2010年07月03日

永遠の兄貴

昨夜、初めて来てくれたお客さん二人は、僕よりも少しだけ年下。

色々話していたら、15年ほど前までは、

よくこの2丁目で飲んでいたらしいけれど、

ここのところ、すっかりご無沙汰。


縁遠くなった理由は、時代もお店も変わってしまったからだと言う。

何よりも大きい理由は、2丁目の兄貴的存在

一(はじめ)さんが亡くなってしまったことだったらしい。


一さんは、若かった僕にとっても、

本当に兄貴的存在だったし、本当にお世話になった。


彼を最初に見たのは、彼が九州男(2丁目の老舗)のスタッフだった時。

その後、男蔵(めんくら)、男’s(おっす)、V-Rock、龍、と

次々に多くのお店のマスターとして君臨した。


それぞれの店の名前から、野郎系、というイメージが強く、

チャーミングでハンサムなルックスに加えて、

当時はまわりにまったくいないほど、マッチョな体格だった。

歌舞伎やオペラなど芸術の知識にも長けていて

そのギャップが多くの人の憧れの気持ちを強くした。


九州から出て来た頃は、まったくゲイに興味がないノンケで、

工事現場で働いているところ、九州男のまっちゃん(マスター)に

声をかけられた、と聞いた。

その後、彼は九州男を手伝うようになる。


芸術のげの字も知らなかった彼を、そういう方向に引っ張ったのは

まっちゃんと、多くのお店のお客さんだったと言う。


その後、僕は国立競技場で一緒にトレーニングをしたり、

厨子マリーナのユーミンのライブに一緒に行ったりさせてもらった。

一さんは、誰に対しても、平等で、笑顔を絶やさず

接することを忘れなかった。


彼が亡くなって、もう13年もの月日が流れた。

僕はとっくに彼の年齢を過ぎてしまった。


僕が知る限り、新宿2丁目には、

彼のようなタイプのマスターはもういない。

もちろん、僕が彼のようになる術もない。

しかし、何らかの形で、彼のハートを

受け継いで行くことが出来れば。

そんな事をふと考えた金曜日の夜の営業だった。
posted by みつあき at 18:31| Comment(0) | 新宿2丁目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。