短髪、髭、30歳のオカ君が
顔を見せてくれた。
話好きだし、感じも良い彼に
「そう言えば、どこかの店を
手伝ったりしてるんだっけ」と尋ねてみた。
彼いわく、どこに行っても言われるし、
入って欲しいと誘われるらしい。
でも、オカ君は絶対に無理なんです、と言う。
まず、他店などに言って、自分の形容詞が
「どこそこの店で働いている」と
なってしまうのがイヤなのだ、と。
いわゆるその店の雰囲気を担いでしまい、
その店を苦手な人が自分を
遠ざけてしまうのではないか、と。
また、他人が飲んだグラスを洗うのが苦手。
それほど潔癖症ではないけれど、
飲食物で手が汚れてしまうのがダメで
自宅でも出来るだけ避けたいらしい。
また、最も大きな理由は、自分が
話したいワケでもないお客さんに
何か飲んで、と言われて、話に
付き合うのがかなり辛いらしい。
なるほど。
思えば、昔の自分も、まさか店を
やるなどと思えないほど、
人を選んで話していたことを思い出した。
人には色々な得手不得手があるのものだ。
いつも自由気ままなオカ君だから、
きっと好きな時に好きな店で、
好きなマスターやお客さんと
一緒にいられる、というのが
とても楽なのだろう。
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