昨夜は、突然の大きな地震にびっくりした。
帰宅困難者が多く出た、ということだが
まだ飲食店が9時までと定められていたから
そうでなければ、もっと大変なことに
なっていたかも知れない。
そんな地震の4時間ほど前に、
40になるヤマヤ君の素敵な話を聞いていた。
ゲイの人で、花が好きな人はたくさん
いるけれど、うちの店に来てくれるヤマヤ君は
子供の頃からずっと虫が好きだったと言う。
虫???
どんな虫でも???
と尋ねると
「基本的には、どんな虫でもです。
いわゆる害虫と言われるモノさえ
興味深く、愛おしいんです。」と語る。
だからと言って、蚊やゴキブリなどをしっかりと
観察する、ということもないらしいけれど、
都内でもアゲハ蝶やミツバチの幼虫とかは
普通に見られるし、注意深く見ていると
ものすごく楽しいらしい。
そもそも、ヤマヤ君が好きになったのは
小学生の時に学校の図書室で出会った
ファーブル昆虫記らしい。
シートン動物記と、ファーブルは
僕が子供の頃から、図書館に並べられ、
何となく読んだ記憶はあるものの、
それで夢中になる、ということはなかった。
ヤマヤ君は、ありとあらゆる植物が
生えている場所には昆虫がいる、ということで
多くの植物園や庭園がある場所に
いそいそと出かけていくのだそうだ。
そこに向かう電車に乗っている時の気持ち
と言うのは、デートで好きな人に会う時の
それ、と、とっても近いとつぶやく。
それを聞くと、確かに僕が映画館や劇場や
コンサートホールに行く時のそれ、
なのかもと思うと気持ちがわかる。
「トンボやコオロギ、てんとう虫、
蝉やバッタ、なんかは、都会でも
そこここにいます。
採集して、カゴに入れて食べ物を与えながら
毎日見ていると、幸せな気持ちになりますよ」
そして、彼らの営みや、誕生を観ていると
僕ら人間も同様にセックスをし、
こうして生まれてきた、ということに
感謝せざるを得ない気持ちになる、
ヤマヤ君はそう話す。
シンプルだけど、なるほどと
僕も少し虫たちを観察したいなあ、
そう思ったのだ。