2021年05月19日

故 田村正和氏と初出演映画「永遠の人」のこと

昨日、俳優の田村正和さんの訃報が流れた。
あまりテレビを観ていない僕でも
「刑事コロンボ」のアイデアを引用した
「古畑任三郎シリーズ」は、ほぼすべて観た。

ゲイ的には「ニューヨーク恋物語」というのが
評判になっていたようだけれど、僕はこれは未見。

今回の訃報で、彼はスタッフ以外の人と会うのが
嫌で、舞台はもちろん、映画にも1980年代以降、
ほとんど出なかったと言う。
凄いのは、同じ敷地内で暮らしている家族とも
一緒に食事をするのは、年に一度。
それは、彼のお父さんだった阪東妻三郎も
同様だったらしい。

そんなワケで、彼が出た映画を思い浮かべてみると、
去年、初めて観た木下恵介監督の「永遠の人」
(これがまさに田村氏の初出演だったらしいが)
一本だけだった。

彼の出番は少ないけれど、映画としては
驚くべきドラマ性と演出力で
おそらく木下作品の中でも
「女の園」と同列に並ぶ
最高傑作と言って良いと思う。

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この映画の舞台は昭和七年。
高峰秀子扮するさだ子は、
佐田啓二演じる隆という恋人がいながら、
仲代達也の平兵衛にレイプを受け、
彼の妻にさせられる。

その二人の間にできた長男の役が
田村氏で、映画では中学生から
高校生を不器用ながら演じる。

彼の芝居はともかく、映画はさだ子の
平兵衛に対する憎しみと苦しみ、
そして隆への永遠の想いを
これでもか、と描く。

1961年に作られた古臭い映画と
思いきや、ところどころでフラメンコが流れ、
モノクロームで見せられる阿蘇の風景が
あまりにも美しく、いちいち震え上がった。


田村さんのご冥福をお祈りします。

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posted by みつあき at 18:48| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする