2007年10月20日

今月の映画ポスター

今日、10月20日でBridgeは、ちょうどオープンひと月を迎えました。
う〜ん・・・。早い・・・。

Bridgeには、ゲイ映画のポスター・コレクション・ギャラリー
(って、ほどのモノでもないけれど)があり、
毎月8点ずつ、ゲイ映画(もしくは、ゲイをモチーフに
描かれた作品)のオリジナル・ポスターを展示しています。

毎月1日には、新しいモノに変わるので、
少しだけ店内の雰囲気が変化するかも知れません・・・。
(また、月に因っては、ゲイ映画ではなく、
その月の特集のようなモノになる場合もあります。)

さて、さて、先月から今月にかけて
紹介したポスター。

今回は順に紹介しておきますね。

●一番左のモノは、「ブロークバック・マウンテン」。
brokeback_mountain[1].jpg

最も近くに公開された映画でもあり、また
アカデミー賞絡みなど一般客も巻き込んで
多くの話題を集めたせいか、
お店でも最も多くの方が観た、と言っていました。
(ストレートは『ゲイ映画ではなく、普遍的な恋愛映画』と
いう宣伝文句で、なるほどと心を許したとか。笑)

映画は、60年代初頭のアメリカ・ワイミオミングを舞台に
放牧の羊番で出会う二人の若者を描き出します。

自分がストレートだと思い込んでいた
(もしくは、思い込もうとしていた)男の苦悩と、
ノンケ社会からの脱却。
個人的には、主人公と同じような青春時代を送っていただけに
珍しく感情移入してしまった一本です。


●次の作品は、マニュエル・プイグ原作の「蜘蛛女のキス」。
 kiss_of_the_spider_woman_ver2[1].jpg

日本版は頭に布を巻いたウィリアム・ハートの画像や、
ソニア・ブラガの逆行シルエットのモノが有名なので、
このカラフルな懐古趣味のイラストポスターは素敵。

少年に手を出して投獄されたゲイと、政治犯のストレートの出会い。
ゲイの男、モリーナが語る映画の話を中心に、
この二人の男の変化を描いていく。
会話を中心とした原作は、何度読んでも素晴らしいけれど、
映画はもうひとつ、原作が持つ緊張感が感じられず、
もうひとつ、好きにはなれなかった。
むしろ、その後リメイクされたストレート・プレイや、
ミュージカルの舞台のほうが良かった。

この作品で、ハートはオスカーを受賞したけれど、
自身、あまり気に入っていないらしい。

この作品のみ、DVDは発売されていない。


●3番目の作品は、香港映画「藍宇(ラン・ユー)/情熱の嵐 」。
ly-2001.poster.3[1].jpg

インターネット小説として発表されて大ベストセラーに
なったという原作の映画化。

貿易会社を営むバイセクシャルのプレイボーイと、
一夜限りの関係と割り切って寝た貧乏学生。
北京で再会してから、恋に落ちる二人のその後を
瑞々しく描いていく。

地味ながらも、この純愛映画に好感が持てるのは、
監督のスタンリー・クワン(香港版『セルロイド・クローゼット』とも
言うべき『男生女相』は素晴らしかった!)の演出に他ならない。
カミング・アウトしているだけに、
劇中での演技指導も「本気で相手を愛するように」と
言ったとか。
しかし、何と言っても、バイセクシャルの男を演じる
フー・ジュンのセクシーさは眉唾モノ。
彼はこの映画のほか、「東宮西宮」(ビデオタイトルは「インペリア・パレス」)
でも、ゲイを取り締まりながらもセックスしてしまう
制服警官を演じている。


●4番目の作品は、同じく香港から「ブエノスアイレス」。
cgz1997.poster.1[1].jpg

ゲイ映画、と言うよりも、日本ではウォン・カーウァイ監督作品として
ミニシアター・ブームを作り、大ヒットした映画。

香港から南米に渡り、痴話喧嘩が絶えないゲイのカップル。
情愛、喧嘩、復縁、嫉妬などを繰り返す二人。

すれ違い、暴言を吐きながらも、愛し合う彼らには
最初感情移入が出来なかったけれど、
見直していくうちに愛すべき一本となった不思議な映画。

違う脚本を渡され、ブエノスアイレスの撮影に入った、
こんなはずじゃなかった、とゲイの役に頭を抱えた、という
トニー・レオンのコメントも有名。

余談だけど、この映画を最初に観たのが、香港の映画館。
煙草の煙の中(当時、香港は喫煙しながら映画を観ていた)、
英語と中国語の字幕で、画面が半分くらい覆われているスクリーンを
凝視していたことを、よく覚えている・・・。


●5枚目は、「夜になるまえに」です。
before_night_falls[1].jpg
今回のポスターの中では、「藍宇」と共に、知らない人が
多く居た映画の一本です。

う〜ん・・・。主演のハビエル・バルデムは、この映画で
アカデミー賞主演男優賞候補だったのに。
何故、みんな知らないんだろう・・・。

余談ですが、このバルデム、「ハモン・ハモン」や
「ライブフレッシュ」で、エロい肉体を見せまくり、
悶々エロエロ俳優して大注目された(ほんまかいな)。
しかしながら、この映画のあと、「海を飛ぶ夢」では
26年間、首から下が不随という別人のような顔を見せた俳優。
(ちなみにG&L映画祭で上映された『第二の皮膚』でも
この人はゲイの外科医を演じている)

さて、「夜になるまえに」。
キューバで生まれ、革命後、ゲイ、そして作家という理由で迫害、
投獄された実在の人物、レイナルド・アレナスの回想録から映画化された作品。
この映画が感動的なのは、とにかく自由を渇望する彼の生き様。
いまだにゲイが死刑宣告を受けるというイランも含めて、
こういう映画を観ると、日本での「ゲイ差別」って何だろうと
思わずにいられなくなってくる。

この映画、あのジョニー・デップが極悪卑劣な中尉と、
女装好きな囚人のふた役を演じているのも、大注目!!
(知らずに観ると、わからないほど別人。びっくりします)


●6枚目は、「トランスアメリカ」。
transamerica[1].jpg
「ブロークバック・マウンテン」と同じ公開の年に
公開された作品。
ただし、この映画「ゲイ・ムービー」というカテゴライズに入るか?
タイトルにある様、トランス・セクシャル(性同一性障害)が主人公。
ただし、「自分が自分らしくいるために」というそのテーマから、
僕は多くのゲイ映画よりも「マイノリティ感」は、突出しているのでは、と思う。

男性から女性へと、性転換手術をすることを決めた主人公の目の前に
自分が一度だけ女性とセックスした時に生まれた、という
実の息子が出現。
自分の息子である事も、また男性である事も隠しながら、
彼を養父のもとへ送り返すべく二人の旅が始まる。

ユーモアとペーソスに満ち溢れたワンシーン、ワンシーンが
とにかく楽しくも、ほろっとさせる中で、
父親と息子(って言うより、母親とも思えるかも)の
愛情の育って行く過程に胸が打たれる。

「デスパレートな妻たち」の女優、フェリシティ・ハフマンが
女性になりたいと願う主人公役というものも見もの。


●7枚目は、泣く子も黙るルキノ・ヴィスコンティ御大の
「ベニスに死す」。
death in venice.bmp

思えば、この映画、僕が生まれて初めて観たゲイ映画だった。
当時中学生だった僕には、ただただ退屈だったけれど、
成人してから観た時には、鳥肌がたつ思いで、
スクリーン、ビデオで何度観たことか。

この映画には、まったくゲイというアイデンティティには
触れられず、「美」への憧景や賛美という形で、
たまたま同性を対象に出している。
思えば、ヴィスコンティなんて、同性愛なんて自然に
受け入れているだろうから、声高に主張するようなモノは
まったくなかったんだろう・

映画は、静養のためにベニスにやって来た作曲家が、そのホテルで
会った美少年に魅了される。
友人と「美」に対する観念の違いを闘わせながらも、
自分の過去を省みる男。
そういう中で、彼は疫病に冒されていく・・・。

美少年タジオを演じるビョルン・アンドレセンは、
当時、チョコレートのCMに出演。
女のコたちから黄色い歓声をあげられていたけれど、
彼が役の中で、幼さの中にも自分の存在(作曲家の気持ち)を
自覚するナルシズムを垣間見せるちょっとしたシーンが
この映画をすこぶる崇高なモノにしている。
マーラーの「五番」を聴くたびに、うっとりと思い出す一作。


●最後の作品は、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」。
hedwig_and_the_angry_inch[1].jpg

元々オフブロードウェイで上演されていたロック・ミュージカルを
偶然現地で観て、言葉がわからないままに感動していたのに加えて、
この映画が公開された時は、本当に熱病になるほどに
マイブームとなった作品。

東西冷戦時代の東ドイツに生まれた少年は、
米の黒人兵に結婚を申し込まれ、男のために性転換手術をする。
しかし、その股間には1インチだけ、ペニスが残ってしまう。
男に去られ、一人アメリカでロックシンガーとして生きる彼は、
ヘドウィグと名前を変え、若く新しい恋人と恋に落ちる。

映画は、このあと、結局その「1インチ」が大きな問題となってしまうが、
「自分の片割れを探し続ける」という壮大なテーマと共に、
全編に流れるパワフル、かつキッチュで可愛らしい音楽が
本当に素晴らしかった。

このあと、監督でもあり、主演者のジョン・キャメロン・ミッチェルは
「ショートバス」(たぶん、まだ公開中)という素晴らしい作品を
これまた作ってくれました。「ヘドウィグ」同様、必見。
posted by みつあき at 17:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする