2020年04月18日

本日はミュージカル映画「ラスト5イヤーズ」

5年ぶりくらいに、地味なミュージカル映画
「ラスト5イヤーズ」を観た。

Unknown.jpeg

改めて観てみると、「ミュージカル」という
カテゴリーだけではなく、万人に勧められる
映画ではないと思った(笑)。

95%が歌、話の流れが掴みにくい、
ドラマも意外とありきたり、
これを観て、そう思う人たちは大勢いるだろう。

それでも、僕がこの映画が好きなのは
まずクラシカルでもあり、ジャジーでもある
ジェーソン・ロバート・ブラウンの
楽曲の素晴らしさ、
主演ふたり(アナ・ケンドリック、
ジェレミー・ジョーダン)の歌の表現力、
そして、ドラマの作りの面白さだ。

そもそも、これ、オフ・ブロードウェイで、キャスト
たった二人のミュージカルなのだ。

残念ながら舞台は未見だけれど、
YouTubeで画質酷いながらも、
オリジナルは観ることが出来る。


恋に落ち、結婚をし、
5年目で別れてしまう
ひと組の男女の話。

それを女性側は、別れた瞬間から、
出会いまで遡って描き、
男性側は、出会いから別れへと
交互に、そして逆に話は流れていく。

ある意味、これまた僕が好きな
クリストファー・ノーランの
「メメント」のような作りにも少し似ている。

しかし、それを知らずして観ると、
たぶん、なんじゃこりゃなのだ。

話がそこまで入り組んでいないのが
許せるとも思えるけれど、
サスペンスフルでもなく、
もっと言えば深みもない。

それでも、シーンごとにチェンジされていた
時空を飛んだシークエンスがラストで
ひとつになる演出は、やっぱり唸らされた。

ちなみに、主演のジェレミー・ジョーダン。
4年ほど前にニューヨークのライブハウスで
彼を観た時に、同席していたのが
彼の両親だったことは忘れられない思い出だ。

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2020年04月16日

本日の映画「鍵」

変態家族を描いた谷崎潤一郎原作の「鍵」は
70年代、80年代、90年代にも
一回ずつ映画化されている。
そのどれも僕は観ていなかったけれど、
今回、最も観たかった
市川崑監督の最初の映画化版を観た。

image.png

それにしても、このポスターの
「芸術か、ワイセツか、
日本中の賛否の嵐を呼んだ」っていう
コピーが笑える。

唇が重なるキスシーンがあるワケでも、
女性の乳首が見えるワケでも
セックスシーンがあるワケでもないけれど、
それでも当時は十分刺激的だったんだろう。
成人映画として封切られたみたい。


若き研修医の仲代達矢が関わるのが
美術鑑定師をやっている中村鴈治郎とその家族。
妻に京マチ子、そして二人の娘に叶順子、
お手伝いさん(当時はまだ女中と言われいた)には
北林谷栄という渋いキャスト。

勃起不全でこっそり医者に通う鴈治郎は、
妻の京マチ子が仲代と浮気をすることで
興奮出来るのでは、なんて考えている。
おまけに仲代は娘の叶にも手を出している。

語弊があるけれど、まるでエロ好きゲイのような、
あっちでも、こっちでもという図式が描かれる。

色々な感情がうごめく、この4人の食卓シーン。
その後、どんどん酒に酔って、
風呂で何度も失神する京マチ子の
釣り上がるような眉毛が怖すぎる。
ここで当時のノンケ男性はアガったのだろう。

image.png

しかし、ホント、この人、美人なのかブスなのか
わからない。この時、35歳!

鴈治郎なんて、どう観ても
おじいちゃんなのにまだ50代。
北林谷栄なんて、70くらいに見えて48歳だ。

それにしても、市川崑。
ある意味、棒読みのようで、無表情にも近い
キャストたちへのヘンテコな演出が
笑ってしまうほど、素晴らしい。

若い人が市川崑と言うと、知っているのは
ギリギリ「犬神家の一族」の横溝正史シリーズ
くらいだろうか。。。

「おとうと」や「炎上」(三島由紀夫の『金閣寺』)、
そして記録映画と言うよりも
アート映画の「東京オリンピック」
もちろん、ゲイ必見の「細雪」など、
オススメもたくさん。

この休みの間に、未見の市川崑を
たくさん観ようと思っている今日この頃だ。。。。

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2020年04月14日

本日のゲイ映画「セルロイド・クローゼット」

これが、ゲイ映画、と言うよりも、
映画が作られてから、1990年代までの
LGBT映画、もしくはLGBTを扱った映画を
見せながら、多くの俳優、関係者、評論家などが
解説をしていくドキュメンタリーを
久しぶりにDVDで再見した。

Unknown-3.jpeg

95年の映画だから、このあと
急激にLGBT関連の映画が増えただけに、
その直前まで、ゲイやレズビアンが
一般大衆の中でどういう扱いだったか、
そしてそれを乗り越えて、
いかなるLGBTムービーが
作られるようになったか、という映画だ。

70年代までの映画の中で
LGBTは、時には笑い者として、
時に被害者、犯罪者として扱われ、
多くの映画で殺されたり、自殺したりする。

また、「ベン・ハー」や「明日に向かって撃て!」
「愛と青春の旅だち」「羊たちの沈黙」
「スパルタカス」「理由なき犯行」など
普通に名作と言われている映画が、
どんなふうに扱われているか、
見ものだったりする。

中には当事者である脚本家や監督が
それとなく、何気ないシーンに
ちょっとしたエッセンスを入れたり
しているのが、おお!なるほど、と膝を打つ。

それにしても、素晴らしいのは
100本を超える映画の数々。
その情報量の凄さに圧倒される。
権利関係とか、どうなっているのか不思議だ。


つい先日、ここで紹介したTVドキュメンタリー
「テレビが見たLGBTQ」は、もちろん
全編テレビでのLGBTの使われ方と共に、
その変化を描いたものだったけれど、
この映画から多くのアイデアを
引用しているはずだ。

また、「フィラデルフィア」でエイズに冒された
ゲイを演じたトム・ハンクスや、
「噂の二人」で同性愛者だと噂吹聴される
シャーリー・マックレーン、
なんと先日「見知らぬ乗客」で紹介した
(この映画では『ロープ」)
ファーリー・グレンジャーまで登場する。

思えば、なんと中国映画版
「セルロイド・クローゼット」と言える
スタンリー・クワン監督の「男生女相」と
いうモノがあり、日本映画で
是非とも、そういう流れのモノを観たい。
たとえば、東映ヤクザ映画や、
日活アクションなんかのホモソーシャル的な
映画などを並べながら。
(お前が作れよとか言われそう。笑。無理。)

また、加えて、この映画以降の
25年間の歩みを含めた
続編を是非とも作ってもらいたいものだ。

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2020年04月12日

本日の映画「太陽を盗んだ男」

僕自身、非常に縁がある1本の映画、
「太陽を盗んだ男」を久しぶりに観た。

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どう縁があるか、と言うと
まず、これは僕が映画の学校時代に
エキストラ出演することになった。

ホントは暴動現場となるデパート付近の
群衆の一人だったはずが、何故か
身長高いから刑事になってくれ、と。

とは言え、人々を抑え込むという
ほんのちょっとの出演。

IMG_3235.jpg

22歳の自分の姿を、何十年後に
改めて観るのも、不思議な感覚。

そもそも、この映画の監督、長谷川和彦氏は
僕が行っていた学校校長、今村昌平監督の
助監督などをやっていた人だ。
そういう流れで、
僕たち学生たちは駆り出されたワケだ。

なおかつ、この数年後、僕は
シネマプラセットという映画会社に入り、
そこで作られた「陽炎座」という映画の
打ち上げで、長谷川監督と再会した。。。

それが、新宿2丁目に
近い池林房だったんだが、
長谷川監督と、松田優作が
取っ組み合いの喧嘩になったのも懐かしい。


はてさて、映画は、と言うと
キネマ旬報が選ぶ70年代の邦画で
ベストワン、とされているだけに
とても良く出来ている。

主演のジュリーこと、沢田研二扮する
理科の中学校教師が、原子力発電所から
プルトニウムを盗み、原爆を作る。

その後政府に、笑ってしまうほど
バカバカしい注文をつけ、
さもないと原爆を爆発させるぞ、
と脅すという結構めちゃくちゃな話。

彼と対峙する刑事のトップが菅原文太。
やはり、当時の文太はかっこいい。

文太が、追い詰めるジュリーの首を
うしろから羽交い締めにして、
「一緒にイコウぜ」と言うシーン、
監督はここで、ホモセクシャルな
雰囲気を出したかったらしい。

ふ〜む。ちょっと微妙だけれど(笑)

141769983820508639178.jpg

いずれにしても、映画全体が
ギラギラとエネルギーに満ち溢れている。

派手なアクションシーンが
あるかと思えば、政治批判もある。
あの手この手で原爆を作る
パートはなかなか見応えあり、
2時間半が、長く感じられない。

ちなみに、長谷川監督と一緒に
脚本を書いたレナード・シュナイダーは
先日ここにも書いた「Mishima」や
ポール・シュレイダー監督の兄貴らしい。
それを思うと、この映画が
ポールが書いた「タクシー・ドライバー」を
彷彿とさせたりする。

何だか40年とか、あっという間だなあ、
そう思った。

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2020年04月10日

本日のゲイ映画「マーシャ・P・ジョンソンの生と死」

1992年に自殺したとされている
ニューヨークのトランスジェンダーの
死因を追うドキュメンタリーを観た。

「マーシャ・P・ジョンソンの生と死」がそれだ。

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アクティビストだったトランスジェンダーの
マーシャが、本当に自殺だったのか、
ひょっとして、実は殺されたのではないか、
その真実を追い続ける一人のトランス女性、
ビクトリア・クルス。


これを観ると、ゲイやレズビアンよりも
ずっと最近までトランスの人たちは
物凄い差別を受けて
傷ついていたことがよくわかる。

70年代にLGBTのコミュニティーで発言を
しようとした彼女たちは
当事者であるゲイたちから
物凄い暴言、ブーイングを浴びせさせられる。


日本ではドラッグ・クイーンや女装家、と
言われる人の多くはゲイであり、
(マツコ・デラックスや
ミッツ・マングローブなど)
トランスジェンダーのM to F
(男性として生まれて女性であると
確信している人たち)は、
女装、ではなく、(はるな愛や、KABAちゃんなど)
単純に女性として
生きていきたい、と思っている。

しかし、この映画を観ると、アメリカの
トランスジェンダーとゲイのドラッグは
同一線上にあったりする。
今は違うかもしれないけれど、少なくとも
2000年前まではそうだったように見える。


いずれにしても、ストレートの子供たちが
ゲイの人間を「男オンナ」と揶揄したように、
男性性、いわゆるマチズモに憧れる多くのゲイは
ドラッグであれ、トランスであれ、女性的なモノを
否定する、そういう傾向は、日本でも、
いや、日本のほうが強いのかも知れない。

かく言う僕だって、かつてはそうだったから
今さら、こういう映画を観るとよく理解できる。

「性的にはまったく関心がない」という事と
女性的だから人としてもダメ、
という事をひと括りにして考えてしまうのだ。

だから、女性的な部分が少しでもあっただけで
否定的な感情が芽生え、それが差別にも繋がる。


「自由自在に生きる人」
(それはLGBTだけでなく、選んで生きる
ホームレスや、いでたちが変わっている人間も含めて)、
そういう人たちを、世の中の多くの人たちが
受け入れられない、受け入れたくない。
それは、「普通」という言葉に隠されている
個々の心の中にある問題なのだ。

いまだになくなっていない
「生理的嫌悪感だからどうしようもない」
そう言い切ってしまうことから生まれる偏見や
差別、それがそうでない人たちを
どれほど苦しめ、辛い思いをさせているのか。

自分自身の中にもある、深く暗いテーマを
この映画はえぐり出してくれた。

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2020年04月08日

本日の映画「21&22ジャンプストリート」

いよいよ、緊急事態宣言、発令。。。
昨日もそうだけれど、色々書き出すと
愚痴っぽくなってしまうので、
またまた映画のお話。


このブログでは、結構、暗め、固めの
映画紹介が多かったりするので、
今日はかなりオバカ、かつ楽しい映画を
2本立てで観たので、ここに紹介。

それが「21ジャンプストリート」
そしてその続編「22ジャンプストリート」!

20170503194346.png

高校時代、出来の悪いオタクな学友シュミットを
思いっきりバカにしていた
マッチョな学生ジェンコ。

シュミットは「マネーボール」とかの
太っちょダメ男のジョナ・ヒル、
そして、ジェンコは、男性ストリッパー出身で
「マジック・マイク」で有名なチャニング・テイタム
(かっこ可愛い過ぎる!)

彼らは卒業後、警察官養成学校に行き、
その後、またたく間に、警察官に
(ホント、またたく間。
ものの10分もないくらい!笑)。

そこから、何故か彼らはコンビを組み、
「21ジャンプストリート署」に配属され、
麻薬取引が横行している
高校への潜入捜査をすることになるっていう流れ。

この後、麻薬密売人との熾烈な戦いが
繰り広げられるんだけれど、
アクションというよりも
下ネタ満載の、かなりふざけたコメディ。

しかし、これがすこぶる良く出来ているのだ。

どのシークエンスも、
僕が大好きだったアニメの
「スパイダーマン:スパイダーバース」の
脚本を書き、「LEGOムービー」の監督でもある
フィル・ロードの演出が冴え渡っている。

特に、「22」と題されたパート2では、
二人は大学に侵入するのだけれど、
なんと1作目よりも出来が良い。

このコンビ、ゲイカップルに扮したかと思ったら、
マッチョなジェンコがアメフト部の男と
仲良くし過ぎるのにヤキモチを焼いたり。

麻薬捜査しているさなか、ヤクを
打たれて、二人がトリップするシーンは、
まさに「スパイダーバース」好きな人は
共感できる楽しだだ。

そして、最も見応えある、というのが
2作目のエンドロール。
これを観ただけで、お腹いっぱい、大満足。

それにしても、何故にこんなによく出来ている
アクション・コメディが日本未公開で
ビデオスルーだったんだろう。。。。不思議。


新型コロナ騒ぎで鬱々としている中で、
お楽しみくだされ。。。。

と俺も言ってる場合じゃないのだけれど。。

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2020年04月06日

今日の映画 "MISHIMA : A Life in Four Chapters"

先日、「三島由紀夫vs東大全共闘
50年目の真実」という
ドキュメンタリーを観た。
思想は置いておいて、三島がこれほどまでに
魅力的な人である、というのは目から鱗。

これは、映画としても、
とても良く出来ていて、
それがきっかけで、未見だった
35年前のアメリカ映画
"MISHIMA : A Life in Four Chapters"の
アメリカ版Blu-rayを早速アメリカから
取り寄せて、早速観てみた。

Unknown.jpeg

そもそも、当時「MISHIMA 11月25日・快晴」という
タイトルで日本で公開されるはずだったのが、
同性愛描写(そこまでか?と思う程度)に対して
当時の三島夫人が反対して、
結果的に劇場公開されなかった。

最近ではイーサン・ホークが出た
「魂のゆくえ」とか監督し、
「タクシー・ドライバー」の脚本家としても
有名なポール・シュレイダー監督作だけど、
全編、日本人俳優、日本ロケ(と言っても
セットが多い)、もちろん日本語だ。

映画はタイトルに表されたように、
四部構成になっており、
べースは、三島扮する緒方拳が、自決したその日の
朝からその瞬間までが描かれている。

そして、その合間に、彼が書いた
「金閣寺」「鏡子の家」「奔馬」が
三島自身の幼少期、少年期から、楯の会の
結成までを絡めながら、見せていく。

この映画の見どころは、なんと言っても、
石岡瑛子のセットデザイン。
映像と言うよりも、あまりにも見事な
完璧に舞台セット。

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三島の文章表現の美しさを
絵として表現すると、
こうなるのかも知れない。

メイキングで石岡瑛子は
「私は三島由紀夫が大嫌い。
でも、だから監督は私を使いたいと言った」
と言っているのが、とても面白かった。

それにしても、出演者があまりにも豪華。
三上博史、佐藤浩一、沢田研二、平田満、
永島敏行、大谷直子、萬田久子、李麗仙、
そして今は亡き加藤治子、左幸子、池部良、
坂東八十助(後の三津五郎)などなど。
当然ながら、みんな若い。

シークエンスをたくさん入れ込み過ぎて
散漫になっているところもあるけれど、
若松孝二監督が作った「11.25 自決の日」に比べると、
このシュレイダー版のほうが
三島像をうまく表現していた、僕はそう思う。

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2020年04月05日

本日の映画 ヒッチコック「見知らぬ乗客」

ヒッチコックの映画で、ゲイを
扱っている、と言われる3本のうちの
1本、「見知らぬ乗客」を久しぶりに観た。
(あと2本は『殺人!』と『ロープ』)

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それぞれ、二人の男の足が
タクシーを降り、路上から駅構内に入る。

次のカットでは、車内から映された
線路が映り、二方向に分かれる
一車線に向かって走る電車。

そのあと、前に写った二人の靴が
向き合って、コツンと当たるところから
映画は始まる。


60年以上前に作られたにも関わらず、
相変わらずヒッチコックの
スタイリッシュなタッチは
オープニングから興奮させてくれる。

ネクタイ姿のブルーノという男が
テニス・プレイヤーのガイに声をかける。

ゴシップ記事で、ガイが浮気を繰り返す妻と
別れたがっていることを知るブルーノは
「自分の父親を殺してくれるなら、
自分も奥さんを殺していい」
という交換殺人を持ちかけるのだ。

バカな話と笑ってすますガイだけれど、
ブルーノはその後、実行に移すべく
不気味に、そしてサイコパスっぽく
動き出す。

特にこの映画で決定的に
同性愛を描いている、という
シーンはないけれど、おそらく
ブルーノのガイに対する執着が
そういうように見られているようだ。

ちなみに、この原作を書いた
パトリシア・ハイスミス
(映画『キャロル』や『太陽がいっぱい』
『リプリー』の原作者)
彼女自身、レズビアンなのは有名だ。

また、ガイ役のファーリー・グレンジャー
(写真、左の役者で、上に書いた『ロープ』でも主演)は
私生活でも、ゲイだったという。

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面白いのは、女性への強い性癖があった、
と言われるヒッチコックが
本当に、ゲイ、ということを考えて
撮ったんだろうか。

いずれにしても、どの映画を観ても
粒揃いの傑作であるヒッチコック。
ホントに楽しい。

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2020年04月04日

本日の映画 ゲイ・ムービー「JONAS/ジョナス」

今日は、Netflixで「JONAS/ジョナス」という
フランス産のゲイ・ムービーを観た。

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人は、誰しも決して忘れることができない
一瞬というモノがある。
人によっては、それは大きなトラウマとなり、
また、人によっては、生きる原動力にもなる。

この映画は、同じ「ジョナス」という名前を持つ
ティーンエイジャーのハンサムな青年と、
疲れ切り、ボロボロになった30代の男が
主人公になっている。

1時間22分という短い上映時間、
フランスではTVムービー
として放映されたようだ。

この短さの中にギュッと絞られた
非常に味わいがあり、ある意味、詩的で
想像力を膨らませる描写が
ものすごく魅力的。

煙草、ゲームボーイ、顔に残る傷、
などなど、多くの比喩ともとれる
アイテムの見せ方も素敵だ。

やがて、この二人のジョナスの
関係がわかってから、映画は
どん底に、そしてそこから這い上がる
クライマックスに向かって走り出す。

若きジョナスのボーイフレンドのナタン、
その母親の存在が素晴らしい。
ナタンの弟を身籠っている
彼女が、いかに青年二人に対して
理解をしようと試みているか。
そのシークエンスだけでも見ものだ。

人に寄っては「なんじゃ、こりゃ」
という映画であることも否めないけれど、
個人的には、★4つ。



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2020年04月03日

本日の映画「同じ遺伝子の3人の他人」

Amazon Primeで無料配信されているドキュメンタリー
「同じ遺伝子の3人の他人」を観た。

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映画は、50歳を過ぎているボビーが
「まったく想像もつかなかった
私の経験をお話しします」と
画面に向かい語るところから始まる。

彼は19歳の頃、自宅から200キロほど
離れた大学へと車を飛ばした。

そこで学校に通う学生たちが
何故か、妙に馴れ馴れしく挨拶をしてくる。
ハグやキスまで。。。
それも、彼とは違う「エディ」
という名前を呼びながらだ。

結局、その「エディ」の友人が
彼に連絡をとることによって
なんと、このボビーとエディは、
引き離された双子だったことがわかる。

このニュースが新聞に載ると、
加えて、もう一人、彼らと瓜二つの
デイヴという男が現れる。

それぞれ、養子として育てられている3人。
養子縁組を扱う事務所から、それぞれ子供が
欲しがっていた家庭に分けて
預けられたということ。

三つ子だった、という事実は
それぞれの両親でさえ、知らなかった。
3人まとめて引き取る、という人が
なかなか出てこない、それが事務所の言い分だった。

別々に育てられた3人は、好きな食べ物も
女性のタイプも、体の動き、癖などもそっくり。

まるで一緒に育ったように、意気投合し、
出会えたことに歓喜する。

また、3人はありとあらゆる
メディアにとりあげられ、
テレビ番組でもひっぱりだこ。
ニューヨークでバーまで営業し、
大人気となっていく。

そして、それぞれ結婚をして、
これほど幸せなことはない、そう思う。

しかし、このあと、3人は
驚くべき事実に直面してしまう。


店をやっていると、驚くような話を
しょっちゅう聞くけれど、この映画のツボは
この3人の再会が辿り着く人間社会が持つ
とてつもない裏の顔だ。

そして、最も僕が面白い、そう思ったのは
人間の人格を作っているのは遺伝だけではなく、
生活環境である、ということ。

これも、あれも、あそこも、ここもこんなに同じ!!と
驚く本人たちも、観ている僕たちも
実は「まったく違う」というところから
目をそむけている、という事実なのだ。

そう。人はすべて違う。
ストレートも、ゲイも。
だから、面白いのだ。

Amazon Primeでどうぞ。
https://www.amazon.co.jp/同じ遺伝子の3人の他人-字幕版-N/dp/B07ZS7BS5G/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=同じ遺伝子の3人の他人&qid=1585907873&s=instant-video&sr=1-1

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2020年03月12日

お勧め映画「ジュディ 虹の彼方に」

昨日もブログをアップするのに右往左往
しているうちに、店のオープン時間が過ぎ、
本日も2本立て。


さてさて、前にも何度か書いたと思うけれど、
バーブラ・ストライサンドや、
ベット・ミドラー、ライザ・ミネリなど
ゲイ・アイコン(ゲイに好まれた、
もきくは崇拝された人たち)
の名前を挙げると
「聞いたことないです」という人が
とても多い昨今の40代より若い人たち。

先日も書いたユーミンも、日本では
トップ・オブ・ゲイ・アイコンと
言えるだろうけれど、彼女の曲を
店で流しても、90年代までの大ヒット曲も
若者たちは、ほとんど知らないというから
なるほど、そんなものか、と。

そんなゲイ・アイコンの最高峰に君臨するのが
ジュディ・ガーランドだろう。

その彼女の晩年を映画化した
「ジュディ 虹の彼方に」が
先週末から映画館で観られるようになった。


Unknown-1.jpeg

この新型コロナウィルスで
人が集まるところに行くな、と
言われているという時期なのが
ちょっと無念だけど、
公開されただけ有難いとは思う。

これを観ると、彼女が何故、
多くのゲイに支持されていたか
という謎も解けるはずなので
若い人たちも是非、観てもらいたい。


この映画、実は ”End of Rainbow"という
舞台を元に作られていて、
その戯曲をもとに、映画用にアレンジ、
脚色されているようだ。

ジュディ役の女優も加えた出演者が4人だけ、
というこの舞台、当時、僕が渡米した時には
丁度クローズしたばかりで、観られなかったのが
とても残念だった。


映画は、「オズの魔法使」の主人公に
抜擢された子役のジュディの過去映像などを
絡めながら、最後の大恋愛、
そして彼女の苦悩の日々が描かれている。

この映画で今年の
アカデミー賞主演女優賞に輝いた
レニー・ゼウィルガーの体当たり演技は凄い。

ジュディのファンだと
口パクのほうが良い、と思うはずの歌唱も、
まさかのここまで、と驚くほど興奮させてくれる。
なおかつ、メイクも含めて、
彼女の表情(特に額のシワ)、動きなどが
本当にそっくりだ。

そしてクライマックスの彼女のショウのシーンは
何度も観たくなるほど、グッと来る。
もちろん、ゲイのキャラクターも登場。

このちょっと鬱々とした日々の中で、
切なくも、ちょっと元気になる一作だ。

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2020年03月02日

本当の僕を教えて

何人かのお客さんには紹介したけれど、
先日観たNetflixのイギリスの
実在の双子の兄弟を描いたドキュメンタリー
「本当の僕を教えて」は
とても興味深い作品だった。

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双子の弟が18歳の時に交通事故で
記憶喪失になってしまう。
両親や過去の記憶もすべて
失ってしまった彼が覚えているのが
唯一、自分は双子であり、
兄の存在のみ。

そこから兄は賢明に彼にあらゆることを
一から教え始める。
自転車の乗り方、勉強の仕方など。
弟は家族のことなども色々聞くが
兄は旅行の写真などを見せ、
二人は幸せだったことを確認する。

ただ、父親は癇癪持ち。
母親は社交的だが、息子たちは
家の鍵は持たされず、
彼らは隣の離れの小屋に
住まわされている。

弟は両親の誕生日など派手に
祝おうとするが、兄は常にそっけない。
双子なのに、これほど違うのか、と
弟は不思議に思ったりする。

彼らが40を過ぎた頃、両親は次々と亡くなる。
双子は、両親の遺品を片付けに、
初めて二人の部屋に立ち入る。

兄は何も見ずに破棄しようとするのだけれど、
執拗にあらゆるモノを調べていく弟。

そこには、兄が決して思い返したくない過去と
どうしても思い出さなくてはいけない、
弟がそう信じた真実があった。

こう書くと、ホラー映画のように
感じる人も多いかも知れないが、
ホラーよりも恐ろしく、
そして辛く重い現実がある。

そこにある計り知れない欲望や、
憎悪や、苦悩を見て、
僕らはまた色々学ばされる。

ただでさえ、鬱々とした日々なのに、
こんな映画を紹介してしまって、申し訳ない。
次には楽しめる映画を。。。。

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2020年02月17日

37セカンズ

アカデミー賞が発表されたその日から
「パラサイト」をやっている劇場は
どこも混み合っているらしく、
それに続いて対抗馬だった
ワンショット撮影と評判の「1917」もヒット。

そんな陰で、ひっそりと公開されている
日本映画「37セカンズ」。

Unknown.jpeg

基本的にメディアに決して媚びない、
そう言われている坂本龍一氏が
絶賛している、という噂を聞いて
早速映画館へ行ってみた。

まったく中身を知らずに観たので、
主人公の女性が脳性麻痺で、
漫画家のアシスタント
(と言うか、ゴーストライター)をやっている、
というオープニングから
ちょっと苦手なお涙頂戴かと
少し引き気味で観始める。

しかし、母親からの手厚い
介護に感謝しながらも、
一歩外に踏み出したい、そう思って
アダルトコミックの編集部に
行ってから、彼女の人生は
少しずつ変わっていく。

中盤から、ドラマは思いも
寄らない方向へと運ばれる。
そこで表現されるのは、
幸福とは、自由とは一体何か、
ということだ。

家族の絆や人の受け入れ方、
信頼感なども含めて
描かれていくのだが、
それがまったく説教臭くない。
まさに、観客に媚びていない
制作姿勢に心打たれる。

監督のHIKARI氏は、
これが長編第一作、渾身の作品だ。

37セカンズ、というタイトルは
主人公が生まれた時に、
呼吸が止まっていた時間。
それが理由でこの病気になったのだ
ということだ。

決して大ヒットには繋がらない映画かも
知れないけれど、足を運んでほしい一作だ。

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2020年02月10日

アカデミー賞、発表

朝から今年のアカデミー賞の授賞式を観た。

Best-Picture-Oscars-2020.jpg

おおかた、下馬評通りと言えば、
そうだったけれど、
とにかくここでも取り上げた
「パラサイト 半地下の家族」が
まさかの作品賞、そして監督賞までも。

この映画、前哨戦と言われる多くの映画賞でも
作品賞を獲ってはいたものの、
過去、アカデミーで外国語の映画が
受賞したことはなかった。
増して映画の舞台も韓国のみ。

このところ、映画業界に乗り込んできた
Netflixの「アイリッシュマン」
「マリッジ・ストーリー」には
作品賞は行かないだろうと言われていた。

そして、やはり外国語ということで
「パラサイト」はないとすると、
「1971 命をかけた伝令」だろうと
僕もそう思っていた。

だからこの韓国映画初の受賞、
という快挙には驚きだけでなく、
今後、日本の映画業界も刺激になれば良いけれど、
そんなふうに思った。

今回の授賞式で僕が思わず
泣きそうになってしまったシーン。

監督賞を受賞したポン・ジュノ監督が、
尊敬するスコセッシ監督に
「あなたの『最も個人的なことは、
最もクリエイティブなことだ』という言葉を
とても大切にしている」と言い、
会場にいる人々がスコセッシを囲い、
スタンディングオーベーションになった時。

また、「ジョーカー」で主演男優賞をとった
ホアキン・フェニックスが
「自分にとって出来ることは、声なき人たちの
ために声をあげる機会があること。
男女平等や人種差別、先住民の人権を考え、
お互いに助け合うことが必要だ」
そんなスピーチを聞いた時だった。

日本のアカデミー賞やレコード大賞などで
こういったスピーチに胸を鷲掴みに
されたりしたことはない。

ありとあらゆる事に忖度をしながら、
という日本人の国民性は
本当にちょっと考えなければいけない、
そんなことを考えさせられた
素晴らしい授賞式だった。

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2020年02月03日

全編ワンショット映画のこと

今年のアカデミー賞でも、ひょっとすると
作品賞か、と言われているのが
再来週から始まる「1971 命をかけた伝令」
という戦争映画。

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ひと足先に観させてもらったけれど、
とにかく話題になっているのが、
最初から最後までカメラを止めることなく、
ワンショット撮影、
いわゆる長回ししている
(ように見せている、というのが本当のところ)
というのが話題の一作だ。

試みとして、この撮影方法、
個人的には緊張感もあるので大好きだし、
何より演劇畑でも高い評価を受けている
サム・メンデス監督
(『アメリカン・ビューティ』!)だけに、
すこぶる出来が良いのでお勧めだ。

もうずいぶん前だけれど、
テレビドラマの「ER」などでは
全編ではないけれど、
この手法をよく使っていて、
そのたびに興奮して観た。

とにかく俳優がとちったり、
カメラがおかしなモノを映したりすると
すべて最初から撮り直しなのだ。

全編と言わずにも、カメラが
ずっと何分も何十分も移動しながら、
多くの部屋や街を動き、そこに
人が話したり、動いているだけで
ドキドキしてしまう。

さてさて、そんな全編ワンショット
(のように見える、ということも含めて)
撮影された映画を調べてみると、
これが意外と多かったりする。

最も古くて有名なのは、ヒッチコックの「ロープ」。

Unknown.jpeg

当時は、撮影フィルムのリールが10分しか
もたなかったので、同じカットのまま、
繋ぎ目で、出来るだけわからない編集をしている。
ヒッチコックモノとしては
「見知らぬ乗客」と共に、
隠れゲイ映画としても有名なので
興味がある人は是非。


最近では、そのワンカット撮影
ということにこだわったことを題材にした
日本映画「カメラを止めるな!」で
その面白さに注目している人も多い。
(ただし、この映画は前半30分のみがワンカット)

Unknown-5.jpeg

同じ邦画では、「ライブテープ」
そして「アイスと雨音」というのが
全編ワンカットらしいけれど、僕は未見だ。

去年公開された「ウトヤ島、7月22日」は
ノルウェーで起こった銃撃事件を描いた映画で
サスペンスたっぷり。

Unknown-1.jpeg

また数年前に公開されたドイツ映画「ヴィクトリア」
というのが、知り合ったばかりの若者たちが
凄まじい一夜を過ごす、というこれまた
緊張感溢れるサスペンス映画だった。

Unknown-2.jpeg

近作では「バードマン あるいは
(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」という
長いタイトルのアカデミー賞映画も、
ほぼワンカットとして見せている。

Unknown-3.jpeg

アレクサンドル・ソクーロフというロシアの
ゲイ監督が撮った「エルミタージュ幻想」は
美術館を見事にワンカットで見せていくドキュメンタリー。

Unknown-4.jpeg

このあたりはなかなか評価が高いけれど、
画面4分割をそれぞれワンカットで撮影した
と言われる「タイムコード」
(リービング・ラスベガスのマイク・フィッギス監督)は
学生映画みたいと酷評(これは僕は未見)

Unknown-6.jpeg

いずれにしても、どこからどこまでが
本当にワンカットで、CGなどで
ごまかして作られているかは微妙だが、
なかなか楽しいので
良ければ、それぞれビデオででも是非とも。

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2020年01月29日

昔、あの日、あの時

もうすぐ、アカデミー賞の発表だけれど、
今年は"Little Women"
(日本題は「ストーリー・オブ・マイ・ライフ
/わたしの若草物語」
ってなんじゃ、こりゃ)が
作品賞などにノミネートされている。
昨夜の休みの夜は、予習も兼ねて、
1946年に公開された(70年以上前!?)モノを
Amazon Primeで観てみた。

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実はこの映画、僕が中学校の時に
大阪からわざわざ神戸の三宮まで
観に行ったことを覚えている。

記憶が定かであれば、この時に
2本立てだったのが、
ヴィヴィアン・リーの「哀愁」だった。
思えば、マーヴィン・ルロイ監督2本立て。
若きエリザベス・テイラーも良いけれど、
何度観てもジューン・アリスンが
素晴らしかった。

2本とも、その時代でさえ、
かなりクラシック映画だったけど、
名画座をかける劇場だったし、
なんとこんなに何十年も経っていて
細かいところまで覚えていたのには驚いた。

さてさて、僕はどこの映画館で
どんな映画を観たか
(これは舞台とかライブとかもそうなんだけど)
何故か、かなり鮮明に覚えている。

多くは一人なのだけど、誰と観たかも含めて。

昨今のことは、まったく忘れてしまっているし、
そんな事はどうでも良いのに、
特に20代前半までの記憶は凄い。

関西では昔「ぷがじゃ」と呼ばれた
「プレイガイドジャーナル」(関西版ぴあ
のようなモノ)があって、
それに丸を付けながら、
中学校時代は映画館を回った。

その時代、どこで何をやっていたか、
それを調べようとしても、さすがに
ネットでは出てこない。
これは国会図書館の新聞でも見ない限り
わからないのかも。

もっと人や世の中の役に経つことを、
とか思いつつも、いつかは
調べてみたい、とかくだらないことを考えた一夜。

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2020年01月15日

アカデミー賞ノミネート!

一昨日、今年のアカデミー賞のノミネートが
発表された。

11部門と最も多くノミネートされたのが
大ヒットしながらも、賛否意見が別れている
「ジョーカー」だ。

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今年の話題は、Netflix制作の2本の映画
「アイリッシュマン」と「マリッジ・ストーリー」が
作品賞にノミネート。
去年の「ROMA/ローマ」も作品賞か、と
言われていたけれど、多くの劇場関係者を含めた
映画業界の中で、配信サービスをやっている
会社のモノは、なかなか賞には結びつかないという話だ。

そんな中、前哨戦とも言われる多くの作品賞を
受賞しているのが、ここでも紹介した
「パラサイト/半地下の家族」だ。

ただ、過去、英語圏以外の作品が
作品賞にノミネートされても
一度たりとも受賞したことはないので
これまた難しい、そう言われている。

そう思うと、ゴールデン・グローブ賞の
ドラマ部門で作品賞を受賞した
「1917」の可能性が高い。
これは僕もひと足先に観させてもらったけれど、
戦場をひたすらカメラが主人公を
ワンショットで追いかけるという傑作で
十分、オスカー作品賞になってもおかしくない。

主演男優賞も、絶対と言われる
馬面俳優アダム・ドライヴァーは
やっぱり「マリッジ・ストーリー」
と言うことは、「ジョーカー」の
ホアキン・フェニックスに
なるのだろうか。

主演女優が手堅いと言われていた
「アス」のルピタ・ニョンゴはノミネートから落ち、
ゲイ・アイコンのジュディ・ガーランドを演じた
レニー・ゼウィルガーの頭上に輝きそうだ。

今年は例年よりも半月くらい早く
来月の9日に授賞式。
出来れば、また店でみんなと観られるようにと
目論んでいる最中。

楽しい一夜となれば・・・。

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2020年01月02日

2019年 映画ベストテン

去年も数多くの映画をスクリーン、
またテレビ画面で観ることが出来て、
恒例の10本枠というのが
なかなか厳しかった。

今年公開のモノで、先に試写などで
観ることが出来なかった映画は
入れなかったけれど、
先行公開されたモノや、映画配信サイトで
観た新作は入れることにした。
また、今年劇場公開をした
噂の「ROMA/ローマ」は、
僕は配信で去年のベストテンに入れたので
ここには入っていない。

ただ、順位を付けているものの、
あまり優劣はなく、どの映画も
強いインパクトと感動を与えてくれていた
とだけ書いておきたい。


1位
マックイーン:モードの反逆時

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去年のこれ、1本!というのは
かなり迷ったけれど、大好きな衣装デザイナー、
アレキサンダー・マックイーンの
このドキュメンタリーは衝撃的だった。
自分のやりたいことを追求する、という
アイデアと勇気をくれた1本。

***********************

2位
家族を想うとき

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ついこの前もこのブログで紹介した
ケン・ローチ監督の新作。
かなりヘビーな辛い映画だけれど、
この映画が持つリアリティは
他作品ではなかなか観ることが出来ないほど。

***********************

3位
サタンタンゴ

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僕が敬愛するタル・ベーラの作品で
ある意味、これが今年のベストとも言える。
7時間18分という長時間、
スクリーンに釘付けにさせられた。
一見、無意味とも思えたりもしながら、
美し過ぎる映像を眺めているのが
至福の時間だった。

***********************

4位
パラサイト 半地下の家族

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先行上映されていて、ブログでも紹介した
この韓国映画はあらゆる賞を
受賞していることがなるほど!
と思わせる傑作コメディ・ミステリー。
ネタバレ禁止、何も言わないので
とにかく観てほしい一作。

***********************

5位
マリッジ・ストーリー

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Netflix制作で「アイリッシュマン」と共に
年末限られた劇場で公開された。
結婚の難しさ、子供への愛を歌った
脚本の見事さには膝を打った。
オスカーに最も近いと言われる
二人の主演が本当に素晴らしい。

***********************

6位
キューブリックに魅せられた男

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キューブリック映画がいかに
素晴らしいか、というだけではなく、
彼を敬い、心まで捧げ尽くした
一人の男を描いたドキュメンタリー。
これも「マックイーン」と同様、
モノ作りの素晴らしさ、
そしてそこに賭ける執念を描いた傑作。

***********************

7位
女王陛下のお気に入り

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本当に変な映画を作り続ける
ヨルゴス・ランティモスの
やっぱり奇妙だけど、
ものすごく魅力的な映画。
下品でところどころでくすりと
笑わせるのは前作「聖なる鹿殺し」と同様。

***********************

8位

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え?これは何?という人も多いだろう。
Amazon primeで観ることが出来た新作。
一目を避けて暮らす父と娘が
やがて福祉局の監視下に置かれて、
という近未来のドラマだけれど、
これがものすごく良く出来ている。
劇場で観たかった1本だ。

***********************

9位
スパイダーマン スパイダーバース

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意外と思われるかも知れないけれど、
実写版よりもずっと楽しく観ることが出来た
3Dアニメーション。
とにかく発想、そしてコミックを模倣した
クリエイティビティが
いちいち興奮させてくれた。

***********************

10位
ワイルドライフ

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カナダを舞台にした地味ながらも
しっかりと作られた家族映画。
そう。「家族を想うとき」と
「マリッジ・ストーリー」を
足して2で割ったような作品。
ジェイク・ギレンホールが
めちゃくちゃ良い味を出している。

***********************

次点
「グリーンブック」
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言わずと知れた去年のアカデミー作品賞だから
観た人も多いかも知れない。
賛否はあるけれど、黒人でゲイのピアニストと
バンカラで差別主義者(だった)
イタリア系の運転手、という
キャラクター設定が最高。
よく出来た脚本だと思う。

***********************

さて、本当なら今年初めて
日本では劇場公開された
「WEEKEND ウィークエンド」は
僕はずいぶん前に観ていたので
今回は入れなかったけれど
数あるゲイ映画の中で指折りの1本だ。

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本来なら、ベストテンの数本に
日本映画も入れたいところだけれど、
今年は15本ほどしか観られなかったのと
僕が観た中でこれは、と
思えるモノが少なかった。

そんな中でも「愛がなんだ」と「岬の兄妹」は
強い印象を受けた。

ともあれ、今年も素敵な映画に
たくさん出会えますように。

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2019年12月28日

オススメ映画「パラサイト 半地下の家族」

本来なら来年公開なのだけれど、
一部の劇場で昨日から先行上映として始まった
韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。

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去年のカンヌ映画祭での大賞
パルムドールに輝いたのがこれ。

そして、まさかのアカデミー賞大本命に
近いとされるほど、全米のあらゆる映画賞で
作品賞、監督賞、外国映画賞など
総舐めにしている。

さすがに、オスカー作品賞はないだろうけれど、
監督、外国語映画は絶対とまで言われている、
それは何故か。

韓国だけではなく、日本、そして
世界中で問題になっている「格差社会」の
むごさ、凄さを、コメディタッチ、
かつサスペンスフルに描いているからだと思う。

映画に登場するのはふたつの家族だ。

家賃がすこぶる安いと言われる
アパートの半地下に住む低所得の家族。

もうひとつは、そんな彼らがひょんな事から関わる
高級な一軒家に住むリッチな家族。

ありとあらゆる手段でその富豪に近づき
少しでも金をむしり取ろうとする家族。

映画全編に出てくる階段、
そして水がありとあらゆるシーンで
象徴的に描かれる。

監督が、絶対にネタバレ禁止と強く
言っているので、
これ以上は書かないようにするけれど、
画期的な面白さに満ち溢れているこの映画。
正月に観るのにふさわしいかどうかは
ともかく、是非とも劇場で。

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2019年12月17日

お勧め映画「家族を想うとき」

この時期から、お正月にかけての
映画業界は「スター・ウォーズ」の
ファイナルや、「アナ雪」のパート2などで
賑わうんだろうけれど、
僕個人として、お勧めするのが
「家族を想うとき」という映画だ。

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これは、ハッピーになったり、
スカーっとしたりする映画じゃない。
そういう意味では、クリスマスや
お正月にふさわしいかどうかと言うと
違うのかも知れない。

ただ、年の瀬になり、
社会、家族、自分自身を
見つめ直す、という意味では
胸をかきむしられるような
気持ちになる重厚で大切な一本だと思う。

原題は、"Sorry, We Miseed You"
宅配業者をやっている主人公が
相手が不在の時に置いておくメモ
「来ましたが、いらっしゃいませんでした」
という定例文がこれだ。

と、同時にこの文は、家族それぞれの
「ごめんなさい。あなたをずっと想っています」
という言葉とのダブルミーニングとなっている。


フランチャイズとは言え、低賃金で
あくせく働く夫と、老人介護でこれまた
走り回るその妻。
まだまだ自分の生き方を模索し、
問題を起こす高校生の息子と
親と時間を過ごせないことに
寂しさを持つその妹。

職場で、宅配先で、介護先で、
そして子供の学校で。
想像を超えるような出来事が次々と起こる。

そのひとつ、ひとつが、
驚くほどのリアリティがあり、
僕らは、この日本の日常と
重ね合わせていかざるを得ない。


ケン・ローチという監督は、1960年代から
反権力をテーマにした映画監督として、
多くの映画を作り続けてきた。

2000年代に入り、「麦の穂を揺らす風」と
「わたしはダニエル・ブレイク」は
カンヌの大賞パルムドールを取ったりもした。

ローチは、前作で引退することを決意しながら
この作品を取らなければ、と
80歳を超えて、メガホンを取った。

彼が渾身の気持ちを込めて
作り上げた映画のラストシーンを
あなたはどう観るのだろう。

今年のベストの1本だ。

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