2021年05月09日

桐野夏生「日没」を読んで

緊急事態宣言が続き、ここのところ読書量が
ぐんと増えた。

今まで積ん読で置きっぱなしになっていたモノ、
また前から読みたかったモノなどを
書店やKindleで買ったりしている。

そうそう。
店に来てくれるお客さんのマサアキは
ものすごい読書家で、なおかつ自分が
読み終わった本で、興味がある?と
置いていってくれる。
有難い。

今までおそらく10冊、いや、それ以上の
本をいただいたりし、その中でノンフィクションの
エッセイや随筆はほとんど読ませてもらったが、
ここに来て、彼が好きだという小説も読み始めた。

その中で、一昨日、1日で一気に読んだのが
桐野夏生氏が書いた「日没」だった。


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いやあ、これ、凄かった。

内容は、40代の一人の作家が、
「文化文芸倫理向上委員会」(通称ブンリン)なる
国の組織から突然呼び出しを受ける。
そして、指定された日、着の身着のままで
崖に面した海辺にある孤立する要領施設に
連れて行かれるという話だ。

療養施設と言っても、
ほとんど監獄かと思えるような独居房で、
彼女は、「社会秩序に準じた出来の良い(!)
小説を書け」という教育を受ける。

ほぼきちんとやり取りも出来ない、
何十人も有名作家たちが拘束されていることを
知った彼女は、いつ開放されるか
わからないこの監房のような場所で
いかに孤独と向き合い、
自己を失わないでいるか。

そこに出てくる公務員たち、
医者、警備員、そして身の周りの世話をする人間、
さらにすれ違うどこかで会った作家たち。
それぞれの描写が、この先、
どうなるのだろうかと高揚させられる。

僕は桐野氏の作品は映画化された「OUT」や
「グロテスク」などを読んでいるけれど、
サスペンスフルな話の運びが、非常に上手い。

そして、この小説、発想の面白さを超えて、
とにかく怖いのだ。


国家が「正義」ということを盾に
ありとあらゆる自由を奪っていく。
それは、今現在、ありとあらゆる形で
理不尽までに抑えつけようとしているように見える
「法治国家」の名の下に、
しっかりと管理されている社会が見えてくる。

そこには僕たち、同性愛者の問題も含む、
昨今、大きな問題になっている
入管難民法など、多くのことを考えさせられた。

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posted by みつあき at 15:34| Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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