だいたい、周年パーティが終わると、
なんとも言えない空虚感に襲われるのだが、
今回は例年よりも大きかった。
10周年を祝っていただく、と言うよりも、
10年の間、それはたった一回でも
お店に来ていただいたお客さんに感謝の意を表す、
ということが本来の周年の目的だ。
もちろん、例年のパフォーマンスを見て、
お客さんに喜んでいただく、ということは
とっても大きな目標ではあるけれど、
そんな事よりも、もっとスタッフや僕と
語らいたい、ワイワイとしたい、
そういうお客さんも多くいらっしゃるだろう。
うちのパフォーマンスは、とかく大掛かりになってしまい、
少しばかり、そこのところ
(お客さんをきちんともてなすということ)
が抜け落ちる嫌いはある。
それは十分に注意しなければならないところだが、
どうしても、パフォーマンスのほうに気持ちがいってしまい、
お客さんを完全に満足できなかったりすると
本当にそれは本末転倒だったりする。
これもいつものことだけれど、
パフォーマンスのバタバタで
なかなかきちんとお見送りし、
感謝の意を伝えることが
出来なかったりすることだ。
特に1日目は、共に写真さえ撮ることが出来なかった
多くのお客さんたちには、心から失礼をお詫びしたい。
今回、10周年という節目に立ち向かうために、
長々と準備を進めてきたこと、
あらゆる部分に目を凝らさなければならなかったこと。
書き出すときりがないほどのバタバタだった。
スタッフと、今回は何をするか打ち合わせをし、
映画とライブの組み合わせという方向性を決めたのが4月。
5月にストーリーを考え、何度か書き直し、
配役を決め、6月の旅行中に脚本を書くことにした。
とは言え、時間的にも、力量的にも、
そして経済的にも、
そんなに大それたモノは出来ない。
シンプル、かつ少しひねりがあるモノ。
なおかつ、パフォーマンスと組み合わせて、
きちんとテーマが伝わるモノ。
ゲイという中で、色々な形の恋愛、
友情、そういった結びつき。
過去の傷や痛みは、どうやって未来に
繋げることが出来るのか。
それを超えることが出来るのか。
それが今回のテーマだった。
そしてこのテーマに沿って、
7月、8月で映像を撮影、
8月、9月でそれぞれのパフォーマンス練習を
試行することになった。
前回のブログにも書いたように、
直前で編集していたすべてのデータが飛んでしまったり、
パフォーマンスがギリギリまでうまくいかなかったり、と
さまざまなことがありながらも、
何とか当日まで漕ぎ着けることが出来た。
とは言うものの、当日も音響やライトの誤作動、
映像が止まってしまう、というアクシデントがあった。
周年前日までに2度もリハーサルをやったにも
関わらずだった。
リハーサルの最中にわかった音や映像の問題、
それに周年当日の朝、手を加えて、
編集ソフトからPCに書き出しをしたことや、
僕のMacと、装置担当のとくさんとのWindowsの相性など
いくつか問題があったようだった。
特に、初日、29日の最終回は、
すったもんだで、1時間近く遅れた末、
映像が途切れ、
音楽のみさえ、途中から出なくなり、
それぞれのiPhoneをアンプにつないで
楽曲を流す始末。
助かったと言えば、この最終回の第3部は
映像が前半で終わってしまい、
後半はすべてパフォーマンスで作っていたことだった。
途中で帰らず、最終的に
全パフォーマンスが終わったのが4時前。
それにもかかわらず残ってくれた
多くのお客さんを目の前に、
この何ヶ月もこの日のために
頑張って色々練習を重ねてくれたスタッフ、
そしてゲストや手伝ってくれた人たちに対しても
申し訳なさと悔しさに、
僕は初めて店の中で泣いた。
その部に関わらず、ご迷惑をかけたお客さん、
不快に思われたすべてのお客さんに
この場を借りて、改めてお詫びをしたい。
このパフォーマンスが、
決して僕ら、いや僕だけの自己満足に
なっていないことを祈るばかりだ。
もちろん、ネガティブなことばかりではなく、
この長い月日、大変な時間を費やしてくれた
愛すべきスタッフたちには心からお礼を言いたい。
まだこの不可思議な喪失感は、少し続きそうな気がする。
この次のブログには、
「結局、話がよくわからなかった〜」という人のために、
改めて、内容を書こう、そう思っている。
くう