2018年07月08日

アメリカ旅行記 舞台編 その1

さてさて、旅のブログはサクッと書いたけれど、
また何か思い出したら、書くことにしよう。

例のごとく、この前のライブ編に続いて、
今回は、舞台編。


今回観たモノ(舞台編)

●オードラ・マクドナルド
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彼女は今回、コンサート枠なんだけど、
一応、ミュージカル・スター、ということで
「舞台編」のほうに入れることにする。

現存するミュージカル女優の中では
声の張りや存在感としては最高峰と言っていいと思う。
僕は彼女が、まだほぼデビューしたばかりの
「回転木馬」を観て、その後、カーネギー・ホールで
一夜だけやったヒュー・ジャックマンとの
「回転木馬」も観ることが出来た。

「マリー・クリスティーン」
「ポギーとベス」
「レディ・デイ」
「シャッフル・アロング」
と観たモノを数えると
「回転木馬」も入れると、ちょうど5本だった。

今回のライブは、もちろんミュージカル中心だ。
「フィオレロ」から始まり、ロジャーズ&ハマースタインの
「ステート・フェア」、「晴れた日に永遠が見える」
ジェイソン・ロバート・ブラウンの"SONG NEW WORLD"や、
彼女が主演をした「ポギーとベス」からも。
個人的には圧巻だったのが「シー・ラヴズ・ミー」の
「ヴァニラ・アイスクリーム」
観客と共に歌ったのが「マイ・フェア・レディ」の「踊り明かそう」。

ソンドハイムのモノも「リトル・ナイト・ミュージック」
「カンパニー」「イントゥ・ザ・ウッズ」
ソンドハイムと共に出たテレビ番組で、
自分が歌っている前にモニターがあり、
自分の歌っている姿を見ながら歌うのは初めてで
「これほど大口を開けて歌っているのか」と
凄く恥ずかしかったと笑わせてくれた。
ラストはテレビのライブでやった
「サウンド・オブ・ミュージック」が
いかに大変だったかを語りながら、「すべての山に登れ」
これは鳥肌もの。
そして、アンコールは「虹の彼方に」だった。

「回転木馬」で彼女を観た時は、まだ20代だったが
もう50歳に手が届こうとしている。
そういう意味では、今が絶頂期なのかも知れない。
この機会に恵まれたことは幸せだった。



●ブロークバック・マウンテン(オペラ)
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結構前に企画され、上演され、DVD化も
された、と耳にしていたこのオペラが
たまたま4日間だけ上演していることを知り、
オフの1本を蹴って、こちらを選んだ。
何と言っても、かなり思い入れがある作品だから。

驚いたのは、ある意味ロマンチックな
このゲイ・ドラマを、残酷さや苦悩を表現するためか、
音楽的にはひたすら前衛的というか、
耳に残る旋律がなく、メロディアスなモノを
期待する人たちにとっては、苦痛かもしれない。

作曲家ウオリネンの想像した世界は、
ただただ、不快な音の連続に聴こえるかもしれないし、
アリアがアリアとしても聴こえてこない。

音楽性の好みは分かれるとして、問題はドラマ。
映画とほぼ同じながら(それなりに濃厚なラブシーンもあり)、
やはりオペラとなると、きめ細やかな感情的な部分が
どうしても欠けてしまう。
それは歌で表現する、ということなのだろう。

公演日数が少ないせいもあり、リンカーン・センターの中でも
小さなホールのせいか、かないRシンプルなセット。
大道具の出し入れを移動させるスタッフたちが
芝居の途中でいちいち出入りするのが見え隠れするのは
ちょっと興覚めだったこういうことはNYでは珍しい。

ただ、このテーマをミュージカルとしてではなく、
オペラとして洗濯した朝鮮には頭が下がる。
そして、この難解な楽曲をこなしたすべてのキャストの
底力はすごい。
偶然にしても、この日程で観ることが出来たのは
ラッキーだと思う。



●Escape to Margalitaville
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これは、70、80年代にヒット曲を連発した
ジミー・バフェットの曲を元に、
作られたミュージカル。

マリオット・ホテルの中にある
大きなマーキース劇場で、
既にいつ終わるかも決まっている、ということで
特に期待していなかったけれど、
これがビックリ、楽しめた。

カリブ海の島に住む男たちと、寒い都会から
やってきた女性たちの恋愛を中心に、
火山の爆発や、プロペラ機での脱出などが
ドラマを面白くさせている。

ジャングルの中で、ドラッグの幻覚で見える
スーツ姿の男たちのタップから始まり、
空飛ぶプロメラ機の脇を雲になったダンサーたちは踊り、
スキューバダイビングする恋人同士の宙吊りなど
見どころも多く、お金もかかっている。

主演は去年、"Bright Star"に出ていた
ポール・アレクサンダー・ノーラン。
細身かと思って、いきなり脱いだら
マッチョで驚かされた。

何と言っても、演出が去年の"Come From Away"や
数年前の「メンフィス」でトニー賞作品賞をとっている
クリストファー・アシュレイだから、
そんな悪いワケはない。

それでも4ヶ月でクローズしてしまう、
というブロードウェイの厳しさ。
観ることが出来て良かった。



●ハリー・ポッターと呪いの子 パート1、パート2
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数年前にロンドンで始まった時のフィーバーぶりも
さることながら、ブロードウェイでも年末の発売同時の
チケット争奪戦は凄く、諦めていたけれど、
東京を出る直前にチケットを手に入れることが
出来たのはラッキーだった。

それにしても、パート1、パート2合わせて
6時間近く。途中2時間ほど休憩ということもあったけれど、
これがまったく長さを感じさせない。
それくらい面白く、良く出来ている。

かく言う僕は一応、原作、映画も観ていながらも、
ところどころ話を忘れているし、主要人物や背景も
?的なところはあるけれど、とにかくファン垂涎の
舞台になっていることは間違いない。
キャラクター登場のたびに、客席は大盛り上がりだし、
こちらも心踊らされる。

5分に一度は舞台セットが変わり、
出てくる出てくる魔法の数々。
映画のCGが、まるでそのまま舞台に
乗り移っているようだ。炎も水もフライングも、
そこにいた、と思った人間がまったく違う衣装で
突然驚く場所から出て来たり、と
驚きの連続。まったく飽きさせない。

ここではかつて「スパイダーマン ザ・ミュージカル」を
やり、(失敗してしまったけれど)その時も
劇場全体を作り変えていたが、今回もそう。
ありとあらゆる部分にふんだんにお金がかかっている。

劇場を作る、というのはともかく、
ちょっと頑張れば、この作品は日本でも十分ドル箱になる
舞台になることは間違いはない。
とは言え、映画のキャラクターを
きちんと引き継いでいるということがビシビシと
伝わってくる舞台だけに、日本でのキャスティングは
かなり難しいかもしれない。

ひと言、言っておくと、決してアトラクション的要素だけが
凄いワケではなく、脚本も本当によく出来ていて、
今年のトニー賞のストレートプレイ部門を総なめしたのも
よくわかる。

劇場前には「秘密を守れ」という長いテープが貼られ、
同様のバッジも手渡されるという懲りようだ。

今回の主役とも言えるハリー・ポッターの息子、
アルバス・ポッターのサム・クレメット、
そして大人になったハリーを演じるジェイミー・パーカーは
ロンドンからそのままのキャスト。
映画じゃエマ・ワトソンが演じていた
ハーマイオニーは舞台では黒人女性が
演じているのも面白い。
演出は、何と日本にも来日した「Onece ワンス」の
オリジナル演出ジョン・ティファニー。

見事な1作だった。

(映像はなく、場面写真のみ)


●カルメン・ジョーンズ
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いつもなら、3本以上観ることになるオフ・ブロードウェイだが、
結局、今回、観ることが出来たのは
今回はこれとあと1本("Beast in the Jungle")だけ
ということになった。
(『回転木馬』『マイ・フェア・レディ』を
二度ずつ観たため。笑)
オリジナルは、元々、オペラ「カルメン」を戦時中の
アメリカに置き換えたヴァージョンのリバイバル。
出演者は全員黒人キャストでも上演というのは
なんと75年ぶりらしい。

演出が、昨今のソンドハイム作品で
キャスト全員に楽器を演奏させたり、
「カラー・パープル」のリバイバルで注目を浴びた
ジョン・ドイルだから、期待は膨らんでいた。

舞台を四方から囲むように配された客席は、
ロンドンにあるチョコレート・ファクトリーに近い。
セットはシンプルだが、キャストが大道具、小道具を
動かしていくのだが、
ドイルの演出は、とにかく出演者を動かし続けること。
縦横無尽の動くキャストの計算され尽くした演出はさすがだ。
一人立って朗々と歌うシーンは、1曲あるかないか、だ。

主演のカルメンを演じるのは、"Caroline, or Change"で
トニー賞を受賞したアニタ・ノニ・ローズ。
10人すべてのキャストは素晴らしいが、
彼女は特に群を抜いている。
オフならではの狭いながらの
ダイナミックな演出が唸らせてくれた。


●迷子の警察音楽隊
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本年度のトニー賞ミュージカル作品賞、
演出賞、主演男優、主演女優と
メインどころを持っていったのがこの作品だ。
一昨年の冬、オフ・ブロードウェイで一度
観ているのだが、その時はまずまずかと思った。

今回、オンに上がったモノを観て、
キャストも演出もほぼ変わらないけれど、
これほど強く感情を揺さぶられるのは
何故だろう、と考えてみた。

これはそもそも日本でも公開された同名の映画が原案。
エジプトから派遣され、
間違えてイスラエルの片田舎の町に
辿り着いてしまった音楽隊。

カタコトの英語でしか言葉が通じない彼らが
そこで暮らす人々との一夜限りの話。
大きな事件は起きないが、そこで暮らす
市井の人々とのちょっとしたやり取りが、
観客の人生観を問いただしてくれる。

オフでは人の出入りと、装置の動きで見せていた
場面転換を、ここでは回転する盆の舞台を使って
それぞれの生活、生き方をまさに同時間的に
生かされている。

そして何度も聴いた郷愁感溢れる
デヴィッド・ヤズベク(『フル・モンティ』や
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』)の音楽。
ほぼ全編に渡り出演者でもある6人の音楽隊が
奏でる楽曲が心に染み渡る。

10部門もトニー賞をとるとは思わなかったけれど、
これからも口コミでどんどん広がっていくだろう。
素晴らしいことだと思う。



●マイ・フェア・レディ
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今回のブロードウェイ観劇で、
どうしても期待してしまうのが
このリバイバル版だった。
結果的に、あまりにも素晴らしく、
まずない事だけど、これまたオフ作品を棒にふって
これと「回転木馬」は、二度観る、ということにした。

このヴィヴィアン・バーモントという劇場は
最も好きなシアター。円形の客席が囲む舞台は
今まで「ウォー・ホース」や前の「回転木馬」
「(四季)」なども楽しんだし、
何よりも、「南太平洋」、渡辺謙の「王様と私」に
引き続いて、バートレット・シャー演出に寄るモノだ。

オープニング、コヴェントガーデンで花を売る
イライザとヒギンズ教授の出会いのシーンが終わると、
背景のカーテンが上がっていき、遥か向こうと
思われる奥行きがあるステージからグーンと
せり出してくるヒギンズ邸は鳥肌モノだ。

メインのヒギンズ家の書斎は、特にモダンな
作りにはなっていないモノの、重厚感溢れる作りで
この書斎がゆっくりと回ると、研究室、バスルーム、
玄関と360度見せながら、キャストの扉の開閉によって
出入りを見せる見事さ。

主演のイライザをやっているローレン・アンブローズは
かつてテレビドラマ「シックス・フィート・アンダー」で
地味な長女の役をやっていたが、
とりたてて美人でもない。
でも、今回のイライザはそこが魅力。
どこにでもいる姉ちゃん、というこの雰囲気が
強い知性とプライドを持ち始めると
容姿以上に輝き出すのだ。
歌はもちろん申し分ない。

ヒギンズ教授は「ダウントン・アビー」の後半に出演していた
ハリー・H・ペイトン。彼もまさかの好演で
あの語るような歌を完璧にやってのける。
道化役のイライザの父ドリトル(ノルベルト・レオ・バッツ)は
イライザの落ち着いたシーンとは対照的に
楽しくダンスを取り入れて、見事な芝居を見せてくれた。

この3人の演技は、今年のトニー賞でも
披露されたので、あらゆるところで
目に出来ると思うので、是非とも観てほしい。

そして豪華なセットと共に、見ものはやっぱり衣装だ。
特に第一部後半、アスコット競馬場で
紳士淑女がずらりと並ぶシーンはため息が出る。
映画版を元にしがちなイライザの衣装も
ここでは違い、華美にならず、上品なデザインだ。
原作、映画とは違うラストシーンには驚かされたが、
これも文句なし。
二度観ながら、ところどころで新たな発見もあり、
大満足な作品だった。



●Broadway Bares 2018 Game Night
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毎年夏に行われるブロードウェイ・ダンサー
何百人が集い、ストリップを披露する
”Broadway Bares"も今年も観ることが出来た。

今年は"Game Night"と名うって、
ビデオやら、アーケードゲーム、
ボードゲームなどをイメージしたダンスと
ストリップが繰り広げられた。

何年も通っていると、
なかなかマンネリも感じるけれど、
今回はこのあと観ることになっていた
「真夜中のパーティ」のキャストの面々が登場。
カウボーイ役のチャーリー・カーヴァーが
全裸になるというサプライズがあって、
これは楽しめた。


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posted by みつあき at 14:10| Comment(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする