2024年03月08日

里親から里親へ

38歳のモトキ君は、実のご両親二人が
体調不良ということで、幼少時に
里子に出されたのだそうだ。

数年に一度、実のご両親とは
会ったりしていたものの、
体調が悪くて会えなかったり、
会えてもほんの少しだけ、という
ことも多かったのだそうだ。

しかし、彼を育ててくれたご両親は
子供に恵まれなかったこともあって、
精一杯の愛情でモトキ君を育ててくれ、
大学まで出してくれた。

そして、実の父親はモトキ君の高校時代、
母親は大学時代に亡くなられてしまったらしい。

何とも言えない虚しさの中で、
モトキ君は育ててくれた両親を心から
リスペクトし、大切にしよう、
そう心に誓ったのだそうだ。


モトキ君が就職をし、落ち着いた
20代後半の頃から、両親から
「誰か好きな人はいないのか」
「早くモトキの子供が見たい」
そう言われた。

彼は子供の頃から自分がゲイであると
気が付いていたけれど、
この両親には、絶対にわからないように
しなければ、そう思っていた。

そして、5年ほど前に最愛の同世代の
パートナーが出来た。
彼は家族にカミングアウトしていたが、
どうしても話せないモトキ君と説明し、
パートナーもよく理解してくれた。

ただ、最近、40前になり、自分の今の
両親への最大の恩返しは、自身が子供を持ち、
育て上げる事ではないか。
そう考え始めた。

人工授精で誰かに産んでもらおうか、などと
パートナーともそんな話をした。
しかし、自分がそうだったように、
親に恵まれない子供の里親になる、
結局、それが最も良いかも知れない、
そう思った。

賛同してくれるパートナーと
財団に相談をし、準備を始めようとし始めた。
しかし、そこにはやはり両親への
カミングアウトという問題が今でも横たわる。

あの両親だから喜んでくれるのだろうか。
ただ、絶対に悲しませることだけはしたくない。
モトキ君の心は揺れているのだと言う。

僕自身、理由あってカミングアウトして、
幸いにして受け入れてもらえたが、
基本的に全ての人にアウトは
勧められない、そう思っている。

モトキ君の気持ちが痛いほどわかるだけに、
悩む彼に、ただ頷くことしか出来なかった。

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posted by みつあき at 18:51| Comment(0) | 家族 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする