高く評価されていることを耳にして、
公開ひと月経っているけれど
「マイスモールランド」という
映画を観に行った。
映画は埼玉県に住むクルド人家族を
中心に、クルド人たちのコミュニティ、
彼らをとりまく日本人たちの交流、
そこで見えてくる根深い移民問題を
まるでドキュメンタリーのように、
描いているドラマだ。
「クルド人」という名称は知っていたけれど、
恥ずかしながらこの映画を観るまで、
その人たちがどういう人種であるのか、
まったく知らなかった。
ウィキベディアによると、
人口約4600万人と言われるクルド人は
トルコ、イラン、イラク、シリアなどに
移住する国家を持たない
世界最大の民族だと言う。
過去、クルディスタン王国や、
クルディスタン共和国という
名称で国家として機能していたこともあった。
しかし、20世紀後半には文化的圧力によって
政治勢力が誕生し、結果的に
クルド人たちはありとあらゆる国に
移住せざるを得なかったようだ。
主人公は17歳の高校生サーリャ。
母親を数年前に亡くしてから、父、妹、弟と
日本にやって来た。
クルド人としての誇りを失わないように、と
父親の教えから家では、
子供たちはクルド人として
祈りを捧げながら生活をする。
しかし、サーリャはクルド人ということを
高校、アルバイト先など、
周りの多くの人たちに隠し、
聞かれるとドイツ人だと語る。
それほど知られていない
民族であるからなのだろうと最初思ったが、
難民であることを知られると
どんな問題になるか、という
恐怖感がそうさせているのだろう。
そんな彼女の家族のもとに、難民申請は通らない
という連絡が入り、彼らは居住している埼玉から
動くことができない上、
彼らは仕事も出来なくなり、
そのうちに父親は入館施設に入れられてしまう。
彼女が初めて好きになるバイト先の青年、
その母親、バイト先の店長、高校の友人たち、教師、
アパートの大屋、そして家族を支える弁護士など
それぞれの描きかたが見事だ。
サーリャを演じる嵐莉菜の演技力は抜きんでており、
かつ彼女の実の家族が、映画中の家族として
出演しているのも凄い。
実際、日本に住む2000人あまりのクルド人たちだが、
難民認定を申請をしているものの、
ほぼ通ることはないようだ。
加えて、日本の難民認定率は
世界的に低く、なんと2021年は2500人近くが
申請を出し、認定されたのは74人だそうだ。
他国と比較してもすこぶる少数だ。
そもそも認定の定義、というモノが
どれだけ迫害を受けているか、その可能性が高いか、
政府から命まで狙われている証拠があるか、
というようなかなり限定的なことらしい。
ウクライナからの難民を
受け入れようとしている今、
それが広く他の難民に
行き渡るようになるのかどうか。
あらゆる資源が限りあり、
世界が大きく変化している中だからこそ、
弱者にきちんと目を向けていかなければ
ならない、そんな時代に入っているのだと思う。
日本人だからこそ、観なければならない一作。
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