2021年11月13日

忘れられない言葉

昨日の深夜、かなり酔っ払った感じで
僕と同い年のタグチちゃんが来てくれた。

「おお!結構、飲んでる?」と尋ねると
「うん、かなり。ちょっと話を
聞いてもらいたくてね」と言う。


タグチちゃんは、20年ほど付き合っている
それこそ20歳も年下のパートナーがいるのだが、
ワケあって、今月に入ってすぐに
地方都市の実家に帰省してしまった。
仕事を辞め、実家で新しい生活をする、
という話なのだそうだ。

タグチちゃんは、パートナーの親御さんや
兄弟にも何度か会っているけれど、
彼らは息子やタグチちゃんが
ゲイだということはおそらく
わかっていないのだと言う。

逆にタグチちゃんと
同居しているお母さんは
二人の関係をよく知っており、
パートナーが東京を離れたことを
非常に残念に思っているとのことだ。

彼が突然いなくなってしまった
その寂しさと、どうなるかわからない
今後のことを考えると、辛くて仕方がない、
タグチちゃんはいつになく涙ぐみ、
と同時に、饒舌に自身の話も色々としてくれた。


今はお母さんと二人、何とか楽しく
暮らしているけれど、タグチちゃんが
20代の頃、思い余ってご両親に
カミングアウトした時は
本当に大変だったと言う。

お母さんはともかく、
お父さんからはすぐに「お前はおかしいのだ」と言われ、
自分の親友の精神科医のところに
連れて行かれたのだそうだ。

その時に、その医者がお父さんに放った言葉が
タグチちゃんは今でも忘れられないと言う。

「お前、息子を俺のところに連れて来たけれど、
診なきゃいけないのは、お前の頭のほうだ。
自分の愛する子供が同性を好きだ、と
いうことを変態だとか、頭がおかしい、と
言っているお前のほうが、
精神が病んでいるのだ」と。

タグチちゃんは、そのお医者さんのひと言に
どれだけ救われ、それに寄って大切な恋人とも会え、
頑張って長く続けてくることが出来た。

それだけに、これからのことが
かなり重くのしかかってくるのだと。

どうすれば良い、ということは
何も言えなかったけれど、
少なくともその言葉は
タグチちゃんがどういう状況に置かれても、
力強く背中を叩いてくれるような気がした。

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posted by みつあき at 17:59| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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