35歳のカツロウちゃんは、5年ほど前に
生まれたての小さな猫を拾った。
それまでペットを飼ったこともなかった彼だが、
ネットや友人からの情報で、
懸命にその猫を育てたと言う。
2年前にボーイフレンドが出来たけれど、
その彼が激しい猫アレルギーで、
カツロウちゃんの部屋に来ることは出来ない。
その彼自身、家族と同居だったため、
結局会うのはいつもホテル。
こういう形は不自然だとお互いに思い、
続けることにピリオドを打った。
もちろん、その時にこの猫さえいなければ、
なんて考えたこともなかったと言う。
それくらい可愛がっていた猫だけれど、
3週間ほど前に彼の部屋から
忽然といなくなった。
自分が部屋にいる時、そして出かける際も、
ドアの開け閉めなど、ものすごく
気を使っていたのに、何故消えたのか。
唯一考えることができるのは、彼の部屋の
トイレの上のほうに換気も含めた屋外に通じる
小窓があった。
そこを開けていたのだ。
ただ、そこに上がるには、とても高過ぎて、
どうやって上がったのか、まったくわからない。
カツロウちゃんは、近所にポスターを貼り、
SNSなどにも発信し、喋ったこともない
近所の人も尋ねたらしたと言う。
結局、いまだに行方はわからず、
落ち込むばかりで、
ここまで落ち込んだのは恋愛でもないと言う。
ずいぶん前に、僕も逆に迷い猫を
譲り受けたことがあったけれど、
それもどこでどうやって
迷ったのか、当初、僕もわからなかった。
ただ、糖尿病で捨てられたのだろうと
育ててからわかった。
いずれにしても、病死は辛いながらも、
諦めも付くが、カツロウちゃんは、
想像以上のペットロスなのだそうだ。
せめて、どこかで元気に拾われていれば
良いのだけれど。
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