シュンちゃん38歳は、都内のジムに通っているが、
僕が行くジムもそうだが、
ジム内でのお客さん同士の会話はかなり
制限をされているようだ。
そんな中で、彼が二十歳の時に
ネットの出会い系サイトで知り合った10歳ほど
年上の人をロッカーで見かけたと言う。
さすがに驚き、咄嗟に声をかけたら
その彼は「は?人違いじゃないですか?」と言われ、
シュンちゃんが少し説明しようとした瞬間、
ジムのスタッフが「ロッカーでの会話は控えてください」と。
その間にその彼はそそくさと帰ってしまった。
当時、まだ男性経験をしていなかったシュンちゃんだったが、
その彼が実家だというので、
いつも会うのはシュンちゃんの
小さく狭いアパートだったらしい。
優しい彼だったが、どこかいつも陰があり、
仕事や実家の用事に常に
縛られていて、なかなかしっかりとした
約束ができなかったのだそうだ。
それでも、そういう関係は半年ほど続いたらしい。
そしてある日、ある時、突然連絡が取れなくなった。
メールも返信はなく、聞いた電話にかけても使われていないというメッセージ。
初めての経験でかなりショックだったと言う。
それから何年か経ち、シュン君にはそれなりの友人が何人か出来、
その彼の話をしたら、彼は既婚者でかつ長年付き合っている男性もいたらしい。
もう20年近く経っていて、シュン君にもパートナーがいる。
別に責めたりするつもりもなく、ただ懐かしくて
声をかけただけだったのに、とても残念な気がしたと言う。
それでも「色々事情があるんでしょうね。仕方ないです。」と
悪態を、つくワケでもないシュン君を見て、大人だなと思った。