2024年08月01日

1960年代、まさかのゲイを描いた「禁じられた情事の森」

「禁じられた情事の森」

実は恥ずかしながら、この映画、
タイトルを耳にしていながら、
内容もまったく知らず、
今まで観たことがなかった。

60年代の映画でありながら
同性愛も扱った、という意味で
とても重要な作品だというのに。

原題の"Reflections in a Golden Eye"は
「黄金の瞳に映るもの」という原作から。
それを当時の配給会社が
この邦題にしてしまったのは
ポルノビデオさえなかった時代に
俗っぽく、卑猥な感じを伝えることで
人を集めようとしたのかも知れない。

この当時のポスターのコピーさえ、
日本での狙いを強く感じる。

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舞台は大戦中の陸軍基地。
マーロン・ブランドは
士官学校で兵士を育てる少佐、
エリザベス・テイラーはその妻だ。

テイラーは軍にいる夫の友人と
ダブル不倫をしている。
その友人の妻は、子供を亡くしてから
精神を壊していて、フィリピン人の
同性愛者の男性に日々、世話を頼んでいる。

ブランドは、不倫妻には目もくれず、
常に自身の身体を鍛え、顔にクリームを塗り、
鏡を見つめている。

また、ブランドが乗った妻の愛馬が暴走し、
振り落とされた際、
人のいない場所で、女性のように
顔を覆い、泣き崩れる面さえ見せる。

この馬がとても象徴的に描かれていることも
この映画の魅力のひとつだ。

馬の件でブチ切れたテイラーは
大勢が見守るパーティの中、
鞭でブランドの頬を何度も引っ叩く。
その際、ブランドは仁王立ちのまま、
M男のように屈辱に耐えたりもする。

そして、彼が家の木を伐採するように
頼んだのが。たくましく若い兵士だ。

全裸のまま馬に乗り、日光浴をしながら、
他の兵士たちとはなかなか相入れない男。
この不可思議なな青年を演じる若き
ロバート・フォスターがとてもみずみずしい。

ブランドは常に彼の行動を
少し距離を置きながら眺め、
フォスターが捨てたタバコの箱を
秘かに持ち帰り、
綺麗に皺を伸ばしたりしている。

そう。今さら言うまでもなく
ブランドが演じるのは、この時代、
変態、男色、果ては精神病とも言われたゲイなのだ。


映画はブランド、テイラー夫妻、
その不倫相手の夫婦
そして青年フォスターの5人の
サイコロジカル性への執着を
見せて、意外な展開へとなっていく。

これが当時、評価が分かれたのは
そのあまりに特異な話と
幾分、大映ドラマかのごとく
陳腐かと思うほどの大仰な演出に
あるのかも知れない。

ただ、これだけ同性愛が認知された現在、
ブランド演じる男のクローゼットぶりと
その心の中を垣間見せる術は、
とても興味深く見ることが出来るし、
同性愛者の心根にある深い傷のようなモノは
ひょっとして永遠に変わらないかも知れない。

映画は公開当時は普通に上映されたようだが、
今回の上映は全編、黄金色、というような
少し茶ばんだ画面(もちろんカラー)で
踏襲されていて、それが監督が望んだモノだと
最初に注釈があった。

好き嫌いはともかく、
一見の価値がある映画だということは否めない。

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posted by みつあき at 17:57| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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