5年ぶりに来てくれた、という
ツシマさんは56歳。
30年一緒に住んでいる
パートナーがいる。
ツシマさんは外資系の企業に勤めていて、
30歳の時に、とある女性から
結婚してほしい、と言われた。
彼女は一流企業に勤め
ずっと仕事がしたい、
夢もたくさんある。
そんな話をうんうん、と聞いてくれるような
男性はツシマさんだけだった。
ツシマさんは、ゲイであることを
彼女にカミングアウトし、
共に住んでいるパートナー
(当時はまだ数年だったようだが)
のことも話した。
「ご家族や職場は知ってるの?」と
彼女から聞かれて、知らない、と
応えると「そのためだけでも良いから
私と結婚してほしい」
そう言われたのだと言う。
要は、パートナーと同居しながらも、
たまに会ったりする、というだけで
彼女的には満足。
むしろ、そういうほうが
自分も仕事が一生懸命できるのだ。
迷った末、結婚に踏み切った。
両親も喜ばせたかったし、
外資とは言え、時代的に
結婚はまだかと職場で言われるのも嫌だった。
彼女が若くして買ったマンションを
世間的には自分たちの新居、
ということにして、
会社の同僚やストレートの友人を
招くこともあり、
そういう時だけ、ツシマさんは
彼女の元へ行った。
パートナーとの関係も、
彼女(つまり奥さん)との
関係もうまく行っていた。
ひとつ問題なのが、
たまに会うツシマさんの母親が
どうしても奥さんと気が合わない。
頼むからあんな女性とは別れてくれ、
という話になったのだそうだ。
お父さんが亡くなったこともあり、
お母さんに落ち着いて
真実を打ち明けることにした。
「僕は愛する男性と一緒に住んでいて、
それも全部受け入れてくれて、
彼女は結婚した。
だから別れられない。」と。
お母さんとしては、
貴方が同性愛者ということは
受け入れるけれど、とにかく彼女と
別れてくれ、と。
ツシマさんはそんな母の言葉で
数年悩んでいたのだが、
その中で、奥さんのほうから
別れたい、という話になった。
仕事がうまく行っているからなのか、
二人のこの関係が嫌になったのか、
好きな男が出来たのか、
よくわからなかった。
そんなワケで、結婚数年後、
ツシマさんの不思議な結婚生活に
ピリオドが打たれた。
80を軽く越してしまったお母さんの様子を
たまにパートナーとたまに見にいくようだ。
あの結婚って、一体
なんだったんだろう、ツシマさんは
マイナスにはならなかったけれど、
誰のプラスになったかもわからない、
そう呟いた。
ゲイの偽装結婚と言えば、やっぱり
「ウェディング・バンケット」を思い出す。
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