昨日の昼間、一通のメールが飛び込んできた。
「みつあきさん、元気でやってますか?」
30年ほど前に、当時の僕の友人ハヤトの
ボーフレンドだったアキオだった。
当時、アキオは二十歳の学生。
僕は30歳になったばかりの頃だった。
ハヤトは当時、もう40になろうとしていて、
18歳ほど違うアキオとハヤトが付き合いだして、
半年後くらいに、ハヤトは
HIV感染者であることがわかった。
まだHIVという言葉も一般的ではなく
「エイズ=ゲイの病気」「エイズ=死」
という時代だった。
僕にとっても、初めての身近にいる
HIV感染者であり、最初聞いた時は本当に
世界が真っ暗になってしまったことは
今でも忘れられない。
それから1年半。
アキオはハヤトをずっと見守った。
何故か理由は忘れたが、
深夜にトラックの荷台で病院に
一緒に向かったこともあれば、
ハヤトが何かと頼りにしていた
彼のいとこのエツコさんという女性とは
よくみんなで食事もした。
保険制度が今ほど確率しておらず、
どれほどお金がかかるかも知れない、
ということで我が家に数ヶ月ハヤトが
住んでいたこともあった。
ただ、時代が時代だっただけに、
発覚1年半後くらいで
ハヤトは亡くなってしまった。
治療薬もAZTくらいしかなく、
今よりもずっと大変な時代だった。
葬儀は簡素に、お別れ会は、
彼が営業していた美容院で行なった。
そしてそれを最後に、僕もアキオと
連絡を取らなくなってしまっていた。
そういうさなか、僕が偶然アキオの名前を
Facebookで見つけたのが、今から8年ほど前。
すぐに店に来てくれて、20年ぶりくらいに会った時には
もうアキオは40も過ぎていたが、
二十歳の頃の彼とそれほど変わっていなかった。
ただ、その時は店が忙しかったこともあり、
ものの30分ほどしか話すことが出来なかった。
それから8年あまり。
昨夜、11時過ぎに来てくれたアキオは
朝まで店で飲み、お客さんたちと語らい、
僕とも懐かしい話をたくさんした。
30年の間に、彼は欧米諸国や中国、台湾などを
行き来し、あらゆる場所で暮らし、
そして今のパートナーとは16年になるのだそうだ。
ただ、アキオにとって、ハヤトは紛れもなく、
初めて付き合った、と言える人だった。
僕も年長者のハヤトにはいつも怒られていたが、
身内以外でおそらく初めて
無くした友人でもあった。
改めて、ハヤトのことも思い出しながら、
良い土曜日の夜を過ごさせてもらった。
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