2024年08月31日

夢に向かって走る

昨夜は台風が西日本から東日本に
向けてゆっくり近づいてきている中、
多くのお客さんがいらっしゃり、
水商売、ホントに読めないと実感。

そんな中、うちの店には初めて、
という20代のお客さんが別々に
二人来てくれた。

昨夜、マッチングアプリで会った
二回り上の人と一緒に来てくれたのは
21歳のサダヒロ君。

ゲイバーには初めて来たと言うけれど、
ここ数ヶ月、日本を転々と周っていたと
朗らかに笑いながら話してくれる。

さらに、明後日からカナダに
ワーキングホリデーとして向かうのだと言う。

とても初めてとは思えないくったくない
笑顔をふりまき、この年齢でこれほど
人見知りもせず、オープンな性格だと、
広がる世界も違うのだろう。

「次に会えるのは、いつかわかりませんが、
その時はネイティブな英語でお邪魔します」
と言っていた。


もう一人は、10年以上前から来てくれている
マサオが連れてきてくれたケン君だ。

29歳の彼はフィリピンと日本のハーフのマッチョ君。
彼は、10代で調理師のライセンスを取った。
とあるレストランで働きながら、
休暇をとってロスに渡り、あちらでもライセンスを
取得したのだそうだ。

将来はアメリカ日本を行き来しながら、
自分の店を持つのが夢だと言う。

若いというのは素晴らしい。
10年先、20年先もさらに夢は
広がっていくだろう。

そんな彼らを見ながら、僕自身、
残された時間がどれくらいあるのだろうか、
そう考えた。

逆に言えば、残された時間でどれだけ
自分がやりたいこと、出来うることに
トライ出来るだろうか。

気持ちが若いとかではなく、
そういうことに気付かされる、
そんな意味でこういう人々と
出会える仕事をやって本当に良かった、
改めてそう思う。

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2024年08月30日

リュウジ君の冒険の日々 その2

昨日の続き。

テルアビブのホテルがあまりに高額なため、
リュウジ君、ビーチで野宿をしていたら、
身ぐるみはがされるという
大事故に遭ったのだそうだ。

携帯も財布も洋服も取られた時に
声をかけて、救ってくれたのが
初老の現地の人だった。

その人の家で一週間ほど世話になったが、
会った数日後からマッサージをしてくれて、
その時点で彼がゲイだとわかった。

特に激しいことも求められず、
リュウジ君にとっても、そういうタイプでは
なかったため、深い関係になることも
なかったのだと言う。

ある意味、とても控えめな人だっただけに
その時の感謝の気持ちも今でも
忘れないと言う。


旅行から帰国して、去年の年末から
最近まで引っ越し屋のアルバイトや、
鳶職も経験したようだ。

スノボーや居合で鍛えたせいか体力には
自信があった。

ただ、鳶の仕事は今ではあり得ないと
思うほど、殴る蹴る暴言の数々で、
とても続ける気にはならなかった。

何よりも辞めるに辞められない海外からの
労働者の人たちには同情を
禁じえなかったと言う。

こういう瞬間、瞬間にリュウジ君は
自分の人生について、世界の平和について、
心の平穏について、ついつい考えてしまうらしい。

一度では書ききれないほどのリュウジ君の
様々な体験。

これをいつか生かせる仕事に就きたい、
そう思っているとのこと。
大いに応援したい、そう思った。

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2024年08月29日

リュウジ君の冒険の日々 その1

昨夜初めて来てくれたリュウジ君30歳は
まだまだ若いのに、何から何まで
面白い体験の持ち主だった。

子供の頃はゲーム好きなごく普通の
少年だったようだ。

しかし、小学校高学年になった頃から、
自分は何のために生きているのか、
死んだらどうなるのか、
本当の幸福とは何か、
というような哲学的な問題に
ぶつかった。

そこから、ありとあらゆる書物を読み漁り、
そこで日本神道というモノにぶつかった。

高校は中退してしまったが、
それからほぼ10年、あらゆる
仕事に就きながら
神道の勉強に勤しんだらしい。

ありとあらゆる、というのはたとえば
ストレートの風俗店。
そこでとある女性に追いかけられて
かなり参ったこともあったらしい。

また、日本神道から紐づいて自衛隊に
入った。しかし、最初から2年だけ、
と決めていたのだそうだ。

厳しい訓練よりも、どちらかと言うと
上官のネチネチとした指導が
自分には合わなかったと言う。

風俗や自衛隊で溜まった金で
日本中の神社仏閣を回った。
あらゆる場所で素晴らしい体験をした。

ただ、自分は神道を信じながらも
思想はリベラルなのだ、
そう感じたらしい。

そんな中、ちょっとした家族の
問題が起こり、リュウジ君は
新たな悩みを抱えた。

親しい人に、悩みを打ち明けたら、
とあるカトリックの牧師さんを
紹介されたのだそうだ。

自分が今まで学んだ神道とはまったく逆と
思われるようなキリスト教の世界を
リュウジ君はとことん学ぼうと思ったらしい。

そして昨年、まだガザ侵攻などが起こる前、
聖地巡礼をしようと、トルコとイスラエルへと
向かったと言う。

30歳にして、凄いパワーだなあと感心する。

ちょっと長くなりそうなので
この続きはまた明日のブログで。

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2024年08月28日

男も美肌にこだわる!

先日ドイツから来てくれたアルベルトさん
60歳は、大のアジア人好き。

若い頃、周りの人間にアジア人が良いと
言うと、口を揃えて言うのが、小柄で
細身で女性的なのがどこが良い?
と言われたらしい。

確かにアジア人は、昔から西洋人に
モテなかったけれど、
最近は変わったんじゃないか
と僕が聞くと、彼いわく、今のほうが
アルベルトさんにとって、日本人は魅力が
なくなった、そう言う。

昔はもう少し、武士の魂を持っている
雰囲気だった、と。(そうだろうか笑)

アルベルトさんから、逆に聞きたいけれど、
今の日本人の若い男は何故メイクをしたり、
眉毛を揃えたりするのか、
まったく理解が出来ない、と。

ゲイの男はそこまでやっている人は
少ないんじゃないかな、そう僕が言うと
彼はそうだとしても、夏なのに
みんな肌が白過ぎると言う。
それでなくても、日本人は
物凄く肌が綺麗なのに、と。

その場にいたアツシ30歳は
「ドイツの人は肌を守ろうと
しないのですか?」と尋ねた。

「そもそも西洋人は肌が弱いと
わかっているし、その上で
野性的な男らしさを求めるから
夏はみんな肌を焼く」とアルベルトさん。

なるほど。
まあ、昔は確かに日本もそうだった。
人の好みとは別に、
価値観はどんどん変化していく。
そんなものだ。
posted by みつあき at 18:29| Comment(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月26日

恋人の呼びかた

恋人と付き合って4ヶ月のシンイチ君 33歳。
8歳年上の彼だが、出会って2度目に
付き合うこと考えてくれない?と言われ、
正直、驚いたけれど、自分のタイプ
ど真ん中だったから、嬉しかった。

「わかりました。前向きに考えます」と。
LINEのやり取りや、その次のデートなど
まったく問題なく、楽しく進んだけれど、
4度目に会ったくらいから、相手から
呼び捨てで名前を呼ばれた。

過去、付き合った年上の人は3歳上でも
ずっと「君付け」で呼ばれていたので
ちょっと戸惑ったことは確かだそうだ。

基本的に人から呼び捨てにされたことが
あまりないので(と言うのも珍しいけれど
40歳以下の人って、そうなのか)
慣れるまでちょっと呼ばれるために
ドキっとした。

そして、ふた月が過ぎた頃、今度は
「俺のことも呼び捨てにしてくれ」
そう言われた。

自分が呼ばれるのも驚いたのに、
8歳も上の人を呼び捨てになんか出来ない。

シンイチ君としては、ふたりの時はともかく
(それでもかなり抵抗あるらしいけれど)
屋外で呼び捨てなど、無理だと話した。

でもその彼は、仕事でずっと海外に
いたせいか、恋人同士が「君」や「さん」付け
っていうのが、どうしても気持ち悪いと言う。

海外では、そもそも敬語もないし、
年齢も気にしないし、まず名前に敬称を
付けることがないことはシンイチ君は
わかっている。でも、文化が違うのだ、
そう思う。

結局、楽しく付き合いながらも、まだまだ
彼を名前で呼ぶことが出来ない会話と
なっているらしい。

なるほど、人の悩みは色々だ。

posted by みつあき at 18:32| Comment(0) | 恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月24日

地方都市のジムで

昨日、物凄く久しぶりに(8年ぶりくらい?)
当時30前だったヤモチ君が来てくれた。

当時は結構細身で髪の毛も少し長めだったのが、
なんと身体が凄く大きくなって、髪も短い。
最初、まったくわからなかったほどだ。

ヤモチ君は、都内から地方都市に転勤で
7年前に移動して、そのまま別の会社に
転職したらしい。

丁度その頃、身体を鍛えようと思って
彼の住むそばに偶然見つけたボディビルジムに
入ることにしたと言う。

もっとカジュアルなジムに、と思ったけれど、
場所が遠いのと、どうせやるならと
そこを選んだらしい。

そこで彼に付いてくれたのが、ヤモチ君より
8歳くらい年上のボディビルダー。
地方大会でかなり上位に入っている選手だったらしく、
ちょっと引き気味だったヤモチ君だったけれど、
ジムには人も少なく、きちんと初歩から教えてもらい、
それからぐんと伸びたのだそうだった。
なんとうちの店に来た頃よりも
20キロも増えたのだと言う。

ジムに入って5何ほど経ち、トレーナーの
大会の祝賀会があった帰り道に
他で二人で飲もうと言われ、
飲みに行ったら、そのあと田んぼの畦道の
中でキスをされたのだそうだ。

結婚もしてるから、まさかと思ったけれど
「すまん。酔っているから。
でも、入った時から可愛いと思ってた」と。

ヤモチ君のそれからの日々は、
彼のことでいっぱいになった。

でも深入りすると、自分が傷つくことは
目に見えている。
とは言え、週5回のトレーニングは
楽しみだけど、あのあと彼は普通に
振る舞っているらしい。
彼はゲイなのか、バイなのかわからない。

「頑張ってお前も大会に出ろよ」
そんな言葉を言ってくれるたびに、
『出たら、抱いてもらえますか?!
そんな言葉をグッと殺して
トレーニングに励む日々だそうだ。

少し虚しいけれど、ゲイ小説のような
流れに、少しクラクラさせられた。
posted by みつあき at 18:48| Comment(0) | 地方都市から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月23日

世の中はパスワード地獄

ツトム君は、マッチングアプリで
ある人と会う約束をしたらしい。
ただ、会う直前にアプリを間違えて
ログアウトしてしまったと言う。

パスワードを何度入れても入れず、
入れたモノをすっかり忘れて新しい。
結局、その彼とは会えず終いに
なったようだった。

その数時間後、やっとなんとか
新しいパスワードに切り替え、復旧した際には
相手からブロックされ、自分の問題と
わかりながらも、辛い想いをしたようだ。

おそらく、会う直前になって、
こちらから無視された、そう思われたのかも
知らない。

それにしても、インターネットで
ありとあらゆるサイトに入ろうとすると
パスワードが必要だ。
アルファベット小文字と数字のモノから、
大文字を入れるモノ、また記号を入れる、
というのもどんどん増え、さすがに
覚えられなくなった。

場所によっては、数回間違えると
もう入れないとか、新しいパスワードを
作り直し、そんなことをやっていると
ますますわからなくなる。

悪質な詐欺を回避するため、とは
わかっていても、ストレスフルな
時代になった、と思い悩む日々だ。
posted by みつあき at 19:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月22日

若い頃から願い続けた気持ち

古い知り合いのタモツ君が先日来てくれた。

タモツ君は、僕の友人の元彼だったせいか、
個人的には二人で食事をしたことも、
過去、それほど話をしたこともなかった。

ただ、店を始めてから、たまに来てもらうようになり、
ポツポツと話をしていると、意外と
彼のことをほとんど知らなかったことに気がついた。

タモツ君は、僕と5歳ほどしか離れていないけれど、
おそらく今では「イケオジ」のトップに
入る雰囲気だ。(イケてたのは昔から)

温和でガッチリ、昔からモテ筋だった彼だが
かと言って、その容姿を武器に
ブイブイと言わせていた、なんてことも
聞いたことがなかった。

元彼と別れてからも、地味ながらも(失礼)
しっかりと20年付き合っている相手もいる。

そんなタモツ君と先日、昔話をしていたら、
彼がゲイだということで悩んだりしたことは
ないと聞いて驚いた。

僕らが育った70年代から80年代にかけての頃は、
まだまだ男同士が愛し合う、なんていうことは
まったく認知されていなかった。

認知どころか、その手の映画も小説も
何も見当たらなかった時代、
僕などは、単純に自分だけが変態気質だと
悩み苦しんでいた。

しかし、そんな時代の中で、
当のタモツ君は、何故か小さな頃から
自分は男が好きで、いつか誰かと恋の花が咲く、
というようなぼんやりとしたファンタジーが
心の中にあったのだと言う。

人と違うことを辛いと思ったこともなく、
自分は自分の世界で生きていく、
そういう想いのほうが強かったようだ。

なるほど。
こういう独立した自由な気持ちを持つ、
ということは、こういう時代になっても
なかなか出来なかったりもする。

物静かだけれど、特に大きなモノに動かされず
自分らしく堂々としている。
嘘がない、そんなタモツ君の姿は
かつてブイブイ言わせていたイケメンたちよりも
おそらくずっと輝かしかったような気がする。

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2024年08月18日

新宿2丁目初めての日

台風一過の昨日。

実家は関東にありながらも、
関西地方に仕事で移っている
モトヤ君、32歳。

数ヶ月前にこのブログを辿ってくれて
初めての2丁目にうちの店を
選んでくれた。

比較的初心者向き、ということも
ゲイバー紹介のサイトなどに書いてあることもあり、
40歳、50歳を超えて初、という人も
うちの店は少なくない。

店のドアを開ける時はさすがに緊張して
やっぱりやめようか、となる人も
多いらしく、そういう話を聞くと
僕の若い頃を思い出す。

一人で行く時は、常に胸が
張り裂けそうだったし、
ずいぶん経って、友人たちと
初めての店に行く時でさえ、
ドアに耳を付けて、どういう感じか
聞いたり、数センチあけながら
お前が先に入れだの、とはしゃいだ。

いまだに知らないお店に行く時も
良い歳をしながらも緊張感はあるものだ。

さてさて、そんな
モトヤ君は
オープンすぐに入店し、終電を
乗り過ごすまでいてくれた。

緊張していると言いながらも、
笑顔で家族や仕事の話をして
とても初めてとは思えないほど。
むしろ、初対面との人の接触は
海外生活で学んだモノかも知れない、
そう言っていた。

このブログから、店に来てくれた印象を
尋ねると、僕自身、もう少し
おじいちゃんかと思ったと言ってくれ、
それは若く見えるということか、
それとも文章がジジ臭いのか、
まあ、自分にとって都合よく
受け取ろう、そう思った。

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2024年08月17日

台風の日

昨日は、台風7号が関東に近づく、
ということで数日前からメディアは
激しい暴風雨への注意勧告を出し続けた。

確かに、昨夜の朝から僕のうちの周りも
テレビに映る新宿駅も、時には土砂降り、
時には風に飛ばされそうになる人、
また時には、まったく静かになる、という
状態を繰り返していた。

ただ、夕方になるにつれ、やはり風雨は
強くなっていくようだった。

ここに何度か書いたかも知れないけれど、
僕の住まいは、店まで電車を乗り継ぎ、
約45分かかる。
そして最寄りの駅からは、歩いて5分以上
長い橋を渡らなければならない。

台風でなくとも、強い雨が降ると
足元やズボンの裾がぐっしょりになり、
そのために替えのズボンを
持って行くこともある。

ただ、昨日のは、それではとても
治まることはない、とわかった。

結局、昨日僕は店を休むことにして
(当初予定していたユウタも家が遠いため)、
店の近所に住む平日深夜担当の
リョウタロウに任せることにした。

さすがに注意勧告が出ている中、
いらっしゃったお客さんは
少なかったみたいだが
大変失礼しました。

こういう時は、ホントにうちが
遠いということを真剣に考えてしまう。


posted by みつあき at 16:47| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月15日

お勧め映画「ルックバック」

今の日本の映画興行収入の中で10本中、
7,8本が日本映画、そしてその中の
2,3本がアニメだったりする。

80年代、洋画全盛の時代を過ごした
僕としては、これはかなり驚愕。

中には、テレビで評判だったモノの映画化も
多く、日本のテレビドラマやアニメを
ほとんど観ない僕だから、どうしても
邦画を観る機会がどんどん減ってしまう。


そんな中、2年ほど前に、
お客さんから勧められて読んだ
漫画家藤本タツキ氏が描いたコミック
「ルックバック」が映画化されたと聞いた。

これは行かねばと観に出かけたら
これがまさかの58分という短編にも
かかわらず大傑作。

Unknown.jpegUnknown-1.jpeg
(左が原作コミック、右が映画ポスター)

話は、学校新聞に四コマ漫画を描いている
小学四年生の少女藤野が主人公。
そして藤野を上回る絵力を持つ
少女京本と運命的な出会いをする。
二人は、高校の年齢になり、
デュオとして、漫画家デビューをする、
という流れだ。

何より目を見張るのが、藤野がいかに
自分の全力を振り絞って、漫画に
かけていくか、という迫力は
原作も凄いけれど、アニメならではの
表現力で見せていく。

作品は、原作にかなり忠実で、
主人公たちや周りの登場人物が語る
セリフまで、ほぼ同じ、という
徹底ぶりだ。

ただ、そこには独特のアニメの動き、
キャストの声のトーン、
そして構図や光の差しかた、
音楽の流れ方などが加わり、
キャラクターの存在感が
大きく膨らむ。

物語は、後半、大きな事件を挟んで、
二人の関係とその深さが
エモーショナルに昇華していく。

観終わったら、すぐにもう一度
観たい、そう思わせてくれる
数少ない一本だった。

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posted by みつあき at 16:35| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月12日

言葉か持つ怖さ

昨日初めて来てくれたセイタロウ君、36歳。
彼は音楽や、テレビドラマ鑑賞など
色々細かくも深い趣味を持っているけれど、
そんな中で一番好きなこと、というのが
手芸らしい。

10年ほど前に、友人に勧められて
やってみたら、これは面白い!と
やり始めたのがきっかけらしい。

セイタロウ君いわく、手袋などは
比較的簡単に出来るので、
1日2時間くらいでも、ひと月は
かかるセーターを一生懸命編むのが
とても楽しいらしい。

シンプルなモノは手先を見ずに
ドラマなど見ながら、どんどん編める。

縞模様のモノなどは、途中で
違う色の毛糸を結べば良いから
まだ、そこまで集中力はいらない。

しかし、細かい色が入り乱れたり、絵が
書かれたりしているモノは
非常に複雑で面倒も多い。
ただ、やり甲斐もあると言う。

手先がそんなに器用ではない僕は
そういう手作業に優れた人は
本当に尊敬してしまう。

そんなセイタロウ君、アプリで
初対面の人と会った際に、
趣味の手芸の話をすると
「オカマだね」とひと言、
言われたらしい。

セイタロウ君自身、やはり
男が編み物をするというのは
女性っぽいことだとわかっているけれど、
面と向かって言われるのは、
やはり気になるのは否めない。

それにしても「オカマだな」というような
言葉で、僕たちはすごく傷ついてきた。

それは会社の中でまるで人ごとのように
誰かが話している時も、20年も前に
テレビの中で言い放たれる言葉にも。

それが、同じゲイの人間が初対面の人に
言うのは、ゲイ同士だから良いと思うのだろうか。

深い意味がなく、言い放ってしまう言葉。
こういう時に、いつも思うのは
僕自身、知らず知らずのうちに
相手が傷つける言葉を言ったりしていないか
ということだ。

過去、何度か、そういうことを指摘された
ことだってあるから、棚上げして
人をどうこう言えない。

しかし、自戒を込めながら、そういう言葉に
本当に気をつけなければ、
セイタロウ君の話からそんなふうに思った。

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2024年08月11日

オリンピックの勝敗とは

昨夜は大勢のお客さんの中で、明日で終わる
オリンピックを楽しんだ。

それにしても、今回、多くの競技で
色々な勝者の姿を見たけれど、
それよりも惜しくも敗れた闘いが
目に焼きついた。

日本選手が、フランスにギリギリで
敗れたバスケットボール男子、
同様にフランスに敗れた柔道団体や、
イタリアにフルセットで敗れたバレーボール男子に続き、
昨夜も決勝で中国にまさかのポイントを譲った卓球女子。

そのたびに店でも悔しくて残念だという声は聞かれるけれど、
その選手たちの検討とそれを倒す相手の気迫や
技術も素晴らしい。

多くの勝者の中で、苦念や自分への腹立たしさ、
そして怒りにも似た辛さは計り知れない。

不本意な反則警告で、金メダルを日本の
角田選手に譲らざるを得なくなった
柔道女子スウェーデン選手は
表彰式で角田選手に敬意を表した
シーンも忘れられなかった。

また、昨夜の(ほぼオリンピック最初で
最後かもと言われている)ブレイキンの
SHIGEKIXのの華麗なるダンステクニック、
素人目にはまったく他の選手にも引けを
取らないけれど、準決勝敗退。
しかし、これまでやってきて、この競技を
多くの人にわかってもらえた、楽しんだ甲斐が
あると答えた笑顔。

同様、金メダルを狙って闘ったレスリングの
高谷大地のフォール負け。
このあとも、ウズベキスタンの勝者を
リング中央で抱え上げ、
笑顔で会場中で家族を探し、
大歓声の中、ハグや握手をして回った。
僕は過去、ここまで爽やかな銀メダル勝者を
見たことはなかった。

これらのシーンを見ると、決してメダル争い
だけではない、人間の成長と自分との闘いへの
ヴィクトリーを感じさせてくれる。

そして、僕にとっては、結局、
そこに勝ちも負けも存在しないのだ。

オリンピックで「勇気と感動」といあ
言葉は薄っぺらくも感じるけれど、
この年齢になった僕は、改めて
残された人生への勇気と感動を
与えられてしまう。

さあ、残された試合はあと少し。
三連休の賑わいの中で、しっかりと
楽しませてもらおう。

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2024年08月10日

南海トラフの情報後に

それほど大きな被害にはならなかったようだけれど、
一昨日、宮崎県を中心に起きた大きな地震。
それか、南海トラフの巨大地震に
繋がるという情報は
さすがに恐怖心をかきたてられる。

そんなさなか、昨夜、店をオープンして
まもなく、店にいる僕やお客さんの携帯が
けたたましく鳴り、店は30秒ほど横に揺れた。

その後、来てくれたらスタッフのヒロヤは
地下鉄の中でいきなり、多くの携帯音が
怖かったと言っていた。

昨日の地震は、それほど大きくなく、
震度2か3で、南海トラフとはまったく
関係ないらしいけれど、その直後だけに
さすがにビビった。

さて、そんな中、深夜0時過ぎに、
お客さんのマモルちゃんからメッセージが入る。

彼は昨日、名古屋で仕事が9時過ぎに終わり、
東京に戻るため、駅に向かったら
地震で速度を落としての運転らしかった。

駅員の人が言うには、なんとか0時前には
東京に着くだろうと。
しかし、のろのろとした運転で
とても着きそうになく、結果的に
東京からタクシーで新宿に向かうことに、
というのがマモルちゃんのメッセージだった。

そこから東京駅に着いたのが、0時半過ぎ。
タクシー待ちの長い行列を並び、
約1時間待って、結局店にきてくれたのが
2時も回ったところだった。

僕は海外での飛行機の遅れ以外、
交通機関のトラブルには巻き込まれたことは
ないけれど、本当にお疲れ様だと思った。

南海トラフの件もあり、この連休、
そしてお盆休みにも影響が出そうなので、
皆さん、くれぐれも気をつけて。



posted by みつあき at 18:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月09日

人との接し方あれこれ

タモツ 30歳は週に一度、空手の道場に
通っているらしい。
その道場に来ている人の中で
タモツのタイプの人っているかと
尋ねると、道場のコーチだと言う。

そのコーチは、彼よりも6歳ほど
上だが、かなり厳しく指導をするらしい。

もちろん、今の時代、体罰も含めた
暴力行為、激しい暴言などはさすがにない。

ただ、昨今よく聞く「それじゃ、だめなので
こうしてください」と言うような
丁寧語も決して使わない。
また、コーチより年上でない限り、
呼び捨てだったりもする。

タモツは、そのコーチにいくら練習中、
強い口調で言われても
常に包み込んでくれるような
愛を感じるのだそうだ。

それは単純にタイプだから、ではなく、
愛情を感じれば感じるほど、
この人、好きだなあという気持ちが
強くなっていくのだそうだ。

人の接し方について、色々な意見がある。
怒るのと叱るのは違うという意見もあれば、
今どき、人を呼び捨てにする、というのは
ないという声もある。

僕自身は基本的には、声を荒げたり
まして手を出したりすることは、ほぼない。
とは言え、仲良くなれば、親しみをこめて
お客さんでも呼び捨てにしてしまうこともある。

そこに何が正しい、間違っている、
というのは、個々違うのだと思う。

ただ、そこに親しみや
愛情があろうがなかろうが、
それでも相手の表現の仕方に、
怒りを覚えてしまう人もいる。

そう言えば、つい先日
20歳以上年下のお客さんから
突然LINE電話があって「ミッツ、
(僕のこと)今日、店にいます?」
と聞かれた。

いつもは僕の名前にさんを付けて
言ってくれているのだが、たぶん
酔っ払っていたのだろう。

でも、僕は単純に距離を縮めてくれたことが
嬉しかった。

いずれにしても、それで舐められているなどと
思ったことはない。

これって、良い歳してM体質なんだろうか(笑)

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2024年08月08日

嘘かまことか、そんな話

先日、来てくれたアキヨシ君。

彼のお兄さんは都内で
小さな商店をやっているらしく、
先週の週末、久しぶりに
顔を見に行ったらしい。

お兄さんが留守で、店を守っている
お兄さんの奥さんと話をしていると
「すみません」と50前後の
男性のお客さんがいらっしゃった。

義姉さんが「ちょっと待っててね」と言い
立ち上がり、お客さんの相手をし出した。

そしてその人は突然
「私、俳優の⚪︎⚪︎の息子なんですが」
と自分の話をし出したのだそうだ。

商品を選んでもらったりしている間に、
ペラペラとそのお父さん(つまり俳優)の話や
自分の話をまくしたてる。

特にその彼や俳優の父親と、
アキヨシ君の兄家族には
まったくなんの関係もないようだ。

しかし、彼の父が昔、大きな負債
持ってしまったこと、
それを彼自身が何とかやりくりして
返済したのは大変だったこと、
などをつらつらと話し込んでいるらしかった。

そんなさなかに、アキヨシ君のお兄さんが
帰宅。「今日はちょっと体調が悪かったのだ」と
アキヨシ君と奥さんにつぶやくと、
すかさずその俳優の息子さんとやらが
「どこが、どう悪いのですか?
あ、言い遅れました。僕⚪︎⚪︎の息子です」
とまた言ったらしい。

ちょっとどうなのかと思いながらも、
一応お客さんなのでお兄さんは
腰の痛みと頭痛がちょっと、と
言いかけると、僕は医師免許を持っていて
お父さんの最悪の時も救ったと話す。

アキヨシ君は、ほとほと呆れ果てて
お兄さんの家を出たそうで、
そのあと、どうしたかはよくわからないらしい。

どこまで本当なのか、どうなのか。。。
うちの店にも、ずいぶん昔に誰が聞いても
?マークを出したくなるような、
まことしやかな話をする人が
いたけれど、その真実は
誰にいまだにもわからない。

ただ、わざわざ著名人の息子であることを
吹聴するというのも、確かにどうだと思う。
色々な人がいるものだ。

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2024年08月05日

オリンピックについて考えること

コロナで無観客開催となった東京五輪から
3年、多く観客から声援を送られ、
盛り上がっている今回のオリンピック。

何度かこのブログに書いているように、
僕自身、通常はまったく観ない競技も
オリンピックになると熱く観てしまう
ミーハーなにわかファンだと思う。

ただ、いつものことながら、多くのことを
考えさせられるのがこの大会。

僕が子供の頃から、国を背負って出ている、
という雰囲気が、21世紀になったいまだに
選手にも応援する側にも強く表れて、
時折何とも言えない気持ちになってしまう。

少なくとも、オリンピック憲章じゃ、
個人も団体も選手間の競争ではなく、
国の競争ではない、そうか書かれている。

日本でも競技放映以外、ワイドショーはおろか、
ニュース番組でもトップに取り上げらる。

コメントでは「メダルじゃないですよね」
などと言いながらも、メダル数がいくつ、
という話で湧いている。

競技者へのSNSでのバッシングが
かなり問題になっているけれど、
その大きな要因が、メディアの
取り上げかたなのだ僕はそう思う。

膨大な放映権料の問題は
あるだろうからだけど、
テレビ放映で日本選手が出る映像が9割を超える、
というのも、どうなんだろうか。

白熱する闘いぶりを国関係なく、
観ることこそ楽しめるのにと。

もちろん、この時代、VPNを使ったりして
海外放送を観ることも可能なのだろうけれど。

加えて、今回、どうなのだろうかと
思ったことのひとつは首相の動向。

前回の冬季五輪の際に以下のように
首相はメダリストへの連絡をしなかった。

https://www.chunichi.co.jp/article/422427

ただ、今回は例の如く、また金メダリストへ
電話をかけている。

メダリストのみを賞賛するのは
やめたのではないのか。やれやれだ。

とにかく、そういうことにとらわれることなく、
この日のために努力してきた選手たちの
成果を後半、楽しみたい、そう思っている。

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2024年08月03日

遺されていた手紙

ススム君、43歳は35歳の時に
当時付き合っていたパートナーを
どうしても両親に紹介したくて
カミングアウトしたと言う。

両親は驚き、お母さんは泣き崩れ、
お父さんからは絶対にあり得ないと
強く否定されたと言う。

恋人の紹介どころか、とんどもない
結果になり、かなり落ち込んだけれど、
その相手の存在によって、ススム君は
少しずつ元気を取り戻したのだそうだ。

その後、ススム君のパートナーが
事故で亡くなってしまったらしい。
ススム君は、お母さんだけに
伝えたら、一緒に泣いてくれたのだそうだ。

ただ、お母さんはお父さんに
その事を話してくれたらしいけれど、
父親はそれについてはひと言も
触れることはなかったらしい。

それがススム君が38歳の頃で、
亡くなった彼とは6年の付き合いだったらしい。


そして2年前。ススム君のお父さんは
若くして(まだ60代半だったらしい)
ガンにより、なくなったのだそうだ。

半年ほどの入院のさなか、
「最近は男とはどうなんだ」
と聞かれたと言う。
「いや、前の彼が死んでからは
まったく誰とも付き合ってないよ」
そう言うと「そかそか。まあ、付き合いだけが
人生でもないからな」というようなことを
話したらしい。

その時に病気になって、気が弱くなった
父親の変化が垣間見れた瞬間だったと言う。

お父さんの葬儀が終わり、父親の部屋を片付けていたら
お母さんへの手紙と一緒に「ススムへ」と
書かれた手紙が出てきたと言う。

そこには、同性愛者であるススム君を
許してあげられなかった悔恨、
またパートナーを失った時に
優しくできなかったことへの謝罪、
そしてこれから堂々として生きていってください、
という文章がしたためられていたのだそうだ。


僕自身、若気のいたりでカミングアウトして
父親の怒りを買い、その後ススム君同様、
良い結果へと変化しただけに、この話には驚いた。

結果的にうちの家族は受け入れ、許し、
同意してくれたけれど、僕から聞いた時の
ショックは今想像しても、
かなり大きいモノだったと思う。

改めて親御さんへのカミングアウトという問題は
ひと筋縄ではいかないし、
何度もここで書いているように
強くは勧められない、僕は今でもそう思っている。

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2024年08月02日

関西での通常って?

一昨日、関西から二人のお客さんが来てくれて
一人は機関銃のように、よく喋り、
もう一人はそれを受けて爆笑しながら
さらにその彼を乗せていく、
というまるで漫才を見ているようだった。

その時に、他のお客さんが僕を差して
「マスターも関西人だよ」と言い、
「っぽくないと言われるでしょう」と
二人は言う。

確かに。僕は実際、15歳までしか
大阪の地で育っていないし、
両親とも関西出身ではないので
こればかりは仕方がない。

思えば、東京での生活も、もう
大阪で暮らした3倍以上になっているのだから。


それで思い出したことがある。
僕が高校の時(僕の高校は
島根県だった)のクラスメイトが
やっぱり関西人で(和歌山と大阪の中間くらい)
夏休みに彼の家に遊びに行ったことがあった。

着いたばかりの僕とご両親の会話が
凄かった。

僕が「トイレ、お借りします」と言うと
お母さんが「あ、ちゃんと返してよ!」
と笑いながら言い、それに続けて
お父さんが「うんこか、小便か?」と聞く。

あ、「おしっこです」と僕が言うと
お父さん「オッケー。それなら100円!
うんこやったら、500円とるで〜」と言い、
「また始まった〜」と、友人や
弟、妹も含めて家族が大爆笑。

彼の家にいた3日間、一事が万事、
そういう流れで、我が家とはまったく違い、
驚いたことをよく覚えている。

決して上品とは言えないけれど、
いつも笑いに絶えない。
もちろん、エモーショナルな家族なので
僕が見ていないところで、
怒ったり泣いたり、というような
こともあるのだろう。

その時に、羨ましさと言うより、
こんな家族もいるんだ、とつくづく
自分の家族とは違うんだなあ、そう思った。

もちろん、関西の人がすべからく
そうではないことはよくわかっている(笑)

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2024年08月01日

1960年代、まさかのゲイを描いた「禁じられた情事の森」

「禁じられた情事の森」

実は恥ずかしながら、この映画、
タイトルを耳にしていながら、
内容もまったく知らず、
今まで観たことがなかった。

60年代の映画でありながら
同性愛も扱った、という意味で
とても重要な作品だというのに。

原題の"Reflections in a Golden Eye"は
「黄金の瞳に映るもの」という原作から。
それを当時の配給会社が
この邦題にしてしまったのは
ポルノビデオさえなかった時代に
俗っぽく、卑猥な感じを伝えることで
人を集めようとしたのかも知れない。

この当時のポスターのコピーさえ、
日本での狙いを強く感じる。

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舞台は大戦中の陸軍基地。
マーロン・ブランドは
士官学校で兵士を育てる少佐、
エリザベス・テイラーはその妻だ。

テイラーは軍にいる夫の友人と
ダブル不倫をしている。
その友人の妻は、子供を亡くしてから
精神を壊していて、フィリピン人の
同性愛者の男性に日々、世話を頼んでいる。

ブランドは、不倫妻には目もくれず、
常に自身の身体を鍛え、顔にクリームを塗り、
鏡を見つめている。

また、ブランドが乗った妻の愛馬が暴走し、
振り落とされた際、
人のいない場所で、女性のように
顔を覆い、泣き崩れる面さえ見せる。

この馬がとても象徴的に描かれていることも
この映画の魅力のひとつだ。

馬の件でブチ切れたテイラーは
大勢が見守るパーティの中、
鞭でブランドの頬を何度も引っ叩く。
その際、ブランドは仁王立ちのまま、
M男のように屈辱に耐えたりもする。

そして、彼が家の木を伐採するように
頼んだのが。たくましく若い兵士だ。

全裸のまま馬に乗り、日光浴をしながら、
他の兵士たちとはなかなか相入れない男。
この不可思議なな青年を演じる若き
ロバート・フォスターがとてもみずみずしい。

ブランドは常に彼の行動を
少し距離を置きながら眺め、
フォスターが捨てたタバコの箱を
秘かに持ち帰り、
綺麗に皺を伸ばしたりしている。

そう。今さら言うまでもなく
ブランドが演じるのは、この時代、
変態、男色、果ては精神病とも言われたゲイなのだ。


映画はブランド、テイラー夫妻、
その不倫相手の夫婦
そして青年フォスターの5人の
サイコロジカル性への執着を
見せて、意外な展開へとなっていく。

これが当時、評価が分かれたのは
そのあまりに特異な話と
幾分、大映ドラマかのごとく
陳腐かと思うほどの大仰な演出に
あるのかも知れない。

ただ、これだけ同性愛が認知された現在、
ブランド演じる男のクローゼットぶりと
その心の中を垣間見せる術は、
とても興味深く見ることが出来るし、
同性愛者の心根にある深い傷のようなモノは
ひょっとして永遠に変わらないかも知れない。

映画は公開当時は普通に上映されたようだが、
今回の上映は全編、黄金色、というような
少し茶ばんだ画面(もちろんカラー)で
踏襲されていて、それが監督が望んだモノだと
最初に注釈があった。

好き嫌いはともかく、
一見の価値がある映画だということは否めない。

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