昨日のブログにも書いた
日本で最初のゲイ映画、と評される
木下恵介監督の「惜春島」を昨日、観た。
1959年。
60年以上前の映画だ。
このポスターを見ると、どこがゲイ映画?
とも思うし、映画自体を観てみても、
男同士の恋愛、性的要素はなかなか見当たらない。
映画は東京から生まれ故郷の福島の会津若松に向かう
青年(川津祐介)と、友人の叔父(佐田啓二)が
列車で出会うところから始まる。
当時のイケメン中年と、若者の
恋愛模様が始まるのか、などと期待するけれど、
これも、すぐにそうではないことに気がつく。
学生時代の友人宅に泊まる川津祐介、
そして彼をとりまく4人の青年たち。
映画はこの5人の友情に
芸者、有馬稲子との恋愛に苦しむ
胸の病気を患う佐田啓二を絡ませる。
彼らの無邪気とも言える青年たちのじゃれあい、
そして今では気恥ずかしいとも思える
「友情の証」の表現の数々。
温泉で全裸で抱きつく、手と手を強く握る、
腕を組むなどという行為は
まさにゲイ的なのかも知れない。
しかし、当時の邦画でそれくらいの
描写は結構あるような気がするけれど、
どうなんだろう。
ただ、その5人の若者たち、それぞれ
女性への恋慕や、結婚観などが描かれるが、
一人、まったくそういうモノを感じさせない
足の悪い青年がいる。
後半、川津祐介を心配して、
足を引きずりながら走る彼の姿が
唯一、ゲイ的とも思えるシーンだ。
ただ、彼がゲイであるとすると、
その人間を障害者として描いているのは
どうかと思うけれど、これは考え過ぎなのかも知れない。
ゲイだったと言われる木下監督が、
そういう気持ちでこれらを撮ったのか、わからない。
少なくとも、必要以上に
身体の接触が多い部分は何かを
感じながら、撮影したのかも知れない。
木下恵介は結構好きな監督だけれど、
この映画が他の傑作と共に
並ぶかと言うと個人的には微妙だ。
ただ、上のようなことを色々考えて
観られたという意味では観て良かった。
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