2019年07月24日

友人の自宅復帰

僕にはもう30年以上になる
サチオという友人がいる。

彼はその昔、バーで知り合った彼は
僕よりも7歳ほど年下だったが、
頭のてっぺんから出す高音の喋りと
オペラやクラシックや
ミュージカル好きなところが
気に入って、仲良くなった。

知り合って何年かが経ち、
一緒にニューヨークに行き、
ミュージカル三昧したこともあった。

彼はその後、東京から大阪、
そして実家がある広島へ帰り、
そこで仕事に就いていた。

大阪へ行っても、広島に帰っても、
月に数度は、メールのやり取りをし、
近況報告や、最近の舞台事情などを
こと細かに連絡し合っていた。

しかし、今年の1月。
いつもなら、すぐに返信が来るメールが途絶え、
2月になって、もう一度連絡しても返信がなく、
非常に心配をしていた。

何度か電話をしても、
出なかったのだけれど、
3月のある日、お母さんが電話に出られた。

1月の10日過ぎに会社で倒れ、
入院中である、今は意識もある、
ということを知ったけれど、
その時はそれ以上、
聞くことが出来なかった。

意識があるのに、何故メールを打てないのか、
心配は募るばかりだったが、
少なくとも健在であることは
本当に嬉しかった。

5月になり、彼と彼のご家族宛に手紙を書いたら
彼自身から返事がきた。
その手紙には「今、病院でリハビリ中です。
元気になれれば、と思います。」
非常に短いけれど、
しっかりとした字が書かれていた。

それから2ヶ月。
つい一昨日、共通の友人がまったく知らずに
久しぶりに電話をしたら、
「つい最近、退院した」とのこと。
でも、それしか話せなかったと言う。

あまりこちらから連絡をしても、
そう思いながら、また手紙でも書こうと
思っていた矢先に、
サチオのお母様から
今日、電話がかかってきた。

彼は脳出血で会社で倒れ、
その周りに誰もいなかったため、
病院に搬送されるのが遅くなってしまったそうだった。

結果的にひと月ほど、まったく
意識が戻らない状態だったが、
その後、彼の頑張りもあり、
少しずつ意識を取り戻したと言う。
しかし、半身が付随で、
脳の状態も前とは違うけれど、
とりあず、今月の18日に
退院することが出来たようだった。

サチオが変わりたいと言ってくれたので、
二人で話をした。
「俺のこと、わかる?」
そう尋ねると、「もちろん」とサチオは答えた。

「あまり元気じゃないけれど、退院が出来た。
でも、頭が小学生くらいしか働かない。
僕ってついていないんだ。」
そう言った。

「古い記憶がまだらのようなんだ。
今週にもメガネ屋でメガネが出来るので
それが出来たら、メールも読めると思う。」

ひと言、ひと言がとってもたどたどしかったし、
あれだけ高い声だったのが、
少しばかり低かったけれど、
サチオは紛れもなくサチオだった。

これから彼がどういうふうに
元気になっていくのか。
前のような状態に戻ることが
出来るのか。
僕にはわからない。


思えば、彼が最も観たいと言っていた
グレン・クローズ主演の
「サンセット大通り」を
彼の帰国する前日に
チケットを取ったにも関わらず、
機会の故障で開演出来ず、結局彼だけ
観ることが出来なかったことを
思い出した。
その時も言っていた「僕ってついていないんだ」と。

軽はずみに勝手なことは言えないけれど、
そういう状態で倒れ、でも半年後に
自宅に戻り、こうして電話で話せたこと。
それは、決して彼が「ついていない」
ということじゃないんじゃないか。
そんなふうに思った。

命を落とすことなく
自宅にまで復帰できたことを喜び、
近いうちに顔を見に行こう、そう思った。

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posted by みつあき at 18:08| Comment(0) | 友情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする