2021年12月15日

アカデミー賞に向けて

今日はかなりディープでオタクな話題。
例年この時期はアカデミー賞に向けて
色々な賞が発表されたり、ノミネートされたりして、
映画マニアにはたまらない季節。

今年はひと月遅れて、オンラインではなく、
会場を使って開催されたアカデミー賞だけど、
来年の3月(まだ3ヶ月以上先だけど)は、
無事に開催されるだろう。


先駆けて発表された前哨戦で注目される
ゴールデングローブ賞が一昨日発表。

作品賞に並んでいるのが、もう公開済みの
「DUNE/砂の惑星」
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
(この2作はここでも紹介した)

"Rent"の作者を描いたミュージカル
「tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!」
地球に彗星がぶつかる!という
不思議な豪華キャストコメディ「ドント・ルック・アップ」

加えて、アカデミー賞前に観られそうなのが
フランス映画「エール!」のリメイク
「コーダ あいのうた」
ウィル・スミスが注目を集めている「ドリームプラン」
そして個人的大注目の「ウエスト・サイド・ストーリー」。


また、俳優のほうは、「ドント・ルック・アップ」の
ディカプリオや、ウィル・スミス、
来月公開される「ハウス・オブ・グッチ」の
レディー・ガガが主演女優賞、
既に公開されたミュージカル映画「イン・ザ・ハイツ」の
主演アンソニー・ラモスもノミネートされている。


そして何と言っても、驚くべきことに
ここでも取り上げた日本の濱口竜介監督の
「ドライブ・マイ・カー」が外国語映画賞に。
この映画、すでにニューヨーク批評家賞や、
ボストンオンライン映画批評家賞でも
作品賞に輝いているようだ。
これは是非ともとってほしい。

まだ始まったばかりの前哨戦だけれど、
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
上には書いていないケネス・ブラナー監督の「ベルファスト」
が作品賞を競いそう!

これからの3ヶ月、例年のように
楽しい月になりそうだ。

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2021年12月02日

愛しの「ウエスト・サイド物語」

昨日、来てくれたミュージカル好きのケンちゃんと
この冬、映画館で公開されるスピルバーグ監督の
「ウエスト・サイド・ストーリー」
(オリジナルの『物語』が『ストーリー』に!笑)
の話になった。

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これがさすがスピルバーグ、
公開前に観た全米の批評家たちは大絶賛、
オリジナル映画を超えた!という人も多いと聞く。

ただ、当初12月10日公開だったのに、
ひと月を切ってから、突然の延期。
2月公開になってしまった。

これには、日本語吹き替えの歌入れの問題?とか
「マトリックスレザレクション」や
「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」など
大作とぶつかるから?という噂もあるけれど、
真実はわからない。

どうやら、これは日本だけで、
アメリカ本国だけではなく、
他の国もほとんど12月10日前後に封切られる
と言っているだけに、なんとも悔しい。

それにしても、もし日本語吹き替えの歌が
入るとすると、アニメ以外で
劇場公開されるミュージカルでは初?に
なるのだろうか。

だとすると、おそらく、日本のミュージカルで
有名な人たちがキャスティングされているんだろうけれど、
それはシアター好きの女子を
映画館に取り込む、
という意味では成功なのかも知れない。
個人的には、何だか気恥ずかしく、
ムズムズしてしまうけれど。

ただ、「サウンド・オブ・ミュージック」が
DVD化された時に初めて聴いた日本語吹き替えの
島田歌穂、布施明、華原朋美バージョンの歌唱は
悪くはなかった。

ついでに言うと、今回、このリメイク映画が
公開されると同時に、昔、テレビで
吹き替えをした大竹しのぶ、国広富之、沢田研二バージョン
(ただし、歌の部分は英語そのまま)の
オリジナル版が発売されたり、
放映されたりするようだ。

いずれにしても、あとふた月。
首を長くして待つしかない。

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2021年11月22日

映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

「ピアノ・レッスン」で注目をされた
ジェーン・カンピオンが作った新作が
ゲイのことを描いている、と聞き、
劇場まで観に行った。

1920年代の西部が舞台という
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がそれだ。

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牧場をやっている中年の二人の兄弟。
フィルとジョージ。
ジョージが街に住む女性ローずを
妻として向かい入れ、
兄のフィルは気に食わない。
増して、彼女の連れ子のピーターが
フェミニンな雰囲気をさらし、
趣味趣向も同性愛を思わせるせることに
フィルは不快感をあらわにする。

比較的、毒がある役をやっていた
ジェシー・プレモンスがフィルで、
正統派だったベネディクト・カンバーバッジが
荒くれ者のジョージというのも面白い配役だ。
また、清楚だったのが、どんどんアル中に
なっていくローズを演じる
キルスティン・ダンストも良い。

映画は後半、それぞれの心の中が
少しずつあらわになってくるだけでなく、
後半は過激にも衝撃的なクライマックスを迎えうr。

この監督の作品は「ピアノ・レッスン」が
ベストだが、それと並ぶ秀作であり、
また、僕が大好きな
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」をも
彷彿とさせる映画だった。


劇場で味わうのも良しだが、
無理であれば、12月からNetflixで観られるので是非。


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2021年11月10日

「DUNE デューン/砂の惑星」と「MONOS/猿と呼ばれし者たち」

現在上映している映画の中で、
度肝を抜かれたのが
「DUNE デューン/砂の惑星」
そして「MONOS/猿と呼ばれし者たち」だ。

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片や1万年も未来のSF、
片やコロンビアの山奥でのゲリラ舞台の話で
まったく共通点がないように思える。
ただ、共にアート映画のような映像の美しさ、
そしてあまりにエネルギッシュな展開。

実は「DUNE」は、公開初日に日比谷のIMAXで
観ていて、わかりにくい部分もあり、
細かくチェックしたく、
もう一度観ようと思っていた。
何人かの映画好きな友人が、もし観るのなら
絶対に池袋のIMAXで、ということだぅた。

よくよく調べてみると、
「IMAXレーザー/GTテクノロジーシアターを導入する
グランドシネマサンシャイン(池袋)、
および109シネマズ大阪エキスポシティでは、
一部のシーンをアスペクト比1.43:1で投影し、
通常スクリーンと比べて最大40%増の映像を体験出来る。
池袋のIMAXスクリーンは幅25.8m×高さ18.9mとなっており、
およそビル6階分の高さのサイズで、
DUNEの世界観を堪能できるという。」ことだった。


なるほど。体験してみるとこれは本当に凄い。
正直言って、同じ映画でも、これほど印象が
変わってしまうとは。
リアルタイムを映し出すワイド画面と、
夢の中や、アクロバティックなシーンになると
グ〜ンと縦に広がりほぼ正方形になるスクリーン。
それに加えて、劇場隅々まで
重厚に響くサウンド。

子供の頃、劇場の幕が開き、スクリーンに
映像が映し出された瞬間に震え上がった
あのワクワク感が、否応なく蘇ってくる。

「デューン〜」は、僕が中学校の頃に
とりつかれたSF小説だったので、
そのディテールを僕自身はよくわかっていた。

ただ、あらすじ自体はそれほど複雑ではないものの、
登場人物や彼らをとりまく組織や地名が
多く出てくるために、予習が必要となる。

映画のために予習が必要なモノって
どうなんだろうと思っているタイプだが、
この映画に限っては許してしまおう。

それくらい、全編カタルシスを味わえるのだ。


片や「MONOS〜」も、ある意味
カタルシスを味わうけれど、
かなり過激で残酷なシーンが多いので
邪悪さの中に潜むカタルシスとでも言おうか。
狂気を彷徨う若者たちが
コッポラの「地獄の黙示録」さがならに
観客を興奮させる。

この映画は残念ながら、
ミニシアターのみでの公開だけれど、
配信とかビデオ、と言わず
是非とも劇場で観てほしい一作だ。

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2021年11月01日

映画「クルージング」再見

昨夜、店は六尺デー。
かなり賑わっているという話を耳にしながら、
僕はうちで選挙特番を見ながら、
色々思うところもあった。

コロナに寄って、政治不信を思った人や
さらに今後の政治に期待を抱く人、
それぞれなのだと実感しながらも、
次々と出てくる結果に一喜一憂した。


結果が出揃った0時過ぎから
気持ちを切り替えるために
アル・パチーノ主演で、70年代後半の
ゲイシーンを描いた映画「クルージング」を
リアルタイム以来、久しぶりにDVDで再見した。


Cruising-Vintage-Movie-Poster-Original-40x60.jpg

この映画、ゲイの殺人鬼、そして
作品内で描かれる差別的描写などが
長い間、問題となっていた。

監督はそれこそ、ゲイ・ムービー「真夜中のパーティ」を撮り、
オスカー受賞作「フレンチ・コネクション」
そして「エクソシスト」が大ヒットした
ウィリアム・フリードキンだ。

時代はエイズが流行る直前。
NYで次々と起こるゲイ男性の殺人事件。

その囮捜査に選ばれたのがアル・パチーノ扮する
スティーヴ。
彼の役をフリードキンは、当初
リチャード・ギアを考えていたけれど、
パチーノの熱烈な要望から彼に決まったらしい。
それでも、この微妙な役柄に、
劇中のスティーヴ同様、
パチーノはとても悩んだという逸話もある。

映画が凄いのは、なるほど、40年以上も前の
ゲイバーもこれほどだったのだ、と
その性描写はリアル。

ジーンズにレザージャケットや、
ハーネス、そしてブーツを履いた男たちは
ビールを片手にくんずほぐれつしている。

おそらく当時のストレートの人たちは
この映画を観て、かなり複雑な気持ちになっただろう。
僕自身も映画館で、四方八方を気にしていた
という覚えがある。

増して、殺人鬼とのSMに近い描写や、
かなり問題になったと言う
パチーノが囮捜査している最中に
捉えられた男と共に、
署内でケツ割れサポーター一丁の
マッチョ黒人男性に平手打ちをくわされるシーンなど
かなりディープだ。

今、見ながら、とても出来が良いとは
思えない作品ながら、ゲイの本質が
決してそのままとは言わないまでも
それなりに詳細に描かれている、
そう感じさせられる一作で
改めて観てみて、良かった、そう思った。

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2021年10月06日

「空白」という映画

昨日、吉田恵輔監督の「空白」を観た。

image.jpeg

恥ずかしながら、この監督の映画は
初めてだった。


級友などに無視、またはバカにされたりしている
地味な女子中学生の花音。
彼女は、両親が何らかの理由で別れてしまったため、
気が短くて、ろくに話も聞いてくれない
父親と二人暮らしをしている。

花音は、離れてしまった母親とはたまに会って
話をしたり、携帯電話をプレゼントしてもらったり
するのだが、そういう事さえも父親は受け入れない。


そんなある日、とあるスーパーで花音は
小さな化粧品を万引きし、
追いかけてきた店員をふりほどき、
車に跳ねられ、死亡してしまう。


ここまでが、映画の冒頭だ。

映画は、古田新太扮する切れやすい父親、
彼女を追いかけたスーパーの店員、
その店員を見守るパートの中年女性、
彼女を車ではねてしまった若い女性、
死んだ娘を思い続ける母親、
学校の教師たち、
そして父親が唯一信頼を持つ若い
同じ漁船で働く若者。

こういう人々の関係と思惑が
この映画をあらゆる側面を見せてくれる。

愛情とは何か。孤独とは、結びつきとは何か。
許すとはどういうことか。
ありとあらゆるシーンが感情を揺さぶってくるのだ。

あまりにも重く、暗く、ネガティブな連鎖に
辟易としながらも、最後には
声をあげて泣きそうになる。


今年は邦画の豊作。お薦めの一本です。

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2021年09月22日

この人にはこの映画!!

よく顔を覗かせてくれてる
音楽関係の仕事をしている
元スタッフのマサト。

去年から今年まで、彼も色々
映画を観ているようで、インスタグラムに
楽しそうに観た映画をアップしていた。


去年、ヘップバーンの「シャレード」を観て
凄く楽しかったと言っていたのを聞き、
彼女の映画の何を観たか聞いてみた。

僕が彼女の映画でのベストは、
やっぱり「ローマの休日」だが、
それ以外もごくごく数本を除いて、
かなり名作、秀作に恵まれている女優だ。

「もちろん、『マイ・フェア・レディ』は
観てるよね?」とマサトに聞いてみると、
これが観てないと言う。

そう、意外と音楽をベースにした映画
(ミュージカルも含めて)を聞いてみると、
マサトが観ていないということを知る。
そういうことを知ると、相手が興味がある限り、
どんどん教えたくなるタイプ(大きなお世話!笑)。


早速、「マイ・フェア〜」を貸してから、
オードリーの歌はマーニ・ニクソンという
「サウンド・オブ・ミュージック」で
尼僧をやっている一人が吹き替えたんだよ、と伝える。
彼女は「ウエスト・サイド〜」のナタリー・ウッドや、
「王様と私」のデボラ・カーも彼女だよ、
なんて、ミュージカルが好きな人なら
誰もが知っている話をいちいち教えてしまう。。。


オードリーのせいで、「マイ・フェア・レディ」に
出られなかった舞台オリジナルのジュリー・アンドリュースが
オードリーを押しのけて、「メリー・ポピンズ」で
アカデミー賞をとったのが、
オードリーの吹き替え問題があったから、
というのも有名な話だ。

ちなみに「メリー・ポピンズ」でも、マーニ・ニクソンは
絵の中のガチョウとなって歌声を披露しているようだ。


そんなジュリー・アンドリュースと言えば、
裏ゲイ映画!(笑)と言われる
「ビクター/ビクトリア」。
これも勧めてみたところ、マサトのお気に入りの1本と
なったようだ。

好みは人それぞれだが、相手が好きそうな映画を
考えながら、どんどん勧めてみる、というのは
比較的得意なほう。

そんなワケで、ジャンルを問わず、
色々聞いてくれたら、これ!というあなたの1本を
お薦めします。
まるで占星術師のように(笑)

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2021年09月19日

お薦め映画 "Everybody's Talking About Jamie ジェイミー”

昨日は台風接近ということで
休ませてもらったが、
温帯低気圧に変化し、早い時間から
連絡をもらったお客さんには
申し訳ないことをした。
すみませんでした。


さてさて、3、4年ほど前に、ロンドン帰りのお客さんが
"Everybody's Talking About Jamie"という
ゲイのミュージカルを観て、素晴らしかったと言っていた。

その後、ブロードウェイにも移ったが、
残念ながら僕は観ることが出来ず、
つい先日、日本公演を観て、その後、
YouTubeでロンドンのオリジナルバージョンを
日本語字幕付きで観ることが出来、
その素晴らしさを堪能。


そして、以前から噂されていた映画版が
一昨日、Amazon Primeで世界同時配信され、
早速観させてもらった。

jamie-web-hero-1.jpg

ジェイミーは、イギリスの片田舎に住む
高校生で、自分がゲイであることを
カミングアウトしているけれど、
級友からはバカにされたりしている。

そんな彼の夢はなんとドラァグクイーンに
なること。
幼い頃からそんな彼を受け入れ、支えてくれた
母親と、その友人女性のレイ。
母と別れた父親は、とにかく男は男らしく、
というありきたりなノンケ推奨型タイプだった。

そして唯一、学校で彼の味方になってくれる
イスラム系のマイノリティ女子高生、プリティ。

そういう中で、夢を実現するために、
彼は大きく一歩を踏み出す。

舞台の演出家だったジョナサン・バターレルが
そのままこの映画も彼が監督をしているけれど、
これがデビュー作とは思えない舞台とは
ひと味違う緻密で、さらにゴージャスな演出。

特にジェイミーをドラァグの世界に
導く古いクイーンが、この世界は
ただ華美だけではなく、普通と
されている体制への抵抗と教えるくだりや、
自分を捨てた父親が観に行っている
サッカー場で、オネエ全開になる
ジェイミーのシーンなどが加わっている。

そしてこの映画のモデルとなった
実話の登場人物たちが出る
クレジットタイトルなども見ものだ。


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2021年08月25日

お薦め映画「ドライブ・マイ・カー」

母がまだぎりぎり健在だった5年前、
様子を見に行った時に、
神戸の映画館で観た
「ハッピーアワー」という5時間を超える
映画には度肝を抜かされた。

その人物描写の巧みさと見事な脚本。
そんな濱口竜介監督が、その次の監督作
「寝ても覚めても」、そして「スパイの妻」の
脚本に続いて作ったのが、現在公開中の
「ドライブ・マイ・カー」だ。

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村上春樹が書いた短編小説は、ずいぶん前に
読んでいて、妻を亡くした俳優が、その後
緑内障のため、自分の車を運転してもらう
一人の女性を雇う、という物語だった。

このあまりにもシンプルな話が、
この監督の手に寄って、
いかに料理されているか。
僕は興味津々だった。


映画では、俳優だった主人公の家福(西島秀俊)が、
舞台の演出家として生活をしている。
彼が俳優たちに芝居を付ける
ワークショップから本番まで。
この俳優たちが他言語を語る人々、
という設定の面白さ。
そして運転手みさき(三浦透子)との
訥々とした会話を含んだロードムービーとしても
映画の持つテーマを、ゆっくりと膨らませていく。

舞台のように会話が続くと思えば、
まるで冬の夜のような静寂もここにある。

小説で言うと、まさに行間を読む、
そんな味わい深さが、この監督の作品にはあり、
まさに映画のワンシーン、ワンシーンの
行間を読んでいく、そんな喜びが
そこ、ここに見え隠れする。

俳優観たさだけに、娯楽を求めると
ちょっと違うけれど、それでも
遥かにそれよりもぐっと来る人は
多いはず。

この冬に公開される濱口監督の
「偶然と想像」が、もう待ち切れない。

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2021年08月16日

ホラーよりも怖い「ゆきゆきて、神軍」

「ゆきゆきて、神軍」という
ドキュメンタリー映画をご存知だろうか。

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もう30年以上前の映画だから、
45歳以上の人か、若い人でも
たまたまビデオで観た、という人しか
知らないのかも知れない。

昨日は終戦記念日。
だからと言うワケでもなかったけれど、
U-NEXTにアップされていたので、
ものすごく久しぶりに観てみた。


これは第二次大戦中、ニューギニアへ
兵士として派遣された奥崎謙三。
その戦地で、上官が部下二人を射殺した
という話を聞き、戦後35年以上経つ当時、
その上官に事実を聞こうと、実妻を連れて
走り回るという内容だ。

とにかく、彼らに真実を語り、
頭を下げさせたい、そのためには
暴力も惜しまない。

この正義感に胸も打たれることは確かだけれど、
そもそもこの人は、金銭トラブルから
不動産業者を刺殺してしまったり、
昭和天皇に向かって
パチンコ玉を発射したりして、
刑に服しているだけに、かなり過激。

志を持ちながらも、徹底した
アナーキストの恐ろしさも感じさせる。

この人、映画のあと、また服役して、
2005年に病院で亡くなったらしいけれど、
死ぬまで院内でも大騒ぎをして
手がつけられなかったらしい。

そう、今回、何を言いたかったかと言うと、
この映画に映っている奥崎は
今の僕とほぼ同世代ということ。
これを観た若い頃の僕は
「ただのうるさいおじいちゃん」という
イメージしかなかった。

と言うことは、若き人々から
どう観られているか、ということを
しっかりと自覚しなければ、
そんなふうに思った。

ただ、思いながら、僕よりも年上の
郷ひろみが今日、徹子の部屋に出ていて、
何がなんだか、わからなくもなった(笑)





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2021年08月12日

郷愁と嫌悪感と恥ずかしさと

緊急事態宣言が長く続いている中で
多くの古い日本映画を観ていると、
70年代から80年代がたくさん出てくる。

昨日、高校生の時以来観た
藤田敏八監督の「赤ちょうちん」は
まさに自分の青春時代。

125724861.jpg

若き秋吉久美子と、当時カッコイイと
憧れていた高岡健二(今、観ると超ロン毛)が
飲み屋帰りに一緒になって、
東京の街から街を移り住むという内容だ。


それにしても、この時代の貧乏学生は、
トイレが共同の4畳半アパートが主流。
風呂屋が閉まるのが午前0時で
それまでにアルバイトを終え、
駆け込んで身体を洗っていたものだ。

遠方の両親に電話をしたり、遠距離恋愛をすると
10円玉を集めて、公衆電話に走るが
あっという間に切れてしまう。

着るモノは季節を通じて、2本くらいの
ジーパンを繰り返し履き、
あとはTシャツ数枚に、
長袖のモノも数枚。

ボロいスニーカーと、下駄(これは今
想像しても凄いけれど、街には結構いた)。
おしゃれを追求する、と言うよりも
こういう貧乏臭さこそが、
かっこいい、とされていた。

映画中でも描かれるように、
比較的近所に引っ越す時は、
友人に手伝ってもらって、
リヤカーで運んだりした。

辛うじて、映りが悪い室内アンテナの
小型テレビを持っていればいい。

コンビニも今ほどなかったので、
酒屋で安いウィスキーを買ってちびちびと飲む。

飲みながら、友人たちと
熱い議論を闘わせる。

当時は常に挫折感と自分への嫌悪感に
苛まれていた。

映画を観ながら、
すべてが今の20代には決してないだろう、
そんな懐かしさも覚えながらも、
世の中も、自分自身も、
己の姿に酔っていた、
ある意味、そういうちょっと気持ちの悪い
時代でもあったんだなあ、と思った。


ちなみに、この映画、かぐや姫が歌った
同名の曲をタイトルにしているけれど、
この時代、を表現している以外は、
赤ちょうちんの居酒屋も出てこなければ、
歌詞にはまったく忠実ではなかった(笑)

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2021年08月11日

映画「イン・ザ・ハイツ」のこと

2008年にブロードウェイ・ミュージカルの
最高峰とされるトニー賞をとった「イン・ザ・ハイツ」。

僕は1年半くらい後に劇場で観て、
キャストは多少変わっていたものの、
そのエネルギッシュな演出力には圧倒された。
またその後、日本でも観たけれど、
これもまた良かった。

これが映画化されると聞いたのが、3、4年前だったか。

そして日本でも無事に映画館で公開された!

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この作品の目玉は、舞台は
ニューヨークでも、出演者がほぼ
プエルトリカンということだ。

移民、難民がいかに差別され、
大変な思いをしているか、という
いささか重いテーマを持ちながらも、
明るく希望に満ち溢れた演出になっていて、
楽曲もすこぶる楽しい。

舞台では、雑貨屋を営む主人公ウスナビが
日々の生活をラップで歌いながら紹介する
シーンから始まるが、映画ではカリブ海を
バックに子供たちにNY生活を説明する。

舞台では海や子供たちなど出ないのに何故?
という疑問は、クライマックスで
明らかにされるので、これもなかなかのお楽しみだ。

シーンがウスナビのベッド、そして
街に移ってから、音楽に合わせたショットの
積み重ねが興奮を掻き立ててくれる。

ラップと書いたけれど、カリプソから
ポップソングまで名曲が並ぶ。
そんな曲に載せて、派手に見せられる
ダンスシーンが見事。
特にプールを使ったダンスなどは
映画でしか、観られない豪華版。

オリジナル舞台では、
主人公、ウスナビを演じながら、
楽曲も作り、演出もしたリン・マニュエル=ミランダは
これで火が付き、その後「ハミルトン」という
大ヒット作で、全米で有名になった。

このミランダは、この映画でもプロデュースし、
映画でも脇役ながら、キラリと光る登場の仕方。
クレジットタイトル後も、彼の1曲が
歌われるので、途中で席を立つと、少しもったいない。

もっさりと暑いこういう季節に
ぴったりで、ミュージカル好きにはオススメ。

このあと年末に公開されるスピルバーグの
「ウエスト・サイド・ストーリー」に
この興奮が続けばいいのだけれど。

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2021年07月26日

ヒッチコック映画以来の恐怖

「クワイエット・プレイス」という映画を
ご存知だろうか。
数年前に上映された、音が聞こえると
襲ってくる、というモンスター・ホラーだ。

基本的に、僕自身、スプラッター、ホラー的な
エンタメ系が大好きか、と言うと
血飛沫、痛々しいのはかなり苦手だけど、
サスペンス色が加わると話が違う。

今年になってこの続編「クワイエット・プレイス 
破られた沈黙」が公開されて、
遅ればせながら観たところ、
この2本のシリーズの出来栄えには
腰を抜かされた。


Unknown-14.jpeg

このシリーズの何がそれほど魅力的か、
と言うと、とにかく怖い!のひと言に尽きる。

それが、そんじょそこらのホラーのような
おっかなびっくりの恐ろしさだけではなく、
ドラマの伏線の貼りかた、
家族の結びつきの表現、
その上にたつ恐怖感が非常に優れている。

僕自身、昨今のホラー映画を片っ端から
観ているワケじゃないけれど、
この映画を観ながら、思い出したのは
ヒッチコックの「鳥」だった。

ひとつの家族を襲ってくる鳥の大群。
その恐怖感。
それが本作では、CGや、現在出来る限りの
見せ方を駆使しながら、伝わってくるのは
まさにそっくりだ。


一作目の「クワイエット・プレイス」では
おそらく多くの人々はモンスターに襲われ、
何故か残ったひと家族だけが、とにかく
物音を立てないように生活をしている、
というところから映画は始まる。

夫婦と3人の子供たち。
中学生になるくらいの長女は耳が不自由だ。
だから、この家族は手話を理解出来る。
これは大きなポイントだ。

なおかつ、ちょっとばかり音を立てたばかりに
末っ子がオープニング早々、モンスターに
連れさらわれてしまう。

その後、家族は、いかに音を出さないで生活をするか、
映画らしい効果音はあるものの、
劇場中のお客さんが、コーラを飲む音さえ
気にしながら、固唾を飲んでスクリーンを見つめる。

劇中、家族は思わぬところで、
大声を出さざるを得なかったり、
モノを転がしたりする。
そのたびに僕らは座席でうずくまる。

彼らが階段に突き出ている
釘を踏んだりするだけで
こちらとしてはギャアと声を出しそうになるが、
まさかの出産、そして赤ん坊の鳴き声を
いかに抑えようとするか。

パート1は、驚くべきクライマックスで終わり、
この続編では、パート1にいたるまでの、
まだ平和だった前日談から始まり、
パート1のラストシーンのあとに続くという展開だ。

コワイのは絶対無理、という人には
お薦め出来ないけれど、コワイもの見たさが
大好きな人には超お薦めの一作だ。

とは言え、残念ながら東京では
先週、上映が終了。
もっと早くここに書けば良かった。。。
少なくともレンタルや配信で1作目だけは
観られるので、良ければ是非とも。

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2021年07月22日

あり得ないファスト映画!!!

映画を携帯でそれも倍速で観る、
という若い人たちが増えている、と
聞くだけで、ゾゾっとするのに、
ここ数ヶ月問題になり逮捕者が
出ているファスト映画。

要は、映画の大まかなストーリーを
わかり易く編集し、10分や15分で
その映画がわかった気になる、
観た気になる、という代物らしい。

うわあ、世も末だなあ、なんて呟いても、
レコードがCDになり、配信になったように、
映画も映画館からテープ、DVDを通って
配信になった昨今、もうそんな事、
言ってられないのかも知れない。

今や映画館は4Dとかのアトラクション系に
飲食物と物販を付けて、儲けるのが得策みたいだ。

大音響で座席が動いたりしない限りは、
家や電車の中で、イヤホン越しに
10分で「わお!こんなラストなんだ〜。びっくり」
なんて、全部わかった気になってしまう。

そこには、セリフの間(ま)もなければ、
音楽や効果音、そして空気感からくる
デリケートな胸の震えや、
クレジットタイトルが流れ終わる時の
余韻さえないのだ。


思えば、本を読み、それについて朝まで語り、
長い手紙を書き、それが届くまで数日かかる、
というのが、つい僕の学生時代くらいまでの
出来事だった。

そんなことが、ほぼなくなってしまった今、
それを嘆いたり、残念だと思ったりすることも
若い人たちにはわからなくなって
しまっているのかも知れない。

昔は良かった的なことを言い続けるジジイには
なりたくない、そういう頭の硬さと抗いながら、
どうやって、過去の産物と現在の便利さを
享受しながら生きていくんだろうか。


始まる直前までゴタゴタが
続くオリンピック開会式前日。
コロナが大問題だったけれど、
結果的に、まったく関係ない問題が
降って沸いている。

子供の頃から、まずはワクワクした
開会式が、ここまでメチャクチャに
なってしまっているとは。
何だか、ファスト映画の延長戦上にあるようにさえ
思えてくる。

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2021年07月19日

レインボーリールの2本!

昔は「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」と言われ、
その後、「レインボーリール」と変わった
夏の映画祭が先週から始まった。

いつも店の営業と重なって
この15年、なかなかしっかり
観ることが出来なかったけれど、
今回は緊急事態宣言下で、
しっかり観ようと決意。

で、昨日観た2本が共に素晴らしく、
まだ各々上映があるようなので、
ここで紹介しておこう。


1本目は、アイルランドで作られた「恋人はアンバー」

Unknown-12.jpeg

去年作られた映画だが、舞台は1995年。
まだスマホもなかった時代。
それぞれが、ゲイじゃないの?と
常に揶揄される男子高校生のエディと
女子高生のアンバー。

二人は校内での、そういう疑いを打ち消そうと
表面的に付き合う形を決行する。

軍隊にいる父親に習って、
卒業後、軍隊に入ると決めながら
苦手な懸垂に取り組むエディ。
男勝りで、見栄えなど気にせず、
何かとガハハと大声で笑い、
怒る時はところ構わずぶちキレるアンバー。

そんな二人の目の前に
性的に刺激を送ってきたり、
恋心をくすぐる相手が現れる。
そういう事件から、二人の関係も
大きく変化していく。

四半世紀前の田舎町のこの状況と
さほど今でも変わらない部分もある
東京で暮らす僕たちを
色々考えさせられる一本だった。


もう1本は、アルゼンチン映画
「世紀の終わり」。

Unknown-13.jpeg

これは、僕が大好きなアンドリュー・ヘイ監督の
「ウィークエンド」を彷彿とさせるような
ある意味、ファンタジックな恋愛映画。

20年の恋愛にピリオドを打って、
NYからスペインに、バカンスに来たオチョ。
また、4年前に出会った男性と結婚をした、
というベルリンから来たハビ。
この二人が、海で出会い、
色々話をしているうちに、
実は20年以上前に出会っていたことがわかる。

映画は、21世紀を迎えるよりも前に巻き戻され、
まだ男性経験もそれほどないオチョと、
彼の女友達のボーイフレンドだったハビとの
出会いが描かれる。

時間と空間を不思議に飛ばしながら、
観ている僕たちに、この二人の関係と
その行先を想像させていく。

「これ、どういう意味?」と
人に聞くなかれ。自分の中の回答を見つける、
それこそがこの映画の大きな魅力だ。


両作品とも、あと一度ずつ上映されるので、
時間と興味がある人は是非とも。


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2021年07月16日

お薦め映画「特別な一日」

なんと、1977年のソフィア・ローレン、
マルチェロ・マストロヤンニ主演の
「特別な一日」をものすごく久しぶりに観た。

unnamed-1.jpg

公開当時、僕もこの映画を観ているけれど、
マストロヤンニがゲイであることが
作品の中でかなり重要であるにもかかわらず、
このポスターにあるように、
結ばれぬ恋の物語だと思っていた(バカ)。

しかし、ここまで素晴らしい映画だったとは。

映画は、1930年代に、ヒトラーが
同盟を結ぶため、イタリアを訪問した
その一日を描いていて、オープニング、
そのニュース映像が流される。

ローレン扮するアントニエッタは、
朝、6人もの子供たちを起こし、
男尊女卑も甚だしい旦那に怒鳴られながら、
それぞれを送り出す。

街はファシズムの台頭で、ムッソリーニ万歳、
ヒトラーようこそ、と沸きに湧いている。
この日、人々はヒトラーを迎えるために
パレード、そしてお祭り参加で
アントニエッタを家に残し、
彼女の家族もいそいそと出かける。

ホッとひと息つく暇もなく、片付けや
洗い物をするアントニエッタだが、
鳥籠にいる九官鳥を窓の外に
飛び立たせてしまう。

羽ばたいた九官鳥が止まるのは、
向かいで部屋を一時借りている
マストロヤンニ扮するガブリエーレの部屋の外。

アントニエッタが、九官鳥を捕まえるために、
ガブリエーレを訪れることが、
この一日の、そして二人の出会いだった。

かつてアナウンサーだったという
ガブリエーレは、文学や音楽を楽しみ、
一見、自由を謳歌しているように見える。

そこにアントニエッタは惹かれるけれど、
ガブリエーレが実はゲイであることから、
激しい性的マイノリティへの
弾圧によって、国から出されようとしているのだ。

映画は最初から最後まで、まるで
ファシズムを唱えるスピーチや
高揚する市民の歓声が、BGMのように流れ続ける。

その中で、数々の小道具や設定の使い方。
たとえば、コーヒー豆、電球の傘、
ガブリエーレが作るオムレツ、
敗れたアントニエッタのストッキング、
そして、ボロボロになった三銃士の本、
それぞれが伏線となって、映画を生き生きとさせる。

人を弾圧、抑圧、差別をし、
意味の成さないルールに縛り付けることが
いかに愚かなことか。

この映画では、実態は伴わないけれど、
マストロヤンニの「僕は同性愛者だ」という叫びに
集約されている。

ローレン、マストロヤンニの多くの共演作の中で
「ひまわり」が最も有名だけれど、
この「特別な一日」こそ、二人の
最高傑作(マストロヤンニ自身も
そう言っているらしい)、そう思う。

機会があれば、是非。

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2021年07月07日

お薦め映画「スーパーノヴァ」

映画「スーパーノヴァ」を
公開直後に観ることが出来た。

Unknown-11.jpeg

最初このタイトルを耳にした時は、
宇宙エンターテインメント系かと思っていたら
まったく違っていた。
あとで調べてみると、同名(原題も同じ)の
サスペンスSF映画があった(笑)


ひと言で言うと、若年性認知症と診断された
ゲイのパートナーとその相手が、
二人でイギリス各地を旅をする、
というロードムービーという形になっている。

観た人からは、重いとか辛いとか
耳にしていたけれど、
僕の感想はちょっと違った。
とにかく人と人が関わること、
付き合っていくこと、とは
どういうことなのか、というのがテーマ。

これはたまたまゲイの二人
という設定だけれど、
ストレートの夫婦や恋人同士も同じ。
ある意味、ゲイという形をとっただけで、
多くの人が共感出来る、というのが新鮮だ。


「英国王のスピーチ」でオスカーを取り、
「シングルマン」でゲイを演じたコリン・ファースと、
「プラダを着た悪魔」でやはりゲイを
演じていたスタンリー・トゥッチが
この二人を演じている。

自分の死を目前に控え、それをどういうふうに
受け入れていこうかとするトゥッチ演じる
作家のタスカー。

そして、逆に彼に気遣いながら、
出来る限りのことをし、病を乗り越えようと
懸命に寄り添うのがファース演じるピアニストのサム。

二人を迎えるサムの姉とその家族たち、
恵まれた環境の中でも、確実に
誰にもやってくる死。
それをどう受け入れ、向き合っていくか。

映画はそれほどドラマチックな展開もなく、
非常にシンプルだけに、
ずしんと胸に響いてきた。

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2021年06月20日

「世界に嫌われる男 ピーター・タッチェル」を観て

ストレートの友人から、これ観た?と
Netflixで勧められたのが
「世界に嫌われる男 ピーター・タッチェル」だ。

これは、ゲイ差別に対して憤り、
立ち上がっているいわゆる「活動家」である、
一人のオーストラリア人を描いたドキュメンタリー。


Unknown-13.jpeg


活動家と言っても、多くのリブ運動をしている人と
この人が少し違うのは、彼は自分一人だけで、
世界のLGBTに異を表現している国に
乗り込んでいき、闘いを挑んでいるところだ。

そんな彼を、オープンリーゲイで、
「ロード・オブ・ザ・リング」や
「X-メン」のイアン・マッケランが
インタビューをする、というところに、
多くの彼の活動シーンが流れる、とうい本作。


特に凄いのは、プーチンがプロバガンダ禁止法を
作ったことに腹を立て、ワールドカップ中の
モスクワで記者たちに声をかけ、赤の広場に
ひとり、差別反対のポスターを持って現れるシーン。

もちろん、彼は一時拘束されるけれど、
解放されたその後、ムスリムも含めて、
LGBTを受け入れない
多くの国に一人、挑んでいく。

彼は公務員など著名な人間を
アウティング(ゲイだとバラす)
という行動を取り、バッシングされるが
「彼ら(アウティングされたほう)は
自分がそうであるのに、真っ向から
LGBTを差別しているからだ」と抵抗する。


ハーヴェイ・ミルクもそうだけれど、
人のために立ち上がるこういう人は、
心から凄いと思わざるを得ない。

LGBT当事者の中でも、彼の行動に
多くの異議を訴える人も多いだろうけれど、
身体ひとつで、多くの恐怖と対峙する姿に
僕は強く胸を打たれた。

同性愛をどうしても受け入れられない
タッチェンの母親が
「それでも、彼を愛してやまない」
という言葉には泣かされた。

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2021年06月18日

お勧め映画「マイ・ハッピー・ファミリー」

Netflixで、結構前からとても評判が良かった
「マイ・ハッピー・ファミリー」を観た。

Unknown-12.jpeg

この映画、タイトルだけ見ると、
ちょっとB級アメリカ映画のようだけれど、
実はジョージア(そう、かつてのソビエト
連邦の支配下にあったコーカサス地方の国)
のひとつの家族の話。


映画は50代の一人の女性が
アパートを探しているところから始まる。
そこは、電気も止まっていて、
決して綺麗とは言えないけれど、
心地よい風が通る小さなアパートだ。

実は、彼女、年老いた自分の両親と
長年連れ添った夫、
そして結婚したばかりの長女、
ネットゲームに夢中の二十歳の長男、
という家族の中で、家事とあらゆる喧騒に
まみれて生活をしている。
家事だけではなく、
昼間は学校の教師もしているのだ。

彼女の52歳の誕生日には、
聞いてもいない旦那の多くの友人たちや、
彼女の兄、その親族などが
勝手に呼ばれてサプライズパーティが
行われたりする。

そういう気遣いに嬉しい顔ひとつ出来ない彼女は、
探し当てたアパートに一人で越していくことにする。

何故、それほど家を出たいのか、
ひと言も言わない彼女に
家族は大騒ぎをし、責め立てる。

理由をまったく説明せず、
ただ、穏やかな一人の生活に
彼女はちょっとした幸福を見出す。
一人で飲むワインに、趣味のギターに歌、
そしてガーデニングに料理。

そんなある日、彼女は学生時代の友人と
バッタリ出会い、それが縁で
同窓会が開かれることになる。

そこで明らかになる、彼女が
家を出ざるを得なかった問題。

本当の幸福とは何か、家族とは何か、
夫婦とは何か。

僕らゲイとはちょっとかけ離れているような
気もしながらも、幸福を追い求める心は
変わらないのだ、とこの映画は教えてくれる。

激しくも辛い部分を見せながら、
ささやかな幸せをも感じさせてくれる。
たくさん観られているNetflixの中でも
見落とされがちな映画だけど、
良ければ、是非。

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2021年06月16日

映画「Mr.ノーボディ」のこと

何だか悶々としたブログも多い今日この頃、
昨日は映画館の大スクリーンで、それも
ヘビーで考えさせられる映画ではなく、
スカッと気持ち良いモノを観ようと
「Mr.ノーバディ」を観てきた。

Unknown-10.jpeg

これ、テレビドラマ「ブレイキング・バッド」を
観た人なら、あの悪徳弁護士をやり、
そのスピンオフ「ベター・コール・ソウル」でも
主役をやったボブ・オテンカーク主演。

これが、まさかあのドラマで毒もクセもある
ソウル・グッドマン役とは別人かと思うほど
まさかのごくごく平凡な、
いや、むしろ少しうだつのあがらない
中年男ハッチを演じている。

ベッドでは仕切りを置かれて、長年
セックスもない妻は、
車で大企業に向かう敏腕女性。
学生の息子にはバカにされ、
まだ幼い娘に少し慕われる程度。

せっかく作った食事も家族に食べられず、
日課のゴミ捨てに間に合わず、
地下鉄で職場に向かう、
淡々と仕事をする、という
この男の日々のルーティーンをパラパラと
数分のオープニングで
見せていくのが面白い。

そんなある日、この家に
若い二人の強盗が押し入る。
たまたま眠れず起きた主人公は
この二人に対峙しようとするが、
若い女性がいることに気がつき、
息子の目の前で二人を逃してしまうのだ。

この一件で、家族からもがっかり
され、職場でもこの話を耳にした同僚からも
バカにされる。

胸の中に屈辱感や、
寂しさなどを溜めたこんだハッチは
たまたま乗った夜のバスで遭遇した
複数の酔っ払った暴漢に、
怒りを爆発させる。

この映画が凄いのは、
彼が決してスーパーヒーローのごとく、
実は凄いパワーの持ち主だったというワケでもなく、
身体中傷だらけ、ボロボロになりながらも
自分が持っている最大の力で
彼らをバッタバッタと伸していくところだ。

このあと、話はロシアンマフィアにまで繋がり、
ハッチはとんでもないところにまで
入り込んでいき、壮大なアクションと
ぐっと泣かせる家族の姿も見せてくれる。

観終わって、このタイトルは???
と思ってしまうことを色々書きそうになるけれど、
ネタバレになるため、今日はこのへんで。。。

珍しくスカッとする楽しいアクション映画の紹介でした。

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