2021年07月16日

お薦め映画「特別な一日」

なんと、1977年のソフィア・ローレン、
マルチェロ・マストロヤンニ主演の
「特別な一日」をものすごく久しぶりに観た。

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公開当時、僕もこの映画を観ているけれど、
マストロヤンニがゲイであることが
作品の中でかなり重要であるにもかかわらず、
このポスターにあるように、
結ばれぬ恋の物語だと思っていた(バカ)。

しかし、ここまで素晴らしい映画だったとは。

映画は、1930年代に、ヒトラーが
同盟を結ぶため、イタリアを訪問した
その一日を描いていて、オープニング、
そのニュース映像が流される。

ローレン扮するアントニエッタは、
朝、6人もの子供たちを起こし、
男尊女卑も甚だしい旦那に怒鳴られながら、
それぞれを送り出す。

街はファシズムの台頭で、ムッソリーニ万歳、
ヒトラーようこそ、と沸きに湧いている。
この日、人々はヒトラーを迎えるために
パレード、そしてお祭り参加で
アントニエッタを家に残し、
彼女の家族もいそいそと出かける。

ホッとひと息つく暇もなく、片付けや
洗い物をするアントニエッタだが、
鳥籠にいる九官鳥を窓の外に
飛び立たせてしまう。

羽ばたいた九官鳥が止まるのは、
向かいで部屋を一時借りている
マストロヤンニ扮するガブリエーレの部屋の外。

アントニエッタが、九官鳥を捕まえるために、
ガブリエーレを訪れることが、
この一日の、そして二人の出会いだった。

かつてアナウンサーだったという
ガブリエーレは、文学や音楽を楽しみ、
一見、自由を謳歌しているように見える。

そこにアントニエッタは惹かれるけれど、
ガブリエーレが実はゲイであることから、
激しい性的マイノリティへの
弾圧によって、国から出されようとしているのだ。

映画は最初から最後まで、まるで
ファシズムを唱えるスピーチや
高揚する市民の歓声が、BGMのように流れ続ける。

その中で、数々の小道具や設定の使い方。
たとえば、コーヒー豆、電球の傘、
ガブリエーレが作るオムレツ、
敗れたアントニエッタのストッキング、
そして、ボロボロになった三銃士の本、
それぞれが伏線となって、映画を生き生きとさせる。

人を弾圧、抑圧、差別をし、
意味の成さないルールに縛り付けることが
いかに愚かなことか。

この映画では、実態は伴わないけれど、
マストロヤンニの「僕は同性愛者だ」という叫びに
集約されている。

ローレン、マストロヤンニの多くの共演作の中で
「ひまわり」が最も有名だけれど、
この「特別な一日」こそ、二人の
最高傑作(マストロヤンニ自身も
そう言っているらしい)、そう思う。

機会があれば、是非。

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posted by みつあき at 15:23| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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