2023年03月15日

第45回アカデミー賞授賞式 その2

前回のブログでは、今年のアカデミー賞の
俳優たちについて書いたけれど、
今回はそれ以外で印象的だった部分を。

何より、今回は出ないと言っていた
レディ・ガガが、「トップ・ガン:マーヴェリック」の
主題歌をほぼノーメイク、黒Tシャツ、
敗れたパンツで、アコースティックで
歌ったのには驚いた。
やっぱりうまい!
そして、ある意味、この人らしいなあ
そう思った。

その主題歌賞をとった「RRR」は、
主演の二人が会場に来ていたのに、
歌わないのはともかく、
せめて映画そのままのダンスを
観たかったのに、これは残念。

ただ、これを受賞したインド人作曲家は
受賞スピーチで、大好きだという
カーペンターズの
「トップ・オブ・ザ・ワールド」を
今回、自分がトップになったことの
替え歌として歌ったのが素敵だった。

作曲賞にノミネートされていた
ジョン・ウィリアムズは、91歳。
功労賞くらいな感じで獲らないかと
思ったら、そうは甘くはなかった。
まあ、何度も獲っているからなあ。

年齢と言えば、作品賞の「エブリシング〜」で
ミシェル・ヨーの父親役ジェームズ・ホンは
ノミネートなどされなかったけれど、
94歳だと言うから凄い。
日本の仲代達矢氏もまだまだ
頑張ってほしい。

高齢で生きている人もいれば、
若くして亡くなる人もいる。
亡くなった人を追悼するコーナー
メモリアルの司会はジョン・トラヴォルタで
彼が涙ぐんで紹介した最初の故人は
「グリース」で共演した
オリヴィア・ニュートン・ジョンだった。

そして、後半、最も胸を打ったのが
ドキュメンタリー賞の最優秀賞を
獲った「ナワリヌイ」の受賞シーン。

この映画は、ウクライナ戦争も含めて
プーチンを強く批判した男、ナワリヌイを
追った映画だった。
映画のラストでロシア政府に投獄された
本人の奥さんが息子、娘と共に
監督に連れられて、授賞式に登場。

「彼のメッセージを忘れることなく、
私たちの国が自由になることを願っている」
と志し高い強いメッセージで訴えた。

日本でこういう華々しいエンタメイベントで、
決して政治関連の言葉を聞くことはない。

過去の授賞式でも数々のスピーチが
話題となった。
日本人が自由にこういうメッセージを
発する時代は来るのだろうか。

そんな色々なことを考えた
今年は素晴らしいセレモニーだった。

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2023年03月13日

第95回アカデミー賞授賞式 その1

今年もアカデミー賞が放映された。
コロナ禍で2ヶ月遅れた93回に続き、
まだオン・ザ・マスクの客席、
そしてウィル・スミスの平手打ち事件で
後味が悪かった去年の94回。

この2年に比べて、今年は十二分に満足出来る
ある意味、色々な意味で感動的な授賞式だった。


最も注目だった「エブリシング、エブリウェア・
オール・アット・ワンス」という覚えにくく、
伝えにくいタイトルで、ほとんどが中国人キャスト
という作品が、10部門11ノミネートで
作品、監督ほか主要部門も含めて7部門も受賞した。

正直言って、僕はこの映画、初見では
面白さがよくわからず、ただ、ただ
ガチャガチャとしたマルチバース感に疲れ切った。

しかし、僕の好みかどうかは置いておいて、
2度目の鑑賞でなるほど、多くの人が魅了される
という理由が理解は出来た。

とにかく、この映画で受賞した主演、助演の3人、
そしてノミネートされたステファニー・シュー
(彼女は歌曲賞でも歌を披露していた)は
作品内で、凄まじいまでの演技力を披露している。

特に、助演男優賞を取ったキー・ホイ・クァンは
「インディ・ジョーンズ」や「グーニーズ」の
子役以降、なかなか泣かず飛ばずで
「難民だった自分がここまでなったのだから
君たちも決して夢をあきらめないで」と
声をつまらせながらのスピーチは素晴らしかった。

加えて、この映画の作品賞を手渡した
ハリソン・フォードと彼のハグは
「インディ・ジョーンズ〜」の時の
抱擁と重なり、泣かされた。

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その光景を見た客席にいたスピルバーグは、
彼の自伝映画『フェイブルマンズ』が
ほとんど受賞しなかったのにも関わらず
本当に嬉しそうだったのも印象的だ。


また、同じ映画で助演女優賞を受賞した
ジェイミー・リー・カーティスは、
過去作はホラーも含めたエンタメ映画ばかり。

今回、多くの中国人キャストの中で国税局の
鬼職員を嬉々として演じていて、
まさかの受賞で
これまた体いっぱいに喜びを
現していたのが微笑ましかった。

両親が共にオスカー俳優の彼女は
「遂に取れた!」と天を仰ぎ、
打ち震えるシーン、ここももらい泣きだった。

加えて同作品から、主演女優賞で
勝ち得たミシェル・ヨーも、
多くのアメリカ映画に出ていたチャイニーズだけれど、
オスカーとは無縁だった人。
以上の3人は失礼ながらも、ここで
オスカーを取らなければ、
もう取れないだろうと思われる人たちだ。

その俳優部門で、僕がとても嬉しかったのは、
「ザ・ホエール」で過食症の教師を
演じたと言うブレンダン・フレイザーの
最優秀主演男優賞。

彼は「ハマナプトラ」などで人気を博したあと、
僕が個人的には大好きなゲイ・ムービー
「ゴッド・アンド・モンスター」で
素晴らしい役を演じたりしていた。

しかし、男性からのセクハラで映画界から
遠ざかっていたようだったことは
今回、僕も初めて知った。

そういう辛さを乗り越えての受賞は
その表情からたっぷりと伺えた。
受賞は逃したものの、彼と同作で
共演したホイ・チャンが客席で
泣きながら大きく微笑んでいたのが印象的だった。

いずれにしても、今回の俳優賞、
それぞれの長い道のりとストーリーが
まるで映画のようで、そこが
エモーショルだった、そう言える。

さて、オスカーのことを書き出すときりがないけれど、
続きは、あと、もう少し続きます。
また次のブログで。

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2023年02月24日

お勧め映画「逆転のトライアングル」

リューベン・オストルンドっていう
スウェーデンの映画監督がいる。

この人は「フレンチアルプスで起きたこと」
そして2作目「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
の2本で、不可思議で残酷だけれど、
先がまったく読めないサプライズの中で
独特な風刺を、とくと見せてくれた。

上のような流れに、スウェーデン映画?と聞くと、
なんだか小難しそうな感じがするけれど、
基本的には、ブラックなエンターテインメントとした
作りになっているから大丈夫。

ただ、かなり過激、下品、下劣という
ある意味、ダメな人はまったくダメかも。
でも、僕は大のお気に入りの監督なのだ。


前置きが長くなっちゃったけれど、
今回も、この「逆転のトライアングル」
(原題は"Triangle of Sadness"
美容業界での眉間の皺を刺すらしい)という
これまた異様な世界観を持ちながら、
楽しませ、そしてじっくりと
個々の人生について、考えさせてくれる。

triangle_of_sadness_ver2.jpg


映画は、男性ファッションモデルを男性カールが、
ファッションショーの観客席で
著名人が来たために、良い座席を
外されてしまうシーンから始まる。

そんな彼が、インフルエンサーとして
稼いでいる彼女ヤヤと、リッチな夕食の
支払いを払う、払わないで揉める。

そう。彼はどこかで自分は一流の
仲間入りをしているような気分でいながら、
日常の中では、金を持っているほうが払うという
ケチくささも露呈する。

人からすると、ちっぽけでくだらない
とされるこの喧嘩は映画始まってすぐに
さらりと描かれるけれど、
この二人の関係が、
映画の後半、どうなるかが見ものだ。


ありとあらゆる富裕層が
乗っている豪華客船の旅に便乗するこの二人。
もちろん、そこにはお客様は神様!とする
スタッフたちが、自分たちもいつかは
そんな金持ちに!と言わんばかりに、てきぱきと動き、
その階下で働く有色人種の裏方に指令を送る。

それぞれの立場や感情がうごめくさまは、
少し長いながらも飽きさせないけれど、
このあと、大きな事件に寄って
すべての境遇が変化していく。

まさに現在、問題になっている格差社会の分断を
こういう形で描いているのが、僕にとって
とても魅力的だった。
まだ2月と今年も始まって2ヶ月だけれど、
早くもベストテン候補の1本だ。

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2023年02月20日

鈴木亮平という俳優

ゲイ映画「エゴイスト」がとても評判だ。
日本ではそれほど多くはないけれど、
ゲイを題材にした映画が
それなりに作られてきた。

ただ、予算が限られていることもあり、
著名な俳優が出演したりすることも
それほどなく、題材的に
どちらかと言うとミニシアターで
上映されるモノが多かった。

大きな劇場で公開された中には
妻夫木聡がゲイ役をやった「怒り」や
北野武監督の「御法度」、
少し異色のモノの中では
長瀬&七之助コンビの
「真夜中の弥次さん喜多さん」などがあった。

また、それ以外にも「Mr.レディー 
夜明けのシンデレラ」という、もう時代錯誤も
甚だしいゲイ=お笑い、変態、というような
描き方をされているモノもあった。

余談だけれど、この映画の脚本、監督をした
瀬川昌治さんは、僕が行っていた映画学校の
演出の講師で大変お世話になった人。

ただ、1990年という時代を考えると
仕方がなかったと言えばそうかも知れない。
ただ、もし彼が健在で、僕が今のバーを
やっていたら、あの作品について、
色々聞きたいし、話したい気がする。

ちょっと本題から外れたけれど、
とにかく世の中は2000年代に入って、
腐女子が支えるBL文化というモノに
注目が集まった。

昨今のゲイ映画はBLムービーと
識別が出来なくもなっていたりして、
少なくとも、邦洋問わず、その手のモノは
ひと握りのゲイと多くの女性で
それなりにヒットするようになったようだ。


そういう中で、今回の「エゴイスト」。

個人的には、僕自身が若い頃に
自分に対してのホモフォビアや
色々なモノを思い起こしてしまった。
そういう意味では現在の
若いゲイライフとは少し違うかな、
などと思ったりもした。

しかしながら、過去ゲイを扱った日本映画よりも
男同士の純愛を描いた、という意味では
新たな試みだと受け入れることも出来た。


そして、何よりも僕の中でいくつか
沸いた疑問(たとえば、何故
あそこまでオネエに寄った演技に
しなければならなかったのか、
海外の多くのゲイ映画を観ていると
何か物足りない、というような疑問)は、
以下の鈴木亮平のインタビューを読んで、
なるほど!と腑に落ちたところも多かった。

とにかくこの人が、他者を演じることで
その他者をいかに受け入れることが出来るか、
そこに到達しようとしていることが見て取れた。

また、少なくとも、彼や監督が、ゲイの世界を
絶対こうだ、と断定することではなく
迷いながらも、謙虚に
作っていこうとする姿勢を聞くことが
出来たのは嬉しかった。


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2023年02月15日

映画のインターミッション

昨夜、劇場でやっている「タイタニック」を
リアルタイム以来、観に行った。
IMAX、それも3Dで上映していて、
ジェームズ・キャメロン監督自ら
監修したという25周年記念バージョンだった。

IMAXや3D効果は、もともとそういう風に
作られていないだけに、残念ながら
特にすごいとは思わなかった。
しかし、ベタベタであざとい演出と
わかっていても、
主演二人の恋愛模様、そしてあの時代に!と
思われる特殊効果は、改めて良く出来ている、
こりゃヒットする、と思った次第だ。

驚いたのは、3時間を遥かに超える
この映画にインターミッション(つまり
休憩時間)がなかった、ということだ。
あ、そうだったっけ、と。。。

そう。最近、3時間超えの大作映画は
「RRR」「アバター」「バビロン」と
次々と公開されているけれど、
どれもインターミッションがない。

特に「RRR」など、途中に休憩が
入っているにも関わらず
(ほとんどの長いインド映画には
オリジナルでは入っている)、
日本で公開する時はそのまま繋いで
上映される。
もう膀胱が破裂しそうだし、
とにかく一服したい、飲み物買いたい
という人も多いだろう。

それでも、一日の上映回数のために、
過去の何本かのインド映画や、
名作「ライトスタッフ」が
バッサリカットされた事を思うと
まだ良いのかも知れない。

それにしても、「風と共に去りぬ」や
「ベン・ハー」などそこまで古くなくとも、
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」など
インターミッション入った映画が懐かしい。

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2023年02月12日

お勧め映画「対峙」

もう1年以上前に、アメリカで
話題になり、でもあまりにも地味な作品で
日本では公開出来るのだろうかと
思っていた"Mass"「対峙」が
公開された。

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このあまりにも地味なタイトル、
まるで小劇場の舞台劇か、と思うほどだったけれど、
確かに前編演劇のを見ているようだった。

メインの役者は4人。
高校生銃乱射事件を起こした加害者の少年の
両親と、被害者の少年の両親。

謝罪と嫌悪、憎悪と赦し、そして双方にある
絶望的とも言える深い悲しみ。

ぶつかり合い、それでもどこかで
受け入れることが出来るのか。
両者ともの子供に対する愛情、
どれだけあの子を愛していたか、
それを吐き出すことで
まるで死んだ子を取り戻すかのような時間。
それが、ほぼリアルタイムで描かれていく。

そこには事件が起こった背景になった
映像や、ニュース、外部からの情報などは
一才入らず、彼らの言葉を頼りに
我々は事件の全貌を少しずつ見えてくる。


あまりにも悲惨な出来事。
多くの人がほぼ経験はしてない、
しかしながら、ことの大小あれども、
十分想像できるような世界がそこにある。

たとえば友人の過失を責める者と
かばうことなど、この日本でも
小さな現実を思い起こす人もいるかも知れない。

また、世界中で起こる言われない殺人事件、
その被害者は、いかにしてその実現を
赦すことが出来るのか、と考える人もいるだろう。

キリスト教のベーシックな教えが
生活の基盤になっている人も多い欧米人と
無宗教な人間も多い日本人との差を
強く感じるかも知れない。

結末まで見て、納得する人も、
涙を抑えられなくなる人もいれば、
どうしても腑に落ちない人もいるだろう。

しかし、そういうセンシティブな問題を
こういう形でとりあげた製作者、監督に
僕は強く敬意を感じた。

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2023年02月04日

ここにもいたシネフィル(映画狂)

コロナ禍、ぶらりと尋ねてくれた
トオルさんは僕よりもひと周り下だ。

2年ほど前に来てくれた時に
壁際にズラリと並んだ新作の映画ポスターに
興味を持ち、店に貼ったほとんど誰も
知らない「鳥類学者」という映画のポスター
(映画祭でしか上映されていないゲイ監督の
無修正版映画)にも反応するという
数少ないお客さんのタイプだ。

それから何度か店に来てもらったものの、
多くのお客さんの前で、そんなディープな話も
出来ずに終わっていたが、
一昨日は寒くて、最初の何組かと話をしたあと、
トオルさんと二人、かなりディープな映画話で
盛り上がった。


僕くらいの世代は、まだビデオやゲームもなく、
子供時代、そこに時間を費やすことを知らなかった。

だからなのか、映画館で幕が開くのを待つ
(ってか、今、映画館の劇場に幕が付いているところって
どれくらいあるんだろう)。

僕は幼少の頃から、両親が好きだった
「サウンド・オブ・ミュージック」を
レコードで聴きまくり、
小学校6年から中一くらいに映画熱に火がついた。

中学生の時には親に図書館に行くと言いながら、
大阪の戎橋や大毎地下という名画座に通った。

高校時代は邦画と洋画2本立ての一館しかない、
という街で3年間を過ごしたが、その反動か
東京に出て来て、大学生活の傍ら、バイトをして
フィルムセンターや都内でまだまだあった
多くの名画座を荒らしまくった(笑)


そんな僕よりも少し下のトオルさんは、
地方都市で高校まではほとんど映画は
テレビで観る娯楽大作くらいで、
大学に出てきてから映画にハマったのだと言う。

今やビデオを通り越して、配信の時代だけれど、
彼が凄いのはほぼスクリーンでしか
映画を観ないということ。

僕もトオルさんも似ているのは、
映画を監督で観る、という癖が付いてしまっていること。

内容がどうであれ、この監督、と思えば
その人をとことん追いかける。

そして驚き、嬉しかったのは、日本では
ほとんどきちんと公開されていなかった
インド映画の巨匠、グル・ダッドが好きかと思いきや、
70年代のアメリカエンタメ映画監督、
ドン・シーゲルの特集を都心から少し離れた
小さな映画館まで観に行っているとの話。

いずれにしても、店ではほぼ出来ない
オタク話が店でひっそりと出来たのは嬉しかった。

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2023年02月01日

映画「イニシェリン島の精霊」について

先週から始まった「イニシェリン島の精霊」。

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アカデミー賞前哨戦のゴールデングローブ賞の
ミュージカル・コメディ作品賞にノミネート
されていたのは不思議に思う。

個人的にはスピルバーグの「フェイブルマンズ」と
逆じゃないかと。

まあ、そのあたりは置いておいて、
この映画はすべての人に勧められるモノではい、
そう言っておかなければならない。

これはコメディはおろか、ホラーにも近い
残虐的な部分も多々あったりもするところも。


映画は、1920年代のアイルランド紛争の時代。
その紛争とはかけ離れたアイルランドの孤島、
当時のイニシェリン島が舞台だ。

この小さな島で、妹と暮らす中年男パードリック
(少年っぽい表情だったコリン・ファレルが
いまだにそういう顔を見せて演じるミドルエイジが
素晴らしい)が、仲が良い友人、コラムを
尋ねていくところから始まる。

しかし、このコラムはパードリックを無視し、
家の中にも入れることはない。

その後、いつも行く酒場の店主に尋ねても、
またそこで再会するコラムに語りかけても、
無視を繰り返される。

そしてそのうちに、これ以上、
近づけば、お前の指を一本ずつ折る、と
詰め寄られる。


この映画は「拒絶の痛み」を描きながら、
人と人のわかりあえなさ、
そしてそこから生まれる憎悪、怒りを
これでもか、と描き出す。
それはアイルランド紛争と重なるという人もいる。

あまりにも美しいこの島の風景が、
その「怒り」に寄って、血生臭く、崩れゆく。


自分自身の人生を考えても、
友人、お客さんんとの関係上で、
決してないとは言い切れないだけに切ない。

誰もが経験しうる関係性の問題を
考えずにはいられない、不思議な一本だと思う。

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2023年01月28日

今年のアカデミー賞ノミネートについて

今週の火曜日(現地時間月曜日の夜)に、
今年のアカデミー賞のノミネートが
発表された。

2010年から、作品賞は10作品以内、と
言われ、数年は10本選ばれていたけれど、
ここのところずっと9本。
今年は久しぶりに10本選択された。
個人的には2009年までの5本で
十分だと思っているのだけれど。

さて、作品賞は以下の10本だ。


この中で、僕は公開前のモノも含めて
7本観ている。

下馬評では「エブリシング・エブリウェア・
オール・アット・ワンス」という
英語をカタカナ表記した最も長い?と
思われるタイトルのモノが獲る、と言われている。

個人的には、ドッと疲れてしまったけれど、
周りで観た人たちは「楽しかった」「凄かった」を連発。

ただ、過去もこれは獲る!と言われていた映画が
番狂せということは何度もあったので
こればかりは、わからない。
去年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」や
過去も「ROMA/ローマ」、「スリー・ビルボード」や
もっと遡れば「ブロークバック・マウンテン」なんかは
他の多くの賞に輝きながら、無視された。


個人的にNetflixで放映されている「西部戦線異状なし」
と、昨日から劇場で始まった
対抗馬「イニシェリン島の精霊」
(この2本に関しては近々、紹介します)のほうが
好みだった。


いずれにしても、アカデミー賞に限らず、
多くの賞レースというのは、本当に厳選なモノか、
裏がまったくないのかは、わからない。
特にどこかの国の賞なんかは、
ヒットはしたものの、多くの人が
え?これが?と思うようなモノが
作品賞を獲っていたりもする。

とは言え、僕が子供の頃なんかは、まったく生で
観ることが出来なかった華やかな授賞式を
目にできる時代になったのは嬉しい。

賞に集う監督や俳優たち、そして
磨かれ抜いたスピーチの数々や、
時にはビッグニュースになったりする出来事
(去年のウィル・スミスのように)なども含めて
年に一度のお祭りを楽しみたい。

今年は3月12日(日本時間13日)。

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2023年01月19日

お勧め映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」

今日、紹介したいのは、先週から始まった
「モリコーネ 映画が恋した音楽家」という映画だ。

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エンニオ・モリコーネという作曲家を
知っている若い人たちってどれくらいいるんだろう。

と言うか、今の映画好きな若い人たちの
知っている作曲家って誰なんだろう。

僕の若い頃は、ニーノ・ロータや、
フランシス・レイ、ヘンリー・マンシーニ、
ミシェル・ルグランなどは、曲だけ聞けば、
作曲家や映画を知らずとも、
一般的にああ、これか!というほど
有名な楽曲だった。

もう、今や映画音楽がスタンダードに、
という時代じゃないし、映画を思い出して
そのテーマ曲が流れてくる、というのは
今や日本映画の主題歌になっているような
J Popくらいなのかも知れない。


話を戻すと、このエンニオ・モリコーネ。
僕が最初に知ったのは、テレビで
「夕陽のガンマン」や「荒野の用心棒」
「シシリアン」などの古い映画を観た時に、
耳から離れなくなった曲たちだ。

そして、僕よりも少し若い人たちも
「ニュー・シネマ・パラダイス」や
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
「海の上のピアニスト」などは
聴いてみたら、耳馴染みがあるだろう。
CMなんかで使われることも多いし。


さて、そのモリコーネが、いかにして、
その名曲群を作り出し、多くの監督が
何故にこの人をチョイスしたのか、
そして音楽家も含めて、多くの著名人が
この人を称賛し、永遠である、と証言したか。

この映画では、彼自身のインタビューと、
周りの人々証言、
そして彼の音楽が使われている
映像がこれでもか、と流されていく
ドキュメンタリーの傑作(と言ってしまおう)だ。

そもそも、映画音楽の巨匠とされている
モリコーネだが、元々クラシックから
前衛的な音楽の数々挑戦していた。
そこから行き着いた映画音楽が、
多くの音楽家に寄って、「あのような
軽いモノを作って」と嘲笑されていた、
という話は驚かされる。

かつてのアヴァンギャルドと言われた音が、
たとえば、口笛や、鐘の音、日常に流れる
あらゆるモノ音などに変化して、
作品に生かされていく。

そして驚くなかれ、彼はキーボードや
楽器を奏でることなく、頭の中で創作し、
それを譜面に起こしていく、という作業を
続けていったと言うから凄い。

あの名匠キューブリックが「時計じかけのオレンジ」で
彼を起用したかったらしいが、とある出来事から
断念した、という事を、モリオーネ自身が
悔やんでいたように、この映画を観た
多くの観客も残念に思うはずだ。

とにかく、ここまで優れた
ドキュメンタリーとは思わなかった。
先日紹介した「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」同様、
1月から素晴らしい映画が公開されているのは嬉しい。

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2023年01月13日

お勧め映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」

本日(13日)から始まった
「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」。

これは、数年前、アメリカ映画界の#Me Too 運動の
きっかけになった映画プロデューサーを
鋭く告発していった二人の女性ジャーナリストを
描いたモノで、非常にリアルで
強く心を揺さぶられた。

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告発されたハーヴェイ・ワインスタインは
多くの女優を含めて女性たちに
セクハラした疑いが出て、
それを二人の女性ジャーナリストが、
あらゆるプレッシャーにもめげず、
突き詰めていくというドラマだ。

ワインスタインと言えば、
「恋におちたシェイクスピア」
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、
「シカゴ」「英国王のスピーチ」
「アーティスト」などでアカデミー作賓賞を
数々とっただけじゃなく、
その他のタイトルを見ても、誰もが知っているモノが
ズラリと並ぶ。

「恋におちた〜」の際に、恋人のグウィネスに
このワインスタインが手を出したことを知った
ブラッド・ピットが、彼に「殺す」と訴えた話は
有名だった。
ただ、そんなピットが、その後、ワインスタイン製作の
「イングロリアス・バスターズ」に出演したことや
許せないと妻だったアンジェリーナは伝えたりもした。

そのピットが、奮起したのか、今回の映画の
プロデュースを買って出ているのも
とても興味深い。


アメリカ映画の告発モノの多くが
すべて実名、それにはいつも感心させれる。
ドキュメンタリーでもないのに、
役者が実在の人物の名前を堂々と語り、
演じることこそ、嘘くささが消え、
どこまでもリアルさが見てとれる。

そこには毎朝新聞もなければ、
山田総理大臣のような名前もない。笑

あらゆる事件を暴いていく二人も凄いけれど、
それこそ実名を出して、自分たちの
冒された苦難を恥を偲んで
出していく被害者たちには涙してしまう。

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2023年01月02日

2022年に観た旧作・新作 ビデオ配信 映画

昨日は、2022年に観た最新作映画の
個人的なベストテンを載せたけれど、
今日は配信やビデオで観たモノを。

この中で「君がそばにいたら」と
「ヒヤシンスの血」はゲイムービーです。


1.「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」


P-5100.jpg


「クイーン&スリム」

君がそばにいたら

https://www.youtube.com/watch?v=0v_YPrTy3QI


ハミルトン

https://www.youtube.com/watch?v=c5uSQZumrS8


西部戦線異状なし(1930)

https://www.youtube.com/watch?v=0jN5i2fwv-M


利休

https://www.youtube.com/watch?v=TJ-W1xYAu7Y


ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い

https://www.youtube.com/watch?v=te6XqAEXJvs


ヒヤシンスの血

https://www.youtube.com/watch?v=J30EGyQVIlk


ザ・レスキュー タイ洞窟救出の奇跡

https://www.youtube.com/watch?v=xAum_qp15UI


あの夏のルカ

https://www.youtube.com/watch?v=eE_6HCwwlao


本日は、新春六尺デー、お楽しみください。


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2023年01月01日

謹賀新年 2022年 映画ベストテン

あけまして、おめでとうございます。

昨夜の大晦日も多くのお客さんに来ていてだき、
有難うございました。

本年は明日がタクヤの六尺デー。
明後日は火曜日なので、タクヤデーが
Bridgeの通常営業となり、
私は4日からということになります。
本年もよろしくお願いします。


さて、今年も恒例の映画ベストテン。

さすがに一昨年は休みも多かったので
年間に観た作品数は435本と凄かったけれど、
去年は274本とガクンと減った。
その中で劇場公開された新作映画は
162本だった。あとは配信とかビデオだ。


とりあえず、劇場公開作のベストテンは以下のとおり。

1「戦争と女の顔」

2「マイスモールランド」

3「ウエスト・サイド・ストーリー」

4「荒野に希望の灯をともす」

5「C.R.A.Z.Y」

6「チェチェンへようこそ ゲイの粛清」

7「ベルファスト」

8「FLEE フリー」

9「ブルー・バイユー

10「RRR」

次点「ダウントン・アビー 新たなる時代へ」

明日は、配信で観た映画、ビデオで観た古いモノなどの
ベストテンをアップします。

今年も良い映画に出会えますように。

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2022年12月14日

映画「泣いたり笑ったり」から考えること

一昨年のイタリア映画祭で上映されて
見逃していた「泣いたり笑ったり」を
やっと観ることができた。

Unknown-1.jpeg

イタリアの大富豪家族と、
漁師をやっている労働者階級の
ふた組の家族が、とある出来事で
海辺の別荘に集まる。

蓋を開けると、なんと家長である
父親同士が同性愛者で、結婚を
する!というので大騒ぎとなる。

これが、全編いかにもイタリアらしい
笑いに満ちたテイストで描かれていくけれど、
そこに流れるのは、ストレートが
持ってしまう、ある意味、
当たり前の感情だったりする。

5年前にシビル・ユニオンという
結婚制度を同性にも与えたイタリアで、
そのことに反対はしなかったものの、
父親の結婚には異を唱える富豪の娘。
もちろん、漁師のイケメン息子も猛反対だ。


この映画を観ながら、ずいぶん前に
大学の同級生に僕がカミングアウトした時の
ことを思い出した。

僕の友人は「お前がそうであるのは
まったく問題ないし、俺は差別はしない主義。
でも、いざ自分の息子がそうだったりすると、
それは反対するだろうなあ」そう言った。

要は受け入れてもいないし、
認めてもいないのだ。
しかし、まったく同性愛者と関わることのない
人生で、そう感じるのは当然かも知れない。
僕はそう思った。

いつもこういう話が出た時に
「自分の親が『実は自分はマゾヒストで
異性から吊るされて、叩かれたりするのが
好きなのだ』とカミングアウトされる、
おそらく自分が同性愛者だ、と家族に
告白した時に、彼らが受ける衝撃、
というのはそういうモノだ」
と思うようにしている。

SMが悪い、ということじゃない。
ただ、それくらいショッキングなことなのだろう。

それほどインパクトがあることを
伝える、ということはよほど覚悟して、
相手の気持ちを思いやった上で
きちんと話す、ということなのだ、
この映画を観て改めてそう思った。
posted by みつあき at 18:36| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月10日

「ブエノスアイレス」のこと

映画「ブエノスアイレス」が、と言うか、
この映画を作った監督ウォン・カーウァイの
特集上映が、大変な評判で、まさかの
上映時間を多くし、なおかつ劇場も増やし、
拡大公開をした、と聞いた。

僕も15周年のバタバタで、再見することが
出来なかったけれど、観に行ったお客さんは
あまりにも混んでいて、驚いたと言っていたから
本当にヒットしたんだろう。

「ブエノスアイレス」と言えば、
僕は日本で初めて公開された時にも観に行ったけれど、
その前に観に行ったことがあった。
それはもうずいぶん前のブログに書いていた。



店に来てくれるショウヤちゃんは、
「ブエノスアイレス」が好き過ぎて、
アメリカに転勤で行っていた時期に、
アルゼンチンに行った。

映画に登場するバー"SUR"にどうしても
行きたかったということで、
このタンゴが流れる店に到着した瞬間、
鳥肌がたったのだそうだ。
店主はずっと変わらないらしいのが凄い。

なるほど、開業55年というお店のホームページを
見ても、素晴らしい。


そんな話を聞いて、是非とも
アルゼンチンに足を運びたい、
僕もそう思った。
それにしても、この円安。。。
どうにかならないものか。
posted by みつあき at 23:57| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月29日

シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ

「シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ」を観た。

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これはコロナ前に封切られた「シャイニー・シュリンプス!
愉快な仲間たち」の続編。
前作は、ゲイ叩きの罰則で、ゲイの水球部の
コーチに送られたイケメンマッチョが
右往左往するような映画で
それなりに楽しかった。

が、今回は、ゲイのオリンピック、ゲイ・ゲームスが
東京で行われる、ということで
意気揚々と東京に向かう!という話。

だが、水球の壮絶な戦いを観たい、と思う人や
それこそ↑のポスターのような男たちの裸が
これでもか、と観られるか、と思う人の気持ちは
おそらく愕然としてしまうほど裏切られる。

まず、東京のゲイ・ゲームスは、ほぼ描かれないのだ。
試合はおろか、東京の街の風景さえ。

まして、この映画の監督は、過去、日本で撮影された
アメリカ映画に影響を受けて、日本で映画を作ることは
夢のよう、とか謳われていたから、これは
裏切り行為でしょう、と言う人も多いだろう。


とは言え、これを観て、僕がとてもがっかりしたかと言うと、
それはなく、むしろ前作を超えたとさえ思った。

あまりネタバレはしないようにするけれど、
今回、東京に着く前に、ロシアに留まることに
なったチームの面々は、そこで思わぬ差別、
虐待とも言える仕打ちを受ける。

そう舞台はほとんどロシアなのだ。

この映画の中には、子供の頃からいじめられ、
ずっとクローゼットでいた男が、
ゲイではなく、ストレートになりたい、
そう思ったりするシーンがある。
僕も昔そうだったように、
同性愛者の中にはそんなことを
考えた人も少なくない、そう思う。

ロシアを始め、イスラム諸国や、アフリカなど
まだまだLGBTQに対する強い反発があることを
この映画ではたっぷり笑いを交えて
強く批判をしている。

まるで、007か!?と思わせるような
(それは言い過ぎ)アクションならぬ
アクティブシーンも交えて、
僕は楽しみながら、とても心を打たれた。

色々な意見で分かれるところかも知れないけれど、
個人的には勧めたい一作だ。

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posted by みつあき at 19:26| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月31日

お勧めゲイ・ムービー「スワンソング」

去年から今年にかけて、2本の"SWAN SONG"
という映画が話題になって、「グリーンブック」で
ゲイを演じたマハーシャラ・アリの「スワン・ソング」
(こちらはApple TVで配信中)ではなく、
それこそ、究極(笑)のゲイ・ムービー
「スワンソング」が公開中だ。

日本では、去年の東京国際映画祭で上映されて、
僕は観逃していたけれど、やっと劇場で
観ることが出来た。
ちなみにこちらはタイトルに中黒「・」が
入らないほう。。。

Unknown.jpeg

映画は怪優とも言えるウド・キアーが、
老人ホームで、次々と規則を破る
ゲイのパットを演じている。

彼は200本近くの映画に出演しているけれど、
これがなんと初主演らしくて、
その絶妙な芝居がさすがのベテラン、
もう、拍手、拍手なのだ。

パットがホームで、イライラする日々を
送っているある時、共和党の大富豪の女性の死を
彼女の弁護士が伝えに来る。

パットはかつて、最高級と言われる
ヘア・ドレッサーでもあり、
ゲイバーのショウにも出演したりしていた。

弁護士は、そんな彼に彼女の遺言で、
25000ドルで最後のヘアメイクを
してほしいという話を持ってきたのだ。

最初は首を縦にはふらなかったパットだが、
意見が違い憎かった彼女に復讐する気持ちで
死化粧をするため、こっそりと
ひとり、ホームを抜け出す。

(このあと少しだけネタバレになります。

ここから映画は、オハイオという小さな街を
ある時はヨタヨタ歩きで、ある時は
電動車椅子で走り回り(このシーンが素晴らしい)、
ちょっとしたロードムービーとなる。

そして、彼が会う多くの人たちから
あまりの時の大きな変化に出くわすのだ。
そんな中、彼は過去の栄光と苦渋を、
まるで自分が死ぬ前の走馬灯のように思い出す。

そこには、亡くなったパートナーから
相続を許されなかったけれど、
ゲイバーでゴージャズに女装していた時代があり、
今はスマホのアプリで出会い、
子供を二人で育てる男たちの姿まである。

とは言え、発展トイレで性器をくわえようと
していることは変わらなかったりするのだ。

とにかく、そういったゲイ活動の衰退、
そしてリベレーションの遂行。
あらゆるここ30年のゲイシーンを、
この名優がある時は物悲しく、ある時は力強く、
まさにゴージャスに演じ、見せつけてくれるのだ。

先日の「C.R.A.Z.Y」と共に必見だ。

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2022年08月22日

「ハリウッド版 『ラ・ラ・ランド』ザ・ステージ ライブ・イン・コンサート」

コロナになる前に、ハリウッドで2日間だけ
開催された「ハリウッド版 『ラ・ラ・ランド』
ザ・ステージ ライブ・イン・コンサート」が
日本でも上演(上映?)された。

Unknown.jpeg

中身がどんな代物とも知らず、あの映画の魅力だけで
僕は行くことを決め、昨夜の最終公演に出かけた。

基本的には映画をフル上映し(途中休憩が入る)
その音にシンクロする、という意味では
昨今、流行りのコンサート版上映という奴だ。

ただ、今回のバージョンは、映画の作曲家、
ジャスティン・カーウィッツが指揮をする
フルオーケストラに加え、ジャズバンド、
サントラで演奏を担当した
ランディ・カーバーのピアノも入る。

そして60名もの男女混合コーラスに、
10人ほどのダンサーが歌い、踊る。
またシークエンスごとにライティングが変化したり、
背景に星空が広がったり、火花が出たりと
スペクタクルな演出が続く。

もちろん、この映画の見事な楽曲が
生オケで聴くことが出来たのは至福の喜びでは
あったけれど、改めてこの映画が
いかに素晴らしい作品かということが
しっかりと確認できたことが
何よりも嬉しいことだった。


映画は大渋滞のハリウッドの高速で
すれ違った男女の出会いと
その後の人生を描いている。
男はジャズクラブの経営を夢見ており、
女は女優に憧れている。
二人の関係はどう作られ、
どう変化していくのか。


以下、ネタバレ

これが公開された時に、店では
評価が結構分かれた。

ネガティブな意見としては
「ミュージカル映画でハッピーだと
思って観に行ったら、ハッピーエンドではない
ということにがっかりさせられた」
という声が聞こえてきた。
ただ、僕、個人としては、これ以上ない、と
思われるほどのハッピーなエンディングだった。


ハリウッドのカフェでウェイトレスをしながら
何度もオーディションに通い、ことごとく落とされるミア。
ジャズクラブでモダンなピアノ演奏をしたいが、
陳腐なクリスマスソングを求められて愕然とするセブ。

二人はお互いの夢を尊重し、共に暮らし出すが
成功にはほど遠く、ちょっとしたことで
ぶつかってしまったりもする。


結果的に、ミアは女優になるべく
パリに行くことを決意し、
セブは初心に戻ってジャズにこだわることも決意する。
お互いに「ずっと愛している」という言葉を残しながら。


5年後、大女優となったミアは別の男性と結婚し、
偶然やはり成功を収めている
セブのジャズクラブに足を踏み込む。

かつて何度も聴いたセブの演奏を耳にしながら、
もしあの時、二人が一緒になっていれば、
そんなイメージが流れる。
切なくて、辛い。

曲が終わり、座席を立ちドアから出ようとする
ミアとセブは見つめ合い、やがて二人は微笑む。
そう、これで良かったのだと。

映画は見事なまでの伏線を入れながらも
強いメッセージを放っていく。

決して一緒になれずとも、あの時、あの瞬間に
共にいたことがなければ、お互いに今の
幸せもない。結果よりも過程なのだ。

いくら愛し合っていたとしても、人はいつか死ぬ。
どちらかを残して、どちらかが先に死ぬ。
別れることを苦しむよりも、
出会ったことを感謝することで
二人は十分に報われるのだ。

改めて、この映画をこれからも何度も観ながら、
僕はある幸福感をリフレインするだろう、
そう思った。

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2022年08月03日

埋もれていた傑作「C.R.A.Z.Y.」

HIV感染、余命30日と告知され、
メキシコまで治療薬を求める映画
「ダラス・バイヤーズクラブ」で有名な
ジャン=マルク・ヴァレ監督。

彼は去年の年末、ケベックの山小屋で
不審死を遂げたというけれど、
彼の初期の作品で大きな評価を
与えられていた「C.R.A.Z.Y.」が
やっと日本でも公開されている。

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時代は1960年代から70年代のカナダ。

生まれたばかりのザックは、
父親から息子の一人に
抱かれようとした瞬間、
病院の床に落とされてしまう。
彼はそこから数奇な運命を辿っていく。

ザックの家族は、心配性の母親と、
クールでかっこいいブルーカラーの父親、
そしてザックも含めて、
男ばかり5人の子供たち。

勉強ばかりしている兄、
運動ばかりしている兄、
かなりぶっとんでいるはぐれ者の兄、
そして両親から愛されている弟。

そんなガチャガチャとした中で
敬虔なクリスチャンの父親は、
パッツィー・クラインや流行歌の大ファンだが、
軍の施設で働いている。

サングラスが似合い、常に車を洗う
父親をかっこいいと思っていた
ザックだが、幼少の頃からなんとなく
自分がゲイではないかと気付く。

しかし、父親の「男は男らしくしろ」
という言葉に翻弄され、悩んだあげく青年期を迎える。

このあたりは、僕自身の父親が
同じくクリスチャンでオペラや映画を愛し、
それでも僕に「男というモノは」と
説いていた幼少時の時を思い出し、
胸が痛くなった。

自分自身を受け入れられないザックと、
さらに受け入れようとしない家族。

その葛藤の末、ザックはどういう道を
歩いていくのか。

時にはスタイリッシュな映像処理や、
高揚させてくれるほど次々と流れる音楽
(これがまさに僕の高校、大学時代に流行ったモノ)
そしてペーソスに溢れた脚本が素晴らしい。

多くのゲイを扱った映画でも、かなり一級品かと
思われるこの映画が、17年近く
日本で公開されなかったのが不思議だ。

時間があれば、是非とも。

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2022年07月20日

近年、ゲイムービーの傑作「大いなる自由」

今年でなんと30回になるという
レインボーリール東京、いわゆる
レズビアン&ゲイ映画祭が行われている。

いつも「これは!」と思う映画が
土曜日の夜とかになり、仕事で
観られなくなってしまうのだ。

今年、週末の夜に選ばれていたのが
「大いなる自由」という
オーストリア、ドイツ合作映画。

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日曜日の午前に、あと一回だけあり
友人が「本当に凄い!!!
一般公開しないかも知れないし、
とにかく観るチャンスがないので
絶対、行ってほしい」と連絡があったので
朝まで営業したその日、3時間半睡眠で
スパイラルホールに向かった。

映画は1968年、ハンスという男が
公衆トイレでのハッテンから
同性愛者をとりしまるあ刑法175条違反として
投獄させられるところから始まる。

彼の投獄はこれが初めてではなく、
45年にナチスの強制収容所から、
そして57年にも特定の相手と
付き合っていた事から、という過去がある。

映画はこの3つの時代を行きつ戻りつし、
辛くも、救いがない、そしてあまりにも切ない
時間を見せていく。

ハンスが愛を誓った男、
そして同性愛嫌悪の同室の男の心の中を
見せながら、あまりにも非情な時代が描かれる。

ある意味「蜘蛛女のキス」を彷彿と
させたりもするけれど、あの映画は
ファンタジーに溢れ、この映画は
とことんリアリズムで責めてくる。

後半、自由にセックスや
恋愛するゲイの姿を目にしながら、
本当の自由というのは、一体何なのか、
深く考えさせられる。

近年にはなかなか観られなかった
ゲイ映画の名作だと思う。

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