今さらだけど、ニューヨークでの今回の観劇記をずらずらと書くことにします。
5月27日
5月27日
到着1本目は、オフで、大好きなソンドハイムの『太平洋序曲」を観た。
ジョン・ドイル演出は、以前の2タイトル
(『カンバニー」『スウィーニー・トッド』)のように
役者が楽器を奏でるワケではないけれど、
客席中央に伸びるセットを効果的に使った舞台。
「スター・トレック」で有名な
ゲイをカミングアウトした日系人俳優ジョージ・タケイや、
テレビドラマ「スマッシュ」のアン・ハラダ他
10人中8人はアジア系だ。
宮本亜門氏の日本再演は、大好きだったけれど、
茶室のシークエンスは大幅にカット、
2幕劇を1幕にして全体的にシンプルになっていたけれど、
大好きな"Someone in a tree "には泣けた。
それにしても、なんと男性客が多いんだろう。
女性だらけの日本の劇場は、気が重いだけに、
ホントにこちらに来るたびにホッとする。
ニューヨーク・シティ・バレエの「夏の夜の夢」を観る。
あの有名な結婚行進曲を、初めてバレエで観た。
子役も入れると30人を超える凄い人数の出演者。
冬に観た「くるみ割り人形」と同じく、振り付けは巨匠ジョージ・バランシン。
オーケストラ・ボックスでコーラスがあるというバレエも初めて。
モネの絵のような美術も良かったけれど、
ラスト、子供たちが闇でライトを輝かせる中、
空に舞い上がるパックにはわくわくさせられる。
それにしても、こちらの子役は日本のように
出演する時間制限はないんだろうなあ。
5月28日
22年ぶりのグレン・クローズ主演の「サンセット大通り」。
本当は今日が千秋楽という事で早々とチケット買ったから、
3列目中央というかぶり付き(笑)。
でも結局延長となったので、この日は千秋楽ではなくなった。
輝かしいばかりの豪華セットはなくなっても、
十分に金がかかった美術の中で
クローズの迫力ある渾身の演技がさらに怖く凄すぎた!
前に観た時よりも激しく恐ろしい。
壇上に上がった40人編成のオーケストラを囲む階段やシャンデリア。
そこを足早に動き、歌い踊るクローズは、
とても70を超えたとは思えない。
曲が終わるごとに拍手喝采だけれど、
"As if we never say goodbye "は、
ショウストッパーのスタンディングオーベーション。
2部の最初ジョー役M,ザビエルのプールから出てくる
マッチョなヌードにも観客、絶叫(笑)
5月29日
- 「マチルダ」や「天使にラブソングを」はロンドン版しか
- 観なかったけれど、ここまで違ったりするのなら
- 両方、観るべきだったのかなあ、と。
この日の夜は「ミス・サイゴン」再演を観る。
ついこの前、映画館でやった25周年と同じキャスト。
そして僕が最初にNYで観たのがこの演目。そ
もそもこのドラマは決して好きじゃないけれど、
改めて楽曲の素晴らしさに陶酔。
そして初演のエンジニアのジョナサン・プライスは
上手かったけれど、やはりアジア人俳優だとしっくり来る。
今回の演出は生で観ると、初演を超えているかもしれないとさえ思わせる。
特に全編に渡って陰影の深さを見せるライティングの見事なこと。
キム役のEva Noblezadaは、オリジナルのサロンガとは
また違う若きキムを演じてみせる。
見せ場のマッチョなドラゴンダンスの激しさ!!
想像を超えて、堪能できた。
5月30日
映画からのミュージカルでも、リバイバルでもなく、
まったくのブロードウェイの新作、
その一本目「ウォー・ペイント」を観た。
パティ・ルポン、クリスティン・エバソールの二人が、
20世紀前半の実在した化粧品界の女性起業家として闘うという話。
何と言っても、この二大女優のパワフルな歌唱合戦が見どころ。
イタリア系で、「エヴィータ」やら「スウィーニー・トッド」で
ハリがありながらも鼻にかかった歌声が独特なルポンで、
好き嫌いが分かれるところだけど僕は好き。
初見のエバソールも、負けず劣らずのヘビーな歌声。
二人のあまりの背丈の違いが気になったけれど、
(並んだら、ルポン、身長低すぎ)
全体的に凝りに凝った衣装、美術も楽しめた。
5月31日
水曜日のマチネは、オフで「アーネスト・シャクルトン・ラヴズ・ミー」。
何とキャストは二人。現代を生きる音楽家の女性が、
出会い系ネットTVで繋がったのが、
実在したポーランドの冒険家シャクルトン。
流氷のなかを探検しながらの自分探しというストーリー。
背景のスクリーンと共に前方で演技をする手法。
かなりチープだけど、オフだから仕方ないか。
主演女優のヴァル・ヴィゴダは、
エレクトリック・ヴァイオリニストとしても
多くのミュージシャンと共演したりと有名らしく、
演奏のメインは彼女のヴァイオリンやパーカッション。
アーネスト役のマッチョなマッカラムも、
1時間半という短さもシンプルで悪くないけれど、
物足らなさは否めなかった。
夜は、「恋はデジャ・ブ」"Groundhog Day"を観る。
映画もとても良く出来ていたけれど、これは最高に面白かった。
ニュースキャスターの主人公が、
何故か取材に行った街で同じ日を繰り返し続けるという映画からの舞台化。
あらゆるシーンが工夫を凝らしていて多くのサプライズがあり、
爆笑させてラストでは切なさに泣ける仕組み。やられた!!
何と言っても、主演のアンディ・カールが素晴らしい。
「ロッキー」のミュージカル版は今ひとつだったけれど、
これは彼の代表作となるはず。
トニー賞、取ってほしいと思ったけれど、やっぱり
「ディア・エヴァン・ハンセン」のベン・プラット。
これは仕方がないか。
アンディは、オープンしてすぐに足を骨折したらしく、
コルセットをしながらも全く問題なく舞台を動き回るのが凄い!!
6月1日
木曜日のマチネはニュージャージーの
Paper Mill Playhouseまで来て「メリー・ポピンズ」。
この劇場は日本の多くのように舞台が大き過ぎ、
ともすれば空間がスカスカになりがちなのが難点。
でも、大人数で見せるこの演目は成功だと思う。
特に煙突掃除のStep in timeは見もの。
驚いたのは、有名な「スーパーカリフラジリスティック〜」の振付が
初演とまったく違っていたこと。
あの人文字のコラボは楽しかったのに。
もちろん、この演出なりの文字盤を色々な言葉に変えていく、
という工夫も悪くはなかったけれど。
パート役のマーク・エヴァンスは、
去年の暮れに観た「フィニアンの虹」同様際立っていた。
この日の夜は、"THIS IS HOW MUSIC WORKS present by David Byrne"というイベント。
30年近く前にトーキング・ヘッズでメロメロにしてくれた
デヴィッド・バーンが、目新しい音楽の仲間を集めて見せる、というライブ。
今、バーンは何をやるか、という興味で観に行ったけれど、
素人のパフォーマンスが並んで、なかなか胸を掴まれる事がないモノだった。。。
うーん、残念。。。これは残念。
これ以降は次のブログで。