到着したロンドンは、気温が14,5度。
今まで行ったイスラエル、スペインとはまったく違って
みんな長袖。おまけにしとしとと雨が降っている。
3年前に渡英した時は、やっぱりこの季節で連日青空が広がり、
ロンドンってこれほどまでに晴天が続くものか、と思ったけれど、
思えばあれは3週間からひと月後だった。
まあ、ロンドンでは今までのバカンス気分を返上して、
ちょっとだけリッチなホテルで、観劇三昧をしようと決めていたので
天気など何のその。
ホテルは大英博物館から歩いて3分。
そして、どの劇場までも、ものの15分も歩けば到着する、
という素敵な場所だった。
いつもの一人観劇ツアーに気持ちを戻すのは
少しばかり時間を要した。
それくらい、前の二つの国は僕にとって魅力的だったのだ。
夕方、ホテルのジムで体調を整える。
当日、実は「オズの魔法使」(ミュージカル版)を観ようと思っていたのだが
何だか気がすすまない。
映画は好きだし、「ウィズ」も「ウィケッド」も好きだけど、
「オズ」のミュージカル版ねえ・・・と考えていて
今回、ロイヤル・オペラをチェックし忘れていた事に気がつく。
ホテルでネットで調べてみると、何と翌日、シュトラウスの「サロメ」がある。
しかし、翌日は今回の目玉と言える「スウィーニー・トッド」を
入れていたため、「サロメ」は断念。
当日のバレエ「パゴダの王子」を観に行くことにした。
偉大なるダーシー・バッセルのために振付けた代物。
残念ながら、有名なダンサーは出ておらず、
馴染みのないブリテンの楽曲はちょっと退屈。
にも関わらず、プリンシパルはところどころで興奮させてくれたし、
40名ほどの群舞はさすがに豪快だった。
しかし、この劇場は本当に素晴らしい。
近年、大改装をしたとは言え、
どちらかと言うと近代的なNYのメトロポリタンよりも
ずっと重厚な感じがするのは、イギリスという場所柄だからなんだろうか。
「トップ・ハット」を鑑賞。
古くからのミュージカル映画ファンにはたまらない
あのアステアとロジャースの名作の舞台化。
渡英前に久しぶりにDVDで再見したのだけれど、
舞台はほとんどそのまんま。
いわゆる、ボーイ・ミーツ・ガールという筋立てで
実に楽しく、耳馴染んだアーヴィン・バーリンの曲も
観終わってから何度も頭の中でリピートするほど。
主演のTom Chumbersは、アステアというよりも
若さやそのアクロバティックなダンスが、ジーン・ケリーの
ようでもあった。
この数日後観た「雨に唄えば」もそうだったけれど、
群舞、特に数十人のタップダンスは見事。
「スゥイーニー・トッド」。

映画はそれほど評判が良くなく、僕の周りも今ひとつという人が多いけれど、
舞台版は、僕の5本指に入るくらい好きな演目。
今回は、あの「レ・ミゼラブル」や「アスペクツ・オブ・ラブ」で
有名なロンドン・ミュージカル界のトップスター、マイケル・ボールと、
映画「ヴェラ・ドレイク」でオスカーにノミネートされ、
「ハリー・ポッター」シリーズなどで有名なイメルダ・スタウントン。
いささか疑問だったけれど、スタウントンは凄い!!
アンジェラ・ランズベリー、パティ・ルポン、
そして日本では鳳蘭や大竹しのぶで有名なこの役だけれど
その怖いほどの強烈な印象としては、初演のランズベリーと並ぶかも。
さほど奇抜な事はやってはいないものの、
見事な照明と次々と変化する豪華な舞台装置によって
使い古されたこの演目を何とか新しいものにしようと
試みていることを強く感じることが出来た。
手放しで100点というワケではないけれど、
やっぱり作曲家ソンドハイムは天才だと再確認することも出来た。
【関連する記事】