昨夜来てくれたアキラ38歳は、ずいぶん前に
知り合った5歳ほど年下のストレートの男を
好きで、好きで、自分なりに
追いかけていたことがあったようだ。
追いかけていた、と言っても、
彼に自分がゲイだと
カミングアウトしたこともなければ、
好きであることを伝えたこともない。
一緒に食事をしたり、楽しいことをして、
満足する、彼に対する性的願望もぐっと
抑える、そんな日々だったと言う。
それから少し時間が経過し、
PCで日本のゲイビデオを観ていたら、
なんと彼がそういうビデオに出ていた。
それも、自己紹介で自分を語る内容は
アキラがずっと聞いていた、
彼の昔の彼女の話など
そっくりそのままだった。
いわゆるノンケを落として、撮影する、
というゲイAVによくあるパターンだ。
最初は女性とやりながら、
ほとんど彼の顔や身体を映す、という
いかにもノンケの良さをアピールするビデオ。
ところが、その後、彼は男に股間や乳首を
攻められ、最終的には相手を掘る、
というパターンに。
何本か、そういうビデオに出演したあと、
結果的に彼もウケになってしまう状態に。
さすがに、ものすごく痛そうだったようだが。
アキラに、すごくショックだったかと尋ねると
いや、それよりも興奮して、彼のそういう姿を
見ることが出来て、嬉しかった、そう言う。
もちろん、それから彼と会っても、
ビデオを観たなんて絶対言わないし、
自分がゲイだということもカミングアウトせず、
また通常のデート(と言っても、相手は
友人として飲む、くらいにし
か思っていないそうだが)
数こそ少なくなったけれど、
そういう関係は続いているということ。
あらゆる意味で、僕には決して
出来ない不思議な関係だなあ、そう思った。
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