い寝をしているだけで満足だったようだ。

ゲイと言えば、下ネタが多く、
何かとセックスは付き物、というのが
多くのイメージだけど、
確かに最近は「添い寝好き」いわゆる
「セフレ」ならぬ「ソフレ」が好き、という若い人も多いと聞く。


とは言え、その彼がアキオ君のすべての寂しさを
補ってくれるか、と言うと、そうでもないと言った。

その週末も、友人たちとクラブに行く、と言って
途中でどこかで会おうか、と言いながらも
連絡が取れない状態、ということで
かなり凹み、どうすれば良いんだろうと
考え込む。
昔なら、こういう時はまっすぐに
ハッテン場に向かったものらしいけれど、
さすがに今回はそういう気持ちにもならない。

なかなか人生はうまく行かないものです、
アキオ君はそうつぶやいた。


posted by みつあき at 17:18| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月19日

職場の部下への思い その2

それから3年。
この春、彼は職場に戻って来た。
それも見事に鍛えた肉体と、さらにさわやかな雰囲気を持って。

ひょっとしてゲイか?と思うほどの変化だったが
どうであれ、ヤマネ君の心に覆いかぶさる
彼の存在の大きさは、また日々を辛く、
重くさせていった。

この辺りまでは、なるほど、そんなこともあるなあ、
そう思うのだが、このあとの展開には
僕もこのブログが創作なのか?と
思われるほどの流れになり、
驚いてしまうことになる。

ヤマネ君は数年前、マンションを購入した。
都心でみんなが憧れるようなアーバンライフを
ヤマネ君はとても気にいっていた。

そんなある日、電車を降りて、
自宅への道をほろ酔い気分で歩いていると、
会社の彼が女性と歩いている。

!?
何故?こんな場所に!

ヤマネ君はドギマギしながら、
彼らを見過ごして、自分のマンションに
向かおうとしたのだが、自分の先を行くその二人は
なんと自分のマンションに入っていくのだ。

自分に気がつかず、マンションに入った二人は
エレベーターに乗った。
ヤマネ君は、エレベーターが動くのを待ち、
階数を確かめたら、何と彼のフロアに止まった。

10世帯ほどが住む彼のフロアだが、
それが、彼の住まいなのか、彼女の住まいなのか。
あまりの衝撃に、たじろぎながら、
ヤマネ君は時間を見てから
エレベーターに乗った。

フロアに降りると、そこに何故か
まだ部屋に入っていない二人の姿があった。

そしてバッチリと目が合ってしまう。
「あ・・・」と固まるヤマネ君だが
「え?ここに住んでるんすか?マジ???」
とほろ酔い気分の部下。
どこの部屋か、と話すと、何とヤマネ君のはす向かいの部屋だと言う。

「んじゃ、いつか屋上でビールでも一緒にしましょう」
爽やかにそう言う彼。

あまりの衝撃に、ヤマネ君はどうすれば良いか、
わからなくなったと言う。

それでなくとも、職場で会うだけでも苦痛だったのに、
まさかのまさか、住まいでも同じ場所だと。

彼自身も、何故かヤマネ君がよそよそしいいのは
十分に気がついているはず。
にもかかわらず、何故こんな対応ができるんだろう。

ヤマネ君は何人かの友人に相談する。
「すぐ、そのマンションを売るなりして、すぐ出るべき」
という意見を言ってくれたりするようだ。


でも、僕はこの話を聞いて、
何だか凄いお伽話を耳にした気持ちになって
とても幸せな思いをした。

だって、こんな偶然は、必然だろうか。
神が仕組んだとしか思えない。


僕はずっと辛い思いをしていたヤマネ君が
やっとの思いで、次のステップに上がるよう、
神が道筋をつけたように思えた。

ある意味、これはヤマネ君にとって
試練かも知れないけれど、
でも前向きに考えれば、
彼とのより良い関係を作ることが出来る、
ということだと思う。

これをきっかけに、肉体関係を結べる
ということはもちろんないだろうけれど、
少なくとも今までよりも、ずっとハッピーな
職場環境を持つこともできるだろうし、
彼とより良い関係が築き上げることが
出来るんじゃないかと思う。

意外な展開だったが、とても素敵な話を聞いた。
posted by みつあき at 15:11| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

職場の部下への思い その1

ヤマネ君は40代半ば。
ひょっとして、ずいぶん前にここにも書いたかもしれないけれど、
彼は職場の後輩の存在に長い間、
苦しめられてきた。

苦しめられたと言うのは、
特に嫌がらせをされたとか、
言うことを聞かない、
とかそういうことではない。

彼のあまりの魅力的な存在が
ゲイであるヤマネ君を辛くさせていたのだ。
通常、あまり近くにいると、
最初、格好が良いと思った仕事先の人間も
なんとも思わなくなったりするものだが、
ヤマネ君はそうではなかった。

彼が話すたび、笑うたび、動くたびに
ドキドキする。
それだけでなく、心が苦しくなる。
そしてその穏やかではない心持ちが
仕事にも影響してきたりもする。

ところが、数年前、その彼は転勤で
職場を離れることになった。
寂しいという気持ちよりも、ホッとした。
もう、これで日々、かき乱されることはない、
そう思った。

以前書いたとしたら、また前置きのような話と
なってしまったけれど、この続きは
このあとのブログで。

posted by みつあき at 14:26| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月20日

片思いからの失恋

キリノ君は44歳。
若いコが大好きで、二十歳から30歳前の
いい男を見ると、すぐワクワクしてしまう。
そして好きになるスイッチも、
とても早いのだと言う。

ついこの半年。
とある店で横になって知り合った23歳の青年。
その日のうちに、舞い上がってしまって、
それから食事の約束をした。

食事のあとは、いつものバーで飲むことに。
飲みながら「かっこいいね。可愛いね」と
言いながら、膝を触ったりするモノの、
「ありがとうございます!」と笑顔で返されて、
なかなか自分をどう思っているか確認できない。

何度か飲んでいるうちに、キスもして
なおかつ彼の会社の同僚も紹介してもらい、
その23歳君が、彼らには
カミングアウトしているということもあり、
「僕は彼が好きだ」と告白。
その同僚たちも「頑張ってください!」なんて
応援をしてくれたりもしていた。

そして、ある日に「よし!」と思い立って、
「付き合ってくれない?」と彼に告白した。
まだベッドインもしていないのに、付き合うという話、
ゲイでは少ないほうなのかもしれない。

しかし、答えはノーだった。
「今は人と付き合うことは考えられないんですよ。
ずっと今まで通り、友達でいましょう」と。

キリノ君の3ヶ月にも渡る熱き恋心が
ガタガタと崩れ落ちたのだそうだ。
そして、この半年、この失恋の痛手から
なかなか立ち上がれないでいるとのこと。

キリノ君、このパターンは何度かある。
慎重過ぎるのか、自分で恋に恋しちゃうのか・・・。


僕自身は、相思相愛になってから
ふられてしまい、傷ついたということはあっても、
片思いでそこまで、というのは経験がない。

そういう意味じゃ、キリノ君のように
恋で走ってしまうタイプは
なかなか大変なんだなあ、と思った。


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posted by みつあき at 13:43| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月30日

「お付き合いをする」ということ。

お店に来てくれるお客さん同士が、

打ち解けて、知らない間に、

恋の花が咲いているということが

この1年8か月、何度、見聞きしただろう。


僕が知っているだけで、それなりの数があるので、

知らない人たちを含めると、結構な数だと思う。


お陰様で、そこそこ良い感じになっているカップルもいるけれど、

当然ながら、あまりうまく行かなかった例も少なくない。


昨日、来てくれたお客のエイジ君

(彼の場合、うちで知り合ったワケじゃないけれど)が、

知り合って3ヶ月めで「彼のことがわからなくなって」と

頭をかかえていた。


まったく育った環境が違う人間同士が付き合っていくんだから、

すんなりと、うまく行かない、というのもよくわかる。


ただ、同性間の場合、異性間に比べれば

(求めさえすれば)比較的、出会いも多いと思うので

次がある、と思うせいもあるんだろう、

何だか結構簡単に「うまく行かないから、辞めよう」と

思う人も多いと思う。


相手との価値観の違いに、落胆し、怒り、悩む・・・

その前に、違うからこそ面白い、

好きだからこそ理解し、赦そう、という心持ちが少しだけあれば、

もう少し、共に前に進めるような気がするんだけれど。


(同性間に限った問題じゃないとは思うけれど)

自分が正しい、(誰に聞いても)相手が間違っている!

という傲慢さを少しだけ押さえて、

「僕はこの人のどこが好きだったんだろう」

それを自問自答してみると、良い答えが出る気がするのだけれど。



posted by みつあき at 11:04| Comment(2) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする