2018年06月23日

ペルーで考えたこと

去年、恒例のニューヨーク旅行に、
メキシコ、キューバ、
そしてブラジルに足を伸ばした。
そして今回、世界遺産としてここ10年ほど
多くの人が行きたいとしている
マチュピチュ(ペルー)に行くことにした。

数年前に、カンボジアのアンコールワットに
行った折、いわゆる秘境の地や
多少危ないとされるところは、
元気なうちに行ける時に行っておかなければ、
そう思ったのだ。
ただ、マチュピチュは、人気が出過ぎて、
人数制限を設けたり、ガイドと一緒にではないと
入れない、そういうことになったと言う。

結局、マチュピチュの入り口まで行けば、
ガイドをする人(特にスペイン語、英語圏用)は
たくさん客引きをしていたのだが、
日本を出る前などそんな事は知らなかった。
そして、今回、ペルーに入り、リマは別にして、
クスコ、マチュピチュのみ、ガイドをお願いする
ということにした。


リマ。
やはりリオやメキシコシティと共に、
物騒と言えば物騒、
バスには人が溢れんばかりだし、
ドアにぶら下がるように人が乗っていたり、
物売りがどんどんバスに入っていっては
出てくる。

東京、ロンドン、ニューヨーク、パリなどとは
まったく違う魅力を見せる南米の街。
まあ、そんなリマから飛行機から
1時間20分かけて行くのがクスコ。

クスコは真っ青な空と、
ひたすら坂の石畳に包まれた
標高3400メートル、という土地。

本やネットを見ると、高山病になった、
という人が少なからず半分かそれ以上いると聞く。
うちのスタッフだったマサヒロも
頭痛が大変だったと言うし、
他のお客さんも何人も辛かったと聞いた。

かなり心して、あらゆるところに
書いてあるように
大きくゆっくりと深呼吸を繰り返し、
出来る限り、ゆっくりと歩くように心がけた。

クスコからガイドを務めてくれた
僕と同世代の女性、サチコさん。
歴史地区と言われるアルマス広場に面した教会や、
太陽神殿、サクサイワマン遺跡、
マラスの塩田、モライ遺跡など
多くの場所に連れて行ってもらったが、
何が面白かったかと言うと、
彼女の生き方だった。


彼女は35年の前に、山岳部の女友達と
英字新聞の片隅の広告で見つけた
ペルーとアンデス山脈というのから
二人だけで日本をあとにしたらしい。

その当時は、日本政府からは
ペルーは「渡航禁止地域」なおかつ
「危険地帯」として位置付けられていたようだが、
彼女たちはまったくそんなことを
知るよしもなかったと言う。

マチュピチュの「マ」の字も、
まだ世間に晒されていなかった頃、
とにかく初めて訪れたクスコも
まったく観光地化されていなかったらしい。

そして半日かけて歩いて着いたのが
マチュピチュだったとのこと。
まだ世界遺産などになる前だったから
舗装されていない道と遺跡自体も
今ほど整理されていなかったようだ。

しかし、写真にも何も報道されていなかった
当時のマチュピチュ遺跡を目にした感動は
どう伝えたら良いか、わからない、
そうサチコさんは言った。

サチコさんは大層、クスコが気にいり、
そこに旅行に来ていた日本人男性と
「ここが生涯の土地」と心に決め、
結婚したのだそうだ。

当時は1日に一度だけ1時間流れる
NHKのニュース放送を
ラジオの凄い雑音の中から周波数を合わせて聞いた。
日本のNHKのテレビが
観られるようになったのなんて
15年ほど前だったと言う。


ほとんどの人たちは穏やかで優しく
(確かにそうだった)、
貧富の差が激しいため、
泥棒、スリ、置き引きはキリがない。
たぶん、クスコに住んでいる人たち100%が
泥棒に遭ったことはあるのだと言う。

買い物から帰って来たら、うちはもぬけの殻に
なっていた、なんて言うことは何度となくある。
それで落ち込んでいても仕方がなく、
みんな笑って過ごしているのだそうだ。

それから35年。子供さんたちはまだ学生だそうだが、
彼らはネットで日本のアニメやゲームに夢中。
たぶん、クスコでは、ほぼ日本と変わらないような
生活が出来ると言う。

泥棒はまだまだあとを絶たないようだ。
クスコでは、土壁の家屋のいたるところに
花びらや派手なマークと
スペイン語の数文字が書かれている。
あれは何かと彼女に尋ねると、
支持政党を壁にかかげているのだそうだ。

ペルーは、共和国でかつてのフジモリ氏も含めた
国民が選んだ大統領が行政を行使するらしい。
国民がストライキやデモに強く関心を持っているのは、
子供の頃から「何をどう考えるか」を教え、
授業の中で、自分の考えに基づいて、
デモンストレーションをする、
ということが行われているらしい。

とは言え、犯罪者と警察が結びついている、
という認識は強く
ある意味、誰も警察を信じていない、
サチコさんはそう言っていた。

一度、買っていたペットの犬が突然いなくなり、
警察に届けを出しに行った際に、
見つけた人に賞金を出すか、と問われ、
出す、と答えた数時間後に
警察官が犬を連れて来た。
賞金は警察に手渡したのだと言う。
もちろん、賞金目当てで
警察が犬を連れて行っていたことは明白だった。

本当に日本では考えられないことが
次々と起こる。

警察官はあまりにも賃金が安く、
そのぶん、アルバイトをしている人たちも多いと言う。
だから汚職もはびこっていく。

これはいくらなんでも、と前大統領が
警察の賃金をあげたら、
その瞬間に「警察よりもずっと長時間働いている」
とする、教員がデモを始め、
今年の頭、3ヶ月間、授業がなかったとも言う。

そんなこんなで、常識では考えられないことや、
酷いことも多いけれど、自然の豊かさや
全良な人々が多く優しい、ということ、
そしてのんびりとした風土、
それはサチコさん家族が
「もう少しこちらで暮らしていたい」
そう思うことなのだそうだ。

日本に住んでいて、当然だと思っていること。
「普通ならこうだろう」と思うクセ。
ある意味、民意、という言葉の元に
多数意見が正しい、と思わざるを得ない社会。
これも、今回の旅で、
改めて学んだことだった。


マチュピチュの遺跡は本当に「天空の城」だった。
人気のワイナピチュには登れなかったけれど、
それよりもさらに高い3061メートルもの
マチュピチュ山に登った際には
途中何度も引き返そうかと思うほど辛かった。

山登りなどほとんどしたことがない僕が
一段、25cmにも30cmにもなる石段を
100段も200段も登っていくのだ。
道ゆく人とは笑顔で挨拶しながら、
突然の雨や強風、そして日差しの暑さなど
3時間の中で体験しながら、
それでも、いつものように、こういう経験が
人生であと、何度出来るだろう、そう思った。

あと数年、いや、10年くらいは、
多少過酷でもトライして行きたいものだ。

とっても長文、失礼しました。

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2017年12月23日

2017年 初冬の旅行記 その7

12月10日(日曜日)

この日のマチネは、
前夜の「トーチソング」に続いて、
現代の同性婚をしたカップルと、
彼らに交わる男との関係を描いた
ゲイの舞台「アフターグロウ」を観た。
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オープニング、全裸で抱き合う3人のシーンから始まり、
シャワーシーンなどかなり際どい場面を織り込みながら、ドラマは流れる。
十分刺激的なシーンも今さらNY の観客にとって
特別でもないだろうけれど、
丸出しのベニスに僕はついつい目がいってしまう(笑)。

ただ30年前舞台の「トーチソング」とは違い、
ここには携帯電話があり、同性婚、
そして養子を取る計画など、いかにも現代だ。

シンプルな舞台だが、キャストが箱型のセットをベッドから、
テーブルやシャワールームに組み立てたり、と工夫されている。

話はゲイでなくとも、充分あり得る三角関係を描いているけれど、
特に目新しさはないながらも、3人のキャストはとても良くやっていた。
(露出という事だけではなく)
それを思うと「トーチソング」は、
本当によく出来た脚本だと改めて思った。


夜は「Glee」や「ウィキッド」で有名なクリスティンチェイノウスを
観にニュージャージーまで出かけた。
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地方都市の市民ホールのような場所だが超満員の観客は大騒ぎ。

7年ほど前にNYのバー”SPLASH”でゲストで見た以来だけれど、
来週には、アンドレア・ボッチェリと
マディソンスクエアガーデンでやるんだから彼女も大物なった。

会場に入ると、階段に並んだ若い子たち合唱で出迎えてくれる。
彼らは地元の高校生たちでライブ後半彼女と共に歌いまくるのだが、
緊張しながらも、あまりのノリの良さと歌のうまさにはビックリだ。

クリスティンは得意のミュージカルから、ジャズ、クラシックまで、
驚くばかりの高音を生かして、観客を熱狂させる。
敬虔なクリスチャンでもある彼女だけれど、
ゲイに対するサポートなども有名。
そんな話も織り交ぜながら、キュートで笑いが絶えないライブで、
ラストはホイットニーの、と言うよりも、
ドリー・パートン版の”Always Love You”で泣かせてくれた。


12月11日(月)

最終日に選んだのが、それこそ今日一夜限りという
豪華キャストによる「くたばれ!ヤンキース」。
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何故一夜限りかと言うと、慈善公演でリーディング形式。
とは言ってもキャスリン・マーシャル演出だから、
ダンスシーンなどはかなりしっかり見せてくる。

なんとウーピー・ゴールドバーグが
そもそも男性がやる悪魔の役
(前に『ローマで起こった奇妙な出来事』でも
男性がやる役をやっていた〉
さすがに迫力も見応えもある。

そして「Glee」のマシュー・モリソンに、マギー・ギンホール、
この3人にミュージカルファンにはお馴染みのダニー・バースタイン、
ビクトリア・クラークなどなど。
マシューの役が20代の野球選手というのは
さすがに無理かあるかなと思ったけれど(笑)
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以上が、今回の旅行記。

色々観ているようだけれど、今回は本当に
ブロードウェイの新作は「スポンジ・ボブ」1本にとどまった。

このあと、「真夜中のパーティ 50周年記念バージョン」
「エンジェルズ・イン・アメリカ」
「マイ・フェア・レディ」「回転木馬」のリバイバル
「アナと雪の女王」「ドナ・サマーのミュージカル」
そして「ハリー・ポッター」と怒涛のオープンが始まるので
また、夏を楽しみにしながら、
しっかり仕事しよう。

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2017年 初冬の旅行記 その6

12月7日(木曜日)

この日は、待ちに待った「スプリングスティーン・
オン・ブロードウェイ」ということで
朝からちょっと興奮気味。

昼間、舞台関連がまったくないのがNY滞在中、
この日と次の月曜日だけ。
(通常であれば、木曜日のマチネがある
ニュージャージーのペイパー・ミルという劇場に
行くのだが、今回は『アニー』ということで辞めておいた。)

朝からセントラルパークやその周辺を散歩、
そしてメトロポリタン美術館に向かった。
この時期のエキシビションは
「デヴィッド・ホックニー展」と共に
ミケランジェロの素描、そして彼が影響を受けた、
もしくは与えた数々の画家などの作品が
並んでいる。
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ゲイとしても有名で、まだ健在でもあり、
コンピューターを使った新しいアートに
夢中だという彼の作品は、60年代から、
現代まで幅広く、展示されていた。

その多くの作品に
恋人や男性の裸像が出てくる。
画集や、映画「彼と彼/とても大きな水しぶき」などで
目にしたあの絵も、この絵も、実際に目にできる喜び。
特にプールで泳ぐ青年の何展もの絵画や写真のコラージュ。
その鮮やかなブルーを目にしながら、
なんだかプールに飛び込みたくなった(笑)
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さて、夜はブルースの登場だ。
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通常は30分前から15分ほど前に劇場に到着し、
もらったプレイビル(キャストなど詳細がある小冊子)に
目に通しながら、開演のベルを待つのだけれど、
この日は1時間前に会場に着く。
驚いたことに、世界中から来ていると思われる
多くのブルース・ファンが劇場を取り囲む。

屋外でのポスターの写真を撮っていると、
ガードマンをやっている人が声をかけてくれる。
何と彼の奥さんが沖縄出身の日本人らしく、
日本語がなかなかうまい。

彼いわく「ブルースは、本当にいい人で
ファンを大事にするし、パフォーマンスも素晴らしい。
帰りにはちゃんとステージドアに出てきて
ファンには挨拶をし、日によってはサインもするよ、と。
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会場の中は若い人もいたが、圧倒的に40代から
ブルースに近い70前後の人でひしめきあっていた。
それにしても、1000席に満たず、
今まで数多くの舞台を観たこのブロードウェイの劇場で
ブルースを観ることが出来るなんて。

20時きっかりに始まったステージ。
いつもの10万人規模の大会場でのバンドでのライブと
その100分の一の観客を前にしたブルースは
自らの過去を、感情を、そして希望を語り、
自らのアコースティックギター、
そしてピアノを奏でながら、実に淡々と歌ってくれた。
それはロックンロールの王者という熱さよりも
さらに強いメッセージとして伝えようとしていた。
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”Growin' Up”から”Born to Run”までの魂がこもった15曲
(通常のライブでは30曲以上だったりするけれど)を
心ゆくまで披露してくれた。

そして、あまりライブでは聴くことがない
“Tougher Than the Rest”、”Brilliant Disguise”は
奥さんのパティと共に歌ったことが嬉しかった。

そして、ライブ終了後、極寒のニューヨークで、
楽屋口に集まるファンを前にパティと一緒に出てきたブルース。
ロンドンのライブで
ものの1メートルという至近距離で観ているけれど、
さらにここまで肉薄したということは初めて。

いい歳こいて、ここまでミーハーな気持ちになるのは、
世界広しと言えども、ブルースただ一人だろう。
握手することも、サインをもらうこともなかったが、
「ありがとう」言いながら、車に乗る姿は
40年以上も彼の歌を愛し続けて良かった、と心からそう思った。


12月8日(金曜日)

通常の金曜日の昼間など、ほとんど何も観ることができないのだが、
この日はニューヨーク・フィルの公演がリンカーン・センターである、
というので行ってきた。
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演目は、ウェーバー作曲のオペラ「オベロン」序曲、
そしてモーツァルトの「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと
管弦楽のための協奏交響曲」
この2曲が第一部。両方とも、僕は初めて耳にした。

そして第二部がベートーヴェンの5番。いわゆる「運命」これは完璧にわかる(笑)。
指揮者はNYフィルの音楽監督でもあり、日本人の血を引く
アラン・ギルバート。彼のコンダクトは良かった。
特に5番の第三楽章は鳥肌がたった。
思えばこの楽曲を生で聴いたのは初めてで、
レコードやCDで聴くのとはまったく違うことを改めて感じさせられた。


この日の夜は、年に一度、今、旬のアーティストが集い、
グラミー賞よりもパフォーマンスだらけの5時間という”Jingle Ball”を
去年に引き続き、マディソン・スクエア・ガーデンで。
昼間はクラシックで、夜はポップス・オン・パレード。
普通の人は、この人、頭、おかしいと思うに違いない(笑)
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出演者は、テイラー・スウィフト、エド・シーラン、サム・スミス、
チェイン・スモーカーズ、チャーリー・プース、デミ・ロヴァート、
フォール・アウト・ボーイズ、ホールジー、ジュリア・マイケルズ、
リアム・ペイン、カミラ・カベロ、ナイル・ホーラン、ロジック、
Why Don’t Weという14組が4曲から5曲演奏する。
みんな、今年のビルボード・チャートを賑わした連中だ。

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19時きっかりに始まったショウのオープニングはなんとまさかのエド・シーラン。
彼は後半だと思って見逃した人も多かったかもしれない。
まあ、その4時間半後、テイラー・スウィフトとデュエットは披露するのだが。
エドには、僕はメキシコでも、東京でもふられているので、これを観ることが
出来たのは嬉しかった。そして、彼の演奏は群を抜いて素晴らしかった。

また、元々それほど好きじゃないテイラーも、直に見ると、オーラ全開。
こりゃ、売れるわなあ、と納得。
ひと皮剥けたと思われるサム・スミスもチャーミングな歌声を披露し、
会場をしっとりした大人の気分で包んでくれる。
そんな中で驚いたのが、フォール・アウト・ボーイズのロックな迫力。
これを観て、来年の彼らの来日公演を行こうと決めた。

それにしても、終わったのが0時。
いつもながら、半分を埋めるティーンエイジャーが
この時間までいるNYは凄いなあと改めて思った次第。


12月9日(土曜日)
この日は、朝から季節外れの雪が降り積もり、そんな中、マチネで
メトロポリタンオペラ、モーツァルトの2本目の「魔笛」を観た。
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もう10年も前からやっていたJ.テイモア演出版(『ライオン・キング』
そしてこの前観た「M.バタフライ」の)なのだが、この「魔笛」実は初めて。
あらゆる部分で「ライオン〜]を彷彿とさせてくれる。
やはり彼女の衣装デザイン、パペットデザインはいちいち眼を見張る。

もちろん、聞いていた短縮かつ英語版と言うのはどうかと思ったし、
ドエストロ役がルネ・バーペではなかったという悔しさはあったものの、大満足だった。
それにしても、先日の「スポンジ・ボブ」と言い、
本当に惜しまずお金を使っている、というところが
NY観劇の素晴らしさだ。
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オペラ帰りに寄ったのが、同じリンカーンセンターのライブラリーで
この日から始まったレナード・バースタインの生誕100年を記念する展示会。
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彼の弾いていたピアノや生活の中で使っていたあらゆるモノ、
そして様々な功績をあらゆる角度から展示していて、とても興味深かった。

なおかつ、嬉しいのは「ウエスト・サイド物語」のコーナーや
「オン・ザ・タウン」「キャンテイード」にまつわる展示、
そしてアル・ハーシュフェルドのイラストに心踊った。
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夜は、オフで「トーチソング」のファイナル公演を観た。
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これ、映画にもなり、ゲイ舞台のバイブル的存在となっている
「トーチソング・トリロジー」のタイトルを変えたモノ。

5年前にロンドン版を観て以来。元々の脚本を書いたファイアスタイン氏が、
新たに書き直したとか、その後を描いたモノ、とかどこからか噂に聞いていたけれど、
そうではなくて、ほぼオリジナルと変わらなかった。

70年代から80年代にかけてのゲイ事情(自分を母親に受け入れてほしいと闘う
ドラッグクィーンの主人公と、既婚者ゲイとして生きる元恋人と彼らをめぐる人たち)は、
今のニューヨークのゲイの人たちにはどう映るんだろう。

僕にとっては、時間を超え、何度観ても、
この舞台が持つメッセージは胸を打つ、そう思えるのだけれど。
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posted by みつあき at 16:17| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月20日

2017年 初冬の旅行記 その5

12月5日(火曜日)

NYには朝、戻って来た。少しゆっくりしてから
14時からの“Gypsy of the Year”を観に行く。
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これは、HIVエイズのためのチャリティーイベントで
僕は去年、初めて観ることにした。
普通、火曜日の昼間は他の演目がまったくない。
だからこそ、ブロードウェイで上演している
あらゆる演目の出演者が登場し、歌い踊る。
5年ほど前から何度となく通っている
夏のブロードウェイ出演者たちのストリップ”Broadway Bares”と
冬のこのイベントは必見だ。

今回は「ライオン・キング」「オペラ座の怪人」
「キャッツ」「シカゴ」「アラジン」「ジャージー・ボーイズ」
「アベニューQ」「チャーリーとチョコレート工場」
何故かオフでミュージカルではない「アフターグロウ」
(ゲイのドラマだからだろう)などの面々だ。
そして、クライマックスは評判の「カム・フロム・アウェイ」の
オリジナルキャストが登場するシーンだ。

信仰を務める中の一人は、ローラ・ベナンティ。これも豪華。
客席は、若者から年配のゲイが多いせいか、
男性客が目立つ、というのもブロードウェイならでは、だった。
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この日の夜の演目は、”Once on this Island”
(邦題『アイランド/楽園伝説』)のリバイバルを観た。
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この初演を観たのが、僕が最初にNYに来た年。
あれから27年も経っているというのが信じられない。
初演版はとても楽しめただけに、今回はどうなんだろうと
少しだけ不安。
その後、日本で西田ひかる主演で観たのだが、
こっちのほうは、ほとんど覚えていない。

ただ、今回やったのは、リンカーンセンターの
ヴィヴィアン・バーモントと共に、大好きな円形劇場
サークル・イン・ザ・スクエアだ。

話はカリブの島で生まれ育った貧しい少女が、
富裕層の少年と恋に落ち、その二人を4人の精が見守るという話。

このミュージカルはとにかく楽曲が素晴らしい。
また、それだけではなく、出演者のアンサンブルの見事さ。
一見、ライトなデザインのセットも仕掛けがたくさんあり、
色の使い方も美しい。
本物の山羊やニワトリが出てくるのも驚いたが、
火や水の小道具の使い方も素敵だ。

「ミス・サイゴン」初演キムで有名なレア・サロンガは
もちろんいつもの美声を聴かせてくれたが、
驚いたのは「Glee」に出ていたトランスジェンダーの
アレックス・ニューエルがまさかの凄いハイトーンで痺れさせ、
大きな拍手を浴びていた。
結果的にはかなり出来が良いリバイバルだと言える。

12月6日(水曜日)

この日のマチネは、アメリカでは「ドラえもん」ほどの人気がある
と言われているアニメ「スポンジ・ボブ」のミュージカル化
“Sponge Bob Square pants”を観る。
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正直言って、まったく期待していなくて、
これを観るなら、何かオフのミュージカルでも、
と思っていたのだけれど、これがビックリ。
想像力に飛んだメチャクチャよく出来た舞台。

正直言って、数年前に凄いバジェットで作られ、
失敗した「スパイダーマン」のミュージカルと方向性は似ているけれど、
こちらは大成功だと言える。

お話もまったく飽きさせないほど楽しいし、
とても子供向けとは思えないすべてがアメイジング。
10分に一度はセットが変わり、着ぐるみなど
一切使わず、衣装やメイクも圧倒されるほどお金がかかっている。
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楽曲はハワイアン、ロック、ラップ、
そして本格的なゴスペルまである。
作曲者もジョン・レジェンド、シンディ・ローパーなど
多くのポップスターによるものでちりばめられている。
また、振り付けもヒップホップなダンスがあるかと思えば、
キャバレーショウさながらの多くのタップダンスも見せてくれる。
これは今年のトニー賞ノミネートだけでなく、
ひょっとしたら作品賞も取るかも。
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この日の夕方、久しぶりにMAD
(Museum Arra Desin}bに行く。
極彩色のモダンアートをあしらったキルトも良かったけれど、
ガチョウの羽や子羊のスエードで作られたクリーチャーが素晴らしい。
それにしても、ここに限らず、
美術館のお土産は、いつ来ても心惹かれてしまう。
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さて夜はメトロポリタン・オペラを観た。
今回は、ブロードウェイの新作が少なかったので
モーツァルトの2本を入れた。
まずは「フィガロの結婚」この日が今年の初日の公演だった。

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この演目は、演出家リチャード・エア
(映画『あるスキャンダルの覚えがき』はすごかった!)により、
3年前からオープンしていたけれど、僕は未見だった。
多くの演出の場合、音楽のみが流れる前奏曲で
エア版は、大きく回転する舞台上で、登場人物たちを
ひと通り見せてしまうという作り。
重厚な円柱となった編模様の鉄柱の中に見えてくる彼ら。

エアの演出の面白さは、あらゆるシーンで
発揮していたけれど、比較的退屈とも思われる
後半を華やかに盛り上げるところはさすがだ。

伯爵夫人のレイチェル・ウィリス・ソレンセン、
そしてスザンナのクリスティアーナ・カルクは、
高らかに歌い上げる、というだけではなく、
絶妙な抑えかたで、ため息が出た。
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posted by みつあき at 14:28| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月16日

2017年 初冬の旅行記 その4(リオ・デ・ジャネイロ編)

12月2日(土曜日)

3日目、サンパウロに住むうちのスタッフのレオンが
ブラジル人で日本語も話せる友人のブルーノを連れて
わざわざリオに来てくれた。

7ヶ月ぶりのレオンは少し太っていたが
ブラジルの生活がどれほど楽しく、充実しているかを
たくさん話してくれた。

チャイニーズのレオンは、東京に住む時に、
職場でも街にいる時でも、中国人だとわかった瞬間に
ちょっとした差別や、嫌な思いをすることが
1日に一度くらいはあったと言う。

特にものすごく悪い待遇を受けることはもちろんないらしいが、
ちょっとだけバカにされているような思いや、
見下されている感じがする、というのは
僕がNYで週に1、2度感じることに近いのかも知れない。

ただ、ここブラジルではまったくそういうことはないと言う。
あらゆる人種が入り混じり、開拓された土地だというけれど、
アメリカとは違うのかも知れない。
確かに僕も欧米でアジア人に対してちょっと味わう不快感は
ブラジルにいた間、まったく感じることはなかった。

さてさて、レオンとブルーノとは、コルバドールの丘に行く。
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ものすごい観光客の数だが、ブルーノに言わせると、
オリンピック時期に来た時は、今の3倍くらいの人間がいたとのこと。
キリスト像は映画などで観ているだけに壮大だったが、
結局街から見ることが出来なかったのが残念だった。

丘を降りてから、ブルーノお勧めのレストランで
ゆったりとブラジル料理を食べる。
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日本でブラジル・レストランなどに
行ったことがないだけに、
どれもが初めてで、美味しい。
ハパータと言われる牛肉の煮込み料理や、
パステルちいう揚げたパンのようなモノ、
カイビリーニャやインパッダなど
NYでは決して味わえないような食事だった。

そして一旦僕の部屋に着替えに戻ったあと、
3人でイパネマビーチに向かう。
レインボウフラッグが立っている場所には
多くのゲイ、そしてゲイフレンドリーなストレートたちが大勢いて
夏のキューバのビーチ同様、とても楽しかった。
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レオンたちがホテルに、そして僕が部屋に戻り、
3時間ほど仮眠したあと、夕食(夜はイタリアンにした)後、
“The Week"というゲイクラブに繰り出す。

僕がゲイバーではなく、ゲイクラブに最後に行ったのは
東京のアゲハが店始める前だったから、
もう10何年かぶりのクラブ体験。
ヒカルドやジエゴも月に1、2度来ているらしいが、
彼らに負けず劣らずのマッチョがわさわさ。
ほぼ7割くらい、と言っても過言ではない。
それもほとんどが上半身を脱いで踊ったり
喋ったりしている、抱き合ったり、
暗がりではあんなことも、こんなことも、なのだ。
もう、それは右を見ても、左を見てもエロエロ。
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今まであらゆる国のゲイ関連に行ったが、
ここまで筋肉に揉みくちゃにされたことはまずなかった。
特に何があった訳じゃないけれど、
まあ、この歳にしては十分な至福の時間。
結局、3人で朝4時くらいまで騒ぎ、帰宅して爆睡。


12月3日(日曜日)

この日、レオンたちは午後の便で帰ると言うので、
この日は、3人でコパカバーナのビーチに行った。
ビーチでチェアや傘を準備してくれた
アメリカ人のおっさんは、NYで仕事に失敗し、
すごくストレスを抱えたままリオに遊びに来て、
このリラックスした空間を気に入り、
ここ5年、コパカバーナの海でちょっとした賃金でも
ハッピーに暮らしていると言う。

メキシコやキューバに行った時もそう感じたけれど、
必ずしもお金持ちであることがすごく幸せで、
お金がないことが不幸であることではない、
こういう場所に来ると、つくづくそう感じる。

もちろん、貧困ということは、生死に関わるほどの
大きな問題がある。
食べられない、という次元にいたって
そう軽々しく語れることではないのも承知だ。

しかし、それでもその中でちょっとしたことで
腹の底から笑える環境を持てることと、
金を持っていても、自殺してしまうというストレス。
そこには、人間が考えなければならない
永遠のテーマが横たわっているのかも知れない。

ひとしきり楽しい時間を海で過ごして、
二人を見送ってから、その日の夜は
ヒカルド、ジエゴカップルと飲みながら
ゆっくりと話をした。
5年間、心から愛し合っていると丁寧に説明してくれる二人。
決して日本ではほぼ誰もが口にしない相手を敬い、
愛していると宣言するのが、ある意味羨ましくもあった。


12月4日(月曜日)

リオ最終日。
この日は本当はちょっと離れた国立博物館まで行こうとしていたが、
ジエゴの推薦で、オリンピック競技場あとまで路面電車に乗って向かった。
海に面している施設が、今でも観光スポットになっていて気持ちが良い。
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ここから一昨日行ったセントロを抜け、お土産屋が並ぶ
エスカダリア・セラロンという大階段に行く。
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この色鮮やかな感覚は、いかにも南国なのかも知れない。

このあと、山と山をケーブルカーで繋ぐポンジ・アスーカルに行く。
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残念ながら、晴れ渡っているワケではなかったが、
雲の多さがミステリアスで、それはそれで素敵だった。

十分に楽しんだリオだったが、
部屋を貸してくれた二人とは別れが名残惜しかった。
充実はしていたものの、やっぱり後ろ髪を引かれる気持ちで
リオをあとに、再びNYへ向かった。
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2017年 初冬の旅行記 その3(リオ・デ・ジャネイロ編)

11月30日(木曜日)

さて、ニューヨークから10時間。
リオ・デ・ジャネイロに到着。
前日に14時間かけてニューヨークに着いた割には
疲れなかったと言うか、行き帰りとも
とても楽に感じた。

とは言っても、リオと言えば、テレビを見ても、
ネットを開いても、行った人からの情報でも、
とにかく治安が悪いので
出来る限り用心するように、と耳にする。

人によっては、「え?何故にわざわざ
あんな治安が悪い場所に行くの???」と言うほどだ。

日本を発つ前に、耳にしたのは以下のような話。

手持ちのお金はあまり多くの金額ではなく、
かと言って少なすぎるのも怒りを買うので
それなりの額を(って一体いくらなんだ!笑)
ポケットに入れること。

携帯は出来る限り持ち歩かず、
仮に持っていても、路上で出した瞬間に
持っていかれることも頭に入れておくこと。

移動はタクシーか、ウーバー(事前に呼べる低予算タクシー)を
必ず行く場所、戻る場所の前で止めてもらい、
基本的には街を歩くな。
バスや地下鉄などに乗るなんてもってのほか。

ゲイクラブなどもあるけれど、
ドリンクも絶対手放さず持っていること。
でなければ、薬を入れられたりする可能性がある。

万が一、脅されたりしたら、とにかく
言うことを聞いて持っているモノをすべて渡す。
命だけは助かればそれでいいのだから、などなど。

そもそも、旅好きで、それほど怖い思いをしたこともなく、
結構ユルユルとした時間を過ごしてきたこの僕だけれど、
さすがに今回は上のような話にビビってしまって、
とにかく空港に着き、タクシーを選ぶ段から
どうしたものか、と不安になっていた。


僕が今回、お邪魔するのが友人からの紹介で
部屋を貸してくれたヒカルド&ジエゴカップル。

事前にメールでやり取りをし、
彼らが住むコパカバーナまではタクシーで40分ほどで
60レアル(2000円くらい)だと聞く。

タクシー乗り場で運転手にしつこいくらい、
60で行ける?とか聞き、笑ってOK、OKと言われて
車に乗ってからも不安だったりした。
今から思えば、笑ってしまうけれど。

ヒカルド(英語読みだとリチャード)は50歳超え、
ジエゴ(英語だとディエゴ)は20代後半。
とても失礼だけれど、二人ともまるでポルノビデオに
出てくるかのような超マッチョなイケメン。
とにかく、二人とも優しく、とても親切で
5泊6日の間、すっかりお世話になってしまった。
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彼らのアパートは海岸から5分、それも繁華街のすぐ真横にあって、
どれだけ便利なところなんだろう、と驚いた。

ヒカルドはテレビ曲のディレクター、
ジエゴはアパレル関係。
部屋は見事にオシャレかつ綺麗で、
僕に与えられた部屋も、
夏にメキシコでお世話になったカップル同様、
素晴らしいもてなしだった。
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彼らが何度か作ってくれた食事は
その身体を維持するための野菜や鶏肉を使った料理で、
基本的にはまず外食をしない、というのが
彼らの鉄則だった。
特に美味しかったのは、キノアとチキン、
卵、そして多くの野菜が入った健康フード。
そりゃ、こんな身体になるわなあ。。。

また、彼らのおかげで、そんなにビビらなくても
最低限注意していれば、まったく問題ない、ということを
教えられる。
もちろん、ブラジルに住む彼らだから、ということを
念頭におきながらだけれど。。。


午後にリオに着き、二人が仕事に出かけたあと、
恐る恐る街に出る。多くの人が行き交い、
ニューヨーク同様、白人、黒人、ラテン系、
多様な人種を目にする。
しかし、まったく目にしないのがアジア人。

日本人はおろか、旅行好きな韓国人、
世界中どこでも見かける中国人もまったく見ない。
結果的に僕が帰るまでの6日間、
有名なキリストの像があるコルコバードの丘だけで
数人の中国人を見ただけだった。

それだけに、アジア人は目立つ。
からこそ、最初のうちはとっても不安にもなったが、
結局、人通りが少ない場所に行かない限りは
ほぼ問題ない、ということはよくわかった。
とは言っても、たまたま運が良かったのかも知れない。
いずれにしても、これからリオに行ってみようとする人は
僕の言葉を鵜呑みにしないように(笑)
ただ、情報だけに踊らされるのも
本当にどうかとは思った。
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さてさて、なかなか賑やかなコパカバーナの街とビーチ、
その先にあるイパネマに入ると、少しお洒落
そして高級になる。
小一時間歩いて、さすがに疲れ、
コパカバーナ行きのバスに乗り帰宅。
さすがに疲れているせいか、早めに休んだ。


12月1日(金曜日)

翌日はリオ中心部にある国立美術館に行く。
他の国の美術館に比べると、とっても静かで人も少ない。
ただ、あまり目にすることはないブラジル絵画や彫刻の中で
ポルトガルから渡ってきた人たちと
先住民との関係性や暮らしぶりをちょっと知ることが出来た。
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そのあと、大教会カテドラル・メトロポリターナ
(ピラミッド方の教会内にある色とりどりのステンドグラスが美しい)、
そして黄金に輝くサン・アントニオ修道院をゆっくりと見る。
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最も危ないとも言われる中心部、セントロは多くの人が行き交い、
ここも注意さえ払っていれば、特に問題なく、
市民劇場やらマーケットやらを見て歩く。

結局、あらゆる場所で会話をしたりする
ブラジル人たちはみんな親切で明るく素敵だった。
この夏、メキシコや、キューバに行った時も感じた
南国のくったくのなさ。陽気さ。
もちろん、そこには貧しく少しのお金でも欲しいと
観光客を狙う輩もいるだろうけれど、
そういう人と接することがなかったのは
幸せだと思った。


街を歩いていると、とある劇場を見つけ、
そこに載っている舞台関連のガイドを見ると
シアタークイーンの地が騒ぎ出す(笑)
なんと「キンキー・ブーツ」が昨日まで
無料で公演をしていたことを知り、ちょっと残念な気持ちに。

僕は他の国に行き、観光地はもちろんだけれど、
その国の映画や舞台、コンサートなどから
文化の香りを感じ取りたいと思っている。
たとえ、言葉がわからなくとも、
音楽の響きや演出は、あらゆる言語の壁を
取り除いてくれたりもする。

いくつかの選択肢の中で、「ジョヴァンナ」というポスターに目がいく。
クラシカルな恋愛ミュージカルらしく、その絵面で
僕の食指が動く。
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地下鉄とバスを乗り継いで、辿り着くと
ちょっとしたショッピングセンターの3階とかにある小劇場。
日本でいうと、かつて日本橋の三越劇場を
もっと小ぶりにした感じだ。

入って驚いたのは、ものの30人くらいしか入っていない。
それも中年のおばさんたちがほとんど。
観客のほぼ半分が男性であるニューヨークやロンドンよりも
日本に近い感じだ。


さてさて、この「ジョヴァンナ」。
入っている人数はともかく、オケなし録音は
日本も今は多くはそうなのだから、わがままは言うまい。
ただ、マイクの調子もすこぶる悪い。

そして驚いたことに、ほぼセットらしいセットはなく、
うしろにあるスクリーンで静止画が映るくらい。
ライトもベタな当たり方で、う〜ん、これはどうなんだと
思い始める。
衣装も2丁目のドラッグのほうがずっと豪華、と思えるほど
ペラペラで安っぽい。

ただ、予算がかけられなくとも、キャストの歌声が
それを超えて入ればまったく問題なし。
そうは思ったモノの、歌手と言うか役者も素人に毛が生えた程度。
流れる楽曲もオリジナルではなく、有名なポップスや
クラシックの繋ぎ合わせ。

舞台好なんだから、どこか良い部分を探そうとすればするほど、
観ているのが辛くなってくる。

ただ、それでも微笑ましいと思ったのは、僕を除く
お客さんの多くが大満足というか、ブラジル人ならではの
拍手喝采。シュプレヒコール。
日本では決して感じることがないお客さんの熱さには
心を打たれる。

彼らが本当に心から感動しているのかどうかは
よくわからないけれど、いずれにしても
出演者や制作者をリスペクトし、
心から拍手を送るその姿こそ、
ちょっと冷ややかに観てしまう
僕たちが学ばなければならないことじゃないか。
そんなふうに思った時間だった。

この日は金曜日。部屋に戻ると、
二人の親友と言われるゲイの友人と女友達が来ていて
みんなでワインで乾杯。
とても楽しい一夜を過ごした。
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2017年12月15日

2017年 初冬の旅行記 その2

11月29日(水曜日)

この翌日、つまりブラジルに発つその日の昼間、
マチネでは「M.バタフライ」を観劇。
「水源」に続いて、これまたミュージカルではなく、ストレートプレイだ。
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この舞台劇は、かつてデヴィッド・クローネンバーグ監督による
ジョン・ローンとジェレミー・アイアンズ主演で映画化された。
西洋の白人男性が、東洋人女性に狂ってしまう、という
オペラ「マダム・バタフライ」をモデルに、
この作品は、結局は女装していた男に
操られていたという皮肉なドラマだ。

今回のリバイバルは、「ライオン・キング」
「スパイダー・マン/ザ・ミュージカル」
そして今回このあと観たオペラ「魔笛」などで有名な
ジュリー・テイモアの演出。

京劇や、中国人民軍のバレエなど、なるほど、と
思う部分はあるけれど、いつもよりテイモアのテイストは薄い。
上に書いた3作品は、かなり予算がかけられた
ビッグ・プロジェクトだったけれど、
これはそこまではかけられなかったからか。
もちろん、ところどころに彼女のテイストはある。
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主演のクライヴ・オーウェンは大好きな俳優だが、
映画で観るほどの華はここにはなかった。
まあ、原作の戯曲が、昔からモテたことがなかった男、
という設定だったから、それなりの役作りが
そう思わせたのかもしれない。
しかしながらも、白人男性の愚かさはしっかりと見せてくれる。

相手役のチャイニーズの俳優、ジン・ハは、これが
ブロードウェイ・デビューだと言う。
前日観た「水源」と同じく、惜しげもなく
舞台上で一糸まとわぬ全裸でも登場する。
日本の演劇事情とは違うから、
故意に隠そうとする部分がないのが潔い。

そう言えば、テレビのゲイドラマ「ルッキング」の
ドム役マレー・バートレットが出演していたのは驚いた。
彼さえも、ドラマほどのセクシーさが感じられず、
そう思うと、テイモアの人間を描くという部分の演出力が
少し欠けているからなのかもしれない、
そう思わされた。


マチネが終わり、向かったのがミッドタウンで
やっていた「ダウントン・アビー展」だった。
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去年まで夢中になって観た6シーズンモノの、
イギリスのテレビドラマだったが、
まさか数年経っているのに、
ニューヨークでエキシビションが行われるとは。

僕がもっとも好きだと言えるテレビドラマ「マッドメン」の
展覧会にも数年前行ったけれど、
共にファン垂涎のモノになっていた。

数々の名シーンを多くののブロジェクターで見せ、
その周りを衣装やセットでたっぷりと堪能させてくれる。
圧巻は、劇中何度も出てくる大広間の食事をするテーブル。
細かく見ていくと、まさに全時代からタイムマシンで
持って来たような装飾にうっとりさせられる。
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大型3画面に囲まれる部屋では、立体感がある
映像が流され、それとは別室の大型スクリーンでは、
ホストをク主人公のクローリー夫妻と、
カーソン執事カップルがホストを務めていて、
ファンサービスも怠らない。

こういう場所に来てつくづく思うのは、
ただの展示、ということではなく、お客さんを
驚かせ、胸踊るような細かい演出が随所にあることだ。
到着して約1日経過でこの満足度が有難かった。
posted by みつあき at 13:39| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年 初冬の旅行記 

今回も2週間、十分に楽しませてもらった。
その間にいらっしゃったお客様、そして留守を守ってくれた
スタッフに心から感謝しなければ。


年に2度、ニューヨークに行き、その時にオープンしている
ブロードウェイの新作を観る、というのが僕の決め事だったりする。

今回は、オープンが少なく、そのうちの1本
“The Band 's Visit”(映画邦題『迷子の警察音楽隊』は、
この夏、オフで観てしまっていたし、
リバイバルの”Once on This Island”(邦題『アイランド/楽園伝説』)も
オリジナルを20年以上前に観ているから目新しさはない。
唯一新作の「スポンジ・ボブ・ザ・ミュージカル」は
観る前までは、今ひとつ食指が動かなかった。

ただ、そういう中で最愛のブルース・スプリングスティーンが
ブロードウェイで連日ショウをやる、と聞いたのが
9月くらいだったか。
チケット発売前からものすごい評判で、
一次先行発売は、まったくかすりもしなかったようだ。

その後、二次発売の予約が始まり、
多くの人が取れなかった中、
運良くチケットが取れた。
半ば、この冬の旅行は別の場所に、
なんて思っていたけれど、結局、ブルースが
また今回僕をNYに呼んでくれた。
ではなければ、今回はリオだけだったのかも知れない。
というわけで、”Springsteen on Broadway”ついては、
また観てから書くことにする。


さて、リオ・デ・ジャネイロ。
この初夏に、いつも行くニューヨークよりも南、
メキシコとキューバに行ったが、
今回は初めてのブラジル、リオに
行ってみようと思い立ったのは前回帰国してからだった。

うちのスタッフのラファエルの故郷が
サンパウロだということもあった。
その明るい気質や、人懐っこいブラジル人と交流してみたい、
そして世界一エロい、と言われる彼らを
目の当たりにしてみたい、そう思ったからだった。
また、同じくスタッフのレオンがサンパウロに
仕事で行っている、ということもあった。


11月28日(火曜日)

リオに行く前に一泊だけNYに宿泊。
着いた当日に、ブルックリンにあるBAMという
総合芸術施設に初めて行き、
観たのが”The Fountainhead”(水源)という
ストレートプレイだった。

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演出家は、ここ数年、「橋からの眺め」や
「ヘッド・ガブリエール」などで注目されている
オランダ人のイヴォ・バン・ホーヴェ。
つい先日、来日公演した「オセロー」は観たが、
かなりシンプルなモノ、かつ字幕を読むのが大変で
なかなか芝居に集中できなかったということもあった。

この作品はゲイリー・クーパーが主演した
「摩天楼」という映画にもなっていることは有名。
僕は未見だったので、直前に見てみると、
これまた想像以上に画期的な作品だった。

とは言うものの、今回の”The Fountainhead”は
上演時間が4時間超えと聞いていたし、
来る前にアマゾンで買った原作だったが
あまりにも長い小説で、来る前までに読破するのは
無理だとわかり、読むのを断念。
加えて、NYに着いた夜にいきなりそれは
かなりキツイかも、と迷って買った一枚だった。

そんな少し気が重くしながらも、挑戦したのだが
これが驚くほど素晴らしい舞台だった。

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たった5日間の公演だというのに、
この金をかけたセット、スクリーンを多用しながらも
決して陳腐にならないこの演出は一体なんだ!

作品は闘志あふれる理想主義の建築家生き様を
ディープな恋愛事情とともに見せていく。
奥行きのある大きな舞台。
いたるところにカメラが付き、真上から、真横から
患畜かが細かくデッサンをし、建築物が爆破され、
全裸でセックスをするところまで、舞台上を移動する
幾つかのスクリーンに映し出される。
また舞台上のありとあらゆるところで、多くの出来事が起こり、
その多角的な見せかたに、ついつい唸らせられる。
ほぼ未体験の舞台演出だ。

分厚すぎて、放置してきた原作を帰国後すぐに
読みたくなるほどだった。
これはさすがに日本では体験できない。

posted by みつあき at 13:31| Comment(2) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月11日

愛しのハバナ その2

旅行記だけでなく、日々のブログも
書くことが山ほどあるのに、
店以外にやることが山ほどあって、
帰国後は映画も観られない始末。

楽しみにしてくださってる人がいると、
申し訳ない。

とりあえず、旅行記、続きです。


ハバナに飛行機が到着し、
それからはWi-Fiも通じないし、
荷物が出てくるのに
2時間も待たされた、などかなりヘビーな書き込みを
たくさん、ネットで読んで来た。

僕はそのために何冊か本を持ってきて、
携帯をバッグにしまう。
ところが、意外にハバナ入国は驚くほどスムーズ。
網タイツでミニスカートの職員が笑顔で
迎え入れてくれる。
本などまったく読む時間もなく、
空港の外に放り出された。

ドルからの両替は高いと聞くので、
メキシコの残りのペソと日本円を両替。
ただ、どれくらい替えたら良いのか、
皆目わからないので、とりあえず3万円ほど。
(結果的には、その後、両替することに。笑)

空港には旅行客を捕まえようと、
多くのCASA(いわゆる民泊)の人たち、
そしてタクシー運転手が待ち受ける。

一人のタクシー運転手に僕の滞在予定のCASA
(これは日本で予約ができた)の行く先を伝える。

キューバは外国人用の値段と現地の人の値段は
10倍ほど違う、と聞いているけれど、
ホテルはニューヨークばりに値段が高い。
これはごっそりと政府に持っていかれるから、とか。
比べてCASAは一泊10ドルから30ドル前後と格安。

タクシーも15キロくらい走っても、5ドルくらいだっただろうか。

僕が泊まるCASSAは、ネット経由で
日本から宿泊予約が出来たやはり一泊30ドル前後。
そして、宿の主はゲイの人。
宿泊客は、LGBTだけではなく、
もちろんストレート男性、女性などもいる。

僕の部屋はそれなりに広く、綺麗だったし、
バス、トイレも水洗で
まったく問題なかったけれど、
何故かこのバス、トイレだけが部屋の上にあり、
それがちょっと不便だった。


宿の主はゲイだと書いたけれど、
キューバは、かなりゲイに寛容で、
街で手を繋いでいる男性同士もいれば、
女性同士がキスをしている写真なども街にあったりする。

カストロの娘さんがLGBT権利活動家だとのことで
あちらの人は、誰がゲイだろうが、レズビアンだろうが
まったく気にしない、
僕が会った何人かのキューバのストレートの人たち
(タクシー運転手やバーテンダーなど)は
そう言っていた。

街に一軒だけある"VEGAS"というゲイ・クラブは
平日の深夜でもすごい人だったし、
そこではドラッグが口パクショウをし、
マッチョなGOGOが踊る、という様子は
ゲイはどこの国でも変わらない、と
改めて確信させられた。

ただ、現地の人たちは本当に貧しく、
多くの外国旅行者に飲ませてもらう、というのが
通常となっているようだった。

もちろん、彼らが買うと10分の1くらいなのだが、
旅行者が買ってあげると、当然旅行者料金。

これは、バスに乗っても、何をしても、
常に旅行者の料金だということが
ちょっと理不尽な気がしたけれど、
まあ、そこが社会主義なのだろうし、
それでも安いんだから、文句は言えない。

僕が最も驚いたのは、多くの人たちが
スマホを使っていた、ということだ。
あちらに行く前に、本やネット情報によると、
Wi-Fi環境も悪く、あてにしないほうが良い、と
書いてあったので、僕はPCも携帯も使わないつもりでいた。

ところが、どこもかしこも、スマホだらけなのだ。
彼らは3Gや4G環境で使っているのかは不明だけれど、
僕ら外国人はWi-Fiカードというモノを買って、
(5時間1500円くらい)、Wi-Fiスポット
(主に公園や大きなホテル)に行って、
Wi-Fiカードにある番号を入れて繋げる。

基本的にはほぼあてにせず、
あちらでは一切、ネットは使用しない、と
決めていたのに、僕は朝の30分から1時間、
店のやり取りや、ハバナ情報にアクセスすることにした。
もちろん、スイスイと繋がるかと言うと
そんなことはないのだけれど、
それでも中国などのようにツイッターや
Facebookに繋がらないということもなかったし、
情報見放題、という不思議な社会主義。

Wi-Fi事情はともかく、
ハバナは僕を含めて旅行者にとっては、
本当に素敵な街だった。
ヨーロッパや欧米の都市、ハバナに行く前に
行ったメキシコも、もちろん東京とは違う面を
たくさん見せてはくれるけれど、
ここまでありとあらゆることが違う、
と思える都市はそんなになかった。

とにかく、50年以上前に建てられたと
思うような古い建築物があり、
配給制度というシステムの中で
人々は暮らしている。

街を歩くと、ありとあらゆる場所から音楽が聴こえてきて、
街行く人たちは踊ったり、歌ったりする。
質素で決して裕福ではないけれど、
明るく優しいし、治安もすこぶる良い。

驚いたのは、もう20年前も昔に
映画化されて有名になったブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ
というビッグバンドの残った人たちや末裔が
集ってライブをしているということ。

サルサや、チャチャ、マンボなど
血湧き肉躍る音楽に老若何女が酔いしれる。
それに魅了されているのは、多くの観光客に
間違いないけれど、脇で観ている地元の人たち、
スタッフたちのノリがとっても良い。

そんなこんなで、毎夜、ライブに、ゲイクラブに、
と本当にリラックスし、楽しい日々だったが、
そんな中、明日にはハバナを発つ、という最終日、
サンタマリア・ビーチという
ものすごく綺麗なビーチでの出来事。

今までモルディブでしか見たことがないほどの
澄み切った海の青さに驚愕しながらも、
そこからさらに車で10分ほど行ったところは
ゲイが集まるのだ、とCASAで教えてもらえた。

レインボーフラッグが立つビーチで
旅行者、地元の若者がワイワイと楽しんでいる。

そこで目に飛び込んで来たのが
どう見てもアジア人のマッチョ君。
僕はキューバに着いて、日本人はおろか、
中国人や韓国人でさえ、ほとんど見なかったので
驚き、「どこから?」と声をかけた。

彼はタイのバンコクで、その驚くほどの筋肉は
なんとミスター・タイ(つまり、タイのボディビルのトップ)を
何年も経験している、ということだった。

話を聞くと、タイのボディビルダーの半分以上は
ゲイだとか。

彼はオーストラリア人、カナダ人の友人たちと
マイアミ経由で来ていて、そこにメキシコ人、
キューバの現地人たちが
加わって、本当に楽しい海での1日となった。

夜は現地の若い人たちが進めるレストランで
大勢で食事となったけれど、
これもまったく想像していなかったことだった。

キューバ人の若い人たちは
「実は一度、来てみたかった。
僕らはここ初めて」だと。
僕ら旅行者には飲み物を山ほど飲んで、
たくさん食事をして、30ドル前後と
決して高くはなかったけれど、
よくよく考えると彼らにとっては凄く高い食事だったのだ。

ヴェトナムに行った時もそうだったが、
どこが社会主義なのだろう、と思うほど
人々は自由に楽しく見える。

医療や学校は無料であることなどは
確かに素晴らしいけれど、
医療ミスは多く、学校も休んで仕事をしている
学生も多いらしい。

日本円で月、2000円前後の月収だそうで、
もちろん仕事もまったくない人も多いようだ。

僕ら旅行者からはまったく想像もできない
キューバの人たちの生活。
絶やさない笑顔の裏での彼らの日々は
なかなか想像ができない。

キューバに限らず、異国に行くと、
結局、僕らはただの一旅行者に過ぎないのだ。
仕方がないし、それでもちろん良いのだろうけれど。

いずれにしても、想像していた以上に、
あらゆる意味で、深い感銘を受けた旅行になった。



posted by みつあき at 21:36| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月04日

愛しのハバナ その1 ハバナへの道のり

今回の旅行で、最も楽しみだったのが、
キューバに行く、ということだった。

オバマ政権になり、アメリカの国交が回復し、
去年の暮れからアメリカからの直行便が出来た。
今後、アメリカ資本がどんどん入り、
スターバックスやマクドナルドが出来、
今までの古い町並みやクラシックカーが走る
ハバナの街は一層される、ということも
十分に考えられるから、行くなら今、
と誰もが言っていたのだ。
(ただし、僕が帰国後、トランプが
このオバマ案をくつがえし、また難しく
なっているという話が出ている)

日本を出る前に、NY→プエルト・バヤルタ→メキシコシティ
→ハバナ、という航空券が取れても、
何故か帰りのハバナ→ニューヨーク、というのが
この航空券と一緒に取れないのは不思議だった。

色々調べてみると、アメリカンとデルタという
2大航空会社からハバナ往復は出ているモノの、
実はアメリカからは「観光」
ということでは入れないと判明。

入国できないだけではなく、
キューバからアメリカへ戻るだけでも、
「観光ではない」という証明が必要とのこと。

家族に会いに行く、とか、宗教上のこと、だとか
政府関連など、13項目のどれかにチェックをして入国、
仮に違うとバレたら、飛行機には乗れない、と書かれてある。

メキシコ経由で、またNYへ戻っても良いけれど、
トランジットの時間など考えると
倍以上の時間がかかるだけでなく、
料金も高くなる。

ネットを調べてみると、
「ボランティア」ということにチェックを
入れたら、問題なかった、という人を見つける。
これは運、不運の問題かなあ、とちょっとビビりながらも
とりあえず、僕も「ボランティア」にチェックを入れて、
日本を出る前に、チケットをゲットしてみた。

まあ、そんなこんなで、ハバナへ向かうだけは
出来そうだと踏んで、心待ちにしていた。
しかし、それよりも前に、メキシコシティを出る時が
実は本当に大変だった。

メキシコでは、流しのタクシーよりも安全、かつ安い、
ということで、Uberを利用していたのだが、
出国時に、お世話になった二人の家から
乗ったUberの運転手のナビゲーションする
スマホの電池が切れてしまった。

そして、彼は空港までの道がわからないという始末。
車内で、右往左往する彼だが、クレジットで先払いされているから
降りて、他に乗り換えるというのも、と考えてしまう。

一応、空港には3時間前に到着するように、
アパートを出たのだが、彼の右往左往で、
どんどん時間が過ぎていく。

僕のスマートフォンは、Wi-Fi対応ではなく、
現地の3Gや4Gにはもちろん繋がらない。

運転手は何度も申し訳ない、と僕に言いながら
空港へとやっと着いたのが、2時間前。
何とかセーフである。

ところが。
メキシコで航空会社のデスクに行くと、長蛇の列。
自分の番が回ってくるのに、30分はかかる。

やっと僕の番。ところが
「メキシコのツーリストカード(いわゆるビザのような
モノ)を出せ」と言う。
ツーリストカード???
キューバへ入るのに、メキシコでツーリストカードが必要、
というのは聞いていたし、それはこの空港で買えるはず。
しかし、メキシコのツーリストカードとは何ぞや??

空港職員は「ある紙を見せながら、
こういうのって、入国時に渡されただろう?」と。

あ、あった、あった。もらった。
でも、それがツーリストカードであり、
出国時もいるなんて聞いていない。
いや、聞いたかも知れないけれど、
まったく覚えていない。

いやはや。
色々書類が入っているバッグを咄嗟に調べていても見当たらず。

「これは重大な問題。
すぐに階下にある入国出国審査の窓口に行って
再発行してもらってください。」と。

「時間、大丈夫か?」と聞くと
「とにかく、急いで」と。
僕はメキシコで買った大きなスプラクチャーがあり、
それと3週間分の荷物を詰めたスーツケースを
引きづりながら、階下の窓口へ。
ここがまた遠かった(笑)

そこで書類を書いて、いざ、お金を払おうとしたら、
「あ。ここの窓口、これから昼食時間。受け付けられない」と。

今さら言うな。

「この通路をずっと歩いていくと銀行がある。
そこで、この書類を出せば、支払いができるので
そちらに行ってください」と。

その時点で1時間を切ってしまっているどころか、
時計を見るとあと40分くらい。
また、荷物を持って駆け足でそちらに向かう。
ところが!!!
銀行も長蛇の列。

ここで僕は「もう無理。」
次の便は明日なんだろうか、とかなりダウンしてしまう。
そして、銀行に書くためのボールペンをとりあえず
出そうと、バッグに手を突っ込むと
なんと、ツーリストカードが!!!!

ってなワケで、もう銀行など用はない。
一目散に改めて空港会社窓口にUターン。

どんどん時間の過ぎていく中で、
意外に「大丈夫」と余裕のメキシコ人職員。

思えば、今まで数々の旅行の中で、これに似たようなことは
(特にヨーロッパや中東)何度も経験していて
(そのほとんどを忘れているから繰り返す。笑)
まあ、何とかなるさ、と腹をくくる。

厳しいのか、甘いのか、わからないような出国審査を通過して、
ゲートへ向かう。

結果的に、飛行機は1時間ほど遅れて、
ギリギリに着いたはいいけれど、待たされる始末。

だから旅行は面白い。
何があるか、わからないけれど、
自分の度胸試しにもなり、人生のアドベンチャーが
転がっているのだ。

そんな流れで、僕はキューバ行きの飛行機へ。
そして、魅惑のハバナは僕を待ってくれていた。


posted by みつあき at 15:31| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

2017年 夏の旅ブログ その2

さて、プエルト・バヤルタに続いて行ったのは、

メキシコシティだ。

週末の土曜日から月曜日のたった3日間だったけれど、

今回はホテルではなく、紹介してもらった

ゲイのカップルのうちにお邪魔させてもらった。


40代と30代のこの二人は、これまた素敵な

カップルで、40代のペペはアップル社に勤めており、

30代のセヘンは自分で蜂蜜を製造し、

食や美容にとアレンジして売っていると言っていた。


彼らは僕用にそのへんのデザイナー・ホテルよりも

素敵なひと部屋を用意してくれていて、

何と歯ブラシやら爪切りやらコズメ用品を

ひとつにまとめて置いてくれているような気の使いよう。


ペペと話していて楽しいのは、昨今の映像や

音響などのハードな話など、僕がまったく

知らない知識を見聞きさせてくれたこと。

そして何よりもセヘンは大の映画好きで、

どんな映画が好き?と聞くと、

アルフォンソ・キュアロン監督だと答える。

それも「ハリー・ポッター」や「ゼロ・グラビティ」より前の、

ということで、僕も実にそうだったため、

二人でYouTubeであらゆる予告編を見ながら盛り上がった。

僕のキュアロンのベストは「リトル・プリンセス」だと言うと、

彼は「大いなる遺産」だと言う。

あまり知られていない映画だけど、お互い渋いね、

と笑いながら、キャロンの映像の素晴らしさ、

「緑色」の使い方の意味など話していて、

すっかり時間が過ぎてしまった。


彼らが住んでいる場所は、東京でいう代官山のような場所で、

それこそあちこちにゲイバーがある。

誘ってもらっていたのだが、

初日はテンプル・マヨール遺跡だとか、

メトロポリタン大聖堂などを見て、

あまりにも疲れていて早く寝てしまい、

翌日もとある理由で行けなくなってしまったのが残念。


そもそも、今回メキシコシティを組み入れたのは、

エド・シーランというアーティストがライブをする、

ということでチケットを買っていたからだった。

とは言っても、僕は仲介業者から買っていたので、

チケットは現地で、ということになった。


ライブは実は土曜日だったのだが、何故か

僕はプエルタ・バヤルタぼけなのか、

日曜日と思い込んでしまっていたのだ。

そして、着いた日に、彼らのうちから歩いて

20分ほどの場所にあるスターバックスにチケットを取りに行き、

まったく日にちも時間も気にしないまま、

うちに帰って寝てしまった。


そして翌日、ライブの期待に胸を膨らませながら、

メキシコの美術館を駆け巡る。

プエルト・バヤルタでもそうだったが、

欧米で見慣れている絵画とは、

ひと味もふた味も違う荒削りでありながらも

印象的なモノが多く、強く刺激を与えられた。


で、ペペたちに教えられたとおり、Uber

(ものすごく安かった!)を飛ばして、

コンサート会場まで行って、そこで初めて、

前日にライブは終わっていた、と気づかされていた。


僕は旅に出る時に、かなり綿密な予定表を作って、

それに沿って動くようにする。

ただ、プエルト・バヤルタは、特にそういう事もなく、

あまりにのんびりとしていたからか、

そこで予定表もまったく見ることなく、

大きな勘違いが生まれたのだった。


誰もいない会場を前に愕然としながら、

Wi-Fiがないため、帰りのUberは探せず、

雨は降ってくるし、暗いメキシコシティのはずれの街を、

かなりビビりながら、歩いた。

やっと見つけたホテルで、こういう状態なんだけど、

Wi-Fiを貸してくれないかと頼むと

宿泊客だけだ、と旅行で初めて厳しい人を目の前にし、

ことごとく、ついていないこの流れについて

雨の中、考えた。

考えながら、いやきっとここまでついていない1日だけに、

必ず良い方向に行くはず、といつものように

自分に言い聞かせたりしながら、

雨をやむのを待っていた。

そこで、ホテルから出て来た男女の夫婦。

僕がWi-Fiでやり取りしていたのを見て、

Uberに乗りたいの?どこまで行くんだ?

あ、街までなら、私たちも行くから一緒に

乗っていきましょう」ということになり、

やっぱり神は僕を見放さなかった(笑)←お気楽


そんなこんなで、やっとの思いで、

ヘトヘトになってペペたちのうちに戻って行くと、

「どうだった?ライブは盛り上がった?」と笑顔でもてなしてくれ、理由を言うと、こうなったら飲むしかない、

とワインやパスタやサラダで、かなり疲れていた僕を癒してくれた。


そして自分の部屋に戻り、パソコンをあけると、

なんとエド・シーランはこの秋に日本に来日することが決定していた。

僕がパソコンをいじったその瞬間から日本で予約が始まったということ。

なんだかついているのか、いないのか、わからないけれど、

でも、今回メキシコシティに来て、

ペペとセヘンに会えたことだけで十分幸せだったのだ、

ということを改めて噛み締めた。


だって、思えば、前日のまさにライブの真っ最中、

僕はペペやセヘンと映像や映画、音楽について

熱く語り合っていたのだから。

ひょっとすると、シーランのライブと同じ、

いやそれ以上の価値があったのかも知れない。


たった2泊3日のメキシコ滞在。
観光は上に書いたふたつと、

2日目に行ったドローレス・オルメド・パティーニョ美術館と

近代美術館、そしてソチミルコという水上都市くらい。

なかなか大満足とは行かなかったまでも、

とにかく人との出会いが一番だなあ、

そう思えたメキシコシティ訪問だった。

posted by みつあき at 15:19| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

バタバタの中で

ここ一週間、母の一周忌も含めて、
かなりバタバタしており、
店内でも面白いこともたくさんあったのに
ブログに書けないまま、今、空港のラウンジにいて、
それも、もう30分で出発という状態。

今回は、来月の20日過ぎまで、という長旅に出て、
お客さん、スタッフ共々、大変迷惑をかけてしまう。

今年は、僕自身、大台に乗る、ということと(ビクビク)
店が10周年、ということもあって、
しっかりとあちらで視察し、
それを10周年パーティに活かせるように
頑張ろう、そう思っている。

と言うか、いつも旅行後でバタバタと始めるのだけれど、
今回は少しだけ早めに色々考え始めた。

10周年にふさわしい、お客さんが
あっと驚き、腹をかかえて笑えるモノにしたい、そう思う。


ってなわけで、長くお休みをいただきますが、
あちらで書ける時は、極力頑張って書くようにします!!!
行って来ます!

posted by みつあき at 10:23| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする