2019年07月08日

オフ・ブロードウェイ・ミュージカル " A Strange Loop"、オンでの「オクラホマ!」

NYに住む舞台好きの知り合いが是非に、と
教えてくれたのがオフのゲイ作品
"A Strange Loop"を
昨日のマチネで観た。

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さすがにかなりチケット取るのは大変だったけれど、
こちらでは毎日座席表を見てクリックすると
突然、キャンセルが出たりするので
それで取れて、行ってきた。

これはもうすぐ26歳になる、という
ミュージカルのライターを
目指している青年アッシャーが主人公。
彼いわく「自分は黒人で、ゲイで、デブで、醜くて、
ウケで、フェミニンで」とネガティブ要素に
悩まされている。

彼をとりまく、色々な人たち
(彼も含めて7人のアフリカ系の人たちが
様々な人間を演じる)が、
どんどん彼を追い詰め、苦しめるかとも
思えながらも、逆に彼に勇気を持つ結果に結びつく。

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それにしても、「ゲイ」、そして「アーティスト」
というアイデンティティの追求が
随所に見えていて本当に見応えがある。

楽曲が特に印象に残るモノがあるかと言うと
そうでもないけれど、ダンスなどは
オフだとは思えないほど、巧みで
マッチョな男も惜しげも無く
筋肉を見せ付けたりする。

可笑しかったのは、
グラインダー(ゲイの出会い系)を
ステージ上で見せる。
アッシャーのうしろに、
蛍光色の枠で囲まれた扉が
いくつも。そこが出会い系サイトのひとりひとりとなり、
アピールしながら、アッシャーとチャットする。
もちろん、アッシャーは断られたりするのだ。

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また、エロマッサージを彼が受ける時に
マッチョなマッサージ師がpoppers
(日本では禁止となったラッシュ)を
吸っていいか?と聞くシーンがある。
多くのストレートのお客さんは
グラインダーや、ラッシュを
どれくらい理解しているんだろう。
まあ、NYだからあり、ありなんだろう。

そんないかにもゲイ、斬新なシークエンスを
織り交ぜながら、彼のコンプレックスは
どう克服されていくのか。
ゲイとは、芸術とは、あらゆる問題に向き合いながら、
舞台は感動的な幕切れとなる。

オフでも、本当に素晴らしい舞台というのは
山ほどあるのだ、と改めて思った。


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長くなるけれど、昨日の夜観たのが
「オクラホマ!」だった。

IMG_0648.jpeg

これは75年も前に作られた
「サウンド・オブ・ミュージック」や
「王様と私」などのロジャース&ハマースタインの
名作の一本。
すごく簡単に言ってしまうと、
アメリカ西部のある街の三角関係を描いた話。
簡単過ぎるけれど、長くなるので、筋は割愛(笑)

いやあ、これは噂にたがわぬ傑作。
今まで観た映画版、そしてトレヴァー・ナンが演出した
ヒュー・ジャックマン主演(これはテレビ放映で観た)や
そのままブロードウェイに入ったバージョンなどとは
まったく違う。

四方から囲まれるサークル・イン・ザ・スクエア劇場で
煌々と客電も落ちないまま、いつまでこの明るい状態が
続くのか、と思うくらいに演劇は始まる。
そう、ほとんど客席は本が読めるほど明るく、
舞台になる部分にも横一列、向かい合わせに
客席があり、その前に置かれた
テーブルを演出で使われたりする。

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また、眩しいほど明るかった劇場が
ほぼ真っ暗闇になるくらいの暗さとなり、
声だけ、という演出になったり、
暗視カメラでキャストをバックスクリーンに
映し出される。

常に舞台上にキャストと共にいる
演奏家たちのフォーク調のアレンジも
今までのどの「オクラホマ!」とも
まったく違っていてこれまた斬新だ。

割愛したものの、ちょっと流れに
触れておくと、主人公のカウボーイ、カーリーの
敵役、ジャドはそもそも
暗く重く不気味で凶暴な存在。
しかし、今回は、そこにいじめられっ子のような、
不安定でデリケート、そしてあまりに悲しい
キャラクターとして描かれるのが
非常に興味深く観ることが出来た。

また、2部で、一人っきりで荒々しい馬のように
舞台全体を激しくダンスする女性ダンサーの
振り付けも見ものだ。

トニー賞で助演女優賞を見事にとった
最初から最後まで車椅子で歌い、踊った(!)
アリ・ストローカーの演技も本当に素晴らしかった。

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今回、観た中で、「ムーラン・ルージュ」
「キス・ミー・ケイト」と共に強く印象に残り、
誰にも勧めたい一作となった。

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posted by みつあき at 12:50| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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