緊急事態宣言が長く続いている中で
多くの古い日本映画を観ていると、
70年代から80年代がたくさん出てくる。
昨日、高校生の時以来観た
藤田敏八監督の「赤ちょうちん」は
まさに自分の青春時代。
若き秋吉久美子と、当時カッコイイと
憧れていた高岡健二(今、観ると超ロン毛)が
飲み屋帰りに一緒になって、
東京の街から街を移り住むという内容だ。
それにしても、この時代の貧乏学生は、
トイレが共同の4畳半アパートが主流。
風呂屋が閉まるのが午前0時で
それまでにアルバイトを終え、
駆け込んで身体を洗っていたものだ。
遠方の両親に電話をしたり、遠距離恋愛をすると
10円玉を集めて、公衆電話に走るが
あっという間に切れてしまう。
着るモノは季節を通じて、2本くらいの
ジーパンを繰り返し履き、
あとはTシャツ数枚に、
長袖のモノも数枚。
ボロいスニーカーと、下駄(これは今
想像しても凄いけれど、街には結構いた)。
おしゃれを追求する、と言うよりも
こういう貧乏臭さこそが、
かっこいい、とされていた。
映画中でも描かれるように、
比較的近所に引っ越す時は、
友人に手伝ってもらって、
リヤカーで運んだりした。
辛うじて、映りが悪い室内アンテナの
小型テレビを持っていればいい。
コンビニも今ほどなかったので、
酒屋で安いウィスキーを買ってちびちびと飲む。
飲みながら、友人たちと
熱い議論を闘わせる。
当時は常に挫折感と自分への嫌悪感に
苛まれていた。
映画を観ながら、
すべてが今の20代には決してないだろう、
そんな懐かしさも覚えながらも、
世の中も、自分自身も、
己の姿に酔っていた、
ある意味、そういうちょっと気持ちの悪い
時代でもあったんだなあ、と思った。
ちなみに、この映画、かぐや姫が歌った
同名の曲をタイトルにしているけれど、
この時代、を表現している以外は、
赤ちょうちんの居酒屋も出てこなければ、
歌詞にはまったく忠実ではなかった(笑)
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