昨夜、とある地方都市から友人の紹介で
49歳のキノシタさんが来てくれた。
これが、多くの人から良い男、
とされるだろうイケメン。
いわゆる今で言うイケオジのど真ん中と
言って良いと思う。
涼しい瞳に、整えられた顎鬚、
そして大き過ぎない程度に、
がっちりとした体格。
白いワイシャツに薄いブルーのジャケットから
清潔感が溢れている。
そんな彼だが、この年齢でゲイバーに
初めて来たのが、去年の暮れあたり。
それからまだ数回目なのだと言う。
それだけではなく、男との性経験も
30歳になる際に一度だけ、
そのあとは去年の暮れにバーで
知り合った相手と数回らしい。
去年、久しぶりというよりも
ほぼきちんとセックスを、と思い
相手からウケようとしたけれど、
うまく出来ず、次はきちんとしよう、と
ディルドまで買ったのだそうだ。
しかし、その次に会った若者が
ウケだったため、結果的にそのディルドは
ウケだったため、結果的にそのディルドは
いまだに使っていないらしい。
それにしても、この容姿で一体、
今まで何をしていたのか
そう尋ねると、学生時代から自分が
研究したい、ということが強くあり、
それを学ぶために海外に出向き、
ずっとあらゆる勉強をしてきたと言う。
若い頃から男性に興味があることは
わかっていたけれど、それよりも
とにかく物事を識る、というのが最優先。
その研究と仕事のため、ありとあらゆる
国を回っていたのだそうだ。
行った先は、ほとんど都会ではなく、
寂れた田舎。
寂れた田舎。
その旺盛なる好奇心は性的なことには
持っていかなかったのだそうだ。
多くのお客さんたちから「遅咲きの狂い咲き
になるよ」と言われながらも、
本人は「どうなんだろう」と首を傾げていた。
特にもっと早く経験していれば良かったとも
思わないし、これからのこともよくわからない。
そもそも、人を好きになる、付き合う、
という気持ちを持ったこともないし、
持ち前の面倒くさがり屋だということ。
これから彼がどういうゲイライフを
送っていくのだろうか。
いつも思うことだけれど、単なるゲイ、と言っても
本当に人それぞれだ。
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