2022年02月14日

「ウエスト・サイド・ストーリー」

あのスピルバーグが「ウエスト・サイド物語」を
リメイクすると耳にしたのは、
一体いつだったんだろう。
4年、いやもう少し前だったかも知れない。

それから待つ期間が、どれほど長かったか。
本当なら一昨年の年末に公開だった予定は
コロナで1年延ばされ、加えて去年の年末だったのが
この2月まで延長された。

去年、公開された全米では、まさかの
オリジナルを超えた!などという噂も流れ、
期待は否応なく膨らんで、
やっと先週末、観に行くことが出来た。

ここまで心待ちにしていた映画って
本当に珍しく、それだけに期待を裏切られたら、
どうしよう、という気持ちも大きかった。


旧作の「ウエスト・サイド物語」は
僕が幼少時代、公開されたけれど、
「サウンド・オブ・ミュージック」で
ミュージカル映画の虜となった僕は
中学1年の時に「ウエスト・サイド〜」のレコードを買い、
その後、3年後にリバイバルするまで
どれほど聴きまくったか。

当時は、いつリバイバルするなんて
わからなかったし、もちろんビデオなど
ない時代だった。
なおかつあの若さ。その待つ気持ちと
時間の長さは、今回の数倍だったけれど、
その際と同じような気持ちでいたことを
ふと思い出した。

そして高校生になった瞬間に
やっとスクリーンで観ることが出来た時の
幸福感は忘れられない。

もちろん、その際には、オリジナル舞台の
脚本家、作曲家、作詞家、そして振付の4人が
全員ゲイ(またはバイセクシャル)なんてことは
まったく知らなかった。

ただ、今、改めて観ると、マイノリティから
見た世界観がいたるところに
表現されていることに驚かされる。

Unknown.jpegUnknown-3.jpegUnknown-2.jpegUnknown-1.jpeg

ここからは、少しネタバレも含めた長文。

話はよく知られているように
「ロミオとジュリエット」の現代版だ。

オープニング、白人の若者で構成されたシャーク団と
ラテン系のジェット団がニューヨークで争い、
その後、元ジェット団リーダーだったトニーが
「何か起こりそうだ」と歌う。
両グループが出る体育館でのダンスパーティで、
トニーと、シャーク団リーダーの娘マリアが出会い、
その後、名曲「トゥナイト」を歌う
有名なバルコニーシーン。

ここまでを観て、前の映画と
それほど変わらないかも知れない、そう思った。


が、しかし。その直後、これまた名曲「アメリカ」で
50年代風に作られたNYの路上に、カメラが出てから
どんどんスピルバーグのオリジナリティが
表現されていくのだ。

決闘の前、ジェット、シャーク、トニー、マリア、
マリアの兄の恋人アニタが歌う五重唱、
「クァルテット」は、毎度のように大興奮、
後半、決闘シーンからラストへの流れも
わかっていても泣ける。

元々、ブロードウェイの舞台の名振付家
ジェローム・ロビンスは、旧作の時に
ロバート・ワイズ(『サウンド・オブ・ミュージック』!!)と
共に監督の名前を連ねていた。
ただ、あまりの厳しさと時間の浪費に
降ろされたと聞く。

もちろん、舞台の振付もあったことから
旧作はロビンスのモノを踏襲していたけれど、
その振付を元に作られた今回の
躍動するダンスシーンは見もの。

そして、何と言っても、前作で
助演女優賞に輝いたアニタ役の
リタ・モレノが今回、重要な役で出演している。

僕は今回観るまでほとんどの情報を
シャットアウトしていたため、
トニーが生活する酒場、ドクの店の
未亡人を彼女が演じている。

これは、今回脚色をしたトニー・クシュナー
(彼もゲイだが)の、旦那であるマイケルが
スピルバーグに提案した流れらしい。

助演賞をとったあとも、彼女は
まったく良い役に恵まれていなかったので
今回の役にオファーが来た時には
飛び上がったらしい。

そう。旧作は、ジェット団関連の役者で
ラテン系はひと握り。それも肌の色が
白いタイプもいるのに、黒く塗って演じたらしい。
それが、今回ではしっかりと
あらゆるラテン系俳優を使っている。

そして現代も続く、分断や差別が
旧作よりも、さらにわかり易く、
かつ深く描かれている。

この映画に関して書き出すと止まらないが、
長くなるので、そろそろこのあたりで。

いずれにしても、そもそも傑作と
言われたリメイクとしては、本当に
質が高く、まさかここまで胸が
熱くなる思いにかられるとは。
大満足だった。

*****************

各種公式SNSはこちらから
Facebook→https://m.facebook.com/bridgetokyo/
Instagram→https://www.instagram.com/bridge.tokyo/
Twitter→https://mobile.twitter.com/gaybarbridge


GAY BAR BRIDGE
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-16 SENSHOビル 6F






posted by みつあき at 23:35| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。