ここ2年くらいの間に、店に来てくれている
26歳のモトヤ。
彼は、自分の中には、大きなテーマが
ふたつあるのだと言う。
それは「羨ましさ」と「寂しさ」ということらしい。
人を羨ましいと思い、
それに追いつきたいという気持ち、
また寂しさを何とか埋めたい、という気持ちが
彼を支えているのかもしれない。
そんな事を言いながらも、僕から見ると
モトヤは優秀な大学を出て、
十分人に羨望を受ける職に就き、
寂しいなどと言うまでもなく、
そのルックスもさることながら、
モテる要素もたっぷりなのだが、
モテる要素もたっぷりなのだが、
自分ではそういう自分には気がついていないのか、
それとも謙遜しながら言っているのか。
モトヤを見ていて、
さまざまな部分で、歳とった自分と似ている部分も
多々見つけることも出来るが、
こと、この「羨ましさ」「寂しさ」については
少しばかり違ったりする。
今現在の自分の状況に感謝することはあっても、
あまり人を羨ましいとは思うことはなく、
また、元来、寂しがり屋ではあったけれど、
これだけ日々、色々な人に囲まれていると
それも忘れているのかも知れない。
しかし、思えば、モトヤの年齢の頃は
確かに人が羨ましかったり、
ものすごく寂しかったりしていたのかも知れない。
ただ、何よりも大きく違うのは、
やること、欲することが多過ぎる僕にとって、
いつか迫り来る死に対して恐怖をいまだに持つけれど、
モトヤは、今死んでもそれはそれ、とまことに潔い。
いずれにしても、礼儀正しく、
あまりにもまっすぐに
生きているというふうに見える彼。
両親はさほど仲が良くない、というのは驚いたが、
それでも双方ともに、彼に愛情を注いでくれていると言う。
そんなところが、彼の羨ましさと寂しさという感情を
形造っているのかもしれない。
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