昨日、吉田恵輔監督の「空白」を観た。
恥ずかしながら、この監督の映画は
初めてだった。
級友などに無視、またはバカにされたりしている
地味な女子中学生の花音。
彼女は、両親が何らかの理由で別れてしまったため、
気が短くて、ろくに話も聞いてくれない
父親と二人暮らしをしている。
花音は、離れてしまった母親とはたまに会って
話をしたり、携帯電話をプレゼントしてもらったり
するのだが、そういう事さえも父親は受け入れない。
そんなある日、とあるスーパーで花音は
小さな化粧品を万引きし、
追いかけてきた店員をふりほどき、
車に跳ねられ、死亡してしまう。
ここまでが、映画の冒頭だ。
映画は、古田新太扮する切れやすい父親、
彼女を追いかけたスーパーの店員、
その店員を見守るパートの中年女性、
彼女を車ではねてしまった若い女性、
死んだ娘を思い続ける母親、
学校の教師たち、
そして父親が唯一信頼を持つ若い
同じ漁船で働く若者。
こういう人々の関係と思惑が
この映画をあらゆる側面を見せてくれる。
愛情とは何か。孤独とは、結びつきとは何か。
許すとはどういうことか。
ありとあらゆるシーンが感情を揺さぶってくるのだ。
あまりにも重く、暗く、ネガティブな連鎖に
辟易としながらも、最後には
声をあげて泣きそうになる。
今年は邦画の豊作。お薦めの一本です。
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