2018年11月11日

父の秘密

モトキ(44歳)は、
うちの店をオープンしてから
すぐの頃から来てくれているお客さん。

にもかかわらず、
昨夜、モトキから彼の家族について
今さらながら、意外な話を耳にした。

モトキは、妹二人、
そして両親という家族全員に
自分のことをカミングアウトしている
ということは結構前に聞いた。

ただ、母親も含めて女性陣は
十分受け入れてくれているらしいが、
父親は特に、そのことについて
触れては来ない。

そこには、実はモトキ自身が
聞くに聞けない父親の
隠れた性癖があったと言う。

子供の頃から、父親が風呂に入る時に
脱衣場で洋服を脱いでいると、
ブラジャーをしていたのだそうだ。

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幼いモトキは、お父さんもお母さんも
人、というのは、大人になると
みんなブラジャーをしているモノだと
思っていたと言う。

一般社会ではそうではなく、
父親が女性用の下着愛好者(であろう)ことを
きちんと気が付いたのは
モトキが中学生くらいになってからとのこと。

同時に、モトキが自分がゲイであることに
気がついたのもその頃。
ゲイ雑誌をせっせと買っていた
高校時代、それが母親に見つかったことが
きっかけで、家族全員に話が
伝わった。

二人の妹は、モトキのゲイネタは
普通にふってくるようになったけれど、
父親は一切そこには触れないらしい。

だから、モトキも父親のその部分には
触れないのだと言う。

一度、モトキが海外で生活していた時期に、
妹から連絡があって、
「お父さんの机を整理していたら、
アクセサリーやウィグ、化粧品が
出てきた!」と長文メールがあった。

モトキは、そこでただの
女性の下着マニアではなく、
恐らく女装好きだと
いうことは理解したのだと。

ただ、気になっているのは、
もちろんその事は母親もよく知っているはずで
(下着は一緒に洗っているらしい)、
それをどう思っているのかということ。

色々と聞きたいことは山ほどありながらも、
家族と言えども、お互いに微妙に
心地良い距離を保とうとしていることに
それはそれでいいのか、と思うのだそうだ。

先日、ここにも書いた父親のゲイ告白と言い、
聞けば本当に色んな家族、色んな人がいる。

思えば、それが身近であればあるほど、
そのちょっとしたショックや意外性からの驚きが、
ゲイである僕たちが
ストレートに与えるモノなのだ、と
改めて考えられる教訓となる。



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2018年11月04日

真実を伝えるということ

昨夜は僕と同世代の旧友の
ヤスダが来てくれた。
彼とは30代でお互いに
シビアな恋愛が終わり、
次に進まなければ、
という時に出会った友人だ。

この夏、彼のお姉さんが
癌で亡くなった。
もう数年前から具合が悪いことは
耳にしていた。
いつかはこの日が来る、
それはずっと聞いてはいたし、
ヤスダ自身も覚悟していたようだった。

そんな中、ヤスダのお母様は
もう80代をそろそろ
終えようとされていた。
数年前にご主人(ヤスダのお父さん)を亡くし、
辛い日を過ごされたあと、
少しずつ、記憶もまばらに
なって来た感じなのだと言う。

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ヤスダは、他の兄弟と共に、
今回のお姉さんの逝去について
お母さんにどう伝えるかを
話し合った。

結果的に、ヤスダも含めて
家族は、お母さんにその事は一切伝えない、
そう決めたのだそうだ。

だから告別式にも
お母さんは出ることはなかった。

ただ、ヤスダは言う。
本当に、それで良かったのだろうか。
もし、お母さんの頭がしっかりとしていたら
「それだけは教えて欲しい」と
思うのではないか。

そういう気持ちの中で、
ヤスダは、真実だけど
言わなくても良いこともある。
それはヤスダにとって、
ゲイであることを親に伝える、
ということもそうだったと。

年老いた母親が、真実を知ることで
良いことがあるのか。
少しでも苦しませないような
配慮を、子供ならするべきではないか。

ヤスダは自分自身にそう言い聞かせながら、
納得していくしかないのだと呟いた。

ヤスダの気持ちは、痛いほど
よくわかった。
色々な意見はあるだろうけれど、
今回、僕もヤスダの家族が選んだ結論は
決して間違いではなかった、
そう思いたい。

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2018年10月20日

父親との対話

セイジロウ君28歳の両親は
関西に住む55歳になる
お父さんと、53歳のお母さん。
一人っ子だったせいなのか、
二人からは、とても
愛されて育ったと言う。

子供の頃からいい子でいよう、
としていたせいなのか
怒られた記憶が本当にないようだ。

そんなセイジロウ君が
自分がゲイだと
気がついたのは、
小学校低学年の頃。
キャンプに行った時に、
同級生のかっこいい男の子が
上半身を脱いで、
川に入っているのを見て
ドキドキし、その日から
そのコのことがどんどん好きに
なってしまったのだと言う。

それから中学、高校に進み、
そういう気持ちは
確信から自信へと変化したと言う。

世の中で、ニュースなどでは
同性愛を扱うことも増え、
大学に進んだ頃に、2丁目にも来だした。
出会い系アプリで、
初体験も済ませた。
そして人と付き合う幸せも学んだ。


両親とは帰省するたびに、
色々なことについて
話すことは多かった。
それも自分の立場に立って
色々と教えてくれてきた父親とは
二十歳を超えてから
よく酒も飲んだらしい。

しかし、愛し愛されている両親に
カミングアウトするということは
さすがに考えられなかった。
彼らを傷つけたくない、
誤解を受けたくない、
というのが一番の理由だったらしい。

2年前のある日、
父親が上京し、話があるから
一緒に飲もうと
居酒屋に誘われた。

セイジロウ君は、ひょっとして
自分のことを聞かれるのじゃないか、
かなり緊張したのだと言う。

父親は自分の顔を見ながら、
「真剣なことだから、
しっかりと答えてほしい」
そう切り出された。
「え?何のこと?」と尋ねてみた。

「俺は同性愛者だということだ」

セイジロウ君は自分の耳を疑った。
「お前が同性愛者ということだ」と
言っているのかとさえ思った。

しかし、それは違い、父親は結婚前から
ずっと悩み苦しみ、セイジロウ君が
10歳くらいになった18年ほど前に
母親にちょっとしたことからバレてしまったと。

離婚の話にもなったけれど、
お前が成人するまでは
ということに落ち着いた。
しかし、その後、時間をかけて、
やはり離婚するのは正しいことではない、
そう両親は結論づけたらしい。

「お前はどう思うか。
正直に答えてほしい。」
そう言われて、セイジロウ君は
凍りついた。
正直、驚きを通り過ぎ、
ショックで長い時間、言葉が出せずに
その間、お父さんは黙って下を向いていたそうだ。

そして、やっと振り絞って出した言葉は
「これからも、お母さんを
傷つけないでほしい。」
それだけだったらしい。

お父さんは涙をためて
ゆっくりと頷いていたそうだ。

どういうふうにお母さんに
バレてしまったのか、
今、お父さんには恋人がいるのか、
お母さんは実はどう思っているのか、
そして何よりも、
本当に自分(セイジロウ君のこと)は
ゲイだとわかっていないのか。

そんなことをたくさん考えながらも、
ひと言も聞くことも、
カミングアウトもとても出来なかった。

それから2年。
二人はそのことについて、
まったく触れずにいるらしい。

父が満身の力を振り絞って
自分の告白したのに、
セイジロウ君は、
どうしても言えない自分を
責めたりもしたようだ。

初めて耳にした凄い話だった。
お互い様だから、
カミングアウトしてみれば?
などと、とても軽くは言えない。
それほど、デリケートな話だとも思った。

この話を聞いて、思い出したのは
Fun Homeという漫画が原作のミュージカル。
レズビアンの娘とゲイの父親の
確執と愛情を描いたモノだった。
日本で発売されている漫画も必読。

Fun_Home_0085_-_Cast_Portrait_Photo_Credit_Joan_Marcus.jpg
写真は舞台"FUN HOME"

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2018年09月15日

家族の写真

昔、僕が2丁目を知った頃
(何十年前??)、
短髪、マッチョ、野郎系が集まると
評判だったのが、今でもある
九州男さんというお店だ。

このお店では、
当時マスターのマッチャンだけでなく、
今は亡きハジメさんというイケメン兄貴には
とってもお世話になった。

ハジメさんの思い出は、ずいぶん前に
このブログにも書かせてもらった。

今回は、マッチャンでも、
ハジメさんでもなく、
マッチャンから譲り受けた今のマスター、
カツキ君の話。


カツキ君とは、
何かと仲良くさせてもらっているが
先日、うちの11周年のあいさつに行ったら、
ちょうど沖縄に行っている最中だった。

そう。
カツキ君は沖縄出身なのだが、
その直後、インスタグラムで
本当に素晴らしい写真が送られて来た。

そこに写っているのは、
カツキと彼氏と、それぞれの両親、
そして兄弟やら、甥っ子さんやら
家族が勢ぞろいというモノだった。

「ここに来るまでに、
いろんなことがあったけど、
この写真は人生の宝物」
と書いているカツキ君。

確かに時代は少しずつ変化し、
LGBTをとりまく環境は、
かなり変わってきている。
とは言え、なかなかこんなふうに
オープンマインドな家族に
囲まれた二人、という姿は
あまり例を見ないかもしれない。

心からほっこりさせられた。

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2018年09月14日

二人の女性に育てられて

ミズタニは、もう25年以上も前、
僕が前に勤めていた会社にいた部下だ。
彼に限らず、うちの店には過去
何人もの部下や
仕事の関係者が来てくれたりしたが
昨日は関西に住むミズタニが
友人同伴で、あちらに帰る最終バスに
乗る前の数時間、寄ってくれた。

ミズタニとその友人(30歳のストレートカップル)と
最近のLGBTに対する社会の大きな変化などを
色々話していたら
そのカップルの女性、アズミちゃんが
「私、お母さんが二人いるんです」と
切り出した。

アズミちゃんの両親は若くして
結婚したが、どういう理由からか、
彼女が3歳か4歳になる頃から
実家にはもう一人、女性が出入りしていた、
と言うか共に住んでいたと言う。

お父さんは、お父さんで、
どうやら外に若い彼女がいて
(その相手ともアズミちゃんは
よく会ったとも言う)、
不思議な家庭生活だったようだ。

お母さんとその女性は、
二人とも男勝りの性格でボーイッシュで
アズミちゃんは、ひょっとしたら
二人はレズビアンかともと
思っていると言う。

ただ、それについては、母たちはまったく
触れないので、改めて聞くこともない。
もちろん、もしそうだったとしても、
十分受け入れてこうと思う。

それは、彼女が十二分に、母親とその女性、
もしくはお父さんとその彼女から
多くの愛情を与えられ
なんの問題もなく幸せに育った。

だから、一見、好き勝手に生きていると
思われる4人の大人たちは
愛情さえあれば、大丈夫だと
自分に教えてくれているのだ、
そう言った。

世の中には、「普通」という言葉の裏に隠された
ちっぽけな倫理観や、道徳観に縛られ、
そうでないことを否定してしまう人は多い。

それは個人がそう思っていなくても、
ここは否定しておいたほうが、と
思うクセが付いてしまっているんじゃないか。

日頃、色々考えるところを
アズミちゃんは、真っ正面から
自分の幸福感について語ってくれ、
僕自身も幸せな気持ちになった。

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2018年05月23日

母の命日

5月19日は母の命日。

あれから、もう2年も経ったと思うと

本当に年月が過ぎるのは早い。


去年もそうだったが、この日は

何となく1日、母の写真を見たり、

共にいた時のことを考えてしまう。


命日は週末だったので、明けた

月曜日に父と共に眠る墓を訪れた。


神戸の甲山にある巨大な共同墓地は、

木々に囲まれ、散歩をしたり、

咲いている花を見たりする人も多い。


去年もそうだったが、

この季節に母が死んだことは

訪れる僕ら家族にとっては、

本当にありがたい。

文字通り五月晴れの中を、

まるで森林浴を

するような気持ちで、

両親に話しかけられるのだ。


思えば、もう4年ほど前だったか、

母がまだ杖をついて歩けていた時に、

墓に眠る父に会いに来た。


今、月曜日をやってくれているマサヤが

大阪に暮らしていた頃で、

彼が車を出し、母の介護施設から

墓地まで乗せて来てもらった。


その時に、マサヤは車の中に鍵を刺したまま、

ドアを閉じてしまい、

その墓地の階段に母と座って、

JAFがやってくるのを待ったのも

懐かしい思い出だ。


墓地の石段に母と座っていたら、

母の目の前を蝶々が舞っていた。

母は「あら。お父さんかしら。

こうして、お父さんに会わせてくれるために、

マサヤ君は鍵を車に忘れてくれたのね。」

なんて、笑っていた。


今よりも、もう少し暑くなっていた時期だが、

それでも心地よい風に吹かれて、

気持ちの良い午後だった。


今回、墓参りに行き、

父と母の二羽の蝶々がいるか、なんて

ふと思ってみたけれど、

さすがにそれはなかった(笑)


もうこの年齢まで生きている僕に対して

なんの心配もしていないのかも知れない。


来年のこの季節に、また会おうね、と

挨拶をして、緑色の絵の具をばらまいたような

素晴らしい森に別れを告げた。


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