2021年03月05日

何故「愛と喝采の日々」は、ゲイの支持が得られなかったか

学生の頃、観た「愛と喝采の日々」を
昨日、リアルタイム以来、久しぶりに
DVDで観返した。

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当時はそれほど感じなかったけれど、
改めて観ると、この映画、
ゲイが唸らせられる要素が多くある。

でも、あまりゲイ・フェイバリット映画
と言われることはない。
何故だろう。そう思いながら観た。


ストーリーは、かつてバレエダンサーとして
友人でもあり、ライバルだった二人の女性が
何十年も経ち、再会するところから始まる。

一人は結婚し、子供がすでに
トップのバレリーナになろうとしている。
そして、一人はトップに君臨し、
まさに華やかに引退をしようとしている。
そんな二人がこの再会におって、
過去の確執をぶつけ合うという話。

この二人は、いかにもゲイ好みの女優
シャーリー・マクレーンと
アン・バンクロフト。

マクレーンと言えば、
古くは「アパートの鍵貸します」や
「スウィート・チャリティ」で
コケテッシュな女性を演じ、
近年は「ココ・シャネル」
「ダウントン・アビー」で
しっかりと貫禄を見せる大女優。

片や、バンクロフトは、「卒業」での
ミセス・ロビンソンや「奇跡の人」の
サリバン先生、そしてゲイ映画
「トーチソング・トリロジー」の
息子を認めない母親などでも有名だ。

娘を演じるレスリー・ブラウンや
その相手役のミハエル・バリシニコフは
当時、注目を集めたトップ・バレエダンサー。

劇中で、ここまでにバレエの
シーンを見せる映画はあまりない。
特に鍛え抜かれたバリシニコフの
見事な高さを見せる跳躍は、今観ても
拍手を送りたくなるほど。
数年後、来日公演の彼には
完璧にノックアウトされた。

ちなみにバリシニコフは後年、
「セックス・アンド・ザ・シティ」の
主人公キャリーの終盤での彼氏役としても有名。

また、マクレーンの旦那を演じた
トム・スケリット。
髭面の甘いマスクはゲイ好みだが、
この映画の中でも過去、
同性愛者だと噂がたったとされる男を演じる。

その噂を否定する意味で、二人は結婚に
踏み切ったとも言われた設定が興味深い。


そしてクライマックスで見せるのが
女優二人のつかみ合い。
シャンパンをぶっかける、
バッグを投げつけ、殴る、蹴る。

過去、多くの女優同士の争い、ぶつかり合いが
映画で表現されて、そのいくつかは
ゲイが好きな映画やドラマと言われている。
「イブのすべて」「ショーガール」
邦画の「疑惑」などなど上げればきりがない。

ただ、この「愛と喝采の日々」が
他の映画と違うのは、お互いに心から
リスペクトし合い、認め合った上での
ぶつかり合いだ。

マクレーン、バンクロフト、
双方ともに、決して意地悪で
嫌な女、ではないのだ。

そんなこんなで、ゲイが好きなのは
心底、意地悪な女が、これでもかと
剥き出しにする、という部分にあるのかと
僕なりに解釈し、
そのあたりの理由がゲイ好みではなかったのかも。

それにしても、この映画、
1977年のアカデミー賞で10部門に
ノミネートされて何も取れなかった。
おそらく「スター・ウォーズ」が取ると言われ、
ウディ・アレンの「アニー・ホール」に
流れた年だった。

それでも、十分楽しめる一作だと思う。

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posted by みつあき at 12:39| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする