ゆうべ来てくれたユキオ45歳は
今まで、男性とも女性とも
きちんと付き合ったことがない、そう言う。
真面目でまっすぐな性格だから
ということもあるだろうけれど、
なかなか気持ちに火がつく、
ということがないようだ。
何年か前に、珍しく好きになった相手は
いわゆるアーティストで、
それを応援しながらも、
ユキオが思うような恋愛へとは
発展できなかった、そう言う。
そして比較的長く引きずっていたことも
耳にした。
そんなユキヤは最近、久しぶりに
自分よりもひと周り下の青年が好きに
なってしまったらしい。
彼がたまに行くカウンターバーで
働く青年らしいが、その相手には一緒に住む
彼氏がいる。
少し話をしたり、遠目で見ているだけで
幸せな気持ちになるし、
久しぶりに人を好きになった、
というだけで満足してしまう自分がいると言う。
というだけで満足してしまう自分がいると言う。
自分の話で恐縮だけど、
僕の場合、昔から、
相手が自分に振り向いてくれないと
いくら外見が素敵で、中身が良くても
まったく気持ちが走らないタイプ。
そういう意味では、片思いというのは
あり得なかった。
ただ、相手が一度自分を好きだとわかり、
こちらも本気になって
相手が引いてしまったりすると
逆に落ち込みはひどかったりした。
ま、僕の話はともかく、
ユキオは「こういう気持ちが
いつ、どういう形で落ち着くのか、
自分でもわからない」と深いため息をついた。
そう言えば、先週、
かなり切ない片思いを描いた
日本映画「愛がなんだ」を観たけれど、
ユキオのそれとは違って、
自分の気持ちと、とことん闘う映画で
ある意味、とてもリアリティがあった。
また、究極の片思いを描いた映画は
「ムーラン・ルージュ」かも知れない。
パトロンがいるニコール・キッドマン扮する歌姫に振り回される
ユアン・マクレガーの演技も切なかった。
来月から始まるブロードウェイのミュージカル版も楽しみだ。
ユキオの気持ちが良い形で落ち着きますように。
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