そこから耳にした仕事関係の人間などが
何十人か、店に足を運んでくれて、とても嬉しかったりする。
しかしながら、そういう彼らが良しと思って、
間接的に僕がゲイだということを伝えたり、
もしくはFacebookや他の情報から偶然、僕の事を知ったりする人の中で
その存在に違和感を感じたり、
差別とは言わないまでも、
「俺はそっちの気がないから」と言って、
強く線を引こうとする人もいる。
線は引かないまでも「興味がない」というひと言で、
関わろうとしない人がいる。
まあ、それは仕方がないことなのだけれど。
そのうちの一人にはずっと前にカミングアウトしており、
彼自身、それをきちんと受け入れようと
深く、色々な話もし続けて来た。
もう一人とは、昔行ったアメリカの旅行先で知り合ったのだが、
会うのは10年ぶりくらいで、2度目。
どうせなら、僕が彼にカミングアウトしてしまい、
その後、うちの店に2人で来てもらおうと思っていた。
何となく彼には話さないほうが良い、
いや、話したくない、という気持ちになってしまった。
今さら、カミングアウトすることに何ら緊張感もないし、
普通なら笑いながら、さらりと言ってのけてしまう。
でも、あまり他人の事に興味がないという彼の雰囲気や、
何となく噛み合ない感じ、というものから
「大切なものを伝えなければ」といういつもの使命感のようなものは
まったく生まれてこなかったのだ。
そして面白いことに、僕がカミングアウトしてしまっていたほうの
ストレートが、その後「彼には言わないほうが良いと思う」と
思っていたことも聞いた。
当然ながら、こういうことだってある。
同性愛者が存在している、そして決して差別などあってはならない、
ということを理解するべきであるとは思いながらも、
個人個人が、すべてのストレートにカミングアウトする必要性もなければ、
することだけがベストだとは言い切れないということだった。