12月7日(木曜日)
この日は、待ちに待った「スプリングスティーン・
オン・ブロードウェイ」ということで
朝からちょっと興奮気味。
昼間、舞台関連がまったくないのがNY滞在中、
この日と次の月曜日だけ。
(通常であれば、木曜日のマチネがある
ニュージャージーのペイパー・ミルという劇場に
行くのだが、今回は『アニー』ということで辞めておいた。)
朝からセントラルパークやその周辺を散歩、
そしてメトロポリタン美術館に向かった。
この時期のエキシビションは
「デヴィッド・ホックニー展」と共に
ミケランジェロの素描、そして彼が影響を受けた、
もしくは与えた数々の画家などの作品が
並んでいる。
この日は、待ちに待った「スプリングスティーン・
オン・ブロードウェイ」ということで
朝からちょっと興奮気味。
昼間、舞台関連がまったくないのがNY滞在中、
この日と次の月曜日だけ。
(通常であれば、木曜日のマチネがある
ニュージャージーのペイパー・ミルという劇場に
行くのだが、今回は『アニー』ということで辞めておいた。)
朝からセントラルパークやその周辺を散歩、
そしてメトロポリタン美術館に向かった。
この時期のエキシビションは
「デヴィッド・ホックニー展」と共に
ミケランジェロの素描、そして彼が影響を受けた、
もしくは与えた数々の画家などの作品が
並んでいる。


ゲイとしても有名で、まだ健在でもあり、
コンピューターを使った新しいアートに
夢中だという彼の作品は、60年代から、
現代まで幅広く、展示されていた。
その多くの作品に
恋人や男性の裸像が出てくる。
画集や、映画「彼と彼/とても大きな水しぶき」などで
目にしたあの絵も、この絵も、実際に目にできる喜び。
特にプールで泳ぐ青年の何展もの絵画や写真のコラージュ。
その鮮やかなブルーを目にしながら、
なんだかプールに飛び込みたくなった(笑)

さて、夜はブルースの登場だ。
通常は30分前から15分ほど前に劇場に到着し、
もらったプレイビル(キャストなど詳細がある小冊子)に
目に通しながら、開演のベルを待つのだけれど、
この日は1時間前に会場に着く。
驚いたことに、世界中から来ていると思われる
多くのブルース・ファンが劇場を取り囲む。
屋外でのポスターの写真を撮っていると、
ガードマンをやっている人が声をかけてくれる。
何と彼の奥さんが沖縄出身の日本人らしく、
日本語がなかなかうまい。
彼いわく「ブルースは、本当にいい人で
ファンを大事にするし、パフォーマンスも素晴らしい。
帰りにはちゃんとステージドアに出てきて
ファンには挨拶をし、日によってはサインもするよ、と。

会場の中は若い人もいたが、圧倒的に40代から
ブルースに近い70前後の人でひしめきあっていた。
それにしても、1000席に満たず、
今まで数多くの舞台を観たこのブロードウェイの劇場で
ブルースを観ることが出来るなんて。
20時きっかりに始まったステージ。
いつもの10万人規模の大会場でのバンドでのライブと
その100分の一の観客を前にしたブルースは
自らの過去を、感情を、そして希望を語り、
自らのアコースティックギター、
そしてピアノを奏でながら、実に淡々と歌ってくれた。
それはロックンロールの王者という熱さよりも
さらに強いメッセージとして伝えようとしていた。

”Growin' Up”から”Born to Run”までの魂がこもった15曲
(通常のライブでは30曲以上だったりするけれど)を
心ゆくまで披露してくれた。
そして、あまりライブでは聴くことがない
“Tougher Than the Rest”、”Brilliant Disguise”は
奥さんのパティと共に歌ったことが嬉しかった。
そして、ライブ終了後、極寒のニューヨークで、
楽屋口に集まるファンを前にパティと一緒に出てきたブルース。
ロンドンのライブで
ものの1メートルという至近距離で観ているけれど、
さらにここまで肉薄したということは初めて。
いい歳こいて、ここまでミーハーな気持ちになるのは、
世界広しと言えども、ブルースただ一人だろう。
握手することも、サインをもらうこともなかったが、
「ありがとう」言いながら、車に乗る姿は
40年以上も彼の歌を愛し続けて良かった、と心からそう思った。
12月8日(金曜日)
通常の金曜日の昼間など、ほとんど何も観ることができないのだが、
この日はニューヨーク・フィルの公演がリンカーン・センターである、
というので行ってきた。
演目は、ウェーバー作曲のオペラ「オベロン」序曲、
そしてモーツァルトの「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと
管弦楽のための協奏交響曲」
この2曲が第一部。両方とも、僕は初めて耳にした。
そして第二部がベートーヴェンの5番。いわゆる「運命」これは完璧にわかる(笑)。
指揮者はNYフィルの音楽監督でもあり、日本人の血を引く
アラン・ギルバート。彼のコンダクトは良かった。
特に5番の第三楽章は鳥肌がたった。
思えばこの楽曲を生で聴いたのは初めてで、
レコードやCDで聴くのとはまったく違うことを改めて感じさせられた。
この日の夜は、年に一度、今、旬のアーティストが集い、
グラミー賞よりもパフォーマンスだらけの5時間という”Jingle Ball”を
去年に引き続き、マディソン・スクエア・ガーデンで。
昼間はクラシックで、夜はポップス・オン・パレード。
普通の人は、この人、頭、おかしいと思うに違いない(笑)
出演者は、テイラー・スウィフト、エド・シーラン、サム・スミス、
チェイン・スモーカーズ、チャーリー・プース、デミ・ロヴァート、
フォール・アウト・ボーイズ、ホールジー、ジュリア・マイケルズ、
リアム・ペイン、カミラ・カベロ、ナイル・ホーラン、ロジック、
Why Don’t Weという14組が4曲から5曲演奏する。
みんな、今年のビルボード・チャートを賑わした連中だ。
19時きっかりに始まったショウのオープニングはなんとまさかのエド・シーラン。
彼は後半だと思って見逃した人も多かったかもしれない。
まあ、その4時間半後、テイラー・スウィフトとデュエットは披露するのだが。
エドには、僕はメキシコでも、東京でもふられているので、これを観ることが
出来たのは嬉しかった。そして、彼の演奏は群を抜いて素晴らしかった。
また、元々それほど好きじゃないテイラーも、直に見ると、オーラ全開。
こりゃ、売れるわなあ、と納得。
ひと皮剥けたと思われるサム・スミスもチャーミングな歌声を披露し、
会場をしっとりした大人の気分で包んでくれる。
そんな中で驚いたのが、フォール・アウト・ボーイズのロックな迫力。
これを観て、来年の彼らの来日公演を行こうと決めた。
それにしても、終わったのが0時。
いつもながら、半分を埋めるティーンエイジャーが
この時間までいるNYは凄いなあと改めて思った次第。
12月9日(土曜日)
この日は、朝から季節外れの雪が降り積もり、そんな中、マチネで
メトロポリタンオペラ、モーツァルトの2本目の「魔笛」を観た。
もう10年も前からやっていたJ.テイモア演出版(『ライオン・キング』
そしてこの前観た「M.バタフライ」の)なのだが、この「魔笛」実は初めて。
あらゆる部分で「ライオン〜]を彷彿とさせてくれる。
やはり彼女の衣装デザイン、パペットデザインはいちいち眼を見張る。
もちろん、聞いていた短縮かつ英語版と言うのはどうかと思ったし、
ドエストロ役がルネ・バーペではなかったという悔しさはあったものの、大満足だった。
それにしても、先日の「スポンジ・ボブ」と言い、
本当に惜しまずお金を使っている、というところが
NY観劇の素晴らしさだ。
オペラ帰りに寄ったのが、同じリンカーンセンターのライブラリーで
この日から始まったレナード・バースタインの生誕100年を記念する展示会。
彼の弾いていたピアノや生活の中で使っていたあらゆるモノ、
そして様々な功績をあらゆる角度から展示していて、とても興味深かった。
なおかつ、嬉しいのは「ウエスト・サイド物語」のコーナーや
「オン・ザ・タウン」「キャンテイード」にまつわる展示、
そしてアル・ハーシュフェルドのイラストに心踊った。
夜は、オフで「トーチソング」のファイナル公演を観た。
これ、映画にもなり、ゲイ舞台のバイブル的存在となっている
「トーチソング・トリロジー」のタイトルを変えたモノ。
5年前にロンドン版を観て以来。元々の脚本を書いたファイアスタイン氏が、
新たに書き直したとか、その後を描いたモノ、とかどこからか噂に聞いていたけれど、
そうではなくて、ほぼオリジナルと変わらなかった。
70年代から80年代にかけてのゲイ事情(自分を母親に受け入れてほしいと闘う
ドラッグクィーンの主人公と、既婚者ゲイとして生きる元恋人と彼らをめぐる人たち)は、
今のニューヨークのゲイの人たちにはどう映るんだろう。
僕にとっては、時間を超え、何度観ても、
この舞台が持つメッセージは胸を打つ、そう思えるのだけれど。