2020年04月26日

本日の映画「大林宣彦監督 尾道三部作」

先日、亡くなられた大林宣彦監督。

癌を告知され、余命宣告された2016年からの
4年間のうちに2本の映画を作られた、
というだけでも凄いけれど、
とにかく40本もの長編映画製作には
頭が下がる思いだ。

この監督、後期になればなるほど、
ものすごいカット割り、細かな編集で
長時間モノもかなり多い。
どっと疲れてしまったりもするけれど、
それを作っていた体力も凄い。

後期、「理由」や「花筐 HANAGATAMI」は
名作だとも言われていて、観てほしいけれど、
僕個人としては、やっぱり前期の尾道三部作は
完成度が高いと言える。

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今回、連続して観た3本。

「転校生」は、中学生の尾美としのりと小林聡美が
身体が入れ替わるという今だと「君の名は。」の
原型とも思われる映画。
ちなみに「君の名は。」には「時をかける少女」を
彷彿とさせるシーンも多いことも有名。

それにしても「転校生」での
小林聡美の男のコ役が実に見事。
胸の出し方、足の開き方、頭の掻き方など
身体表現はもちろん、言葉の発し方も
生まれつきの才能だとしか思えない。

ただ、二人が入れ替わる前に、
比較的明るい女のコだったのが
尾美としのりになった途端、
メソメソし出すのはどうなんだろうとも思う。
でも、言っちゃえば、女のコの時でさえ、
小林聡美は生き生きとしているのだ。

ちょっとネタバレになってしまうけれど、
二人が元に戻る瞬間、
これは、最初と同じ境内ではなく、
旅先の旅館での初体験だったりすれば、
良かったのでは、なんて考えるのは、
僕の愚か過ぎる発想だろうか。
これは初見の時もそう思った。


さて、「時をかける少女」は、
薬師丸ひろ子の「探偵物語」を観に行ったら、
二本立てのこちらのほうが泣けたという名作。

筒井康隆のSF小説を、時を超えた
切ない純愛にしているのが、いかにも大林映画だ。

とにかく、デビューしたての原田知世の
初々しさと、尾道を走り回るカメラ、
そして松任谷正隆作曲の音楽、
それらが観ている僕らを
どんどん映画の中に引っ張っていってくれる。

原田知世扮する高校生が、
時が経過して教師になっているラストシーンは、
共に僕が大好きな「天国から来たチャンピオン」の
ラストと同様、「映画の中の登場人物は
知らないけれど、観客だけが知っている」
という見せかたが秀逸だ。

加えて、そのラストから
ユーミン作曲のあの主題歌を
映画に出てくる数々の名シーンで歌う原田知世の
エンドロールさえ、この作品を
普及の名作たるものにしている。
(先日の追悼放映版ではこのクレジット、
カットされていたとか。酷い!)

ともあれ、ストレートファンならずとも、
ゲイでも原田知世ファンがいまだに多いというのも
とてもうなづける。


長くなってしまうので「さびしんぼう」は
割愛するけれど、前2本に比べると、
ドタバタ要素が加わっていて、
個人的な評価は少し落ちる。

それでも、この3本のみならず、
少年の頃のきゅんとする思いを、その切なさを
あらゆる映画の中に織り込んでくれた
大林宣彦監督。ご冥福を祈りたい。

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posted by みつあき at 16:35| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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