1年ぶりに来てくれたコウタ40歳は
色々理由があって、
仕事を長く休んでいたようだ。
コウタは結構、顔が広いほうで
よく人の写真を見て、彼も知っている、
という発言が多く、友人は多いんだなと思っていた。
しかし、実はコウタ自身は
二十歳くらいで知り合ったゲイの友人、
その一人だけだと思っていたと言う。
あとは知り合いなのか、顔見知りなのか、
ただ、LINEを交換しただけなのか、
それとも関係を持っただけの相手なのか、
とにかく友人には当てはまらないと思うようだ。
確かに、ゲイの友人関係の線引きは難しい。
二人だけで食事に行ったことがある、
というのが友人になるかと言うとそうでもない。
大切な話をキャッチボールした、と言うと
それはちょっと距離は縮むだろうけれど、
それで友人というカテゴリーに入るのか。
まあ、そんな友人論は置いておいて、
そんなコウタが一人だけ、と思っていた彼が
ここ数年、非常に変化したのだと言う。
それは彼が変わったということだけではなく、
コウタとその友人が就職し、
年収も変わり、あらゆる価値観に
大きな変化をもたらしたのだと言う。
かつてのコウタは彼に何を求めていたのだろう。
価値観の共有だったのか。
それとも友人であるという安心感だったのか。
友人と呼べる人が一人もいなくなったと思う、今、
改めて自分にとって、大切な友とは何か、
改めてそういう岐路に立っている気がするのだそうだ。
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