2018年12月20日

不思議な偽装結婚

5年ぶりに来てくれた、という
ツシマさんは56歳。
30年一緒に住んでいる
パートナーがいる。

ツシマさんは外資系の企業に勤めていて、
30歳の時に、とある女性から
結婚してほしい、と言われた。

彼女は一流企業に勤め
ずっと仕事がしたい、
夢もたくさんある。
そんな話をうんうん、と聞いてくれるような
男性はツシマさんだけだった。

ツシマさんは、ゲイであることを
彼女にカミングアウトし、
共に住んでいるパートナー
(当時はまだ数年だったようだが)
のことも話した。

「ご家族や職場は知ってるの?」と
彼女から聞かれて、知らない、と
応えると「そのためだけでも良いから
私と結婚してほしい」
そう言われたのだと言う。

要は、パートナーと同居しながらも、
たまに会ったりする、というだけで
彼女的には満足。
むしろ、そういうほうが
自分も仕事が一生懸命できるのだ。

迷った末、結婚に踏み切った。
両親も喜ばせたかったし、
外資とは言え、時代的に
結婚はまだかと職場で言われるのも嫌だった。

彼女が若くして買ったマンションを
世間的には自分たちの新居、
ということにして、
会社の同僚やストレートの友人を
招くこともあり、
そういう時だけ、ツシマさんは
彼女の元へ行った。

パートナーとの関係も、
彼女(つまり奥さん)との
関係もうまく行っていた。

ひとつ問題なのが、
たまに会うツシマさんの母親が
どうしても奥さんと気が合わない。
頼むからあんな女性とは別れてくれ、
という話になったのだそうだ。

お父さんが亡くなったこともあり、
お母さんに落ち着いて
真実を打ち明けることにした。
「僕は愛する男性と一緒に住んでいて、
それも全部受け入れてくれて、
彼女は結婚した。
だから別れられない。」と。

お母さんとしては、
貴方が同性愛者ということは
受け入れるけれど、とにかく彼女と
別れてくれ、と。

ツシマさんはそんな母の言葉で
数年悩んでいたのだが、
その中で、奥さんのほうから
別れたい、という話になった。

仕事がうまく行っているからなのか、
二人のこの関係が嫌になったのか、
好きな男が出来たのか、
よくわからなかった。

そんなワケで、結婚数年後、
ツシマさんの不思議な結婚生活に
ピリオドが打たれた。

80を軽く越してしまったお母さんの様子を
たまにパートナーとたまに見にいくようだ。

あの結婚って、一体
なんだったんだろう、ツシマさんは
マイナスにはならなかったけれど、
誰のプラスになったかもわからない、
そう呟いた。


ゲイの偽装結婚と言えば、やっぱり
「ウェディング・バンケット」を思い出す。
The_Wedding_Banquet_1993_poster.png

***********************

posted by みつあき at 13:24| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月19日

友人のカミングアウト

僕の親しい友人であり、
店にもよく来てくれるタダシ
(他のお客さんは基本的には仮名だけれど、
彼の希望で本名です)から
一昨日の昼間、「母親にカミングアウトしたよ」
と連絡があった。

タダシの事を知っているお客さんなら、
は?今頃?もうとっくにしていると思った、
という人も多いかも知れない。

彼は渋谷区の同性の
パートナーシップ証明書の発行の際、
テレビなどにもよく映っていたし、
LGBT1万人のポートレートを目指す
"Out in Japan"の活動にも深く関わったいる。

ただ、もう80に近いお母さんに
わざわざ今、言うのも、
とも思っていたようだし、
再婚された義理のお父さんのことも
あったようだったから、
長く控えていたようだ。


タダシには今年で7年目になる
若いパートナーがいる。
九州に住んでいた彼と
数年遠距離恋愛だったが、
2年半ほど経って、
彼が上京、同棲を始めた。

そして、今回、「同性婚を認めないのは
違憲である」という訴訟について、
自分も少しでも何か出来れば、と
動こうかと考えたらしいのだ。

タダシのお母さんは、とっくに
わかっていたようだし、
「貴方がやりたいようにやればいい」
と言ってくれたようだ。
むしろ、義理のお父さんは
ショックを受けられていたと言っていた。

もちろん、タダシだけではなく、
パートナーの家族の問題もある。
一応、御両親にはカミングアウトはしたものの、
まだタダシも会ったことがないし、
マスメディアに出ることへの
躊躇は当然のようにあるようだ。

タダシと出会ってから、彼の生活や
環境、考え方も変わったように、
タダシも良い意味で大きく変わったと思う。

何よりも、彼のことを常に最優先しているし、
あれだけ派手な事は興味がない、と言っていた
彼が、ささやかでも結婚式とかしてもいい、
などと言うようになった。

unnamed.jpg

人は変わる。
そこには、自分が少しでも成長出来ること、
残された日々を、より素敵な人生になるべく、
生きていくような変化になるといい。
僕にとって、タダシは
そういう事に努力を惜しまず、
どんどんかっこ良く
変化していく友人なのだ。

***********************
posted by みつあき at 18:13| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月18日

部長の息子

ショウジ君を連れて来てくれた
タイ人のムーちゃんが
この前、僕が書いたブログ
を読んで、ひょっとしたら、という話をしてくれた。

ムーちゃんの友人のS君が関西で
彼の会社の既婚者の部長と
ひょんな事から関係を持っていたらしい。

S君が初めて行ったゲイバーの
クラブイベントに部長が来ていて
驚いた。
それからの付き合いとなったらしい。

その部長は結婚しており、
うちに呼ばれたことがあったと言う。

堂々と奥さんに会わせたい、
ということだった。

そのS君は躊躇したモノの、
部長が
「今後、色々仕事の出張とかで
お前と一緒だと言うと、
妻も安心だから」と言うので
自宅へと行くのをOKしたそう。

で、行ってみたら、
東京から来た彼の息子が
帰っていて、4人で楽しく飲んだ。

息子さんは、30歳前くらいで、
お父さんに似てはいないものの、
格好の良い爽やかな青年だったらしい。

そんなこんなで、みんなに
見送られて、帰りの電車に乗る前、
このあたりでゲイはいないか、と
出会い系アプリを立ち上げたら、
なんとその息子が出て来たとか。

つまり、それぞれは知らないけれど、
部長もその息子さんもゲイだったとか。

images 2.jpeg

先日のブログで、ムーちゃんは、
歳の頃も含めてひょっとして同じ親子?
と思ったらしいけれど、
まさかそれはないだろうけれど、
意外と知らないところで、
親子のゲイというのは
いるのかも知れない。

*************************

GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F
posted by みつあき at 16:48| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月17日

ヤンチャな両親の元に生まれて

タイ人のムーちゃんに、初めて
連れて来てもらったのが
23歳になるショウジ君。

ショウジ君の両親は共に、若い頃、
ヤンキーと言われたヤンチャ夫婦で
なんとまだ二人とも40代。

ショウジ君は2つ違いの姉と、
5つ違いの妹がいて、
その娘たちは二人とも、
それなりにヤンチャなようだが、
ショウジ君は大人しく落ち着いている。

周りの大人たちは
「何故、この家族にこんな子が」と
驚くくらいらしい。

とにかく、お父さんは今でも派手なバイクに
またがり、建築会社に勤めており、
声もデカいし、何かとすぐ手が出る。
女は男に尽くせばいいんだ!と言い放ち、
お母さんとは喧嘩が絶えなかった。

8c494408-4bd8-4350-9581-a22a3b170a2b.jpg
とは言え、実は家族はものすごく仲が良く、
父親も母親も、子供たちへの愛情も
半端なかったのだと言う。
「愛と鞭の使い方がとっても
うまかった。だから、両親を
僕はすごく尊敬しているし、大好きです」
とショウジ君は言う。

しかし、あまりの酷い夫のありようを苦に、
2年前、母親は上の二人に
「私は明日、うちを出る」と
行き先も明かさず、出て行った。

仕事から帰って来て気がついた
父親はまた荒れた。
とにかく機嫌が悪いとモノだけじゃなく、
子供にもどんどん当たる。
そのお父さんに
「バッカじゃねえの!」と
反抗的な妹とは裏腹に
ショウジ君は嵐が過ぎ行くのを
震えながら待つ。

こんな父親に、ゲイだということが
わかったら、ただじゃすまないだろうなあ、
ショウジ君はそう想像する。

半年ほど経って、落ち着いた父親は
離婚届にサインをしたが、
いまだに母親への未練は
たくさんあるようだ。

父親のアイディアで、月に一度
必ず家族5人が顔を合わせ、
食事をする。

父親は母親に前よりも少し
気を使っているようだけれど、
心を決めた母は強い。

そんな二人がまた元に戻ろうが、
戻るまいが、それでも
この大好きな両親のことを
ずっと大好きでいたい。
そして万が一、母親や
姉、妹にゲイだということがわかっても
父親だけには一生、ゲイだということは
隠し続けなければ、
そう思うショウジ君らしい。

昨日の歌ちゃんの話ではないけれど、
本当に色々な家族があり、
幸せのあり方がある。

*************************

GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F

posted by みつあき at 16:25| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月11日

父の秘密

モトキ(44歳)は、
うちの店をオープンしてから
すぐの頃から来てくれているお客さん。

にもかかわらず、
昨夜、モトキから彼の家族について
今さらながら、意外な話を耳にした。

モトキは、妹二人、
そして両親という家族全員に
自分のことをカミングアウトしている
ということは結構前に聞いた。

ただ、母親も含めて女性陣は
十分受け入れてくれているらしいが、
父親は特に、そのことについて
触れては来ない。

そこには、実はモトキ自身が
聞くに聞けない父親の
隠れた性癖があったと言う。

子供の頃から、父親が風呂に入る時に
脱衣場で洋服を脱いでいると、
ブラジャーをしていたのだそうだ。

4905164149816_main_m.jpg
幼いモトキは、お父さんもお母さんも
人、というのは、大人になると
みんなブラジャーをしているモノだと
思っていたと言う。

一般社会ではそうではなく、
父親が女性用の下着愛好者(であろう)ことを
きちんと気が付いたのは
モトキが中学生くらいになってからとのこと。

同時に、モトキが自分がゲイであることに
気がついたのもその頃。
ゲイ雑誌をせっせと買っていた
高校時代、それが母親に見つかったことが
きっかけで、家族全員に話が
伝わった。

二人の妹は、モトキのゲイネタは
普通にふってくるようになったけれど、
父親は一切そこには触れないらしい。

だから、モトキも父親のその部分には
触れないのだと言う。

一度、モトキが海外で生活していた時期に、
妹から連絡があって、
「お父さんの机を整理していたら、
アクセサリーやウィグ、化粧品が
出てきた!」と長文メールがあった。

モトキは、そこでただの
女性の下着マニアではなく、
恐らく女装好きだと
いうことは理解したのだと。

ただ、気になっているのは、
もちろんその事は母親もよく知っているはずで
(下着は一緒に洗っているらしい)、
それをどう思っているのかということ。

色々と聞きたいことは山ほどありながらも、
家族と言えども、お互いに微妙に
心地良い距離を保とうとしていることに
それはそれでいいのか、と思うのだそうだ。

先日、ここにも書いた父親のゲイ告白と言い、
聞けば本当に色んな家族、色んな人がいる。

思えば、それが身近であればあるほど、
そのちょっとしたショックや意外性からの驚きが、
ゲイである僕たちが
ストレートに与えるモノなのだ、と
改めて考えられる教訓となる。



*************************

GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F
posted by みつあき at 15:42| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月04日

真実を伝えるということ

昨夜は僕と同世代の旧友の
ヤスダが来てくれた。
彼とは30代でお互いに
シビアな恋愛が終わり、
次に進まなければ、
という時に出会った友人だ。

この夏、彼のお姉さんが
癌で亡くなった。
もう数年前から具合が悪いことは
耳にしていた。
いつかはこの日が来る、
それはずっと聞いてはいたし、
ヤスダ自身も覚悟していたようだった。

そんな中、ヤスダのお母様は
もう80代をそろそろ
終えようとされていた。
数年前にご主人(ヤスダのお父さん)を亡くし、
辛い日を過ごされたあと、
少しずつ、記憶もまばらに
なって来た感じなのだと言う。

la-mano-della-donna-tiene-in-mano-la-madre-che-dorme-nel-letto-d-39-ospedale_29007-110.jpg

ヤスダは、他の兄弟と共に、
今回のお姉さんの逝去について
お母さんにどう伝えるかを
話し合った。

結果的に、ヤスダも含めて
家族は、お母さんにその事は一切伝えない、
そう決めたのだそうだ。

だから告別式にも
お母さんは出ることはなかった。

ただ、ヤスダは言う。
本当に、それで良かったのだろうか。
もし、お母さんの頭がしっかりとしていたら
「それだけは教えて欲しい」と
思うのではないか。

そういう気持ちの中で、
ヤスダは、真実だけど
言わなくても良いこともある。
それはヤスダにとって、
ゲイであることを親に伝える、
ということもそうだったと。

年老いた母親が、真実を知ることで
良いことがあるのか。
少しでも苦しませないような
配慮を、子供ならするべきではないか。

ヤスダは自分自身にそう言い聞かせながら、
納得していくしかないのだと呟いた。

ヤスダの気持ちは、痛いほど
よくわかった。
色々な意見はあるだろうけれど、
今回、僕もヤスダの家族が選んだ結論は
決して間違いではなかった、
そう思いたい。

*************************

GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F
posted by みつあき at 13:13| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月20日

父親との対話

セイジロウ君28歳の両親は
関西に住む55歳になる
お父さんと、53歳のお母さん。
一人っ子だったせいなのか、
二人からは、とても
愛されて育ったと言う。

子供の頃からいい子でいよう、
としていたせいなのか
怒られた記憶が本当にないようだ。

そんなセイジロウ君が
自分がゲイだと
気がついたのは、
小学校低学年の頃。
キャンプに行った時に、
同級生のかっこいい男の子が
上半身を脱いで、
川に入っているのを見て
ドキドキし、その日から
そのコのことがどんどん好きに
なってしまったのだと言う。

それから中学、高校に進み、
そういう気持ちは
確信から自信へと変化したと言う。

世の中で、ニュースなどでは
同性愛を扱うことも増え、
大学に進んだ頃に、2丁目にも来だした。
出会い系アプリで、
初体験も済ませた。
そして人と付き合う幸せも学んだ。


両親とは帰省するたびに、
色々なことについて
話すことは多かった。
それも自分の立場に立って
色々と教えてくれてきた父親とは
二十歳を超えてから
よく酒も飲んだらしい。

しかし、愛し愛されている両親に
カミングアウトするということは
さすがに考えられなかった。
彼らを傷つけたくない、
誤解を受けたくない、
というのが一番の理由だったらしい。

2年前のある日、
父親が上京し、話があるから
一緒に飲もうと
居酒屋に誘われた。

セイジロウ君は、ひょっとして
自分のことを聞かれるのじゃないか、
かなり緊張したのだと言う。

父親は自分の顔を見ながら、
「真剣なことだから、
しっかりと答えてほしい」
そう切り出された。
「え?何のこと?」と尋ねてみた。

「俺は同性愛者だということだ」

セイジロウ君は自分の耳を疑った。
「お前が同性愛者ということだ」と
言っているのかとさえ思った。

しかし、それは違い、父親は結婚前から
ずっと悩み苦しみ、セイジロウ君が
10歳くらいになった18年ほど前に
母親にちょっとしたことからバレてしまったと。

離婚の話にもなったけれど、
お前が成人するまでは
ということに落ち着いた。
しかし、その後、時間をかけて、
やはり離婚するのは正しいことではない、
そう両親は結論づけたらしい。

「お前はどう思うか。
正直に答えてほしい。」
そう言われて、セイジロウ君は
凍りついた。
正直、驚きを通り過ぎ、
ショックで長い時間、言葉が出せずに
その間、お父さんは黙って下を向いていたそうだ。

そして、やっと振り絞って出した言葉は
「これからも、お母さんを
傷つけないでほしい。」
それだけだったらしい。

お父さんは涙をためて
ゆっくりと頷いていたそうだ。

どういうふうにお母さんに
バレてしまったのか、
今、お父さんには恋人がいるのか、
お母さんは実はどう思っているのか、
そして何よりも、
本当に自分(セイジロウ君のこと)は
ゲイだとわかっていないのか。

そんなことをたくさん考えながらも、
ひと言も聞くことも、
カミングアウトもとても出来なかった。

それから2年。
二人はそのことについて、
まったく触れずにいるらしい。

父が満身の力を振り絞って
自分の告白したのに、
セイジロウ君は、
どうしても言えない自分を
責めたりもしたようだ。

初めて耳にした凄い話だった。
お互い様だから、
カミングアウトしてみれば?
などと、とても軽くは言えない。
それほど、デリケートな話だとも思った。

この話を聞いて、思い出したのは
Fun Homeという漫画が原作のミュージカル。
レズビアンの娘とゲイの父親の
確執と愛情を描いたモノだった。
日本で発売されている漫画も必読。

Fun_Home_0085_-_Cast_Portrait_Photo_Credit_Joan_Marcus.jpg
写真は舞台"FUN HOME"

**********************************
GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F
posted by みつあき at 15:47| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月15日

家族の写真

昔、僕が2丁目を知った頃
(何十年前??)、
短髪、マッチョ、野郎系が集まると
評判だったのが、今でもある
九州男さんというお店だ。

このお店では、
当時マスターのマッチャンだけでなく、
今は亡きハジメさんというイケメン兄貴には
とってもお世話になった。

ハジメさんの思い出は、ずいぶん前に
このブログにも書かせてもらった。

今回は、マッチャンでも、
ハジメさんでもなく、
マッチャンから譲り受けた今のマスター、
カツキ君の話。


カツキ君とは、
何かと仲良くさせてもらっているが
先日、うちの11周年のあいさつに行ったら、
ちょうど沖縄に行っている最中だった。

そう。
カツキ君は沖縄出身なのだが、
その直後、インスタグラムで
本当に素晴らしい写真が送られて来た。

そこに写っているのは、
カツキと彼氏と、それぞれの両親、
そして兄弟やら、甥っ子さんやら
家族が勢ぞろいというモノだった。

「ここに来るまでに、
いろんなことがあったけど、
この写真は人生の宝物」
と書いているカツキ君。

確かに時代は少しずつ変化し、
LGBTをとりまく環境は、
かなり変わってきている。
とは言え、なかなかこんなふうに
オープンマインドな家族に
囲まれた二人、という姿は
あまり例を見ないかもしれない。

心からほっこりさせられた。

***********************************
GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F


posted by みつあき at 16:21| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月14日

二人の女性に育てられて

ミズタニは、もう25年以上も前、
僕が前に勤めていた会社にいた部下だ。
彼に限らず、うちの店には過去
何人もの部下や
仕事の関係者が来てくれたりしたが
昨日は関西に住むミズタニが
友人同伴で、あちらに帰る最終バスに
乗る前の数時間、寄ってくれた。

ミズタニとその友人(30歳のストレートカップル)と
最近のLGBTに対する社会の大きな変化などを
色々話していたら
そのカップルの女性、アズミちゃんが
「私、お母さんが二人いるんです」と
切り出した。

アズミちゃんの両親は若くして
結婚したが、どういう理由からか、
彼女が3歳か4歳になる頃から
実家にはもう一人、女性が出入りしていた、
と言うか共に住んでいたと言う。

お父さんは、お父さんで、
どうやら外に若い彼女がいて
(その相手ともアズミちゃんは
よく会ったとも言う)、
不思議な家庭生活だったようだ。

お母さんとその女性は、
二人とも男勝りの性格でボーイッシュで
アズミちゃんは、ひょっとしたら
二人はレズビアンかともと
思っていると言う。

ただ、それについては、母たちはまったく
触れないので、改めて聞くこともない。
もちろん、もしそうだったとしても、
十分受け入れてこうと思う。

それは、彼女が十二分に、母親とその女性、
もしくはお父さんとその彼女から
多くの愛情を与えられ
なんの問題もなく幸せに育った。

だから、一見、好き勝手に生きていると
思われる4人の大人たちは
愛情さえあれば、大丈夫だと
自分に教えてくれているのだ、
そう言った。

世の中には、「普通」という言葉の裏に隠された
ちっぽけな倫理観や、道徳観に縛られ、
そうでないことを否定してしまう人は多い。

それは個人がそう思っていなくても、
ここは否定しておいたほうが、と
思うクセが付いてしまっているんじゃないか。

日頃、色々考えるところを
アズミちゃんは、真っ正面から
自分の幸福感について語ってくれ、
僕自身も幸せな気持ちになった。

***********************************
GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16  SENSHOビル 6F


posted by みつあき at 18:14| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月23日

母の命日

5月19日は母の命日。

あれから、もう2年も経ったと思うと

本当に年月が過ぎるのは早い。


去年もそうだったが、この日は

何となく1日、母の写真を見たり、

共にいた時のことを考えてしまう。


命日は週末だったので、明けた

月曜日に父と共に眠る墓を訪れた。


神戸の甲山にある巨大な共同墓地は、

木々に囲まれ、散歩をしたり、

咲いている花を見たりする人も多い。


この季節に母が死んだことは

訪れる僕ら家族にとっては、

本当にありがたい。

文字通り五月晴れの中を、

まるで森林浴を

するような気持ちで、

両親に話しかけられるのだ。


思えば、もう4年ほど前だったか、

母がまだ杖をついて歩けていた時に、

墓に眠る父に会いに来た。


大阪の友人が車を出し、母の介護施設から

墓地まで乗せて来てもらった。


その時に、友人は車の中に鍵を刺したまま、

ドアを閉じてしまい、

その墓地の階段に母と座って、

JAFがやってくるのを待ったのも

懐かしい思い出だ。


墓地の石段に母と座っていたら、

母の目の前を蝶々が舞っていた。

母は「あら。お父さんかしら。

こうして、お父さんに会わせてくれるために、

お友達は鍵を車に忘れてくれたのね。」

なんて、笑っていた。


今よりも、もう少し暑くなっていた時期だが、

それでも心地よい風に吹かれて、

気持ちの良い午後だった。


今回、墓参りに行き、

父と母の二羽の蝶々がいるか、なんて

ふと思ってみたけれど、

さすがにそれはなかった(笑)


もうこの年齢まで生きている僕に対して

なんの心配もしていないのかも知れない。


来年のこの季節に、また会おうね、と

挨拶をして、緑色の絵の具をばらまいたような

素晴らしい森に別れを告げた。


************************************
新宿2丁目 Gay Bar Bridge(ブリッジ)
東京都新宿区新宿2丁目13の16
SENSHOビル 6 F
03-6423-7384
************************************
posted by みつあき at 18:11| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

親子という形をとって

セイヤ君は30歳。
18歳の頃から25歳上の
パートナーと付き合って12年だそうだ。

その間には色々なことがあったようだ。
最初は、彼の家に遊びに行っていたのだが
そのうちに彼の部屋に住むようになった。

ただ、それからパートナーのほうの両親が
体調が悪くなり、地方から
東京に出てくることになった。

結局、その両親には自分たちが
住んでいるマンションを譲り、
その近くにマンションを買うことにした。

とは言え、いつ両親が覗きに来るかも知れない。
そういう不安の中、セイヤ君は、
実はパートナーが若い時に
女性と遊んだ時に出来た
子供だということにしたのだと言う。

恋人同士ということを隠すために、
会社の同僚、とか友人、ということを
聞いたことはあったけれど、
親子ということは初めてだし、
増して自分の両親に息子だ、というのは
本当にまれだと思う。

ただ、女性の押し付けられた子供、ということで
パートナーの両親からのセイヤ君への
当たり方はひどかったらしい。

結果的にご両親は次々に亡くなったようだが、
その形は5年ほど続き、
セイヤ君は「よく耐えたと思う」そう言う。

いつものことだけど、
本当に色々な人生がある。

*******************

各種公式SNSはこちらから
Facebook→https://m.facebook.com/bridgetokyo/
Instagram→https://www.instagram.com/bridge.tokyo/
Twitter→https://mobile.twitter.com/gaybarbridge


GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16 SENSHOビル 6F

posted by みつあき at 16:01| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月19日

初夏の肝試し

今日は深夜の遅い時間に、お客さんと僕の4人で、


霊感の話から、幽霊やら、お化けの話やらで


盛り上がった。


その時、僕が思い出してしたうちの兄の話。


うちの兄が高校生の頃、足を怪我した友人の見舞いに


古い病院に、面会時間を過ぎてから行ったと言う。


兄の友人のお母さんが、洗濯を干したままに


して帰ってしまったので、取りに行ってくれ、と言われて


屋上にひとり、上がって行った兄。

タオルやシーツがゆらゆらと揺れている


暗い屋上の中で、何か兄の横側で人の気配がする。


それも何となくシーツなどと共に揺れている感じがする。


あまりに怖いので、見ぬふりをしながら、


彼は友人に指定された何本目かのロープから


タオルを取って、いそいそと階段に向かった。

階段を降りる際に、もういいだろうと一瞬、


その人の気配をするほうを見ると・・・


髪の長い女性が宙に浮いている!!!


兄は腰を抜かしそうになりながら、友人の部屋に


「幽霊を見た」と大声をあげたらしい。


友人も看護婦さんも笑ってとりあってくれなかったと言うが、


その後、その姿は幽霊ではなくて、病気を苦にして


首吊りをした自殺死体だったことがわかった。


そんな話でお客さんをすっかり怖がらせてしまった。


それにしても、この話、僕も本当に怖い・・・。

人の気配を感じながら、階段を降りる瞬間に


ちょっとだけ見ようとした兄の気持ちがわかるだけに、


本当に怖かっただろうなあ・・・。


まだ夏にはちょっと早いけれど、キモダメシな一夜でした。

posted by みつあき at 03:24| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月11日

姉弟

今日はそれほどのトピックスがないんだけれど、

先週だったか、とっても嬉しいことがあり、

それを書いていなかったことを思い出した。

店を開けて2時間ほど経った時に、


古くからの友人でもあり、常連客のタケちゃんから

「これから女性、一人、連れていってもいい?」と電話。

うちは、ことさら女性を断るっていうことはないので


「ゲイ・バーだとわかって来てくれるのなら

もちろん大丈夫だよ。」と答える。

10分ほど経過して、とっても品の良い中年女性を


従えてやって来たタケちゃん。

「これ、うちの姉貴。ほんの20分前にカミングアウトした。」

店にいた約10人が口をあんぐり。

まあ、うちの母親も初めとして、今まで3人ほど

お客さんのお母さんはいらっしゃったことはあるけれど、

(あ。お父さんも一人・・・)


カミングアウトしたばかりの実姉というパターンは初めて。

「タケちゃんから、さっき聞いて、どうでした?」

「とっても嬉しかった!よく言ってくれたわねえ。」と


僕とそれほど年齢が変わらないタケちゃんの頭をお姉さんは撫でた。

驚いたことに彼女は、タケちゃんに向かって

「ねえ、ねえ。貴方、私に紹介したい人がいるんじゃないの?」

今のところ、シングルのタケちゃんは苦笑い。


そして、もっと驚くのは、

彼女は若い頃に結婚して、もう40近い息子もいる、と言うのだ。

と言うことは、少なく見積もっても、還暦に近い。


それにしても、50前後にしか見えない美しさだ。

この小奇麗さ、若さは、こういうことをすんなり、

そしてきちんと受け入れるだけの器が、

そうさせているんだろう。

タケちゃんがお姉さんを連れて来たいという

一番最初のお店に思ってくれたことは、本当に嬉しく思った。

今月には九州に帰ってしまうお姉さんらしいけれど、


また機会を見て、是非、一緒に足を運んでほしいなあ。

そう思った。

posted by みつあき at 05:45| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする