この正月、ソウジロウ32歳は実家に帰省した。
ソウジロウの家族は、兄弟、そして両親と
共に非常に仲が良いらしい。
彼のお父さんも、人は良いのだけれど、
結構、差別感情が強いらしく、
人種などについてもそうだが、テレビなどに
オネエタレントなどが出ると
「気持ち悪い」とすぐチャンネルを変えたそうだ。
昔からそうだから仕方がないと思いつつ、
この人には絶対ゲイだとわかってしまうと、
大変なことになるなあ、日頃から
ソウジロウはそう思っていたようだ。
ただ、ソウジロウは随分前に
母親や他の兄弟にはカミングアウトしており、
店にも一度弟さんを連れて来てくれたりもした。
ソウジロウは同居しているパートナーがいる。
今回、彼からことづかったお菓子も、
父親がいない時にそっと母親に渡したりも
したらしかった。
そんな正月、家族で初詣に行った帰り、
途中、それぞれ別れた時に、
「ちょっと飲みに行くか」と
父親に誘われたのだそうだ。
二人で居酒屋で飲んでいた時に
ふと父親が「色々な生き方がある。
お前はお前らしく生きていけばいい」
そう言ったと言う。
ソウジロウは、それはどういう意味なのかと
問い詰めたら、どうやら1年ほど前に
母親から、ソウジロウが
ゲイであることを伝えられていたのだと言う。
加えて「お前が本気で
大事に思っている相手が
いるのなら、俺は喜んでうちに
迎え入れてやる」と彼の口から
想像もできない言葉が飛び出し、
居酒屋で、ソウジロウは号泣したのだそうだ。
ソウジロウのお父さんの考え方が
大きく変化したのか、どうか。
ソウジロウいわく、おそらくそれは
変わらないけれど、自分の家族は
別なのだと思う、そう言った。
世の中の流れで、同性婚などは
賛成だけど、自分の家族だと嫌だ、
そういう逆の話も耳にする。
いずれにしても、ソウジロウにとって
素晴らしい正月だったようだ。
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