2018年06月23日
ペルーで考えたこと
2017年12月23日
2017年 初冬の旅行記 その7
色々観ているようだけれど、今回は本当に
2017年 初冬の旅行記 その6
この日は、待ちに待った「スプリングスティーン・
オン・ブロードウェイ」ということで
朝からちょっと興奮気味。
昼間、舞台関連がまったくないのがNY滞在中、
この日と次の月曜日だけ。
(通常であれば、木曜日のマチネがある
ニュージャージーのペイパー・ミルという劇場に
行くのだが、今回は『アニー』ということで辞めておいた。)
朝からセントラルパークやその周辺を散歩、
そしてメトロポリタン美術館に向かった。
この時期のエキシビションは
「デヴィッド・ホックニー展」と共に
ミケランジェロの素描、そして彼が影響を受けた、
もしくは与えた数々の画家などの作品が
並んでいる。


ゲイとしても有名で、まだ健在でもあり、
コンピューターを使った新しいアートに
夢中だという彼の作品は、60年代から、
現代まで幅広く、展示されていた。
その多くの作品に
恋人や男性の裸像が出てくる。
画集や、映画「彼と彼/とても大きな水しぶき」などで
目にしたあの絵も、この絵も、実際に目にできる喜び。
特にプールで泳ぐ青年の何展もの絵画や写真のコラージュ。
その鮮やかなブルーを目にしながら、
なんだかプールに飛び込みたくなった(笑)

さて、夜はブルースの登場だ。
通常は30分前から15分ほど前に劇場に到着し、
もらったプレイビル(キャストなど詳細がある小冊子)に
目に通しながら、開演のベルを待つのだけれど、
この日は1時間前に会場に着く。
驚いたことに、世界中から来ていると思われる
多くのブルース・ファンが劇場を取り囲む。
屋外でのポスターの写真を撮っていると、
ガードマンをやっている人が声をかけてくれる。
何と彼の奥さんが沖縄出身の日本人らしく、
日本語がなかなかうまい。
彼いわく「ブルースは、本当にいい人で
ファンを大事にするし、パフォーマンスも素晴らしい。
帰りにはちゃんとステージドアに出てきて
ファンには挨拶をし、日によってはサインもするよ、と。

会場の中は若い人もいたが、圧倒的に40代から
ブルースに近い70前後の人でひしめきあっていた。
それにしても、1000席に満たず、
今まで数多くの舞台を観たこのブロードウェイの劇場で
ブルースを観ることが出来るなんて。
20時きっかりに始まったステージ。
いつもの10万人規模の大会場でのバンドでのライブと
その100分の一の観客を前にしたブルースは
自らの過去を、感情を、そして希望を語り、
自らのアコースティックギター、
そしてピアノを奏でながら、実に淡々と歌ってくれた。
それはロックンロールの王者という熱さよりも
さらに強いメッセージとして伝えようとしていた。

”Growin' Up”から”Born to Run”までの魂がこもった15曲
(通常のライブでは30曲以上だったりするけれど)を
心ゆくまで披露してくれた。
そして、あまりライブでは聴くことがない
“Tougher Than the Rest”、”Brilliant Disguise”は
奥さんのパティと共に歌ったことが嬉しかった。
そして、ライブ終了後、極寒のニューヨークで、
楽屋口に集まるファンを前にパティと一緒に出てきたブルース。
ロンドンのライブで
ものの1メートルという至近距離で観ているけれど、
さらにここまで肉薄したということは初めて。
いい歳こいて、ここまでミーハーな気持ちになるのは、
世界広しと言えども、ブルースただ一人だろう。
握手することも、サインをもらうこともなかったが、
「ありがとう」言いながら、車に乗る姿は
40年以上も彼の歌を愛し続けて良かった、と心からそう思った。
12月8日(金曜日)
通常の金曜日の昼間など、ほとんど何も観ることができないのだが、
この日はニューヨーク・フィルの公演がリンカーン・センターである、
というので行ってきた。
演目は、ウェーバー作曲のオペラ「オベロン」序曲、
そしてモーツァルトの「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと
管弦楽のための協奏交響曲」
この2曲が第一部。両方とも、僕は初めて耳にした。
そして第二部がベートーヴェンの5番。いわゆる「運命」これは完璧にわかる(笑)。
指揮者はNYフィルの音楽監督でもあり、日本人の血を引く
アラン・ギルバート。彼のコンダクトは良かった。
特に5番の第三楽章は鳥肌がたった。
思えばこの楽曲を生で聴いたのは初めてで、
レコードやCDで聴くのとはまったく違うことを改めて感じさせられた。
2017年12月20日
2017年 初冬の旅行記 その5
NYには朝、戻って来た。少しゆっくりしてから
14時からの“Gypsy of the Year”を観に行く。
だからこそ、ブロードウェイで上演している
あらゆる演目の出演者が登場し、歌い踊る。
5年ほど前から何度となく通っている
夏のブロードウェイ出演者たちのストリップ”Broadway Bares”と
冬のこのイベントは必見だ。
今回は「ライオン・キング」「オペラ座の怪人」
「キャッツ」「シカゴ」「アラジン」「ジャージー・ボーイズ」
「アベニューQ」「チャーリーとチョコレート工場」
何故かオフでミュージカルではない「アフターグロウ」
(ゲイのドラマだからだろう)などの面々だ。
そして、クライマックスは評判の「カム・フロム・アウェイ」の
オリジナルキャストが登場するシーンだ。
信仰を務める中の一人は、ローラ・ベナンティ。これも豪華。
客席は、若者から年配のゲイが多いせいか、
男性客が目立つ、というのもブロードウェイならでは、だった。

この日の夜の演目は、”Once on this Island”


この初演を観たのが、僕が最初にNYに来た年。
あれから27年も経っているというのが信じられない。
初演版はとても楽しめただけに、今回はどうなんだろうと
少しだけ不安。
その後、日本で西田ひかる主演で観たのだが、
こっちのほうは、ほとんど覚えていない。
ただ、今回やったのは、リンカーンセンターの
ヴィヴィアン・バーモントと共に、大好きな円形劇場
サークル・イン・ザ・スクエアだ。
話はカリブの島で生まれ育った貧しい少女が、
富裕層の少年と恋に落ち、その二人を4人の精が見守るという話。
このミュージカルはとにかく楽曲が素晴らしい。
また、それだけではなく、出演者のアンサンブルの見事さ。
一見、ライトなデザインのセットも仕掛けがたくさんあり、
色の使い方も美しい。
本物の山羊やニワトリが出てくるのも驚いたが、
火や水の小道具の使い方も素敵だ。
「ミス・サイゴン」初演キムで有名なレア・サロンガは
もちろんいつもの美声を聴かせてくれたが、
驚いたのは「Glee」に出ていたトランスジェンダーの
アレックス・ニューエルがまさかの凄いハイトーンで痺れさせ、
大きな拍手を浴びていた。
この日のマチネは、アメリカでは「ドラえもん」ほどの人気がある
と言われているアニメ「スポンジ・ボブ」のミュージカル化
“Sponge Bob Square pants”を観る。
これを観るなら、何かオフのミュージカルでも、
と思っていたのだけれど、これがビックリ。
想像力に飛んだメチャクチャよく出来た舞台。
正直言って、数年前に凄いバジェットで作られ、
失敗した「スパイダーマン」のミュージカルと方向性は似ているけれど、
こちらは大成功だと言える。
お話もまったく飽きさせないほど楽しいし、
とても子供向けとは思えないすべてがアメイジング。
10分に一度はセットが変わり、着ぐるみなど
一切使わず、衣装やメイクも圧倒されるほどお金がかかっている。
そして本格的なゴスペルまである。
作曲者もジョン・レジェンド、シンディ・ローパーなど
多くのポップスターによるものでちりばめられている。
また、振り付けもヒップホップなダンスがあるかと思えば、
キャバレーショウさながらの多くのタップダンスも見せてくれる。
これは今年のトニー賞ノミネートだけでなく、
ひょっとしたら作品賞も取るかも。
(Museum Arra Desin}bに行く。
極彩色のモダンアートをあしらったキルトも良かったけれど、
ガチョウの羽や子羊のスエードで作られたクリーチャーが素晴らしい。
それにしても、ここに限らず、
美術館のお土産は、いつ来ても心惹かれてしまう。
今回は、ブロードウェイの新作が少なかったので
モーツァルトの2本を入れた。
まずは「フィガロの結婚」この日が今年の初日の公演だった。
(映画『あるスキャンダルの覚えがき』はすごかった!)により、
3年前からオープンしていたけれど、僕は未見だった。
多くの演出の場合、音楽のみが流れる前奏曲で
エア版は、大きく回転する舞台上で、登場人物たちを
ひと通り見せてしまうという作り。
重厚な円柱となった編模様の鉄柱の中に見えてくる彼ら。
エアの演出の面白さは、あらゆるシーンで
発揮していたけれど、比較的退屈とも思われる
後半を華やかに盛り上げるところはさすがだ。
伯爵夫人のレイチェル・ウィリス・ソレンセン、
そしてスザンナのクリスティアーナ・カルクは、
高らかに歌い上げる、というだけではなく、
絶妙な抑えかたで、ため息が出た。
2017年12月16日
2017年 初冬の旅行記 その4(リオ・デ・ジャネイロ編)
3日目、サンパウロに住むうちのスタッフのレオンが
ブラジル人で日本語も話せる友人のブルーノを連れて
わざわざリオに来てくれた。
7ヶ月ぶりのレオンは少し太っていたが
ブラジルの生活がどれほど楽しく、充実しているかを
たくさん話してくれた。
チャイニーズのレオンは、東京に住む時に、
職場でも街にいる時でも、中国人だとわかった瞬間に
ちょっとした差別や、嫌な思いをすることが
1日に一度くらいはあったと言う。
特にものすごく悪い待遇を受けることはもちろんないらしいが、
ちょっとだけバカにされているような思いや、
見下されている感じがする、というのは
僕がNYで週に1、2度感じることに近いのかも知れない。
ただ、ここブラジルではまったくそういうことはないと言う。
あらゆる人種が入り混じり、開拓された土地だというけれど、
アメリカとは違うのかも知れない。
確かに僕も欧米でアジア人に対してちょっと味わう不快感は
ブラジルにいた間、まったく感じることはなかった。
さてさて、レオンとブルーノとは、コルバドールの丘に行く。
ものすごい観光客の数だが、ブルーノに言わせると、
オリンピック時期に来た時は、今の3倍くらいの人間がいたとのこと。
キリスト像は映画などで観ているだけに壮大だったが、
結局街から見ることが出来なかったのが残念だった。
丘を降りてから、ブルーノお勧めのレストランで
ゆったりとブラジル料理を食べる。


日本でブラジル・レストランなどに
行ったことがないだけに、
どれもが初めてで、美味しい。
ハパータと言われる牛肉の煮込み料理や、
パステルちいう揚げたパンのようなモノ、
カイビリーニャやインパッダなど
NYでは決して味わえないような食事だった。
そして一旦僕の部屋に着替えに戻ったあと、
3人でイパネマビーチに向かう。
レインボウフラッグが立っている場所には
多くのゲイ、そしてゲイフレンドリーなストレートたちが大勢いて
夏のキューバのビーチ同様、とても楽しかった。

レオンたちがホテルに、そして僕が部屋に戻り、
3時間ほど仮眠したあと、夕食(夜はイタリアンにした)後、
“The Week"というゲイクラブに繰り出す。
僕がゲイバーではなく、ゲイクラブに最後に行ったのは
東京のアゲハが店始める前だったから、
ヒカルドやジエゴも月に1、2度来ているらしいが、
彼らに負けず劣らずのマッチョがわさわさ。
ほぼ7割くらい、と言っても過言ではない。
それもほとんどが上半身を脱いで踊ったり
喋ったりしている、抱き合ったり、
結局、3人で朝4時くらいまで騒ぎ、帰宅して爆睡。
12月3日(日曜日)
この日、レオンたちは午後の便で帰ると言うので、
この日は、3人でコパカバーナのビーチに行った。
ビーチでチェアや傘を準備してくれた
アメリカ人のおっさんは、NYで仕事に失敗し、
すごくストレスを抱えたままリオに遊びに来て、
このリラックスした空間を気に入り、
ここ5年、コパカバーナの海でちょっとした賃金でも
ハッピーに暮らしていると言う。
メキシコやキューバに行った時もそう感じたけれど、
必ずしもお金持ちであることがすごく幸せで、
お金がないことが不幸であることではない、
こういう場所に来ると、つくづくそう感じる。
もちろん、貧困ということは、生死に関わるほどの
大きな問題がある。
食べられない、という次元にいたって
そう軽々しく語れることではないのも承知だ。
しかし、それでもその中でちょっとしたことで
腹の底から笑える環境を持てることと、
金を持っていても、自殺してしまうというストレス。
そこには、人間が考えなければならない
永遠のテーマが横たわっているのかも知れない。
ひとしきり楽しい時間を海で過ごして、
二人を見送ってから、その日の夜は
ヒカルド、ジエゴカップルと飲みながら
ゆっくりと話をした。
5年間、心から愛し合っていると丁寧に説明してくれる二人。
決して日本ではほぼ誰もが口にしない相手を敬い、
愛していると宣言するのが、ある意味羨ましくもあった。
12月4日(月曜日)
リオ最終日。
この日は本当はちょっと離れた国立博物館まで行こうとしていたが、
ジエゴの推薦で、オリンピック競技場あとまで路面電車に乗って向かった。
海に面している施設が、今でも観光スポットになっていて気持ちが良い。
ここから一昨日行ったセントロを抜け、お土産屋が並ぶ
エスカダリア・セラロンという大階段に行く。
2017年 初冬の旅行記 その3(リオ・デ・ジャネイロ編)
さて、ニューヨークから10時間。
リオ・デ・ジャネイロに到着。
前日に14時間かけてニューヨークに着いた割には
疲れなかったと言うか、行き帰りとも
とても楽に感じた。
とは言っても、リオと言えば、テレビを見ても、
ネットを開いても、行った人からの情報でも、
とにかく治安が悪いので
出来る限り用心するように、と耳にする。
人によっては、「え?何故にわざわざ
あんな治安が悪い場所に行くの???」と言うほどだ。
日本を発つ前に、耳にしたのは以下のような話。
手持ちのお金はあまり多くの金額ではなく、
かと言って少なすぎるのも怒りを買うので
それなりの額を(って一体いくらなんだ!笑)
ポケットに入れること。
携帯は出来る限り持ち歩かず、
仮に持っていても、路上で出した瞬間に
持っていかれることも頭に入れておくこと。
移動はタクシーか、ウーバー(事前に呼べる低予算タクシー)を
必ず行く場所、戻る場所の前で止めてもらい、
基本的には街を歩くな。
バスや地下鉄などに乗るなんてもってのほか。
ゲイクラブなどもあるけれど、
ドリンクも絶対手放さず持っていること。
でなければ、薬を入れられたりする可能性がある。
万が一、脅されたりしたら、とにかく
言うことを聞いて持っているモノをすべて渡す。
命だけは助かればそれでいいのだから、などなど。
そもそも、旅好きで、それほど怖い思いをしたこともなく、
結構ユルユルとした時間を過ごしてきたこの僕だけれど、
さすがに今回は上のような話にビビってしまって、
とにかく空港に着き、タクシーを選ぶ段から
どうしたものか、と不安になっていた。
僕が今回、お邪魔するのが友人からの紹介で
部屋を貸してくれたヒカルド&ジエゴカップル。
事前にメールでやり取りをし、
彼らが住むコパカバーナまではタクシーで40分ほどで
60レアル(2000円くらい)だと聞く。
タクシー乗り場で運転手にしつこいくらい、
60で行ける?とか聞き、笑ってOK、OKと言われて
車に乗ってからも不安だったりした。
今から思えば、笑ってしまうけれど。
ヒカルド(英語読みだとリチャード)は50歳超え、
ジエゴ(英語だとディエゴ)は20代後半。
とても失礼だけれど、二人ともまるでポルノビデオに
出てくるかのような超マッチョなイケメン。
とにかく、二人とも優しく、とても親切で
5泊6日の間、すっかりお世話になってしまった。

彼らのアパートは海岸から5分、それも繁華街のすぐ真横にあって、
どれだけ便利なところなんだろう、と驚いた。
ヒカルドはテレビ曲のディレクター、
ジエゴはアパレル関係。
部屋は見事にオシャレかつ綺麗で、
僕に与えられた部屋も、
夏にメキシコでお世話になったカップル同様、
素晴らしいもてなしだった。


彼らが何度か作ってくれた食事は
その身体を維持するための野菜や鶏肉を使った料理で、
基本的にはまず外食をしない、というのが
彼らの鉄則だった。
特に美味しかったのは、キノアとチキン、
卵、そして多くの野菜が入った健康フード。
そりゃ、こんな身体になるわなあ。。。
また、彼らのおかげで、そんなにビビらなくても
最低限注意していれば、まったく問題ない、ということを
教えられる。
もちろん、ブラジルに住む彼らだから、ということを
念頭におきながらだけれど。。。
午後にリオに着き、二人が仕事に出かけたあと、
恐る恐る街に出る。多くの人が行き交い、
ニューヨーク同様、白人、黒人、ラテン系、
多様な人種を目にする。
しかし、まったく目にしないのがアジア人。
日本人はおろか、旅行好きな韓国人、
世界中どこでも見かける中国人もまったく見ない。
結果的に僕が帰るまでの6日間、
有名なキリストの像があるコルコバードの丘だけで
数人の中国人を見ただけだった。
それだけに、アジア人は目立つ。
からこそ、最初のうちはとっても不安にもなったが、
結局、人通りが少ない場所に行かない限りは
ほぼ問題ない、ということはよくわかった。
とは言っても、たまたま運が良かったのかも知れない。
いずれにしても、これからリオに行ってみようとする人は
僕の言葉を鵜呑みにしないように(笑)
ただ、情報だけに踊らされるのも
本当にどうかとは思った。

さてさて、なかなか賑やかなコパカバーナの街とビーチ、
その先にあるイパネマに入ると、少しお洒落
そして高級になる。
小一時間歩いて、さすがに疲れ、
コパカバーナ行きのバスに乗り帰宅。
さすがに疲れているせいか、早めに休んだ。
12月1日(金曜日)
翌日はリオ中心部にある国立美術館に行く。
他の国の美術館に比べると、とっても静かで人も少ない。
ただ、あまり目にすることはないブラジル絵画や彫刻の中で
ポルトガルから渡ってきた人たちと
先住民との関係性や暮らしぶりをちょっと知ることが出来た。



最も危ないとも言われる中心部、セントロは多くの人が行き交い、
ここも注意さえ払っていれば、特に問題なく、
市民劇場やらマーケットやらを見て歩く。
結局、あらゆる場所で会話をしたりする
ブラジル人たちはみんな親切で明るく素敵だった。
この夏、メキシコや、キューバに行った時も感じた
南国のくったくのなさ。陽気さ。
もちろん、そこには貧しく少しのお金でも欲しいと
観光客を狙う輩もいるだろうけれど、
そういう人と接することがなかったのは
幸せだと思った。
街を歩いていると、とある劇場を見つけ、
そこに載っている舞台関連のガイドを見ると
シアタークイーンの地が騒ぎ出す(笑)
なんと「キンキー・ブーツ」が昨日まで
無料で公演をしていたことを知り、ちょっと残念な気持ちに。
僕は他の国に行き、観光地はもちろんだけれど、
その国の映画や舞台、コンサートなどから
文化の香りを感じ取りたいと思っている。
たとえ、言葉がわからなくとも、
音楽の響きや演出は、あらゆる言語の壁を
取り除いてくれたりもする。
いくつかの選択肢の中で、「ジョヴァンナ」というポスターに目がいく。
クラシカルな恋愛ミュージカルらしく、その絵面で
僕の食指が動く。

地下鉄とバスを乗り継いで、辿り着くと
ちょっとしたショッピングセンターの3階とかにある小劇場。
日本でいうと、かつて日本橋の三越劇場を
もっと小ぶりにした感じだ。
入って驚いたのは、ものの30人くらいしか入っていない。
それも中年のおばさんたちがほとんど。
観客のほぼ半分が男性であるニューヨークやロンドンよりも
日本に近い感じだ。
さてさて、この「ジョヴァンナ」。
入っている人数はともかく、オケなし録音は
日本も今は多くはそうなのだから、わがままは言うまい。
ただ、マイクの調子もすこぶる悪い。
そして驚いたことに、ほぼセットらしいセットはなく、
うしろにあるスクリーンで静止画が映るくらい。
ライトもベタな当たり方で、う〜ん、これはどうなんだと
思い始める。
衣装も2丁目のドラッグのほうがずっと豪華、と思えるほど
ペラペラで安っぽい。
ただ、予算がかけられなくとも、キャストの歌声が
それを超えて入ればまったく問題なし。
そうは思ったモノの、歌手と言うか役者も素人に毛が生えた程度。
流れる楽曲もオリジナルではなく、有名なポップスや
クラシックの繋ぎ合わせ。
舞台好なんだから、どこか良い部分を探そうとすればするほど、
観ているのが辛くなってくる。
ただ、それでも微笑ましいと思ったのは、僕を除く
お客さんの多くが大満足というか、ブラジル人ならではの
拍手喝采。シュプレヒコール。
日本では決して感じることがないお客さんの熱さには
心を打たれる。
彼らが本当に心から感動しているのかどうかは
よくわからないけれど、いずれにしても
出演者や制作者をリスペクトし、
心から拍手を送るその姿こそ、
ちょっと冷ややかに観てしまう
僕たちが学ばなければならないことじゃないか。
そんなふうに思った時間だった。
この日は金曜日。部屋に戻ると、
二人の親友と言われるゲイの友人と女友達が来ていて
みんなでワインで乾杯。
とても楽しい一夜を過ごした。
2017年12月15日
2017年 初冬の旅行記 その2
この翌日、つまりブラジルに発つその日の昼間、
マチネでは「M.バタフライ」を観劇。
「水源」に続いて、これまたミュージカルではなく、ストレートプレイだ。

この舞台劇は、かつてデヴィッド・クローネンバーグ監督による
ジョン・ローンとジェレミー・アイアンズ主演で映画化された。
西洋の白人男性が、東洋人女性に狂ってしまう、という
オペラ「マダム・バタフライ」をモデルに、
この作品は、結局は女装していた男に
操られていたという皮肉なドラマだ。
今回のリバイバルは、「ライオン・キング」
「スパイダー・マン/ザ・ミュージカル」
そして今回このあと観たオペラ「魔笛」などで有名な
ジュリー・テイモアの演出。
京劇や、中国人民軍のバレエなど、なるほど、と
思う部分はあるけれど、いつもよりテイモアのテイストは薄い。
上に書いた3作品は、かなり予算がかけられた
ビッグ・プロジェクトだったけれど、
これはそこまではかけられなかったからか。
もちろん、ところどころに彼女のテイストはある。


主演のクライヴ・オーウェンは大好きな俳優だが、
映画で観るほどの華はここにはなかった。
まあ、原作の戯曲が、昔からモテたことがなかった男、
という設定だったから、それなりの役作りが
そう思わせたのかもしれない。
しかしながらも、白人男性の愚かさはしっかりと見せてくれる。
相手役のチャイニーズの俳優、ジン・ハは、これが
ブロードウェイ・デビューだと言う。
前日観た「水源」と同じく、惜しげもなく
舞台上で一糸まとわぬ全裸でも登場する。
日本の演劇事情とは違うから、
故意に隠そうとする部分がないのが潔い。
そう言えば、テレビのゲイドラマ「ルッキング」の
ドム役マレー・バートレットが出演していたのは驚いた。
彼さえも、ドラマほどのセクシーさが感じられず、
そう思うと、テイモアの人間を描くという部分の演出力が
少し欠けているからなのかもしれない、
そう思わされた。
マチネが終わり、向かったのがミッドタウンで
やっていた「ダウントン・アビー展」だった。
去年まで夢中になって観た6シーズンモノの、
イギリスのテレビドラマだったが、
まさか数年経っているのに、
ニューヨークでエキシビションが行われるとは。
僕がもっとも好きだと言えるテレビドラマ「マッドメン」の
展覧会にも数年前行ったけれど、
共にファン垂涎のモノになっていた。
数々の名シーンを多くののブロジェクターで見せ、
その周りを衣装やセットでたっぷりと堪能させてくれる。
圧巻は、劇中何度も出てくる大広間の食事をするテーブル。
細かく見ていくと、まさに全時代からタイムマシンで
持って来たような装飾にうっとりさせられる。
2017年 初冬の旅行記
スタッフに心から感謝しなければ。
年に2度、ニューヨークに行き、その時にオープンしている
ブロードウェイの新作を観る、というのが僕の決め事だったりする。
今回は、オープンが少なく、そのうちの1本
“The Band 's Visit”(映画邦題『迷子の警察音楽隊』は、
リバイバルの”Once on This Island”(邦題『アイランド/楽園伝説』)も
オリジナルを20年以上前に観ているから目新しさはない。
唯一新作の「スポンジ・ボブ・ザ・ミュージカル」は
観る前までは、今ひとつ食指が動かなかった。
ただ、そういう中で最愛のブルース・スプリングスティーンが
ブロードウェイで連日ショウをやる、と聞いたのが
9月くらいだったか。
チケット発売前からものすごい評判で、
一次先行発売は、まったくかすりもしなかったようだ。
その後、二次発売の予約が始まり、
多くの人が取れなかった中、
運良くチケットが取れた。
半ば、この冬の旅行は別の場所に、
なんて思っていたけれど、結局、ブルースが
また今回僕をNYに呼んでくれた。
ではなければ、今回はリオだけだったのかも知れない。
というわけで、”Springsteen on Broadway”ついては、
また観てから書くことにする。
さて、リオ・デ・ジャネイロ。
この初夏に、いつも行くニューヨークよりも南、
メキシコとキューバに行ったが、
今回は初めてのブラジル、リオに
行ってみようと思い立ったのは前回帰国してからだった。
うちのスタッフのラファエルの故郷が
サンパウロだということもあった。
その明るい気質や、人懐っこいブラジル人と交流してみたい、
そして世界一エロい、と言われる彼らを
目の当たりにしてみたい、そう思ったからだった。
また、同じくスタッフのレオンがサンパウロに
仕事で行っている、ということもあった。
11月28日(火曜日)
リオに行く前に一泊だけNYに宿泊。
着いた当日に、ブルックリンにあるBAMという
総合芸術施設に初めて行き、
観たのが”The Fountainhead”(水源)という
ストレートプレイだった。

演出家は、ここ数年、「橋からの眺め」や
「ヘッド・ガブリエール」などで注目されている
オランダ人のイヴォ・バン・ホーヴェ。
つい先日、来日公演した「オセロー」は観たが、
かなりシンプルなモノ、かつ字幕を読むのが大変で
なかなか芝居に集中できなかったということもあった。
この作品はゲイリー・クーパーが主演した
「摩天楼」という映画にもなっていることは有名。
僕は未見だったので、直前に見てみると、
これまた想像以上に画期的な作品だった。
とは言うものの、今回の”The Fountainhead”は
上演時間が4時間超えと聞いていたし、
来る前にアマゾンで買った原作だったが
あまりにも長い小説で、来る前までに読破するのは
無理だとわかり、読むのを断念。
加えて、NYに着いた夜にいきなりそれは
かなりキツイかも、と迷って買った一枚だった。
そんな少し気が重くしながらも、挑戦したのだが
これが驚くほど素晴らしい舞台だった。

たった5日間の公演だというのに、
この金をかけたセット、スクリーンを多用しながらも
決して陳腐にならないこの演出は一体なんだ!
作品は闘志あふれる理想主義の建築家生き様を
ディープな恋愛事情とともに見せていく。
奥行きのある大きな舞台。
いたるところにカメラが付き、真上から、真横から
患畜かが細かくデッサンをし、建築物が爆破され、
全裸でセックスをするところまで、舞台上を移動する
幾つかのスクリーンに映し出される。
また舞台上のありとあらゆるところで、多くの出来事が起こり、
その多角的な見せかたに、ついつい唸らせられる。
ほぼ未体験の舞台演出だ。
分厚すぎて、放置してきた原作を帰国後すぐに
読みたくなるほどだった。
これはさすがに日本では体験できない。
2017年07月11日
愛しのハバナ その2
夜は現地の若い人たちが進めるレストランで
2017年07月04日
愛しのハバナ その1 ハバナへの道のり
僕のスマートフォンは、Wi-Fi対応ではなく、
2017年06月25日
2017年 夏の旅ブログ その2
さて、プエルト・バヤルタに続いて行ったのは、
メキシコシティだ。
週末の土曜日から月曜日のたった3日間だったけれど、
今回はホテルではなく、紹介してもらった
ゲイのカップルのうちにお邪魔させてもらった。
40代と30代のこの二人は、これまた素敵な
カップルで、40代のペペはアップル社に勤めており、
30代のセヘンは自分で蜂蜜を製造し、
食や美容にとアレンジして売っていると言っていた。
彼らは僕用にそのへんのデザイナー・ホテルよりも
素敵なひと部屋を用意してくれていて、
何と歯ブラシやら爪切りやらコズメ用品を
ひとつにまとめて置いてくれているような気の使いよう。
ペペと話していて楽しいのは、昨今の映像や
音響などのハードな話など、僕がまったく
知らない知識を見聞きさせてくれたこと。
そして何よりもセヘンは大の映画好きで、
どんな映画が好き?と聞くと、
アルフォンソ・キュアロン監督だと答える。
それも「ハリー・ポッター」や「ゼロ・グラビティ」より前の、
ということで、僕も実にそうだったため、
二人でYouTubeであらゆる予告編を見ながら盛り上がった。
僕のキュアロンのベストは「リトル・プリンセス」だと言うと、
彼は「大いなる遺産」だと言う。
あまり知られていない映画だけど、お互い渋いね、
と笑いながら、キャロンの映像の素晴らしさ、
「緑色」の使い方の意味など話していて、
すっかり時間が過ぎてしまった。
彼らが住んでいる場所は、東京でいう代官山のような場所で、
それこそあちこちにゲイバーがある。
誘ってもらっていたのだが、
初日はテンプル・マヨール遺跡だとか、
メトロポリタン大聖堂などを見て、
あまりにも疲れていて早く寝てしまい、
翌日もとある理由で行けなくなってしまったのが残念。
そもそも、今回メキシコシティを組み入れたのは、
エド・シーランというアーティストがライブをする、
ということでチケットを買っていたからだった。
とは言っても、僕は仲介業者から買っていたので、
チケットは現地で、ということになった。
ライブは実は土曜日だったのだが、何故か
僕はプエルタ・バヤルタぼけなのか、
日曜日と思い込んでしまっていたのだ。
そして、着いた日に、彼らのうちから歩いて
20分ほどの場所にあるスターバックスにチケットを取りに行き、
まったく日にちも時間も気にしないまま、
うちに帰って寝てしまった。
そして翌日、ライブの期待に胸を膨らませながら、
メキシコの美術館を駆け巡る。
プエルト・バヤルタでもそうだったが、
欧米で見慣れている絵画とは、
ひと味もふた味も違う荒削りでありながらも
印象的なモノが多く、強く刺激を与えられた。
で、ペペたちに教えられたとおり、Uber
(ものすごく安かった!)を飛ばして、
コンサート会場まで行って、そこで初めて、
前日にライブは終わっていた、と気づかされていた。
僕は旅に出る時に、かなり綿密な予定表を作って、
それに沿って動くようにする。
ただ、プエルト・バヤルタは、特にそういう事もなく、
あまりにのんびりとしていたからか、
そこで予定表もまったく見ることなく、
大きな勘違いが生まれたのだった。
誰もいない会場を前に愕然としながら、
Wi-Fiがないため、帰りのUberは探せず、
雨は降ってくるし、暗いメキシコシティのはずれの街を、
かなりビビりながら、歩いた。
やっと見つけたホテルで、こういう状態なんだけど、
Wi-Fiを貸してくれないかと頼むと
宿泊客だけだ、と旅行で初めて厳しい人を目の前にし、
ことごとく、ついていないこの流れについて
雨の中、考えた。
考えながら、いやきっとここまでついていない1日だけに、
必ず良い方向に行くはず、といつものように
自分に言い聞かせたりしながら、
雨をやむのを待っていた。
そこで、ホテルから出て来た男女の夫婦。
僕がWi-Fiでやり取りしていたのを見て、
「Uberに乗りたいの?どこまで行くんだ?
あ、街までなら、私たちも行くから一緒に
乗っていきましょう」ということになり、
やっぱり神は僕を見放さなかった(笑)←お気楽
そんなこんなで、やっとの思いで、
ヘトヘトになってペペたちのうちに戻って行くと、
「どうだった?ライブは盛り上がった?」と笑顔でもてなしてくれ、理由を言うと、こうなったら飲むしかない、
とワインやパスタやサラダで、かなり疲れていた僕を癒してくれた。
そして自分の部屋に戻り、パソコンをあけると、
なんとエド・シーランはこの秋に日本に来日することが決定していた。
僕がパソコンをいじったその瞬間から日本で予約が始まったということ。
なんだかついているのか、いないのか、わからないけれど、
でも、今回メキシコシティに来て、
ペペとセヘンに会えたことだけで十分幸せだったのだ、
ということを改めて噛み締めた。
だって、思えば、前日のまさにライブの真っ最中、
僕はペペやセヘンと映像や映画、音楽について
熱く語り合っていたのだから。
ひょっとすると、シーランのライブと同じ、
いやそれ以上の価値があったのかも知れない。
たった2泊3日のメキシコ滞在。
観光は上に書いたふたつと、
2日目に行ったドローレス・オルメド・パティーニョ美術館と
近代美術館、そしてソチミルコという水上都市くらい。
なかなか大満足とは行かなかったまでも、
とにかく人との出会いが一番だなあ、
そう思えたメキシコシティ訪問だった。
2017年06月23日
旅から戻って・・・
大変、長いあいだ、店を留守にし、ブログも更新できず
(あちらからちょっと頑張ろうと思ったけれど、無理だった)、
大変失礼しました。
まだ成田から自宅に向かうバスですが、今晩(24日、金曜日)から
きちんと店に出ますので、よろしくお願いします。
早速ですが、旅日記を、少しずつアップするようにします。
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年に二度ほど、一人旅をするようになって、7年ほどになる。
最初は10日ほどだった夏の旅行も、お客さんやスタッフから、
どんどん長くなると言われ、「そんなことない」と
否定しながらも、はっと気がつけば、確かに。
言い訳がましく言うと、今回どうしても行きたくて、
発売日に取ったベット・ミドラー主演の「ハロー、ドーリー!」が
6月22日しか取れなかったこと、
それからずいぶん経って発表されたグレン・クローズ主演の
「サンセット大通り」の千秋楽が5月28日と、大きく時間が開いてしまった。
結果的に、「サンセット〜」は、閉幕が伸びたものの、変更するワケには行かず。
結局、「サンセット〜」の前日に着いて、
「ハロー・ドーリー!」の翌日に帰国するとなると、なんと25日間。
スタッフから「ひと月!?」と言われて
「いや、3週間ちょっと」と苦し紛れの言い方をしながら、旅立つことに。
そんなワケで、お客さんやスタッフに迷惑をかけながらも、
今回は長い旅になることを踏まえ、一度行きたかったメキシコ、
そして行くなら今、と言われている
キューバのハバナに足を伸ばすことにした。
いつもは、NYやロンドンの観劇記に終わってしまう旅行ブログだけれど、
それはちょっと先伸ばしにして、今回はメキシコ、
キューバ紀行(ってほどでもないんだけど)から。
写真はたくさん撮影しながらも、ここにアップするのは重いため、
興味があったら、インスタグラムで見ていただきたい。
以下のアカウントで。
misuaki_kis
NYのゲイの友人(ボーイフレンドがメキシコ人だ)が、
是非ともメキシコに行くのなら、プエルト・バヤルタ
(日本では、バジャルタという表記もあるようだが、
現地の人はバヤルタと言っていたようだけれど)に、
と言っていて、まずは3泊4日をそこで過ごすことを決定した。
プエルト・バヤルタは、海が美しいリゾート地ながら、
カンクンなどよりももう少し質素で、物価も安いと言われている。
確かに、安い。ビールは100円くらいだし、
軽く食事をするには500円もあれば十分に足りる。
どんなモノも日本の1/3くらいだと思ってもらえれば良い。
ひとつだけ驚いたのは、アルコール類は、
夜の10時から朝の9時までどこでも売ることが出来ない。
もちろん観光地なので、バーやレストランでは、
4時くらいまで飲める場所はある。
もちろん、一杯、300円くらいだからこれまた安い。
飲食店やショップなどはそれなりに充実しているけれど、
特にこれ、と言った観光名所などは(たぶん)ない。
そのぶん、街全体がまるで美術館のように
美しいデザインで彩られている。
少なくとも、僕が宿泊した最南端に近い場所は、そうだった。
ホテル自体も、フリーダ・カーロや、いわゆるメキシコ絵画、
彫刻などを細かくあしらった感じだ。
特に、デザイナーズ・ホテルっていうワケじゃないんだろうけれど、
どうせやるなら、ここまでやらなければ、という
アーティスト精神が色々なところに現れているのかもしれない。
路上、壁、また建造物、それぞれがメキシコらしい、
多彩な色を使った装飾が続く。パチパチとあれも、
これも、と写真を撮っていると、きりがないほど美しい。
ただ、到着した時は気がつかなかったものの、
帰る時、空港近くの街を見るとそれほどでもなかったから、
やはり海岸沿いの場所がそう造られているのだろう。
到着した当日、街を歩きながら、海辺に出ると、
ギターをつまびきながら歌う老人とパーカッションをする中年男性がいた。
スペイン語の懐かしいような素敵な歌をどんどん演奏する。
あまりに素敵で僕が「クルクク・パロマ」
(映画『ブエノス・アイレス』や
『ムーン・ライト』で使われていた)をリクエストすると、
喜んで歌ってくれ、お礼にビールをご馳走させてもらった。
このあと、僕のためだけに何曲も、何曲も歌ってくれて、
本当に初日から至福の時間を味わうことが出来た。
このあと行ったメキシコ・シティは、犯罪も多く、
決して油断してはならない、と聞いていたが、
ここプエルト・バヤルタは、まったくそういう気配はなく、
人々は親切で穏やかだったで、会う人、会う人が素敵だった。
観光名所はないものの、スキューバ・ダイビング、パラグライダーや、
水上スキーなど、海辺のリゾートだけあって、
マリンスポーツの選択肢は多かったようだ。
そう。僕はその中で乗馬を楽しむことにした。
ほぼ3時間ほど、山の中、川の中(まで、
馬を歩かせる)を楽しみながら、
ビールや軽食も含めて約4000円。
山に伸びる見た事のないほど大きな植物、そして南国の花。
川遊びをしている子供たち。そういう光景を見なが、
時には大きく駆け出す馬にちょっとだけビビりながらも、
一緒にずっと付き添ってくれていたカウボーイのホアン(45歳)のおかげで
とても楽しい時間を過ごすことができた。
ずっと二人でいたホアンは、本当に素敵な人で、
カタコトの英語で色々説明してくれたり、僕の写真を撮ってくれたりした。
彼は45年間、一度もこのプエルト・バヤルダを出たことがない。
メキシコ・シティまで飛行機で1時間半くらいだけど、
そこさえもなかなか経済的なこともあって行けない。
でも、こののんびりした暮らしが自分には合っていて、
一生ここから出なくて幸せだ、そんな事を言っていた。
旅ばかりしている自分のことを色々考えながら、
しっかりと地に足をつけているホアンがとっても素敵に見えた。
さて、何故友人がこの場所を強く進めたかと言うと、
欧米からの多くのゲイの人たちが集まる、
いわゆるゲイ・リゾートとしても有名だということだった。
僕はやっていないけれど、多くの観光客は
グラインダーなどSNSを通じて、
出会ったりしている人もいたようだし、
ゲイ・カップルが新婚旅行気分で来ている人も何組も見た。
確かにゲイバーも多いし、何軒かのホテルではゴーゴーダンサーや、
メンズ・ストリップ、ドラッグのショウもあった。
ストリップは、今のNYでは
もう観ることが出来ない全裸になるまでのショウ。
ちょっと際どいけれど、みんな明るくてかっこいい。
チップも、30円くらいから100円くらいのモノで、
とても楽しませてもらえるし、ダンサーの人数も多かった。
そうそう。僕が泊まったホテルで、
すごくイケメンのマッサージ師の
リカルドというコがいて、
彼のオイル・マッサージは本当に素晴らしかった。
1時間で2000円くらい。これだけゲイがいるんだから、
ちょっとエロい感じに?なんて期待したけれど、
さすがにまったくそうはならなかった(笑)
3年ほど前に行ったアメリカのプロヴィンス・タウンも
有名なゲイ・リゾートだったけれど、
まったく違う意味で、本当に素敵な海の街だった。
いつか、日本にもこんな素敵なゲイ・リゾートが出来るだろうか。
この海の街をぼんやり見ながら、そんなふうに思った。
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GAY BAR BRIDGE
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2017年05月27日
バタバタの中で
10周年にふさわしい、お客さんが