来てくれてかなり仲良くなった一人だ。
彼の趣味はバービー人形集めだったり、
ロマンチックコメディ大好きだったり、
ある意味、ティーンエイジャーの
女の子のようだったりする。
しかし、手先はめちゃくちゃ器用で
DIYなどお手のもの。
工具はたくさん持っているし、
もちろんミシンがけや、
植物の手入れまで完璧。
スポーツも好きで、最近は空手を
始めたのだと言う。
顔の作りが小さくて可愛らしいから
おそらく彼の職場の多くの人は
彼をゲイだと思っているようだ。
かと言って、テキパキと仕事をこなすカオルを
バカにしたり、差別するような
人は過去も含めて全くいないらしい。
そりゃそうだろう。
恋愛対象は男だけれど、
関係に持った人は
ストレートのことも多いようだ。
だからと言って、そもそも
ゲイという枠で語られることも
イヤだということもよく聞いていた。
この間、久しぶりに一緒に食事をしながら
カオルの色々な話を聞きながら、
ひょっとすると、彼は実は
ゲイではないのではないか、そう思った。
つい最近、古い友人が自分が
ノンバイナリーだと気が付き、
とても楽になったという話を思い出し、
カオルもそうなのでは、と尋ねてみた。
形式に捕らわれたくない、そう言っていた
カオルが「うん、きっとそうなんだと思う」
そう言った。
だから、彼は特にゲイドラマだから観るとか、
ゲイイベントにも一切興味がなかったことが
よく理解出来た。
多様性という言葉が広がっていく中で、
本当に色々ななタイプの人がいる。
カテゴリーではなく、自分は、彼は、
彼女は、こういう人なんだとわかり、
受け入れることがあれば、
みんなもう少し楽に
生きていけるのかも知れない。