2023年09月18日

ビデオレンタル終了で思うこと

渋谷のスクランブル交差点の中心、
TSUTAYAのビデオレンタルが
来月いっぱいで、なくなると聞いた。

子供の頃から映画好きだった僕は、
映画館以外で映画を観られるのは
テレビの映画劇場だけだった。

日本語吹き替えで、なおかつCM入り、
その時間枠に入るように、
編集、カットされていたけれど
そういうことでも、当時は
十分有難いと思っていた。

大学になり東京に出てくると、
新作のロードショーだけではなく、
多くの名画座で安く映画を
観ることが出来た。

ただ、学校やアルバイトの合間を縫って、
時間に合わせて動くのは大変だった。


それから1980年代に入り、
ビデオデッキが生まれて、
ビデオ創世記が始まった。

当時はレンタルなんかなくて、
VHSやベータのビデオが1本、
1万円以上した。さすがに買ったことはないけれど(笑)

それから90年代、レンタルの時代に入り、
やがてVHSからDVD、Blu-rayに
移ってきて、販売もレンタルも
価格はすごく安くなった。

今回のTSUTAYAのレンタルをやめるのは
配信が主流になって、もうビデオを
借りに行く必要がなくなっているからだろう。

ただ、僕くらい映画マニアとなると、
テレビ録画しているDVDや、配信にはなく、
もうレンタルビデオしかない、
というモノをわざわざ借りに行ったりしていたのだ。

権利の問題などもあって、見逃したり、
もう一度観たいと思っても、
放映や配信が出来ない映画も山ほどあるのだ。

今はTSUTAYA DISCASという送付してくれる
サービスを使ったりしているけれど、
これがいつ頃まで続くかもわからない。

それを思うと、ちょっと切なくなる。
でも、こういう思いをする人間も
とっても少ないんだろうなあ、
観るモノは山ほどある時代だから。

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2023年08月07日

お勧め映画「インスペクション ここで生きる」

僕の若い頃の時代は、「ゲイ」という
アイデンティティを教えてくれたり、
そういう事実を識る、ということが
出来るツールなど何ひとつ、なかった。

ここ、20年ほどで、時代は変わり、
そのような自分と同様な人々が
存在する、ということを
何となく理解した人は今は多いだろう。

そんな世の中になっても受け入れたり、
絶対に赦すことが出来ない、という人も
どこにでも必ず存在する。

どこかの首相秘書官だった人のように。

日本ではそういう流れになっているが、
もう少し進んでいる、そう思えた
アメリカの20年前、アフガン戦争に
突入した頃。
そんな時代を舞台にし、軍に入った
一人のゲイの青年を描いた映画が
「インスペクション ここで生きる」だ。

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自分の愛する母親に受け入れられることが出来ず、
ゲイや薬物中毒の人間が集う
ドミトリーで半ばホームレス生活を
していたアフリカ系青年フレンチ。

彼は、それなりのお金が受け取ることが
出来る、と海軍の志願兵として入隊。
地獄の訓練生活に入る。

僕たちは、過去キューブリック監督の「突撃」
「7月4日に生まれて」「フルメタル・ジャケット」
のような過酷な軍隊でのしごきを
目にしてきたが、そこでのゲイ差別を
描いているのは珍しい。

やはり昔「ソルジャー・ストーリー」という
舞台劇の映画化にも、そういうシーンは
出てきたが、今回ほど
はっきりとは描かれていなかった。

これは、監督の自伝的映画だと言うから
これほどの事実があったのだということだ。
そしてリアルな辛いシーンをところどころに
観せながら、救いも感じさせるのは、
この監督がこの映画を作っている
事実なのだと思う。

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2023年07月24日

お勧め映画「close/クロース」

この夏は、ゲイ関連の映画が続々と公開されている。

その中で最もお勧めなのは、レインボーリールで
一度公開されて、一般公開を待ち望まれていた
「大いなる自由」

http://bar-bridge.seesaa.net/article/489952234.html

そして次にお勧めしたいのが「CLOSE/クロース」だ。

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これは、5年前にバレリーナになることを
夢見た15歳の青年を描いた「Girl/ガール」を
監督し、ゲイであることをカミングアウトしている
ルーカス・ドン監督が描いた映画だ。

とは言っても、これは「ゲイ映画」と
言えるのかは微妙。
フランスの田園都市で生活する13歳になる
少年で親友のレオとレミが主人公。

彼らは親同士も仲が良く、校内だけではなく、
学校の行き帰り、そして家でも寝泊まりを
するほどの仲だ。

ところが、ある日、学校でクラスメイトに
「二人は付き合っているのか。
恋人同士なのか」と聞かれる。

特にそんな意識もなかったレオは
動揺し、レミと距離を置くようになる。

今まで通り、仲良くいたいと思う
レミの切なく、悲しそうなまなざしは
見ているほうも辛くなってくる。

そう、このレミのまなざしだけではなく、
この映画は、レオ、そしてレミの母親など
非常にデリケートな視線の動きが
見事な演出となっている。

映画は大きな事件を挟んで、
二人の関係がどれほど大切だったか
ということが、しっかりと見えてくる。

二人が並んで自転車を漕ぐシーンが
何度か出てくるけれど、この二人の
息遣いが、田園風景に溶け込んでいる。

二人の少年だけではなく、彼らを見守る
家族たちの映画としても秀逸。


これに加えて「青いカフタンの仕立て屋」
というのも、シンプルながら素敵なゲイ映画。

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また、来月から公開される
「インスペクション ここで生きる」も
素晴らしそうだ。

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2023年06月07日

お勧め映画「怪物」

是枝監督の噂の「怪物」を観た。

IMG_2244.jpeg

この映画は、つい先日、カンヌ映画祭で
最優秀脚本賞だけでなく、
クィア・パルムという賞を受賞した。

それがなければ、この映画が
同性愛を扱っていることは知らずに
観ただろうし、そのほうが
驚いたかも知れない。

なんて書くと、ちょっとネタバレに
なってしまうけれど、少なくとも
受賞の知らせは、多くのメディアで
取り上げられているので
先に書いてしまったことは、
良しとさせてもらいたい。
(これ以降、そこについてのネタバレはなし)


脚本賞をとった坂元裕二氏は、
高く評価されたテレビドラマを数々手がけ、
(すみません。ほとんど観ていない)
一昨年、「花束みたいに恋をした」という
映画も大ヒットさせていたりする。

その手腕は、今回、時間軸をバラバラにし、
あらゆる登場人物を多角的に描き、
そこから見えてくるモンスターの影を
緊張感いっぱいに表現する。

ドラマは、息子を溺愛している
安藤サクラ演じる母親、
彼女から児童虐待だと訴えられる
永山瑛太演じる教師、
そして虐めを受ける小学生と、
人が見ていない場所で
彼と仲良くしようとする同級生、
その3方向の目線で語られていく。

そこには極悪なだけの人間もいなければ、
当然のように善良なだけ、
という人間も存在しない。

いじめや、虐待の裏側にあるモノ、
誤解する、されることの恐怖、
そして、隠さなければいけないと
思いこまされる理念。

映画は、人間それぞれの心の底にある
とてつもない怪物を描いている。

あなたの、そして僕の中の怪物は
何を破壊し、何を求めているのだろうか。

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2023年05月25日

改めて「老ナルキソス」が持つ可能性について

昨日、映画「老ナルキソス」についての
ブログを書いたけれど、
昨夜店に来てくれた
28歳のジュンヤと、
居合わせた30歳のマサオが
ブログを読み、僕が渡したチラシを見て、
とても興味を持ってくれた。

今日、偶然休みだという二人が
観に行ってくると言っていたけれど、
まだ若い二人がどんな感想を持つだろうか。

思えば、うちの店に来てくれる人たちも
映画については意見が色々分かれたりするのは
当然だけど、その話を聞くのは楽しい。


昨今のBLブームも含めて、日本のゲイ映画では
それなりに幸せな形や、ロマンチック、
もしくはエロチックな姿が多く観られるようになった。

中にはぶっとんだコメディもあるし、
またはすれ違いや相手を失う悲劇など、
男女の恋愛とほぼ変わらない形が
映画になっているのは、
時代だなあ、そうとも思う。


僕が、少しだけ残念なのは、欧米のゲイ映画に
ある「ゲイであること」という問題に
昨今の日本のゲイ映画で、
真っ向から描こうとしているモノは
少ないことだったりする。

それは、マイノリティとしての苦しみや悩み、
ということだけじゃなく、
ポジティブな意味でも
ゲイ・アイデンティティを
きちんと描く、ということも
すっ飛ばされてしまっている気がする。

もちろん、ごく普通の恋愛を描くことによって、
当事者や、ストレートの人たちが
微笑ましく思ったり、
共感することは
大切なのかも知れない。

しかし、そんな中で
「老ナルキソス」が持つ、
ありとあらゆる痛み、そしめ希望、
登場人物、それぞれが選択する人生の意味合い。
そこにガツンと来たのだ。

ある部分ではグロテスクに。
ある部分では比喩的なまでに
ファンタスティックに。

東海林監督が作られた同名の短編、
そしてそのあとに作られた短編「帰り道」でも、
狂おしいまでのゲイの感情が描き出されている。
この2本はU-NEXTでも観ることが出来る。

さあ、二人の感想が楽しみだ。

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2023年05月24日

お勧め映画「老ナルキソス」

評判の「老ナルキソス」を観た。

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ガツンと来た。

今までの日本で作られたゲイムービー
(監督はクィア映画と言われているようだが)の中でも
日本に住むゲイの実態をここまで
リアルに映画化したモノは
なかったのではないか。


映画は、熟年男性が、ウリ専の青年を買い、
ラブホテルで、ケツっぺたを血が滲むほどの
スパンキングを受けるシーンから始まる。

男は道行くホームレスを見て
「あんなふうになりたくないね」とつぶやく。

絵本作家として少し名を成した彼は
プライドも高く、口も悪い。

世間体のために結婚を選んだ男たちを
愚かだと失笑し、現在のLGBTパートナーシップ制度も
「家族ごっこ」とバカにする。

しかし、彼の中には、若い頃の自分への
回帰願望にも似たナルシズムと、
そこに戻ることが出来ない苦悩もある。

だから、ウリ専に心奪われ、彼と共に
生きたい、そう願ったりもする。

片や、ウリ専の青年は、自殺した父親への
苦い思いから、温かい家族感が理解できず、
同棲しているパートナーが求める関係を
受け入れるか悩む日々だ。


1980年代、公然とホモは気持ち悪いと言われ、
多くのゲイは結婚はまだかと聞かれ、
エイズが流行し、亡くなる人も少なからずいた。

そういう時代に生きてきた僕も、
この絵本作家の自由度とは違い、
自分を受け入れられず、悶々としていた。

人との出会いも、アプリで今すぐ
やれる、という現在とは違った。
雑誌の文通欄で3ヶ月経ってではないと
返信を受けることが出来なかった。
簡単じゃないし、面倒だったからこそ、
一度の逢瀬を信じたりもし、
濃い時間も過ごせた。

今思うと、当時、女性と付き合いながらも
結婚を選ぶこともなく、
まさか50歳を超えて、
ゲイバーを開店するとは
思いも寄らなかったことだ。


あれから40年以上経過して、
世の中は大きく変化した。

その流れの中で、自分はゲイとして
どう生きてきたのか。またはこれから
どう生きていくのか。
それをしかと問いかけてくれる作品だ。

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ちなみに、明日、5月25日、Bridgeは、貸切営業のため、
21時からのオープンとなります。よろしくお願いします。

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2023年05月15日

お勧め映画「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで
お馴染みのマイケル・J・フォックスが
パーキンソン病を患っていることを知ったのは
もう20年以上前だ。

彼は、この病気になり、苦しみながら、
「ラッキーマン」という素晴らしい自伝には
「それでも、この経験がなければ、
ここまで深くて豊かな気持ちになれなかった」
というふうに書かれていた。

それから長い時間が経過し、60歳を超えた彼の
自身の生涯と現在を捉えた映画ができた。

Apple TV+で数日前から配信が始まった
「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」がそれだ。

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映像は、30歳になったある朝、
指の震えを感じた瞬間から始まり、
それから幼少時代にさかのぼる。

背が低いということで、いじめを受け続け、
それを救ってくれたのが中学校の頃に
入った女子ばかりの演劇クラスだったようだ。

そこからテレビのチョイ役を受け、
食うや食わずの子役時代を経て、
「ファミリー・タイズ」という
ビッグヒットドラマの主演となる。

それがきっかけで、スピルバーグから
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のオファーを
受け、栄光への道を歩き始めたらしい。

このドキュメンタリーの最も凄いところは、
彼のその時、その時の行動を、
マイケルの出演した映像のシーンで
まるで「そのために撮影したかのように」
編集されているところだ。

童顔で、20年ほど前くらいまで
ほとんど変わらないからこそ、
この編集は生きてくる。

そして、合間、合間に挟み込まれる
トレーナーとの辛く苦しいリハビリテーション、
そして愛情に包まれた家族とのやり取り。

特に『ファミリー・タイズ』で共演した
女優との結婚への流れが興味深く描かれる。
そして、彼女と結婚後、2年ほどで
彼は発病してしまったのだ。

それをスタッフや共演者に悟られないように
震える指を隠すために、常にモノを
持って芝居をするシーンには驚かされる。


僕の友人にも、もう20年近く
パーキンソンを患っている人がいる。
彼の細かな日常をわからず、
ほんのたまに会ったり、
連絡を取っているだけだけど、
改めて本当に大変な病気であることを
実感させられた。

これと前後して観た俳優シドニー・ポワチエの
ドキュメンタリーも、彼が黒人として
どれだけ色々な事柄と闘っていたかというモノだった。
この作品もApple TV+だけれど、必見だ。

双方ともに、胸を打つのは、彼らを受け入れ、
そして応援し続ける家族の支援と愛だ。

人は決して一人では生きていけないのだ。


余談だけれど、2016年にマイケルは
コールドプレイのライブに登場したシーン
(これは映画にはない)も感動的だった。


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2023年05月07日

お勧め映画「帰れない山」

コロナ禍、お客さんからイタリアの
「帰れない山」という本を紹介されて読み、
非常に感銘を受けた。

今回それが映画化されて、
非常に素晴らしい一本となっている。

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これは、ミラノ(映画ではトリノ)という都会から
山好きな父親と共に、夏休み、モンテローザ山脈に
山登りにやってくるピエトロと、
そこで会った同い年のブルーノという少年との
出会いと、二人の成長を描いた作品。

山に夢を託し、常に一緒に登りたいという父親に、
どんどん不満を持つピエトロだが、
その山で育ち、巣立っていく
ブルーノの生き方に、影響を受けていく。

原作は、山岳小説とも言えるだけに、
山の描写、季節感の表現力が見事だけれど、
これが映像となると、圧倒的に
リアリティが出てくる。


この映画を観て、思い出したことがある。
ずっと大阪という都会で育った僕が
高校時代、地方都市の小さな山村で育った友人宅に
遊びに行った時に、あまりの日常の違いに驚いた。

いや、驚いただけではなく、そのシンプルで
くったくないことで爆笑する彼に、
伸び伸びとしたその生き方に、
強く羨望さえ感じていた。
それが性的なことかは置いておいて。


この映画は、決して同性愛をテーマにした
モノではない。
成人したそれぞれが、女性とも関わっていく。

しかし、そのホモソーシャルだけれど、
お互いを思いやる感覚が、妙に切なく、
心揺さぶられていった。


この原作を読み、そして映画を観ながら、
そうか、自分は性的なことだけではなく、
男たちに友情の延長線上のようなモノを
昔から求めていたのかも知れない、
そんなふうに思った。

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2023年04月30日

GWのゲイ映画

僕が若い頃、ゲイの映画、というのは
年に一度のLGBT映画祭(現在のレインボーリール)や
数ヶ月に一度劇場で公開される
モノくらいしか観ることが出来なかった。

でも、今は配信でしか観られないモノも
あれば、映画館でも一気にゲイが主人公や
重要人物の映画が続々と公開されていて
びっくりする。

今、上映されているモノでも、
今年のアカデミー賞で話題になった
「エブリシング、エブリウェア・オールアットワンス」
主演男優に輝いた「ザ・ホエール」
中国のゲイの男娼を描いた「マネーボーイズ」
NYのゲイコミュニティで「あの夏のアダム」
また、サスペンス映画の巨匠、シャラマン監督の
「ノック 週末の訪問者」
あと、日本でも大評判の「エゴイスト」
同じく日本から、養子をとった
ゲイ男性のドキュメンタリー「二十歳の息子」など。

これらの作品が一気に観られるとは、たぶん
世界広しと言えどえも、日本だけだと思う。

昨日、来てくれていたNYからの映画好きな
お客さんも、ミニシアター系も含めて
これほど映画の公開が充実している都市は
東京以外にない、そう言っていた。

映画好きには誇らしい言葉である。

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2023年04月05日

LGBTQ映画のベストテン

多くの映画が公開されているけれど、
僕が映画を選ぶ時に、自分が好きな
監督が作ったモノを優先して選んでいる。

その次、というか、その他で選ぶ場合、
Rotten Tomatoesというサイトで
高得点のモノは観ようとしている。
そこは映画批評家と、一般視聴者が
点数を付けたパーセンテージが表示される。

Internet Movie Data Base(略してIMDB)も
見てみるけれど、ここは配給会社やその知人らが
ポイントを上げたり、下げたり(同じ時期に
公開されるモノに対してなど)するので、
100%は信用していなかったりする。

さてさて、そんなRotten Tomatoesの中で、
LGBTQの映画のベスト200が発表されていた。

https://editorial.rottentomatoes.com/guide/best-lgbt-movies-of-all-time/4

一応、ベスト20まで、邦題で並べてみると
(未公開は英語タイトル)

1位 ムーンライト
2位 君の名前で僕を呼んで
3位 燃ゆる女の肖像
4位 ブックスマート 卒業前後のパーティーデビュー
5位 ペイン・アンド・グローリー
6位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
7位 パワー・オブ・ザ・ドッグ
8位 お嬢さん
9位 バトル・オブ・ザ・セクシーズ
10位 パラレル・マザーズ
11位 FLEE フリー
12位 ナチュラルウーマン
13位 制服の処女(1931)
14位 キャロル
15位 BPM
16位 Love,サイモン 17歳の告白
17位 チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー
18位 ゴッズ・オウン・カントリー
19位 Shiva Baby(2020)
20位 ムーチョ・ムーチョ・アモール:カリスマ占星術師ウォルター・メルカド

まったく知らない映画もあれば(特に日本では
未公開のモノ)、へえ、これが何故こんな上位に?
と思うモノもある。

特に僕が大好きでかなり影響も受けた
「トーチソング・トリロジー」や
中学校時代初めて観てまったくわからなかった
「真夜中のパーティ」(リメイクは入っている!)
そして自分がゲイだと自覚した頃観た
「メイキング・ラブ」など、200位にも
入っていない。

有名どころでは「ミルク」は25位、
「オール・アバウト・マイ・マザー」は39位、
「人生は小説より奇なり」は46位
「クライング・ゲーム」は49位
「パレードへようこそ」は55位
「ブロークバック・マウンテン」は60位
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は70位
「プリシラ」は80位
なんと「ブエノス・アイレス」は150位だ。

それにしても、100位の中で観ていないモノは33本。
う〜む、まだまだだなあと思ったりもする。

いずれにしても、観ていないモノは
配信などで追いかけて観ていこうと思う。

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2023年03月15日

第45回アカデミー賞授賞式 その2

前回のブログでは、今年のアカデミー賞の
俳優たちについて書いたけれど、
今回はそれ以外で印象的だった部分を。

何より、今回は出ないと言っていた
レディ・ガガが、「トップ・ガン:マーヴェリック」の
主題歌をほぼノーメイク、黒Tシャツ、
敗れたパンツで、アコースティックで
歌ったのには驚いた。
やっぱりうまい!
そして、ある意味、この人らしいなあ
そう思った。

その主題歌賞をとった「RRR」は、
主演の二人が会場に来ていたのに、
歌わないのはともかく、
せめて映画そのままのダンスを
観たかったのに、これは残念。

ただ、これを受賞したインド人作曲家は
受賞スピーチで、大好きだという
カーペンターズの
「トップ・オブ・ザ・ワールド」を
今回、自分がトップになったことの
替え歌として歌ったのが素敵だった。

作曲賞にノミネートされていた
ジョン・ウィリアムズは、91歳。
功労賞くらいな感じで獲らないかと
思ったら、そうは甘くはなかった。
まあ、何度も獲っているからなあ。

年齢と言えば、作品賞の「エブリシング〜」で
ミシェル・ヨーの父親役ジェームズ・ホンは
ノミネートなどされなかったけれど、
94歳だと言うから凄い。
日本の仲代達矢氏もまだまだ
頑張ってほしい。

高齢で生きている人もいれば、
若くして亡くなる人もいる。
亡くなった人を追悼するコーナー
メモリアルの司会はジョン・トラヴォルタで
彼が涙ぐんで紹介した最初の故人は
「グリース」で共演した
オリヴィア・ニュートン・ジョンだった。

そして、後半、最も胸を打ったのが
ドキュメンタリー賞の最優秀賞を
獲った「ナワリヌイ」の受賞シーン。

この映画は、ウクライナ戦争も含めて
プーチンを強く批判した男、ナワリヌイを
追った映画だった。
映画のラストでロシア政府に投獄された
本人の奥さんが息子、娘と共に
監督に連れられて、授賞式に登場。

「彼のメッセージを忘れることなく、
私たちの国が自由になることを願っている」
と志し高い強いメッセージで訴えた。

日本でこういう華々しいエンタメイベントで、
決して政治関連の言葉を聞くことはない。

過去の授賞式でも数々のスピーチが
話題となった。
日本人が自由にこういうメッセージを
発する時代は来るのだろうか。

そんな色々なことを考えた
今年は素晴らしいセレモニーだった。

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2023年03月13日

第95回アカデミー賞授賞式 その1

今年もアカデミー賞が放映された。
コロナ禍で2ヶ月遅れた93回に続き、
まだオン・ザ・マスクの客席、
そしてウィル・スミスの平手打ち事件で
後味が悪かった去年の94回。

この2年に比べて、今年は十二分に満足出来る
ある意味、色々な意味で感動的な授賞式だった。


最も注目だった「エブリシング、エブリウェア・
オール・アット・ワンス」という覚えにくく、
伝えにくいタイトルで、ほとんどが中国人キャスト
という作品が、10部門11ノミネートで
作品、監督ほか主要部門も含めて7部門も受賞した。

正直言って、僕はこの映画、初見では
面白さがよくわからず、ただ、ただ
ガチャガチャとしたマルチバース感に疲れ切った。

しかし、僕の好みかどうかは置いておいて、
2度目の鑑賞でなるほど、多くの人が魅了される
という理由が理解は出来た。

とにかく、この映画で受賞した主演、助演の3人、
そしてノミネートされたステファニー・シュー
(彼女は歌曲賞でも歌を披露していた)は
作品内で、凄まじいまでの演技力を披露している。

特に、助演男優賞を取ったキー・ホイ・クァンは
「インディ・ジョーンズ」や「グーニーズ」の
子役以降、なかなか泣かず飛ばずで
「難民だった自分がここまでなったのだから
君たちも決して夢をあきらめないで」と
声をつまらせながらのスピーチは素晴らしかった。

加えて、この映画の作品賞を手渡した
ハリソン・フォードと彼のハグは
「インディ・ジョーンズ〜」の時の
抱擁と重なり、泣かされた。

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その光景を見た客席にいたスピルバーグは、
彼の自伝映画『フェイブルマンズ』が
ほとんど受賞しなかったのにも関わらず
本当に嬉しそうだったのも印象的だ。


また、同じ映画で助演女優賞を受賞した
ジェイミー・リー・カーティスは、
過去作はホラーも含めたエンタメ映画ばかり。

今回、多くの中国人キャストの中で国税局の
鬼職員を嬉々として演じていて、
まさかの受賞で
これまた体いっぱいに喜びを
現していたのが微笑ましかった。

両親が共にオスカー俳優の彼女は
「遂に取れた!」と天を仰ぎ、
打ち震えるシーン、ここももらい泣きだった。

加えて同作品から、主演女優賞で
勝ち得たミシェル・ヨーも、
多くのアメリカ映画に出ていたチャイニーズだけれど、
オスカーとは無縁だった人。
以上の3人は失礼ながらも、ここで
オスカーを取らなければ、
もう取れないだろうと思われる人たちだ。

その俳優部門で、僕がとても嬉しかったのは、
「ザ・ホエール」で過食症の教師を
演じたと言うブレンダン・フレイザーの
最優秀主演男優賞。

彼は「ハマナプトラ」などで人気を博したあと、
僕が個人的には大好きなゲイ・ムービー
「ゴッド・アンド・モンスター」で
素晴らしい役を演じたりしていた。

しかし、男性からのセクハラで映画界から
遠ざかっていたようだったことは
今回、僕も初めて知った。

そういう辛さを乗り越えての受賞は
その表情からたっぷりと伺えた。
受賞は逃したものの、彼と同作で
共演したホイ・チャンが客席で
泣きながら大きく微笑んでいたのが印象的だった。

いずれにしても、今回の俳優賞、
それぞれの長い道のりとストーリーが
まるで映画のようで、そこが
エモーショルだった、そう言える。

さて、オスカーのことを書き出すときりがないけれど、
続きは、あと、もう少し続きます。
また次のブログで。

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2023年02月24日

お勧め映画「逆転のトライアングル」

リューベン・オストルンドっていう
スウェーデンの映画監督がいる。

この人は「フレンチアルプスで起きたこと」
そして2作目「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
の2本で、不可思議で残酷だけれど、
先がまったく読めないサプライズの中で
独特な風刺を、とくと見せてくれた。

上のような流れに、スウェーデン映画?と聞くと、
なんだか小難しそうな感じがするけれど、
基本的には、ブラックなエンターテインメントとした
作りになっているから大丈夫。

ただ、かなり過激、下品、下劣という
ある意味、ダメな人はまったくダメかも。
でも、僕は大のお気に入りの監督なのだ。


前置きが長くなっちゃったけれど、
今回も、この「逆転のトライアングル」
(原題は"Triangle of Sadness"
美容業界での眉間の皺を刺すらしい)という
これまた異様な世界観を持ちながら、
楽しませ、そしてじっくりと
個々の人生について、考えさせてくれる。

triangle_of_sadness_ver2.jpg


映画は、男性ファッションモデルを男性カールが、
ファッションショーの観客席で
著名人が来たために、良い座席を
外されてしまうシーンから始まる。

そんな彼が、インフルエンサーとして
稼いでいる彼女ヤヤと、リッチな夕食の
支払いを払う、払わないで揉める。

そう。彼はどこかで自分は一流の
仲間入りをしているような気分でいながら、
日常の中では、金を持っているほうが払うという
ケチくささも露呈する。

人からすると、ちっぽけでくだらない
とされるこの喧嘩は映画始まってすぐに
さらりと描かれるけれど、
この二人の関係が、
映画の後半、どうなるかが見ものだ。


ありとあらゆる富裕層が
乗っている豪華客船の旅に便乗するこの二人。
もちろん、そこにはお客様は神様!とする
スタッフたちが、自分たちもいつかは
そんな金持ちに!と言わんばかりに、てきぱきと動き、
その階下で働く有色人種の裏方に指令を送る。

それぞれの立場や感情がうごめくさまは、
少し長いながらも飽きさせないけれど、
このあと、大きな事件に寄って
すべての境遇が変化していく。

まさに現在、問題になっている格差社会の分断を
こういう形で描いているのが、僕にとって
とても魅力的だった。
まだ2月と今年も始まって2ヶ月だけれど、
早くもベストテン候補の1本だ。

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2023年02月20日

鈴木亮平という俳優

ゲイ映画「エゴイスト」がとても評判だ。
日本ではそれほど多くはないけれど、
ゲイを題材にした映画が
それなりに作られてきた。

ただ、予算が限られていることもあり、
著名な俳優が出演したりすることも
それほどなく、題材的に
どちらかと言うとミニシアターで
上映されるモノが多かった。

大きな劇場で公開された中には
妻夫木聡がゲイ役をやった「怒り」や
北野武監督の「御法度」、
少し異色のモノの中では
長瀬&七之助コンビの
「真夜中の弥次さん喜多さん」などがあった。

また、それ以外にも「Mr.レディー 
夜明けのシンデレラ」という、もう時代錯誤も
甚だしいゲイ=お笑い、変態、というような
描き方をされているモノもあった。

余談だけれど、この映画の脚本、監督をした
瀬川昌治さんは、僕が行っていた映画学校の
演出の講師で大変お世話になった人。

ただ、1990年という時代を考えると
仕方がなかったと言えばそうかも知れない。
ただ、もし彼が健在で、僕が今のバーを
やっていたら、あの作品について、
色々聞きたいし、話したい気がする。

ちょっと本題から外れたけれど、
とにかく世の中は2000年代に入って、
腐女子が支えるBL文化というモノに
注目が集まった。

昨今のゲイ映画はBLムービーと
識別が出来なくもなっていたりして、
少なくとも、邦洋問わず、その手のモノは
ひと握りのゲイと多くの女性で
それなりにヒットするようになったようだ。


そういう中で、今回の「エゴイスト」。

個人的には、僕自身が若い頃に
自分に対してのホモフォビアや
色々なモノを思い起こしてしまった。
そういう意味では現在の
若いゲイライフとは少し違うかな、
などと思ったりもした。

しかしながら、過去ゲイを扱った日本映画よりも
男同士の純愛を描いた、という意味では
新たな試みだと受け入れることも出来た。


そして、何よりも僕の中でいくつか
沸いた疑問(たとえば、何故
あそこまでオネエに寄った演技に
しなければならなかったのか、
海外の多くのゲイ映画を観ていると
何か物足りない、というような疑問)は、
以下の鈴木亮平のインタビューを読んで、
なるほど!と腑に落ちたところも多かった。

とにかくこの人が、他者を演じることで
その他者をいかに受け入れることが出来るか、
そこに到達しようとしていることが見て取れた。

また、少なくとも、彼や監督が、ゲイの世界を
絶対こうだ、と断定することではなく
迷いながらも、謙虚に
作っていこうとする姿勢を聞くことが
出来たのは嬉しかった。


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2023年02月15日

映画のインターミッション

昨夜、劇場でやっている「タイタニック」を
リアルタイム以来、観に行った。
IMAX、それも3Dで上映していて、
ジェームズ・キャメロン監督自ら
監修したという25周年記念バージョンだった。

IMAXや3D効果は、もともとそういう風に
作られていないだけに、残念ながら
特にすごいとは思わなかった。
しかし、ベタベタであざとい演出と
わかっていても、
主演二人の恋愛模様、そしてあの時代に!と
思われる特殊効果は、改めて良く出来ている、
こりゃヒットする、と思った次第だ。

驚いたのは、3時間を遥かに超える
この映画にインターミッション(つまり
休憩時間)がなかった、ということだ。
あ、そうだったっけ、と。。。

そう。最近、3時間超えの大作映画は
「RRR」「アバター」「バビロン」と
次々と公開されているけれど、
どれもインターミッションがない。

特に「RRR」など、途中に休憩が
入っているにも関わらず
(ほとんどの長いインド映画には
オリジナルでは入っている)、
日本で公開する時はそのまま繋いで
上映される。
もう膀胱が破裂しそうだし、
とにかく一服したい、飲み物買いたい
という人も多いだろう。

それでも、一日の上映回数のために、
過去の何本かのインド映画や、
名作「ライトスタッフ」が
バッサリカットされた事を思うと
まだ良いのかも知れない。

それにしても、「風と共に去りぬ」や
「ベン・ハー」などそこまで古くなくとも、
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」など
インターミッション入った映画が懐かしい。

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2023年02月12日

お勧め映画「対峙」

もう1年以上前に、アメリカで
話題になり、でもあまりにも地味な作品で
日本では公開出来るのだろうかと
思っていた"Mass"「対峙」が
公開された。

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このあまりにも地味なタイトル、
まるで小劇場の舞台劇か、と思うほどだったけれど、
確かに前編演劇のを見ているようだった。

メインの役者は4人。
高校生銃乱射事件を起こした加害者の少年の
両親と、被害者の少年の両親。

謝罪と嫌悪、憎悪と赦し、そして双方にある
絶望的とも言える深い悲しみ。

ぶつかり合い、それでもどこかで
受け入れることが出来るのか。
両者ともの子供に対する愛情、
どれだけあの子を愛していたか、
それを吐き出すことで
まるで死んだ子を取り戻すかのような時間。
それが、ほぼリアルタイムで描かれていく。

そこには事件が起こった背景になった
映像や、ニュース、外部からの情報などは
一才入らず、彼らの言葉を頼りに
我々は事件の全貌を少しずつ見えてくる。


あまりにも悲惨な出来事。
多くの人がほぼ経験はしてない、
しかしながら、ことの大小あれども、
十分想像できるような世界がそこにある。

たとえば友人の過失を責める者と
かばうことなど、この日本でも
小さな現実を思い起こす人もいるかも知れない。

また、世界中で起こる言われない殺人事件、
その被害者は、いかにしてその実現を
赦すことが出来るのか、と考える人もいるだろう。

キリスト教のベーシックな教えが
生活の基盤になっている人も多い欧米人と
無宗教な人間も多い日本人との差を
強く感じるかも知れない。

結末まで見て、納得する人も、
涙を抑えられなくなる人もいれば、
どうしても腑に落ちない人もいるだろう。

しかし、そういうセンシティブな問題を
こういう形でとりあげた製作者、監督に
僕は強く敬意を感じた。

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2023年02月04日

ここにもいたシネフィル(映画狂)

コロナ禍、ぶらりと尋ねてくれた
トオルさんは僕よりもひと周り下だ。

2年ほど前に来てくれた時に
壁際にズラリと並んだ新作の映画ポスターに
興味を持ち、店に貼ったほとんど誰も
知らない「鳥類学者」という映画のポスター
(映画祭でしか上映されていないゲイ監督の
無修正版映画)にも反応するという
数少ないお客さんのタイプだ。

それから何度か店に来てもらったものの、
多くのお客さんの前で、そんなディープな話も
出来ずに終わっていたが、
一昨日は寒くて、最初の何組かと話をしたあと、
トオルさんと二人、かなりディープな映画話で
盛り上がった。


僕くらいの世代は、まだビデオやゲームもなく、
子供時代、そこに時間を費やすことを知らなかった。

だからなのか、映画館で幕が開くのを待つ
(ってか、今、映画館の劇場に幕が付いているところって
どれくらいあるんだろう)。

僕は幼少の頃から、両親が好きだった
「サウンド・オブ・ミュージック」を
レコードで聴きまくり、
小学校6年から中一くらいに映画熱に火がついた。

中学生の時には親に図書館に行くと言いながら、
大阪の戎橋や大毎地下という名画座に通った。

高校時代は邦画と洋画2本立ての一館しかない、
という街で3年間を過ごしたが、その反動か
東京に出て来て、大学生活の傍ら、バイトをして
フィルムセンターや都内でまだまだあった
多くの名画座を荒らしまくった(笑)


そんな僕よりも少し下のトオルさんは、
地方都市で高校まではほとんど映画は
テレビで観る娯楽大作くらいで、
大学に出てきてから映画にハマったのだと言う。

今やビデオを通り越して、配信の時代だけれど、
彼が凄いのはほぼスクリーンでしか
映画を観ないということ。

僕もトオルさんも似ているのは、
映画を監督で観る、という癖が付いてしまっていること。

内容がどうであれ、この監督、と思えば
その人をとことん追いかける。

そして驚き、嬉しかったのは、日本では
ほとんどきちんと公開されていなかった
インド映画の巨匠、グル・ダッドが好きかと思いきや、
70年代のアメリカエンタメ映画監督、
ドン・シーゲルの特集を都心から少し離れた
小さな映画館まで観に行っているとの話。

いずれにしても、店ではほぼ出来ない
オタク話が店でひっそりと出来たのは嬉しかった。

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2023年02月01日

映画「イニシェリン島の精霊」について

先週から始まった「イニシェリン島の精霊」。

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アカデミー賞前哨戦のゴールデングローブ賞の
ミュージカル・コメディ作品賞にノミネート
されていたのは不思議に思う。

個人的にはスピルバーグの「フェイブルマンズ」と
逆じゃないかと。

まあ、そのあたりは置いておいて、
この映画はすべての人に勧められるモノではい、
そう言っておかなければならない。

これはコメディはおろか、ホラーにも近い
残虐的な部分も多々あったりもするところも。


映画は、1920年代のアイルランド紛争の時代。
その紛争とはかけ離れたアイルランドの孤島、
当時のイニシェリン島が舞台だ。

この小さな島で、妹と暮らす中年男パードリック
(少年っぽい表情だったコリン・ファレルが
いまだにそういう顔を見せて演じるミドルエイジが
素晴らしい)が、仲が良い友人、コラムを
尋ねていくところから始まる。

しかし、このコラムはパードリックを無視し、
家の中にも入れることはない。

その後、いつも行く酒場の店主に尋ねても、
またそこで再会するコラムに語りかけても、
無視を繰り返される。

そしてそのうちに、これ以上、
近づけば、お前の指を一本ずつ折る、と
詰め寄られる。


この映画は「拒絶の痛み」を描きながら、
人と人のわかりあえなさ、
そしてそこから生まれる憎悪、怒りを
これでもか、と描き出す。
それはアイルランド紛争と重なるという人もいる。

あまりにも美しいこの島の風景が、
その「怒り」に寄って、血生臭く、崩れゆく。


自分自身の人生を考えても、
友人、お客さんんとの関係上で、
決してないとは言い切れないだけに切ない。

誰もが経験しうる関係性の問題を
考えずにはいられない、不思議な一本だと思う。

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2023年01月28日

今年のアカデミー賞ノミネートについて

今週の火曜日(現地時間月曜日の夜)に、
今年のアカデミー賞のノミネートが
発表された。

2010年から、作品賞は10作品以内、と
言われ、数年は10本選ばれていたけれど、
ここのところずっと9本。
今年は久しぶりに10本選択された。
個人的には2009年までの5本で
十分だと思っているのだけれど。

さて、作品賞は以下の10本だ。


この中で、僕は公開前のモノも含めて
7本観ている。

下馬評では「エブリシング・エブリウェア・
オール・アット・ワンス」という
英語をカタカナ表記した最も長い?と
思われるタイトルのモノが獲る、と言われている。

個人的には、ドッと疲れてしまったけれど、
周りで観た人たちは「楽しかった」「凄かった」を連発。

ただ、過去もこれは獲る!と言われていた映画が
番狂せということは何度もあったので
こればかりは、わからない。
去年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」や
過去も「ROMA/ローマ」、「スリー・ビルボード」や
もっと遡れば「ブロークバック・マウンテン」なんかは
他の多くの賞に輝きながら、無視された。


個人的にNetflixで放映されている「西部戦線異状なし」
と、昨日から劇場で始まった
対抗馬「イニシェリン島の精霊」
(この2本に関しては近々、紹介します)のほうが
好みだった。


いずれにしても、アカデミー賞に限らず、
多くの賞レースというのは、本当に厳選なモノか、
裏がまったくないのかは、わからない。
特にどこかの国の賞なんかは、
ヒットはしたものの、多くの人が
え?これが?と思うようなモノが
作品賞を獲っていたりもする。

とは言え、僕が子供の頃なんかは、まったく生で
観ることが出来なかった華やかな授賞式を
目にできる時代になったのは嬉しい。

賞に集う監督や俳優たち、そして
磨かれ抜いたスピーチの数々や、
時にはビッグニュースになったりする出来事
(去年のウィル・スミスのように)なども含めて
年に一度のお祭りを楽しみたい。

今年は3月12日(日本時間13日)。

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2023年01月19日

お勧め映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」

今日、紹介したいのは、先週から始まった
「モリコーネ 映画が恋した音楽家」という映画だ。

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エンニオ・モリコーネという作曲家を
知っている若い人たちってどれくらいいるんだろう。

と言うか、今の映画好きな若い人たちの
知っている作曲家って誰なんだろう。

僕の若い頃は、ニーノ・ロータや、
フランシス・レイ、ヘンリー・マンシーニ、
ミシェル・ルグランなどは、曲だけ聞けば、
作曲家や映画を知らずとも、
一般的にああ、これか!というほど
有名な楽曲だった。

もう、今や映画音楽がスタンダードに、
という時代じゃないし、映画を思い出して
そのテーマ曲が流れてくる、というのは
今や日本映画の主題歌になっているような
J Popくらいなのかも知れない。


話を戻すと、このエンニオ・モリコーネ。
僕が最初に知ったのは、テレビで
「夕陽のガンマン」や「荒野の用心棒」
「シシリアン」などの古い映画を観た時に、
耳から離れなくなった曲たちだ。

そして、僕よりも少し若い人たちも
「ニュー・シネマ・パラダイス」や
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
「海の上のピアニスト」などは
聴いてみたら、耳馴染みがあるだろう。
CMなんかで使われることも多いし。


さて、そのモリコーネが、いかにして、
その名曲群を作り出し、多くの監督が
何故にこの人をチョイスしたのか、
そして音楽家も含めて、多くの著名人が
この人を称賛し、永遠である、と証言したか。

この映画では、彼自身のインタビューと、
周りの人々証言、
そして彼の音楽が使われている
映像がこれでもか、と流されていく
ドキュメンタリーの傑作(と言ってしまおう)だ。

そもそも、映画音楽の巨匠とされている
モリコーネだが、元々クラシックから
前衛的な音楽の数々挑戦していた。
そこから行き着いた映画音楽が、
多くの音楽家に寄って、「あのような
軽いモノを作って」と嘲笑されていた、
という話は驚かされる。

かつてのアヴァンギャルドと言われた音が、
たとえば、口笛や、鐘の音、日常に流れる
あらゆるモノ音などに変化して、
作品に生かされていく。

そして驚くなかれ、彼はキーボードや
楽器を奏でることなく、頭の中で創作し、
それを譜面に起こしていく、という作業を
続けていったと言うから凄い。

あの名匠キューブリックが「時計じかけのオレンジ」で
彼を起用したかったらしいが、とある出来事から
断念した、という事を、モリオーネ自身が
悔やんでいたように、この映画を観た
多くの観客も残念に思うはずだ。

とにかく、ここまで優れた
ドキュメンタリーとは思わなかった。
先日紹介した「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」同様、
1月から素晴らしい映画が公開されているのは嬉しい。

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