2023年05月24日

お勧め映画「老ナルキソス」

評判の「老ナルキソス」を観た。

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ガツンと来た。

今までの日本で作られたゲイムービー
(監督はクィア映画と言われているようだが)の中でも
日本に住むゲイの実態をここまで
リアルに映画化したモノは
なかったのではないか。


映画は、熟年男性が、ウリ専の青年を買い、
ラブホテルで、ケツっぺたを血が滲むほどの
スパンキングを受けるシーンから始まる。

男は道行くホームレスを見て
「あんなふうになりたくないね」とつぶやく。

絵本作家として少し名を成した彼は
プライドも高く、口も悪い。

世間体のために結婚を選んだ男たちを
愚かだと失笑し、現在のLGBTパートナーシップ制度も
「家族ごっこ」とバカにする。

しかし、彼の中には、若い頃の自分への
回帰願望にも似たナルシズムと、
そこに戻ることが出来ない苦悩もある。

だから、ウリ専に心奪われ、彼と共に
生きたい、そう願ったりもする。

片や、ウリ専の青年は、自殺した父親への
苦い思いから、温かい家族感が理解できず、
同棲しているパートナーが求める関係を
受け入れるか悩む日々だ。


1980年代、公然とホモは気持ち悪いと言われ、
多くのゲイは結婚はまだかと聞かれ、
エイズが流行し、亡くなる人も少なからずいた。

そういう時代に生きてきた僕も、
この絵本作家の自由度とは違い、
自分を受け入れられず、悶々としていた。

人との出会いも、アプリで今すぐ
やれる、という現在とは違った。
雑誌の文通欄で3ヶ月経ってではないと
返信を受けることが出来なかった。
簡単じゃないし、面倒だったからこそ、
一度の逢瀬を信じたりもし、
濃い時間も過ごせた。

今思うと、当時、女性と付き合いながらも
結婚を選ぶこともなく、
まさか50歳を超えて、
ゲイバーを開店するとは
思いも寄らなかったことだ。


あれから40年以上経過して、
世の中は大きく変化した。

その流れの中で、自分はゲイとして
どう生きてきたのか。またはこれから
どう生きていくのか。
それをしかと問いかけてくれる作品だ。

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ちなみに、明日、5月25日、Bridgeは、貸切営業のため、
21時からのオープンとなります。よろしくお願いします。

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posted by みつあき at 15:47| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする