2022年10月05日

舞台「いのちぼうにふろう物語」を観て

昨日書いたように、今回の旅行は
今年、90歳になる仲代達矢氏の
「いのちぼうにふろう物語」という舞台を
能登演劇堂で観るためのモノだった。

能登演劇堂は、能登の七尾市中島町と
達矢氏率いる無名塾の交流によって、
1995年に作られたという舞台。

東京のシアターコクーンでも演出家、
蜷川幸雄氏によって、舞台背景が開き、
外の空間が見られる、という演出があった。
こちらも(おそらく毎回?)、舞台のうしろ側が
パカッと開き、屋外の森や、山が見え、
そこでも人がうごめき、演技が冴えるという仕掛けだ。


今回の舞台は、山本周五郎の原作
「深川安楽亭」をもとに、1971年に作られた
同名の映画「いのちぼうにふろう」の主演だった
達矢氏が、その映画でも脚本を書いた夫人の隆巴さんの
戯曲をもとに、改めて作られ、
今回は3度目だったと言う。


舞台は、四方を掘りの囲まれた「島」と呼ばれる荒地に
ぽつりと建っている「安楽亭」という居酒屋。
ここには、世間ではまともに生きていけない
無頼漢たちが集まり、舟で密輸をしている。

まるで、「レ・ミゼ」かと思うような
大きく回転する周り舞台にはギョッとさせられる。

その中で、映画版では、影を持ち、勝ち気な男、
貞七が主人公で、それを仲代氏が演じていたが、
今回は、安楽亭の主人(映画では中村翫右衛門)が
彼の役どころだ。

僕は恥ずかしながら、仲代氏の無名塾を初めて
観たけれど、いわゆる新劇や新派と言われたような
モノを感じて、いささか全体的に大芝居に感じる。

その中での仲代氏の存在感、どこまでも通る声、
その熱量は凄く、彼の芝居だけが
とても自然に感じるのは僕だけだったのだろうか。
今さらながら、メインキャストの中でも
群を抜いての素晴らしさだった。

そして、大団円で、立ち回りが始まり、
そこから背景が開き、薄暗くなった
山の奥から50人もの男たちが提灯を持って
現れるシーンは、さすがに圧巻。

舞台セットと、仲代氏の芝居を観ることが出来て、
本当に良かった。


posted by みつあき at 23:59| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする